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20150515 Twitterタグ企画 『#フォロワーサンの絵から小説を書かせていただく 』で、

ぺたりさんからいただいたイラストを元に作文しましたぁ~!!       

 

君の髪

 

↓ぺたりさんから、強奪させていただきました!!↓

 

 

 

「なぁ、ルーシィ」

「ん~?」

「髪、伸ばしてんのか?」

「え~? 伸ばしてるっていうか、キャンサーに伸ばしてもらったのよっ……マグノリアを出る時にね……」

「ふ~ん」

「まぁ、あたしはどんな髪型だって、似あっちゃうけどね?」

「……似合わねぇこともねぇけど」

 

歯切れ悪く、言いよどむナツ。

 

 大魔闘演武を破壊し、城に火ののろしを上げ、兵士に追いかけられながらクロッカスの街を出て、ナツとルーシィそしてハッピーは、森の中で野宿していた。

 

 小枝を集めてきたそこに、ナツの火がともっている。その赤く燃える火を見つめるルーシィの表情は、1年前と比べてどこか大人びたような気がする――そんな印象をナツは受けていた。

 

「……あのね、何か踏ん切りつけたかったのよね。女の子って髪型返ると、気分も変わるっていうか…」

「踏ん切り? ……何のだよ」

 

 

 夜も深くなり、ハッピーは焚火の脇でスヤスヤと寝息を立てている。

少し寒いと訴えたルーシィを背後から抱きかかえているナツの腕が、ほんの少しこわばった。

 

 

 ――踏ん切りって……断ち切りてぇ事だよな……?

 ――見た目が変わっても、ルーシィはルーシィなのに……

 

ふと見えたルーシィの寂しそうな笑顔が、ナツには一瞬 知らない人物のように感じられた。

 

 ナツの胸には小さな不安があった。それは、再会してからのルーシィとの少しの距離感。少し遠慮がちなルーシィの笑顔。それでも、ハッピーと輪になって話に花を咲かせれば、大口を開けて笑う姿を見る事も出来た。だが、ふとした瞬間に自分たちの間に線が引かれているようで、ルーシィとの距離を掴みあぐねていた。

 

「……いろいろだよ」

「いろいろって、なんだよっ」

 

 自分を暖めてくれている逞しい腕に力が入ると、ルーシィは眉を下げその背をナツに預けた。背中から伝わってくる、優しい体温が一人で寂しくて寂しくて――縮こまってしまった心まで包み込んでくれるようだった。

 

「だって、いろんなことが……いっぺんにきて、…あたしだけ……取り残されちゃったのよね……心が…」

「……」

「みんな…前に進んでいくの。別々に……。その背中を笑顔で見送って…でもね、現実感がなくって……なんだか夢の中の物語みたいで…そのまま物語を眺めていれればいいんだけど……そういう訳にもいかないじゃない?」

 

 

 ルーシィはナツに、この1年の事を話した。

細かいことは別にいいかとも思ったのだが、どうしてだかナツがしつこく聞いてきた。

 

 

  ナツ達がいなくなって、ギルドが解散して――

 

 

「初めはね? マグノリアに住んだままロキたちと修行してたのよっ」

「へぇ…」

「でもねっ、女の子って…お金かかるじゃない?」

「…んあ…?」

「美容とか洋服とか……家賃とか?」

「おうっ。ルーシィはいつでも金欠だもんなっ」

 

 ルーシィの背後で、ナツがニヤッと笑ったのが伝わった。「そんなのあんた達の食費に消えちゃってただけでしょぉ~」と、呆れた様にルーシィが笑いながら、言葉と紡ぐ。

 

「……だからねっ、たまたまグラビアの仕事をくれたジェイソンさんに泣きついたんだよね…」

「あぁ。んなこと言ってたなぁ」

「そっ。文章書く仕事だなんて、あたしらしいでしょ?」

「……そうかぁ~?」

「そうよっ……だって、妖精の尻尾じゃないギルドには……っ…」

「まぁ……そうだよな」

 

 ルーシィが言葉を詰まらせた先を、ナツが続けた。ナツからしたって、ルーシィが妖精の尻尾以外のギルドに所属するなんて、想像もできない事だった。まぁ、間借りしていても自分がきたからには、強引にでも連れていくことに変わりはないのだけれども。

 

ナツの腕の中で、ルーシィの身体から力が抜けていく。

 

「そうなのよねぇ~。記者だって憧れの職種の一つなのに、やっと慣れてきて……、ふと振り返ってみたら、なんかしっくりこなかったんだよね…だってあたし……やっぱり魔導士だしっ」

「……妖精の尻尾のなっ」

 

ナツの発言に、ルーシィはだんだんおかしくなってきていた。クスクスと笑いながら、背にいるナツにしっかりと体重をかけて寄りかかった。

 

「……そうなんだよね~」

 

にこにこと微笑み、上目づかいにナツを見上げるルーシィ。その視界には、ナツが逆さまに映って見える。ルーシィの重みを腕に抱えナツは、ニィっと笑い返した。

 

 ――フフフッ

 ――やっぱりナツだな……

 

「でもよぅ。まさか、マグノリアに妖精の尻尾がないなんてな……」

「……びっくりだよね」

「まだ……信じたくねぇ」

「……うん」

 

あたしもと、ささやく声は闇夜に吸い込まれていく。

 

「その……寂しかったよな」

 

見上げたルーシィの視界で、ナツはらしくなく眉を寄せた。つり目がほんの少し下がっているようにルーシィからは見えた。

 

「ナツ……?」

「…………わっ……悪かったな…一人にして……」

「え?」

 

照れたような……戸惑うような、ナツの言葉にルーシィは、眉を下げた。

 

 ――ナツ……気にしてくれてたのかな?

