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2014.11. 1000hit記念 るるさんよりリク『sssssの世話焼かすんじゃねぇから桜の木の下の間のお話』

 

ひらひらフワフワ

るるさんリクありがとうございます!!なんとなく漠然をと浮かんでたのですが、なかなかまとまらなくって(´・ω・`)

予想を裏切るなつくんが、書きたかったんです。こんなんなってしまったんですが、気に入ってもらえるといいんだけど……(*'ω'*)

 

 

 

「大っ嫌いはねぇだろっ……」

 

 酒場を飛び出したナツは、外壁をつたってギルドの屋根に登っていた。屋根の上にドカリと座り込み、不貞腐れた顔を隠そうともせず空を見上げていた。

 

「オレだって、被害者だってのっ」

 

 なんだよルーシィのやつ……そうぼやきながらナツは、酒場での出来事を思い浮かべていた。

 

 酒場にルーシィが入ってきた時――息をのんだんだ。――その姿に。喉の奥が痙攣して、声がでなくなっちまったのかと思った。ひらひらフワフワしてて真っ白な服を着たルーシィがいて。――いつもの体にぴったりとした格好とは、ちょっと違くて――なんつーか、服の裾がゆれて、羽でも生えてんのかって、目をこすったんだ。

 

 ――そうだ――見とれてたんだ。

 

 昨日の夜、ルーシィの家で飯食わしてもらって、ついでに遊んで、ついでに一緒に寝ようとしたら「家に帰れっ!!」って窓から追い出されて。んで、その時ルーシィが『明日は、迎えに来ないでいいからっ』って言ったんだ。『なんでだ?』って聞いたら――『休みだから、新しい服着ておしゃれしたいのっ』って、なんか一人でもじもじしながら言ったんだ。

 

 『支度に時間かかるわよ。待つの……ヤでしょ?』って付け加えた様に言われたから、今日はギルドでルーシィが来るのを待ってたんだ。まだかまだかって、なんだかソワソワして、落ち着かなくて、やでもギルドの外の音が気になって、フルで耳を澄ませたりしてたんだ。

 

 

 酒場の扉が開いて、ルーシィの匂いが風に乗って届いて、今日のルーシィを目にしたら、ドキドキして、落ち着かなくなってきて――。

 

 

 そうしたら、酒場のどっかから歓喜の声が上がったんだ。野郎どもが、ルーシィを見て、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべてやがったんだ。――それが無性に、ムカムカして――。

 

 だから、後ろから誰かにどつかれて吹っ飛んできたエルフマンにも気が付くのが遅れちまったんだ。あんなにでっかい奴が、宙を舞ったことに気付かないほどオレは、――ルーシィを見てたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「大体ルーシィが、あんなピラピラした服着てくっから……」

「それは、バニーのせいじゃねぇだろっ。あれはお前の好みの服なんだろ?」

 

 声と共に、頭の上から影がかかる。

 こんな屋根の上にわざわざ登ってきやがって――。

 

「……ガジル。何か用か……」

「レビィに聞いたんだがよう。バニーのあの服、お前が選んだんだってなっ……悪趣味だなっ…ギヒッ」

「……ああ? んだとぉ!?」

 

 勢いよく立ち上がり、ガジルに向かって拳を突き立てようとしたところ、既にガジルは1歩2歩、下がって間をあけていた。

 

「こんなところで暴れんじゃねぇ!! テメェで薦めておいて、テメェで汚してんだ。悪趣味だろうがっ……レビィに言われて、仕方なく来てやってんだこっちは」

「あぁ? 別に……頼んでねぇっ!!」

「お前の為じゃねぇ。……バニーの為だとよ……ったく単細胞がっ」

 

 もの言いたげにガジルを睨み付けていたナツは、ガジルの胸ぐらをつかんでいた腕を、バッとはらった。ルーシィの為と言われて、頭をかすめたのは、傷ついた顔と涙を湛えた琥珀色の瞳。

 

「……くそっ」

 

 その場でガジルに背を向けて、再び腰を下ろしたナツ。ガジルは目線を合わせずに、ナツの斜め後ろに立ったままだ。

 

「……お前が汚したバニーの服は、お前が選んだんだろ?」

「…はぁ? ………いあ…そんなこと…? ねえぞっ……んあ??」

 

「はぁ……目出てぇ頭だなっ……火竜。……人に薦めておいて……」

「んあ? ……いや、待てよ……」

 

