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まくらコトバのm(エム)さまより
『なわばり』
憧れの まくらコトバ:m(エム)さまの訪問者2万打記念フリー小説!強奪してきました!!ニャン(*ノωノ)
mさま大好きです!!
もう。もう!!ミラさんとナツが!会話が!だよね!!そうだね~!!と原作との違和感のなさに、いつもの様に脱帽(*'▽')
いいなぁ~。。。moの頭の中では、ギルドで、ルーシィの手料理を他の奴らが食べるの見て、むくれるナツ!!!
勝手に想像して胸キュンです( ;∀;)素敵な作品を毎度ありがとうございます(´艸`*)♡
「はあい、ルーシィ!じゃんけーん、」
「え?」
「ポン!」
カウンター内からミラジェーンが腕を伸ばし、ルーシィの前で手を広げる。いきなり投げられた掛け声に、反射的にルーシィも手を出した。ミラジェーンはパー、ルーシィはグー。
「私の勝ちね」
「は、はあ」
「じゃあ私の言う事聞いてくれる?」
「えええ!?」
ミラジェーンがずんずんと話を進めていき、ルーシィはえ、え、えと戸惑いの声を漏らすばかり。
「い、一体何をやらせる気ですか」
「うふふふふ……」
いつもの笑顔に、不気味な笑い声。
一体何をされるのだ。ルーシィは緊張と恐怖でごくりと喉を鳴らした。
*
ミラジェーンは気分よく街中を歩いていた。そしてその隣には荷物を持ったナツの姿。
「なんでルーシィに店番頼んだんだ?」
「そりゃあ、仕事が入ってないって知ってたからよ」
ミラジェーンはルーシィにカウンターを頼み、荷物持ちとしてナツを従え買い出しに出ていた。
「それでルーシィが仕事行けないからナツも暇だろうなあと思って。だから荷物持ち」
「ふーん」
特にそれには不服なようではなく、ナツは軽々荷物を持ち、ミラジェーンに歩幅を合わせて歩く。
「でもよう、いつも買い物頼んでんじゃねえか。なんでわざわざミラが行くんだ?」
「さっき行ったお店はね、私もずっと仲良くしてて。だから私が行くとすっごく安くしてくれるのよ。幾らうちが盛況だからって、材料にはお金掛かってるからね」
「へえ」
今度はナツは興味深そうに返事を返す。
今まで何気なくミラジェーンに注文をすれば食事も飲み物も出てきていたが、彼女は彼女なりに工夫をしていたのだと知る。
ナツはミラジェーンの一歩後ろを歩き、何気なく街中を眺める。
ナツがギルドに辿り着いたら何を作って貰おうかと考えていると、ミラジェーンはナツの方へと顔を向け、歩きながらも声を掛けた。
「そういえば、ルーシィってお料理出来るの?」
「おいおい。そんな事も知らずにカウンター任せたのかよ」
「だってルーシィ仕事はキチンとこなす子だから。たまにヘマするけど」
ふふっと笑い、再び前をむく。ナツはミラジェーンの背中を見ながら、今まで食べたルーシィの料理を思い出してた。
「料理なー。出来るんじゃね、一人暮らしだし。まあ特別美味いって訳じゃねえけど」
「ふうん。ナツは知ってるのね」
「チームメイトだからな」
「だからって甘え過ぎでしょ。態々家に行ってご飯作らせてるなんてチームメイト、そんな無いわよ」
「そうかあ?」
「そうよ」
ナツの記憶の中では、ルーシィはいつも最終的には笑って、許してくれている。勝手に家に侵入することには未だ怒られるのだが。
ナツがそう言えば、チラリと振り返ったミラジェーンは呆れたように一瞬表情を崩した。
「ナツには前から言いたかった事があるんだけどさ」
「あ?」
「ルーシィの事どう思ってるの?」
「どうってなんだよ?」
「うーん、その反応が微妙なのよねえ」