 ――そりゃぁ、寂しかったけどね…

 

「一人じやないわっ! あたしには、バルゴやロキ達が居るもんっ」

「……そうだな。そう言われて見ると、そうだよな。でもっ…やっぱり…」

「ふふっ。何よムキになってっ、さては……ナツが寂しかったんでしょっ!」

 

ナツのなんだかすまなそうな視線に、ルーシィは心の中で微笑んだ。そしていたずらな目をナツに向けた。

 

 ――手紙1つで、置いていかれたこと…

 ――恨めしく思ったりもしたわ……けど、

 ――そんな事じゃない。一番心に引っ掛かっていたのは……

 

「寂しく無かったって言えば嘘になるけど……あたし、修行に誘われたとしても、行かなかったよ。多分」

 

ルーシィの視界の中で、ナツが目を見開いた。

 

 ――勘違いしないでほしい

 ――あたしは、そんなに弱くないよっ

 

ナツの見開かれた大きな釣り目に、ルーシィはまっすぐと真剣な視線を向ける。

 

 ――それに……邪魔にはなりたくない

 ――ナツにはナツの、あたしにはあたしのアイデンティティーがあるんだから

 ――大体のところ、ちゃんと伝えてくれていたから

 ――他の誰でもない、あたしに…

 ――帰ってくるって。だから、待ってていいんだって、知ってたから…

 

「そっそうなのか?」

「そっ」

 

真剣な顔のルーシィが、今度は優しく微笑んだ。

 

「ちゃんと……いってらっしゃいって、顔見て言いたかったけどねっ」

「うっ…」

 

桜色の髪が、ナツの落ち着かない動きに合わせてふわふわと揺れている。微笑んだルーシィの瞳の奥も、小さく揺れていた。

 

「ついていくって、言うと思った?」

「いや…」

「いかないでって、言うと思った?」

「そうじゃねぇ…」

 

「そうだよね。あたしって、信用されてなかったのかなって。ちょっと落ち込んだ時もあったんだけど、あたしの友達がね、そうじゃない。違うよって教えてくれたの…」

 

フワフワと揺れる桜色の髪の先に、星が輝いて見える。

 

 ――だからね……強くなろうって、思ったんだ

 ――だってあたしを信じて、置いていったんでしょ?

 ――あたしには星霊がいるし……顔を見ないで言っちゃったのは…

 

背にナツのぬくもりを感じながらルーシィは、にっこりと笑った。その表情につられてナツの笑い返した。

 

 

「寂しかったけど、一人でだって大丈夫。心は、繋がってるって信じてた……ん~ん。信じてるからっ」

「ルーシィ、少し変わったと思ったけど……そんな事もねぇなっ」

「成長って言いなさいよっ!!  大体変わらない人なんて、いないわよっ?」

「おれはっ…!!」

「うん。何となくナツの言いたいことも、わかるけどね…」

 

 ――たった1年だけど、本当はすっごく長い1年だったよ

 ――だってナツ達の事が、大事すぎて…

 ――ナツが変わっちゃってないかって……心配もしたし

 ――今更どう接していいのか、わかんなくなっちゃうんだもん

 ――あたしの態度で、気持ちがバレちゃわないかって…

 

「……なんだよ…俺にも分かりやすいように言えよ」

「…クスッ……つまりね……今も昔も変わらないって事」

 

するっとルーシィの手が伸びてきて、ナツの桜色の髪に触れた。

 

「……うん。ナツも変わったけど……変わらないねっ」

「おうっ 強くなったけどなっ」

「あら? あたしだって結構強くなったのよ?」

 

ルーシィの白い手が、ナツの前髪をふわりふわりと弄っている。おりている前髪が顔に触れて少しくすぐったい。

 

 ――そうだよな…

 ――1年前と全く一緒って訳にはいかねぇんだよな

 

 ――でも、やっと守りたいものの隣に帰ってこれたんだ

 ――ルーシィが…今を幸せに過ごしてんなら……

 

 フワフワと前髪を弄ってくるルーシィの腕を、ナツは掴んだ。まっすぐ腕の中にいるルーシィを見つめると、ルーシィは照れる事もなくにっこりと微笑み返してきた。

 

 ――って、一瞬思っちまったけど……

 ――違うんだっ

 ――やっぱりルーシィは……

 ――きったねぇギルドの酒場で、大口あけて笑ってるのが似合うんだ

 

 ――オレは、ルーシィの存在も、帰る場所も、笑顔も……守りてぇんだ……

 

「ルーシィっ!!!!」

 

ナツの目の奥に、消える事のない炎が揺らめいている。

 

「ナツ?」

「ぜってぇ取り戻そうなっ!! 俺たちの家族をっ」

「………うん……うんっ……ありがとう。ナツ……」

 

 

ルーシィの視界に映っているナツが、少し滲んで見えた。ナツとルーシィは互いに、笑い合いながら、手を握り合った。

 

 

「………ナツ」

「あん?」

「少し背、伸びたんじゃない?」

「っ!! まじかっ!!!」

 

寝静まった森の中を、ナツの声が響いた。その声に傍らから、抗議の声が上がる。

 

「もー。ナツもルーシィもうるさいよ~ムニャムニャ」

 

クスリを微笑みあった後、ナツはルーシィを抱えたまま、ルーシィはナツの腕の中でその暖かい体温に守られ、目を閉じた。

 

 

 

そして、夜が明け、朝を迎える。

 

 

「さぁ~て、今日も一日、が~んばるぞ~!!」

「おうっ!!」

「あいさーっ!!」

 

 

 

 

 

 

Fin

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

って、双方自覚済みの両片思いナツルーでした!!

少しでも楽しんでいただけたら、嬉しいです!!

ありがとうございます!!!!

 

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