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2014年09月11日訂正

恋文

ルーちゃんは、描いている小説の登場人物が仲間に宛てて書く手紙を書こうとしています。

でもなかなか書けません。助言を求めギルドに駆け込みます。。。。

 

こまでも続く青空の中、真っ白な雲が強い風に吹かれて進んでいく。

悠々と動く厚い雲、その雲を動かす強い風が、そろそろ秋の風に変わろうという頃。

 

フィオーレ王国の商業都市マグノリアにある魔導士ギルド『妖精の尻尾』。その酒場の片隅で、1人の少女が大事な人に思いをはせ、スラスラと流れるようなきれいな字で便箋にその思いを綴っている。

 

 

今ギルドの酒場のカウンターで、ルーシィは花柄のすかしの入った真っ白な便箋にペンを走らせている。いつもママに宛てる手紙とは少し違う。ママに対する思いとは……違う思いを馳せた。

 

すきです。

すきよ。

愛してえる。

ずっと好きでした。

あたしをみて?

……。

以外と難しいわよね。

 

ルーシィは時折 手を止め、物思いにふけるようにボ――っと、酒場の中心で行われている毎度の乱闘を眺めては、ふ――と息を吐きまたペンを走らせている。

 

その傍らで、ルーシィの様子を少し寂しそうに、でも中身が見たいと首を伸ばす青猫がいた。覗き込むと、頬を桜色に染めたルーシィに「ダメよっ!!」と頭を押し戻されてしまうのだ。

スラスラとペンが動き、きれいな文字が便箋を埋め尽くしていく。

 

 

 

ルーシィは最近 小説の執筆にかかりっきりで、オイラやナツと遊んでくれないのだ。オイラ達の事なんか忘れちゃったんじゃないかぁな? って心配になっちゃうほど。のめり込みんで、ここ数日 自宅に籠りっきりだったんだ。

 

今日もまたギルドには顔を出さないのかなぁ? ……ルーシィ。

ギルドの入り口を眺めていたオイラは、カタンッと開いた扉から金糸を揺らしてルーシィが入ってくるのを目にとめ、おもわず満面の笑みでその胸に飛び込んだ。

 

「ルーシィィィィィィ!! おは――。ねぇねぇっ。今日は遊べるのぉ!?」

「……あっ。ごめん。ハッピー。……もうちょっとなの!後、ここだけなのっ!」

 

ルーシィはオイラを胸に抱き留め、そのまま抱っこしながらカウンターに向かったんだ。オイラと同じようにルーシィが来るのを今か今かと待ち受けていたナツの隣に、当たり前の様に腰を下ろしんだ。

 

「おはよっ。ナツ!」

「ルーシィ! 小説終わったか?」

「……うっ。……ちょっと。いき詰ってて。あっミラさ~んっ!」

 

小説にいき詰ったらしいルーシィは、悩みに悩んで一人ではどうしようもないと、ギルドのカウンターに助けを求めに来たのだった。早速相談相手らしいミラを捕まえて、ルーシィは必死に何かを訴えていた。またしばらく……オイラを構ってくれないんだ。

 

相棒のハッピーと同じように、ルーシィがギルドに顔を出すのを まだかまだかと待っていたナツは、大きなため息をついた。

どうやらルーシィの頭の中は、まだ書きかけの小説が占領しているようなのだ。実に面白くはないが、小説に取り組むときのルーシィは夢に向かって瞳を輝かせ、どっぷりと集中しているので、はたから何をしても……軽くあしらわれるか、本気で冷めた視線を投げかけられるかなのだ。

ナツはまたどうせ構ってはくれないのだろうとムシャクシャしたまま、そこにあった紙を丸めてポンと後ろに投げた。投げられた紙屑は見事狙ったように、グレイの冷え冷え定食に直撃した。

 

「ってめぇ! なにしやがる!!」

 

憂さを晴らすように、ナツはグレイに向かってたまっている鬱憤をぶつけた。

 