ミラジェーンは表情の端に不満を覗かせる。
「ナツがさ、そういう感情を出さないっていうか、持ってないってのはなんとなく思ってたんだけどさ。でもそれだったら甘えすぎじゃないかしら」
「なんだよ甘えすぎって」
「さっきも言ったでしょう。家に行って、料理して貰って、一緒に食べて。そりゃあ仲良いのは良いことだけど、それってルーシィの時間を奪っているってことでもあるのよ」
「時間を奪う?」
「そう」
ミラジェーンは口調に合わせるように、ゆっくりと揺れて歩く。
「ルーシィは女の子で、恋だってしたい盛り。それなのに、そんなのとは関係無い男が家にずーっと居たら、ねえ」
「な、なんだよ」
「どうなのかなあーって」
ミラジェーンはふふんと笑うように、反動を付けて振り返る。そしてその反動のまま前に向き直れば、変わらず気分よく足を進める。
ナツはそんなミラジェーンを見て、少々ムッとした口調で言い返す。
「ルーシィは恋人なんか作らねえよ」
「ナツがそれを言っちゃうの?」
「俺がいるから作るのはナシだ」
「我が儘ねえ」
ちょっと突けば零れ落とす癖に、お互いにそれを見せようとはしない二人。
ミラジェーンはその場にいない少女を想い、溜息を吐いた。
「でもどうする?いつか、ナツが家に行った時にさ。ナツの知らない男の人がルーシィの家でくつろいでいるの。ルーシィもその人と凄く仲良くて、そういう、男と女の雰囲気を感じた時、どうする?」
「誰だよソイツ」
「だからー、もしよ、もし」
沈黙が続き、気になったミラジェーンは後ろを振り向く。すると、少々離れたところで立ち止まり、悩んでいる姿のナツがいた。ミラジェーンはそれが可笑しくて、微笑みながらナツの元へと戻る。
ナツは特に表情を崩すことはなかったが、ミラジェーンの言葉に考え込む姿は珍しかった。
「ぶっ飛ばすな」
「物騒ね」
そして飛び出た言葉が、ナツらしくて、笑う。
「俺がルーシィんちでくつろぎ辛くなるだろ」
「なんで?別に、一緒に過ごせば良いじゃない」
「ルーシィが良いなら、そうするけど……」
「嘘ね」
視線を外しながら答える姿に幼き頃のナツを重ねる。それも一瞬の事で、すぐに成長しきったナツが目の前で不服そうな顔を浮かべていた。
何を考え、何を思っているのだろうか。それが見えないからこそ、つい口を出したくなってしまうのだろう。
「やっぱり、そこが自分の居場所だって、ナツは知ってるのよ」
「?」
「そこにいるのは俺だって、ナツは自分で言ってるのに気がつかないの?」
無意識のうちに、自分の縄張りだと主張する猫のように毛を立てじっと視線を寄越している。特に何処にも留まらなかった猫が、やっと寝所を見つけ、やっと熟睡出来るようになったのだ。それが傍から見ていても嬉しいのだが、もう少し自覚を持っていても良いと思うのだ。
「ルーシィに恋人が出来るのが楽しみね」
「はあ?どこでそんな話になったんだよ?」
「さ、早く帰りましょう。今一番忙しい時間だし、ルーシィ泣いてるかも」
「ミラ、お前分かってて押し付けたんだろ」
「そのおかげでナツとこうやってじっくり話せたじゃない。よしよし」
二人は再び、荷物を持って歩き出す。ギルドが見えてきて、自然とナツの歩みが早くなっているのに気がつく。
「私はルーシィの事も、ナツの事も応援してるわ」
「あ?そんなの当たり前じゃねえか」
いつの間にか並んで歩いていた二人は、違う考えを持ったままギルドへと帰る。きっとアタフタとしているだろう、同じ人を想って。
(終)
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