 ――途端、ナツの様子が変わった。

 

 見る見るうちに、ナツの顔に熱が集まってきている。やっと当時の事が思い出せたのだろう。これで、この馬鹿がバニーに謝れば――。

 

「違うぞっ!! ……俺、別に服を薦めたわけじゃねぇぞっ」

「……はぁ?」

 

 いきり立つナツ。だが、ごにょごにょと言う内容は、何が言いたいのかガジルは、掴みあぐねていた。

 

「……カルディア大聖堂で見たんだ」

「あ? ……何、言ってんだ?」

「ああいうひらひらフワフワした白い服着て、お祈りすれば……本当の家族になるんだろ?」

 

 

 

 ナツの言葉に、ガジルは言葉を失ってしまった。

 

 

 ――コイツは――。

 

 

ガジルの目が、完全に――点になっている。

 

  ――つまりこういう事なのだろう。

  ――バニーの今日来ていた服じゃなく、ひらひらフワフワの白いドレス。

  即ち――ウエディングドレスを、バニーに薦めたって訳か――。

 

  ――それも、家族になるため――だと。

 

 何も言わなくなってしまったガジルに、ナツは首をひねって視線を向けた。

 

「……?」

 

 怪訝な表情を浮かべ、完全に動きが止まってしまったガジルをジーっと見る。頭に?を浮かべた様子のナツを視界に入れガジルは、鼻から多くの空気を吸い込み、それを肺に溜めた後、口から一気に吐き出した。

 

「おまぇなぁ…」

 

 ――ったく世話が掛かりやがる。

 ――だからかかわり合いたくなかったんだ。

 

「あんだよ?」

「……いいか? お前がカルディア大聖堂で見たってのは、おそらく結婚式でひらひらフワフワした服ってのは、ウエディングドレスの事だろう。……その辺の服屋で売ってるようなもんじゃねぇし……はっきりそれだって言わねぇから、バニーが勘違いしちまったんだろうが……」

「……そうなのか?」

「お前に薦められたって、喜んで今日の服着てきたらしいぞ。……テメエの考えてることを筋道立てて、素直にバニーに伝えりゃ……仲直りできんじゃねえか? ギヒッ」

「そっかっ!!」

 

ナツはブツブツと何か呟いている。ガジルはタラリと額に汗を流した。

 

 ――しまった!!

 ――このままではまた、素っ頓狂なことをバニーに言いに行くに違いない。

 ――そして、話がややこしくなっちまう――。

 

 ガジルはすばやくナツのマフラーを掴んだ。今にも屋根から飛び降りようとしていたナツは、あんだよ? と、ガジルに振り向いた。

 

「落ち着け!! てめぇ、バニーのとこ行って何言うつもりだ?」

「あ? そんなん『その服じゃねえって!! ウエルカム…』なんだっけ?」

 

 ――はぁ。逆撫でするだけじゃねえか。

 

「はぁ。まず、火竜。てめぇは、バニーのなんだ?」

「あ? そんなん……仲間だろ?」

「じゃぁ、バニーじゃねえ他の仲間にも、勧めんのか? そのひらひらした服を」

「んあ? 着てえのか? ガジル……お前は……似合わねえぞ」

 

 反目でガジルを見てくるナツに対して、ガジルはナツの胸ぐらをつかんだ。

 

「オレが着てどーすんだ!! 脳みそ腐ってんのかテメェはっ!! 他のやつでもいいのかって聞いてんだ!!」

「まだ腐ってねえ!! んなのっ……わかってるつのっ!!」

 

  何故か偉そうに胸を張るナツに対して、ガジルは心底呆れた顔を向け、大きく息を吐き出した。

 

「で? じゃあどうしたら、ルーシィと仲直り出来んだよ?」

「……仲直りは、してえんだな」

 

 人にものを聞いている態度とは思えないナツの態度に、ガジルは額に血管を浮き立たせながら、ナツを睨み付けた。そのにらみを受けながら、ナツは「ああ」と頷く。

 

「まず、手順を守りやがれ!!」

「んだとぉ?」

「テメェは、バニーの未来が欲しいんだろっ。……女は順番が、重要なんだよっ!!」

 

 ガジルの言葉に、眉間にシワを寄せながらも、ナツはじゃあ話してみやがれと、その場に居直った。

 

 

 

 

 

「ルーちゃんっ」

「……レビィちゃん」

 

