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2014年2月4日 『魔法研究所シリーズ①』

赤ちゃんになってみませんか?

ナツ→←ルーシィの新シリーズです。単品1話完結。。。予定です。オリジナル設定あります。
誤字脱字に気を付けで、お進みくださいm(__)m

 

 

ツンツンと髪を引っ張られる感覚に、沈んでいた意識が浮上し始める。

 

微睡む意識の中ルーシィは、この髪を引っ張る存在を手探りで探す。

 

!!そうだった!!

 

急浮上させた意識で、感覚を呼び覚ます。

 

「ナツ!!!」

 

あわやベットからずり落ちそうになっている、桜色の髪の赤ちゃんを腕に抱えた。

 

 

昨日、依頼で行った『魔法具研究所』

そこは、マグノリアの外れにあり、林に囲まれたお化け屋敷のような古い洋館だった。

 

試作品のモニターとして呼ばれたのだ。

薬を飲む人と、クスリを飲んだ人の世話をしてレポートを書く人のペアでの依頼だった。

最強チームが、個別の依頼をこなしている中丁度ギルドに戻ってきたナツとルーシィに白羽の矢がら立ったのだ。

乗り物での移動がない事と、直前にいっていた依頼で 物を壊し 報酬を減らされ 少し焦っていたナツとルーシィは、二つ返事でOKした。

 

街外れの鬱蒼とした林の中、門の前で待ち構えていた研究員に案内され、座り心地のいい古いソファのある応接室に通された。

今回試してほしい薬というのは、赤ちゃんの頃から今までを体験させるような薬らしい。

何のための薬だろうと思ったが、何か理由があるのかもしれない。

不敵に笑う研究所の所長と目が合うと、ルーシィは背筋に悪寒が走った。

 

薬を飲む役はナツ。

レポート担当は、ルーシィ。

これは、依頼者からの指名だった。

 

この薬を飲むと次の日から3日間の間で、赤ちゃんから思春期くらいまでを一気に体験できるらしい。

どうやら、恋人の小さい頃を見てみたい!!という乙女の意見から研究された薬らしい。

小さくなっている感の記憶が、どうなるかが曖昧なので、しっかりレポートに取ってほしいとお言う事だった。

 

 

「ほんとに、赤ちゃんになっちゃった。」

桜頭の赤ちゃんが、ルーシィの腕の中でツンツンと髪を引っ張ってくる。

「ナツ?お腹すいた?アタシ解るの?」

ルーシィの問に、腕の中の桜頭はキャッキャッとはしゃいで見せた。

 

「そう言えば、、、ミルクとかないわね。。。」

取り敢えず、ギルドに向かうかとナツをベットに置いて、身支度を整えた。

自分が着替えている時にふと思う。

「ナツのどおしよ?」

桜頭の赤ちゃんは、愛用のマフラーを体に巻き付けただけの状態だ。

 

『コンコンコンコン!!』

思案しているところに、扉を叩く音がする。

 

魔道具研究所からの小包だ。

伸縮性のあるそれぞれの大きさの洋服と下着。。。。おむつ。。。。

「・・・・・オムツって。。。。。」

 

オムツを手に取り、赤ちゃんになったナツに振り返った。

ナツは、手足をばたつかせ マフラーに絡まりながら遊んでいる。

 

そっそんなっ///

いくら赤ちゃんったって、、、どっどうしよう!?

 

なんとなく、それを持ち上げると1枚の紙が落ちてきた。

 

 3日間の着換えと、必要と思われるものです。

 

 オムツ

  雰囲気を大事にして、オムツを用意してありますが、

  こちらは高性能の為、1度穿かせたら取り換える必要はありません。

 

 哺乳瓶

  飲ませたもの、食べさせたいものを入れてください。

  3回振れば、哺乳瓶から飲むことができます。

 

 洋服類

  伸縮性があるものなので、1段階大きくなった時に破けることはありませんが、

  体が大きくなったら、次の大きさのものに着替えてください。

  2段階膨張には耐えれない場合があります、ご注意ください。

                                         』

 

・・・・・なるほど。

何だか原理は よくわからないけど、とっても便利そうだ。

ようやくルーシィが説明書から目を上げると、ベットの上のナツが手足をバタつかせ暴れている。

 

・・・・・ほっとかれて、、、怒ってるのかな?