グレイも、お前の心情なんか知った事か。と、大げさにその相手をしている。

怒鳴り合いが、額をくっつけてのにらみ合いに変わり……どつき合いに変わったころには周りの人間を巻き込んでいる。ナツとグレイはカウンターの隅から、酒場の中心に場を移して乱闘を開始した。

 

その頃には、ルーシィはミラから渡された白い便箋に向かって、ペンを走らせていた。もうこの際…真剣に、自分の女の子の部分をフル回転させてみようと思っていた。

 

大体、自分を悩ます事の発端は自分だ。のめり込む様に書きはじめたていた冒険小説。

 

それは、いつまで子供のように純粋な少年を中心に、繰り広げられる物語。

少年は仲間を得て、冒険に向かう。そんな主人公の隣に立ち、いつだって一緒に行動しているかわいらしい少女。同じ町に生まれたその少女は、出会った時から少年に惹かれている。だが……その思いは秘めたまま。

 

少女はいずれ、少年の元を去らなければいけないのだ。……その時が近づいている。少女はある一族の末裔だった。来る日に、その身を奉げなければならない。自由に過ごせるのは、あと少し。自分の心に蓋をして束の間の日常を、少年の隣で過ごしている。

 

 少女の一族はその地の災いを抑えるため、数十年に一度能力の強い者が選ばれある場所で祈りをささげるのだ。1度きりでは無い。……次の祈り子が決まるまで何年も、代わりの者が現れなければ、一生そこから出ることは…ない。行きたくない。だが、行かなければならないのだ。この地を、この地にすむ人々を守るために。

 

少女は、守るものを得るために俗世で生活していた。守りたいものも無く、永遠を祈りにそそぐことは辛すぎるから。そして、その日は近づいていた。

そんな中、少女は……少年へ手紙を書くのだ。胸に秘めた思いと、その未来に夢をはせた……ラブレター。忘れないでほしい。でも……忘れてほしい。

 

  重要なシーンだ。

 

でも、どうにもこの手紙が納得のいくものにならない。

 

少年に思いを寄せる少女からのラブレター。

その思いは伝えたいけれど、伝えてはならない。だが、少年は色恋に無縁の少年の様な人物だ。だからせめて感謝の気持ちとして、特別な思いは気づかれない様に仲間として、友人として……でも伝えてしまいたい。その恋心を隠して綴るのだ。

 

 自分が行けば、大好きな少年も仲間も守れるのだ。少女の気持ちは初めから決まっていた。いや。大切なのものを得て、強くなっていた。だが……この地から災いが去ってくれれば、もしかしたら! 明るい未来が待っている可能性だってあった。そうやって過ごしてきたのだ。だが……そんな夢物語はもう期待してはいられない。

 

揺れる少女の胸中。ただわかっていることは、何も告げずに姿を消すことはできない。戻ってこれない可能性の方が多いし、戻ってこれても何年先になるかも解らないのだ。……帰りを待たれてはならない。

 

 カウンターで待ち受けていた桜頭の隣に腰を掛け、カウンターの内側にいるミラを捕まえて、縋るようにルーシィは質問を投げかけた。

 

「ミラさんは、ラブレターって書いたことあります?」

「ん~どうだったかなぁ。あまり字を書くのは得意じゃないのよねぇ」

「うう~。解んないんですよぉ。何回書いてもしっくりこなくって…」

「そ~ねぇ。ん~。ちょっと待っててね。…………はいっ」

 

 ミラは何か思い立ったように、ルーシィの前に便箋をもってきてくれた。

 

「まずは、自分が書いてみたらいいんじゃない?」

「へ?」

「ルーシィが、好きな人に宛てて書いてみればいいのよっ」

 

 そう言われ白い便箋に向かいペンを執ったものの、直ぐにはペンを動かせなかった。

でも、確かにミラのいう事に一理あるとは思った。まずは自分が思いのたけを書けばいいのだ。その後、少女になってもう一度書いてみるのもいいのかもしれない。まずは人生初の、ラブレターというものを。