 大浴場の湯船に一人浸かっている金髪の少女の脇に、明るい青色の髪の少女が近づいていく。湯船の脇に置かれた桶の中に、オレンジのシミがうっすら残る白い布が浸かっている。

 

「落ちるよ。ちゃんと綺麗にできるよ。ルーちゃん」

「……うん。でも、もういいんだ」

「えぇ? よくないよっ。ルーちゃんよく似合ってたよ」

 

 レビィの言葉に、ルーシィは柔らかく笑った。

 

「……昨日ね。ナツに、休みだしおしゃれしたいから、迎えに来ないでいいって言ったの」

「…うん」

「ナツが選んでくれた服だって思ったら、ドキドキしちゃって」

「うんうん」

 

 湯面に視線を落としながら、話すルーシィの言葉に、レビィが優しく相槌を打つ。

 

「この服見て……自分がこれ着てみろよって言った服だって、気づいてほしいけど、なんか恥ずかしくて……滅茶苦茶緊張して……でも……実際ナツにあったら……自分が薦めた事すら覚えてないのよっ」

 

 なんか1人相撲で、怒っちゃって……恥ずかしいなぁ。顔、合わせずらいな。そうぼやく親友に、レビィは優しく微笑みかける。

 

「ルーちゃん。おろしたての洋服にケッチャップつけられたんだもん。怒っていいんだよっ」

「……レビィちゃん」

 

「ルーちゃん。ナツはきっと、照れちゃって訳わかんなくなっちゃっただけだよっ」

「……ナツはいつだって、正直だもん。きっと自分がこの服を薦めたって、覚えてもいないのよ」

 

「う~ん。ナツだしね。それもあるかもだけど……なんか違う事考えてたのかもよ? ルーちゃん綺麗だなぁとか。……でも、ルーちゃんを傷つけちゃったかもって、今は落ち込んでるんじゃないかなっ」

「……そっそかな?」

 

「うん。ナツってば、ルーちゃんが、酒場飛び出した後、萎んだ顔してたもん。マックスとかに怒られても、暴れもしないし文句も言わずに、外行っちゃったんだよ~」

「……ナツが?」

 

「うん。ルーちゃん泣かしちゃって、相当こたえたんじゃない?」

「……でも、ナツよ?」

 

「……うん。でも、ルーちゃんは……そんなナツが……好き、なんでしょ?」

 

 ナツの反応で、一喜一憂しちゃう位ねっ。と、すぐ隣からニンマリとした笑みを向けられ、ルーシィは、真っ赤に全身を茹で上がらせながら、ブクブクと湯船に頭まで沈んだ。

 

「//////」

 

 クスクスと笑い合うと、レビィがニッコリと笑顔をルーシィにむけた。

 

「さっルーちゃん。のぼせちゃうから、もうでよ!!」

 

 

 

 

 

「ルーシィ!!」

 

 ギルドから1歩外へと足を踏み出すと、それを待ちかえていたかのように、ナツから声を掛けられた。そのまま手を引かれ、無言のまま、ギルドの裏手にある湖のほとりに連れていかれた。

 

「なによっ」

 

 ついつい、ケンカ腰に応えてしまいルーシィは、濡れた服の入っている袋を握りしめた。その様子に、ナツは姿勢を正し真っ直ぐルーシィと視線を合わせた。

 

 ――まずは……謝れって言ってたな。

 

「ルーシィ。さっきはそのっ……悪かった! 洋服汚しちまって」

 

ルーシィは黙ったまま、落ち着かない様子のナツを見つめ返している。

 

 ――んでぇ……、説明すんだよな。あと、似合ってたって言わねぇと……。

 

「さっきのよう……ヒラヒラした服……にっにっに……その……よっ良かったんじゃねえか?」

 

 ――くっそっ……似合ってたって/// ……なんで言えねぇんだ……。 

 

「え? うっうん。アリガト///」

 

 ――言えっ!! 今度こそ、意味が違うんだって

 

「で……だなっ」

「……なによ?」

 

 ナツの緊張が伝わるのか、ルーシィまで緊張した面持ちになっている。林檎のように頬を染め、だが視線はそらさずに、ナツを見つめている。

 

 ――ナツ。何を言ってくれるの?

 

「俺が……ほらっ、前に言ってた服なっ! 今日の服ってんじゃなくってなっ……えっと…そのっ……オレ、なんか間違ってたみてえで……」

 

 ナツの言葉に、ルーシィの上がっていた気持ちは地面にたたきつけられてしまった。

 

 ――間違っていた?