ルーシィは、届いたばかりの箱から 適当な洋服とオムツをとりだし、ナツの元へ向かう。

ナツは、イグニールのマフラーを体にまきつけながら、ルーシィの姿をつぶらな瞳に映した。

よしっ!!と気合を入れ、マフラーでグルグル巻きのナツの足を掴み サッと勢いでオムツを履かせた。

 

何か言いたげに、口をパクパク動かし、ジタバタする仕草は、明らかに怒っている。

 

「だって、、、仕方ないじゃない?」

 

裸でいれないし。。。ルーシィはナツに、笑顔を向けて誤魔化そうとする。

・・・しっかし、可愛くてしょうがない!!!

 

桜色の髪に、くりくりっとしたツリ目。

元々幼い印象を請ける童顔なナツだが、赤ちゃんになると、これまた格別だ。

ルーシィは、勝手に緩んでくる頬を引き締めなおした。

 

だがすぐ緩んでしまう。

・・・・・・・・・・・かわいい///。

せっかくだから、写真撮っておきたいなぁ。。。

よしっ!!

 

服を着せ終え、ナツを見ていると、ふと思った。

 

「ナツ!あたしのこと解るよね?解ったら、1回ベットを叩いて!」

 

キョト~ンとしていたナツが、ニタ~っと笑ってポンッと1回ベットを叩いた。

 

「すごい!ナツ!!!」

 

ルーシィはうれしくなって、ナツを抱き上げヨシヨシと頭を撫でた。

そして、ナツの顔を覗きこんで質問する。

 

「YESなら1回、NOなら2回ね!!…ナツ、お腹すいた??」

 

ルーシィは期待するように、目が合う位置までナツを抱き上げ 鼻同士が触れそうな位置でナツの返事を待つ。

期待に応える様に、ナツがポンと1回ルーシィの頬に触れた。

 

にっこりやさしい笑顔のまま、近距離で見るルーシィにじんわりナツの頬が紅くなる。

「ナツ!?」

コテンと首をかしげるルーシィに、ナツはそのままルーシィの頬をペチペチと触りまくった。

 

「もう。。やり過ぎよ!何か気に食わなかったのね?もう!!」

 

顔の前まで抱き上げていたナツを、腕に抱き直し冷蔵庫の中を覗く。

 

「ん~。なんでもって言っても。。。フルーツでいっか?」

 

腕の中のナツに問うと、ナツの手が伸びてきてルーシィの頬を撫でた。

 

「ん?いいって事かな?」

 

ルーシィはくすぐったそうに、撫でられた方の目をつぶり歯を見せて笑った。

赤ちゃんナツ用の哺乳瓶に、切ったフルーツを入れた。

自分もつまみながら、哺乳瓶の中で出来上がったものを腕に抱いたナツの口に突っ込んだ。

ジタバタと、なんだか怒りながら暴れるナツを宥めながら、哺乳瓶を傾け続けた。

 

『チュー!!!』

 

っとなにかを吹っ切るように、一気に飲み干すと、ナツがコテンと眠ってしまった。

 

「ナツ??・・・・・・・寝ちゃった。。。」

 

一瞬の間を置いて、ナツの体が伸び始める。

 

「わわっ!?」

 

ニョキニョキっと手足が伸び、そこには 先程よりも一回り大きくなった桜頭の赤ちゃん。

ナツは寝たままだ。

 

はぁ。。。びっくりしたぁ。

・・・・・フフッ。

人差し指で、やさしく頬を突いてみる。

むにゃむにゃと、口を動かしスヤスヤと眠っている。

 