 

 ルーシィの頭に浮かんだのは、ただ一人。先程まで隣にいた……その人物に思いを馳せて。

 

 こうしてルーシィは、白い便箋に向かってペンを走らせていたのだ。

 しばらく便箋に向けていた視線をそこから外し、ルーシィは思案するようにカウンターに肘をつき、そこに顎をのせどこか上の方を眺めた。そして、時折酒場の中心で行われている乱闘に目を向けと……また、ペンを走らせた。

 

ひとしきり思いのたけを、ペンに乗せ便箋に走らせた。真っ白だった便箋には、ルーシィの綺麗な文字が躍っている。

 

「どお? ルーシィ。」

「えっとぉ。何とか書いたんですけど……難しいです。……なんか支離滅裂になっちゃいます///」

「そうね。人って、思いと理想が追い付かないこともあると思うしね。難しいわねっ。特にラブレターは」

「……そうですね。理想ではこうだって思っていても……思いがそれを受け入れられないというか。…そっか」

 

 ルーシィは何かに気が付いたとばかりに、瞳を輝かせてミラに微笑みかけた。

 

「矛盾。思いをのせるってことは、理想と自分の思いに矛盾があっても、いいんだ! どっちも本当の気持ちだものっ」

 

 フフフ。と楽しそうの微笑むミラに、ルーシィも穏やかに微笑み返した。

そして今度はメモ帳に、ペンを走らせ始めた。……が、すぐに行き詰ってしまった。なかなか思う様に少女の心情を表現できないのだ。少女の思いを手紙にのせてしまえば……。

 

……少女がいなくなった後それを読んだ少年たちはどうなる?もう少女はいないのだ。どこにその感情を返せばいいのだろう。 ……物語の結末が暗く変わってしまう気がする。いっそ、少女の手紙はない方がいいのか…?

でもっ、少女は主人公を大切に思うからこそ…

 

 ルーシィは、書いてはその紙を丸め、書いてはグシャグシャト塗りつぶすを繰り返していた。酒場の中心では、一度収まるかと思っていた乱闘が、休憩をはさみ参加人数を増やしてまた始まっていた。

 

「一息入れたら?」

 

 見かねたミラから差し入れの紅茶が、コトンとルーシィの前に置かれた。ティーカップからゆらゆらと湯気が踊っている。ミラ特製のミルクティは、ルーシィのお気に入りだ。ルーシィは礼を言ってそのカップに口をつけると、いつもよりも強い甘さが口内にひろがった。

 

「うううぅ。ミラさ~ん! 何回書いても、彼女の気持ちにたってみると……うまく考えが纏まらなくって。」

「あらあら。ルーシィのは書けたんでしょ?」

「はい。ってあたしのはどうでもいいんですよぉ~! うう~~~。結末は決めてるんですよ」

 

 ルーシィの説明によると、少女の決断の時を迎えその手紙を置いて姿を消す。

少年とその仲間たちは、少女を探すが見つけることは叶わなかった。だた、少女の残した手紙により、その心を受け取り まっすぐ生きていくことにするんです。そして少女も姿を現すことはできないけれど、皆の幸せを祈り続けます。

 

 何年後になるかわからないが……いつか出会えると信じて。

 

 自分で説明しておいて、胸が締め付けられる。後ろ髪をひかれながらも大切な存在の為に、その大切な存在の少年と別れる決断をする少女と、何も知らずおいて行かれる少年と仲間。切ない物語だ。だが、それが物語のプロローグなのだ。少女の残した手紙によって数百年後、少年の子孫は幼馴染の祈りの一族の運命を知る。その末裔の幼馴染の少女の運命を悟り、その運命を変えるための、世界をまたにかける冒険が始まるのだ。災いの元を断つための戦いの冒険だ。

 

 ルーシィは結末を簡単に説明すると、やっぱり家に帰って一人で頑張ってみます! そう告げ、慌てた様にギルドを後にしてしまった。ルーシィの背中を見送り、しょぼんと耳を下げるハッピー。言葉をはさむ隙もなかったのだ。

 

ナツも乱闘の中、ルーシィの背中を眉間にしわを寄せたまま見送った。ルーシィが落していった1枚の宛先の無い便箋がナツの足元にひらりと舞って落ちた。

0910

 

===================================

 

好きです。

大好きです。

もうずっとずっと、あなたのことが大好きなの。

 

いつからだったかな?