 ――似合わないって訳じゃないんでしょ?

 ――あたしに、らしくないワンピース薦めたことが……間違ってたって事なのかな…

 

 ナツが言いよどんでいるうちに、ルーシィの目には見る見るうちに涙が滲んでくる。

 

 ――勘違いで――間違いで浮かれて――あたし、バカみたいじゃん。

 

 えっと、そのっと繰り返すナツは、ルーシィの方を見れず、明後日の方向に視線を飛ばしている。ルーシィは再び衣類の入った袋を握りしめていた。

 

「その……さっきなっ、ガジルがなっ……教えてくれてよう……」

 

 ルーシィの視界の中で、ナツの焦った様子の横顔が、だんだん歪んでいく。 

 

 ――もうやだ。…ここで泣いたら、ただの勘違いな奴で、恥ずかしい奴じゃない。

 ――ナツに変に思われちゃうよ。

 

 

 

 ――もう、ききたくな――

 

「でなっ。俺が言いたかったのは、ガジルに聞いたらよう、ウ…ウエッ……ウエンディック?……ちげぇな……ウエディング!! のドレスだ!! それが似合いそうだなってよ///」

 

 明後日の方向を向いていたナツが、ルーシィの目をまっすぐ覗き込んだ。少し照れたように、頬を掻くしぐさをしている。

 

 そんな事よりも、ルーシィは息をのんだ。大きな瞳に湛えていたきれいな雫が、びっくりしてあふれてしまう。

 

 ルーシィの頬をつたう涙に、ナツは目を見開いた。そして焦ったように、言葉をつづけた。

 

 ――最後まで、ちゃんと言えって言われてんだ。

 ――くっそ。なんで泣くんだよ。

 

「けっ結婚式に……着るんだろ? ……だからよう……その……」

 

 ルーシィは息をのんだまま、言葉を失っていた。ナツの言っている事の意図が掴みきれない。焦りながらも、言い淀むナツ。固まったまま見つめてくるルーシィの大きなきらきらと涙が光る双眼に、自分をまっすぐに映した。

 

「似合うと思ったんだ。ルーシィに、あの……その白いヒラヒラのドレスっての?」

「……ウエディングドレスよ」

 

 ルーシィの目に映るナツは、焦った顔で、困った顔で――真剣な顔で、照れた顔で自分を覗き込んでいる。

 

 ――ナツ。緊張してるんだ。

 

「んでなっ。あれ着て、オッオレと家族になってくれねぇかなって///」

「っ!! ……………ばっばかぁ///」

 

 ルーシィはナツに飛びつくように、抱き着いた。

 

「バカバカ。……ほんと、バカなんだからっ///」

「あん? ……バカじゃ駄目なのか?」

 

 自分の腕の中に、華奢な肩を抱き込んで、ナツはきれいな金髪に顔を埋めた。大好きな、優しい匂いがナツを満たしていく。

 

 

 

 

 

「バカでも……ナツがいいよ」

 

 

 

 

 

 

 

「ケッ。やってらんねえぜっ」

「んふふふ~。ガジルってば、ナツに何言ったの?」

「あ?」

「だって、ナツなのに……なんだか、すてきステキじゃん」

 

 大きな目が下から顔を覗き込んでくる。この騒動に巻き込んでくれた愛しい少女に、ガジルはしょうがねぇなと笑みを浮かべた。

 

 ――コイツが喜んでんなら――まぁいいか。

 

「いつかな……」

「えっ!?」

 

 ――声に出ちまったか。

 

「いや。着るだけなら、いつでも着れんだろっ。ドレスなんて」

「もうっ。ロマンがないよ。ガジルはっ!!」

 

 頬を膨らませるレビィ。その頭をグシャリと撫でると、ガジルはニヤリと笑った。

 

「まぁ、怒んなよ。あいつらの……次いでなんかじゃなくて、いつかなっ」

「////もう。へへへっ」

 

 ガジルのたくましい腕に、そっとレビィは腕を回した。頭を擦り付けるように、ガジルの腕にすりすりする。小さくてかわいくて――愛しい少女。

 

 ――それはもう、自分の中で、絶対的な存在になっている。

 ――いつかじゃねぇなっ

 ――早いとこ、誇れる自分にならねぇとな。

 

「けっ。オーダーで頼まねえとな。お前チビだからなっ。ギヒッ」

 

Fin

 

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ガジレビは、でぇきてる設定です。

 

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