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2013年11月10日

『オレンジ色』

 

金髪の少女は、今日1日をオフとしていた。

最近忙しくて留まっていた執筆を終わらせるため、部屋に籠っていたのだ。

あらかた頭の中の物語を、文字にのせるとすっかり陽が傾いて空がオレンジ色に染まり始めている。

 

「はぁ。・・・もう夕方か。」

 

「・・・だな。」

 

気が付くと、結構前から居たらしい桜色の髪の少年は 少女のすぐ後ろに陣取っていた。

先程から、少女の自慢の金髪を クルクルと指に巻いたり、スルスルと指で梳いたり、つまみ上げては弄んでいる。

そうして少年は、飽きもせず少女ん髪で遊び ニコニコとしているのだ。

 

「・・・・・・ねぇ?」

 

金髪の少女は、たまらなくなり振り返る。

 

「っ!?あっイタッ!!」

 

温かい指が、スルッと金髪を逃がす。

 

「おぅ。ワリィ。」

 

「もう!!なんなのぉ?」

 

少女は、頬をプクッと膨らませて じっと少年を見つめる。

 

「ん~~~?」

 

そのまま、少年の手は少女の頬にかかる金髪を掬い上げ暖かい指に絡めた。

 

「///かっ髪の毛。。好きなの??」

 

少女は小首を傾げ、少年を静かに見上げる。

 

「ん~?・・・何だろな?」

 

そのまま、暖かい掌は少女の両頬に触れ、少女の顔に影がかかる。

 

暖かく柔らかいものが、少女の言葉を塞いだ。

 

 

 

 

 

 

「・・・あんたさぁ。こんなことして、、、なんなのよー!!」

 

金髪の少女が真っ赤な顔で、少年を締め上げる。

 

「うぇっ。・・・髪じゃなくて・・・か・ら。」

 

「えっ?」

 

2人の視線がぶつかる。

 

「///髪だけじゃねぇ。オレ、ルーシィが好きだから!!」

 

少年は 遅れて「いいだろっ!」と小さくつぶやく。

 

「っ//ふぅ/ふっふざけるな!!!あ・た・し・の・・・気持ちは??」

 

ますます真っ赤な顔の少女の瞳には、羞恥からか 涙が滲む。

呆気なく、スルッと 前触れもなく 奪われた 少女のファーストキス。

いつか、気持ちを通じ合わせた 恋人に捧げるものだと思ったいたのに!!

少女が頭の中でグルグルと思考をめぐらせようとすると、少年が口を開く。

 

「・・・嫌いなのか?」

 

「っ///嫌いじゃないわよ。。。」

 

「イヤだったか?」

 

「・・・イッイヤじゃないけど・・・///びっくりした///」

 

一瞬うなだれた、少年の頭が元の位置に戻り、視線が少女をとらえる。

その顔に、やさしい笑みを浮かべて。

 

「だよな!!・・・好きだろ!!」

 

「すっ///好きだけど。。。もし アタシが、スッスキじゃなかったらどおすんのよ!!こんな事して///。」

 

言葉で交わされることはなかったが、とっくに混ざり合っていた互いの好きの気持ちに安堵の気持ちと、あたたかさが込み上げてくる。

とっくに、寄り添って歩いていたもんね。

でも、心の準備もさせてくれなかった少年に、少しのいじわるを投げかける。

 

「・・スッスキじゃなくても、どうせ好きになるだろ!!!」

 

「・・・はあぁ?」

 

「ルーシィは、オレを好きになる!!///オレが離す気ねぇもん!!ずっと一緒だかんな!!」

 

顔を真っ赤に染め上げ、強気の発言をする少年は、少女が

 

「そうね。」

 

とやさしく小さく囁くと、顔を崩して微笑むのだった。

その少年の表情に少女も破顔し

 

「大好きよ。ナツ!!」

 

彼の胸に飛び込んだ。

 

窓の先には、オレンジに染まる空が見えた。

 

 

 

 

おまけ

 

 

「・・・なぁ?」

 

「ん?なぁに?」

 

「オレ今日から、ここに住む!!」

 

「・・・はぁっ??」

 

「もっと一緒にいたいからな!!!」

 

言葉を失った愛しい彼女の唇に”ちゅっ”と リップ音を立て、

 

真っ赤な顔で金魚の様に可愛い口をパクパクさせる彼女に背を向け

 

「荷物とってくる!!」

 

と窓から飛び出していった。

 

数秒後

 

「ナッナッナツのバガーーーー!!!」

 

彼の性能のいい耳に、愛しい彼女の声が微かに届いた。

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