あなたの笑顔が眩しくって、あなたの隣に並ぶのが気恥ずかしくなったのは。

 

でも、あなたはいつまでも変わらないね。

ずっと……変わらない。同じ笑顔で笑いかけてくれる。

優しくって、暖かい、あたしの大好きな笑顔。

 

だから、嫌われてない。好かれているって、自信はあるのよ。

でも、あなたのそれは……仲間としてなんでしょ?

変わらない笑顔が、その証拠でしょ?

 

かまってくれるのは、うれしいの。

あたしを見てくれるのは、うれしいの。

 

ねぇ……知っていた?

あなたの視界に入れたら、あたしは精一杯可愛い笑顔で笑っているのよ?

あなたは気付いては、いないでしょう。……知らなかったでしょ?

 

あのね。

このまま仲の良い仲間でいるのは、思いが大きくなりすぎて、もうつらいの。

あたしを、仲間以上には、見られないかな?

 

……でももしそう見れるなら、もうとっくに見てくれてるよね?

それだけ近い位置に、あたし達はいるんだから。

 

…あたしにはあなたが輝いて見えても、あなたにはちょっと仲のいい位の仲間にしか見えないのよね。

……なんかそれって、ちょっと不公平!!

 

ねえ。

いつか、あなたはあたしじゃない女の子を、好きになるのかな?

そうなったら、ダメ――!! って、いくら叫んでも、どうにもならないのよね。

……解ってる。解っているの。

 

だからねっ。

そうなる前に……あたし、もうちょっと頑張って見ようかなっ。って、何度もそう思ったの。

 

……でも、…きっと、…ずっと、このまま。……あたしはなにも伝えないよ。

 

仲間としてでも、あなたの近くにいられる。この距離を失いたくないんだ。

だから、せめてずっとすっと好きでいさせてください。

 

あなたが好きよ。

それと同じくらい、あなたを失いたくないの。

 

ルーシィより

                      大好きな・・・・へ     

 

====================================


 

 乱闘から抜け出してきたナツは、ドカリとカウンターに戻ってきた。そして、ルーシィが落して行った1枚の便箋をカウンターの上に、伏せたままポンとのせた。一足先にカウンターから離れていってしまったルーシィの、見えなくなった背中を不貞腐れた表情で睨み付けている。

 

「ねぇナツ。さっきルーシィが言っていたお話の少年と少女って、ナツとルーシィみたいだよね!!」

 

 ナツにも、聞こえていたんでしょ? ハッピーの発言に、カウンターの中からミラが優しく笑った。

 

「フフフッ。ナツだったら、どうする? ルーシィを、あなたは一人で行かせてしまうかしら?」

 

 ミラに渡したその便箋をハッピーが覗き見ている間に、ナツは走り出していた。

 

 (んなもんっ。その結末ってのがおかしいんだ!! 一緒がいいなら、一緒にいればいいんだ!!)

 

 

 

 

 

 

 ルーシィが自室のドアを開けると目の前にナツが無言で立っていた。

 

「わっぁぁ! びっびっくりしたぁ。しかも何? 声も出さないでらしくないわね? どうしたのよ」

 

 首をかしげるルーシィの腕をナツが強引につかんだ。ただただびっくりしているルーシィは、ぱちくりと瞬きを繰り返した。

 

「え? え?」

「男もその女と、一緒に行けばいいだろ!!」

「え? …あぁ! 小説の話ね。プロローグっていたって、中心人物の少年が消えちゃってどうすんのよ!!」

 

 ルーシィは呆れた顔をして、ナツの手から逃れると肩にかけていた鞄をテーブルに置いた。

 

「じゃぁ、消えなきゃいいんだ!!」

「…はぁ。それじゃぁ、本編に進めないのっ」

「あいつだって、その女と同じだぞ! 一緒にいてぇばずだ!! 一緒に考えればなんか違う方法が、あるかもしれねぇじゃねぇか! 後で解決すんなら、今解決しやがれ!! 俺はぜってぇルーシィだけを行かせねぇかんな!!」

「へ? あたし?」

「解ったな!!」

 

 それだけ言うとナツは窓から飛び出していったしまった。1人残されたルーシィは、ポスンと力なくその場にしゃがみ込んだ。ルーシィの中で、何かがストンと落ちてきた。

 

 しばらく頭の中で思案していたルーシィは、すっと立ち上がると机に向かい、まっさらな原稿用紙を広げた。……ほとんど書き直すことになるだろう。

 

 

 その時が近づき少女は用意していた便箋を広げた。大好きな少年に、大切な仲間に宛てる手紙を書こうとしているのだ。だが、筆は進まなかった。

 ……やっぱり一緒にいたい! そんな思いが、少女の胸中に渦巻く。だが、そんな自分の思いを優先できない。何よりも……大切な仲間を、大好きな少年を……守る為なんだ。

 

 少女は仲間が寝静まったのを確認して、一人その場所へ向かっていた。その扉を潜れば、自分はもうここへは戻ってこられない。

少女を迎えるために、一族の迎えが来ているはずだった。……だが、そこにいたのは……少女の大好きな少年だった。

 

 少年は、知っていたのだ。この地を守るために祈りをささげる一族がいるという事を。少女がその一族の代表として祈りの地に行かなければならないという事も。そして…その扉を抜ければもう…戻ってくることは叶わないだろうという事も。

 

 少年は、密かに決意していた。少女の手を掴み決して一人では行かせないと。

少年にとっても、少女はかけがえのない存在なのだ。……決して失いたくはない存在。失ってしまえば、自分が自分でいられなくなるほどの。

 

なぜ一人で行かせてくれないのだと少女が涙ながらに問えば、少年は笑顔を返してきた。「一緒がいいんだ!!」少年の後ろから、眠っていたはずの仲間が顔をのぞかせた。「みんなで考えよう!!」「1人でいいカッコすんなよ!!」

 

 少年が少女を抱き寄せると、少女のポケットから書きかけの手紙が落ちた。

少女は結局、別れの手紙を書くことができなかったのだ。本当は、離れたくはない。置いて行きたくない。思い出になんてできない。……ずっと、一緒に。

 

 本当は、心だけでもここに置いていきたいと願っていた。だから『さようなら』と書くことができなかったのだ。それを見透かすように、少女に笑みを向ける少年とその仲間たち。

 

だが、問題は解決したわけではないのだ。やはり、少女は行かなくてはならない。この地を守るために。少年たちを守るために。すると、少年が少女の手を引いて歩き出した。一人で行く必要はないだろうと、ほほ笑んでいる。自分も一緒に行くのだと。

 

 長い歴史上、こんなことはなかった。まさか祈りの地に、祈りの一族以外の者が入るとは。少年と少女は手を取り合った。残された仲間たちは、その扉に通い続けた。そして数年後、その扉はなくなったのだ。祈りの一族となった少年と少女は、子孫を残し その子孫は、仲間を得て祈りの一族をその地に縛りつける災いを倒すための冒険に出発するのだ。

 

 

 

「わぁ。なんかワクワクする終わり方になったね!! ……あれ? 結局ラブレターはそのままなの?」

「うん。なんかね。それはそれで、未完成な感じでいいのかなって。」

 

 酒場の端っこのテーブル席から、少女たちの陽気な声がする。ルーシィは、出来上がったばかりの小説を、早速レビィに読んでもらっているのだ。レビィの目が文字を追う中、ルーシィはふと青い相棒とふざけ合っている桜頭の少年に視線を向けていた。

 

「フフフフッ////」

「あっ! ルーちゃん。なんかあやし~んじゃない?」

「そっ、そ、そんなこと……ないわよ!?」

「ええ~? な~んか同じところばっかり見てるじゃん。ルーちゃんにも春が来たかな~?」

「//////ええええ!?そ、そんなっ//// 別にナツなんか、見てないわよっ/////」

「あれあれ~? わたし~、ナツだなんて一言も言ってないんですけどぉっ!?」

「れっれびぃちゃん!?」

 

 

 

fin

おまけ→

0911

 

 ナツがあんなこと言うから……プロローグなんてやめたんだ。

面白くするために、物語の中で人を不幸にすんなよって、ナツが言ってくれた気がしたの。

 

ナツが気付いていたなんて……な。

あの少女があたしで、少年はナツがモデルなんだって。

 

「 『ルーシィ(少女)だけを行かせないかんなっ』 だなんて/// まるであたしが言われたみたいだったなっ……そんなわけないけどっ!! へへへっ///」

 

モデルのナツが思ったんなら、少年だってそう思うってことだ。だって物語の中の少年の行動は……ナツそのものなんだから。

そのナツが、少女を一人にしないって言ったってことは、少年もそういう考えをするってこと。きっと少女を一人にはしないんだ。

 

結局、小説は思う様に書けなかったけど、なんだか得した気分になれたなっ。

ナツ……。ナツってやっぱりあったかいなぁ。

 

「あ~ぁ。物語のモデルとしてじゃなくって……今度は、あたしに一緒にいたいって言ってくれたらいいんだけど」

 

 

窓の外、桜頭の相棒を持ち上げ空中に浮いている青猫は、ふつふつと湧き上がる笑いを必死にこらえていた。それには気が付かないで、ぶら下げられている桜髪の持ち主は、ぱっくりと口を開いたまま固まってしまっている。

 

まさか……なにも通じていなかったなんて。

確かにあの後、頭に来てたからなんも言わないで出てきちまったけど。

なにが、モデルとしてだ!! 

んなわけねぇだろう……。

なんであんなに鈍感なんだ……ルーシィは。

 

 空中でプルプルと体を震わす相棒の心中を思えば、ここで噴き出すわけにはいかないが……青猫は内心思っていた。

 

ナツってば……プププッ。

オイラがいない時は、結構攻めてたんだね……クフフフッ。

……全然気づいてもらえてないけど……プフフフフフフッ。

 

そして思い立ったように、三日月型のお目眼をした青猫は、込み上げてくる笑いを必死に抑え込んで、普段と変わらない声を出した。

 

「ナツ―。オイラ……ギルドに戻るよ。……今日はもう、ここには来ないから……」

 

青猫は静かに桜髪の相棒を地面に降ろした。

 

「 『モデルってなんだよ! 俺はルーシィと一緒にいたいって言ったんだ! 好きだから!!』 って言ってあげなよ……」

「うっ//////」

「あっナツ! ちゃんと、女の子としてだぞっ!! チューしたいって意味だかんなっ!! ってのも言った方がいいかも」

「なっ//////」

 

暗闇の中はっきりとは認識できないが、ナツの顔はきっと真っ赤に染まっている事だろう。

ミラにいいお土産話が出来たから、きっと今日はゴージャスなお魚を食べさせてくれるだろうなっ

 

ハッピーは内心ほくそえみながら、羽を広げた。そこに取り残された真っ赤な顔の相棒は、意を決した様に粘着質の炎を窓枠めがけ伸ばすと、締りの悪い鍵を見事に外す。そして、その身を素早く窓の中に滑らせた。

 

 

 

 

「ルッルルルルッ…ルーシィ!!」

 

 

 

 

ホントにFin

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どこまでも鈍感なルーシィ。。。

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