可愛いな。

 

今のうちにと、もぬけの殻になっていた 昨晩まで ナツの着ていた服をひろい洗濯機を回した。

そして、先日渡された説明書にもう一度 目を通す。

 

『 恋人の赤ちゃんの頃、子供の頃を実際に見て見たいと思いませんか?』

 

そんな誘い文句から始まる文章。

 

『この魔法薬を飲むと、飲んだ人は赤ちゃんから思春期までを一気に体験できます。

 効果期間は、次の日から3日間ほど。

 個人差がありますが、思考が、年齢に沿って幼くなる事があります。

 基本、記憶はありますが、出来ることはその体の年齢に沿いますのであしからず。。。

 思う存分、好きな人の幼少時代を堪能して、互いの愛を深め合ってください!!』

 

・・・・互いの愛って。。。。

・・・・愛ねぇ。。。

確かに、何らかの愛情が無ければいきなり 赤ちゃんになって身動きもできない人をどうにかしてやろうとは思えないかもしれない。

もし逆だったらと考えると、自分が薬を飲んでいたらと思うと、ゾッとする。

ナツに、赤ん坊の世話ができるとも思えないし、、、、、オムツを履かされるなんて////

いくら赤ちゃんに戻っていたって、素裸を見られるかもしれない事には抵抗がある。

・・・せめて、自分で着替えやトイレが行けるくらい、、、2~3歳位じゃないと女の子は辛いんじゃないかな。。。

それに、、、ナツじゃ何食べさせられるか解ったものではない!!

 

足の方から、ブルブルっと体を震わせた。

丁度よく、洗濯機が止まり洗濯物を干していると、何やら聞きなれない声がする。

振り向くと「ブゥ~。う~~。」とナツが声を上げている。

 

「あっ。起きたのね!ナツ。ちょっと待っててね~。」

 

考えてみたら、なんであたしが毎度毎度ナツの世話焼いてるのかしら??

イヤ。そんな事 考えても仕方ない。

この洗濯だって、、、このままほっておいたら、いつ洗濯するかもわからない。

下手したら、着たまま水浴びする可能性だってある。

そうよ!!部屋を汚されたら困るから、、、、しょうがなくやってあげてるんだから!!

浴室に収まりきらなかったナツの洗濯物を、部屋の隅に干し ベットの上に鎮座するナツの元へ向かった。

 

「う~!!だぁ~!!」

と可愛い声を上げ、両手をルーシィの方へ伸ばしてくる。

「よし!とりあえず、報告がてらギルド行こうね!!」

「だぁ~!!」

ルーシィの言葉に、元気よくナツが答えた。

 

この依頼は、1日1回ギルドから依頼主に途中異変がないか報告することになっているのだ。

それに、エクシード隊で受けた仕事も終わってハッピーが戻ってくるころだ。

1人じゃ心細かったルーシィは、早くハッピーと合流したかった。

ルーシィは、先ほど送られてきた荷物の中から、お出かけセットを取り出し 抱っこひもを体にまきつけた。

そこに、ナツを納めると ギルドに向かった。

 

 

 

 

大きめのバックに抱っこひもで桜頭の赤ちゃんを抱え、ミニスカートにパンプスの若い娘。

その不釣合いな格好は、嫌でも人目を引いてしまう。

すれ違う人が皆、なんらかの反応を見せた。

 

「ルーシィちゃん!?いつ子供産んだんだい!?!?」

「おっ!旦那によく似た赤ちゃんだな~。」

なんて声をかけられる。

ルーシィは、「違うわよ~!!」と声を上げるが、それ以上の説明が出来ず 赤い顔で笑顔を作って足早にギルドを目指した。

 

そして今、ギルドの中は黄色い悲鳴に包まれている。

その中心には、桜頭の1歳くらいの赤ちゃん。

 

ギルドについてすぐ、カウンターにナツを下ろすとニョキニョキっとまた伸びたのだ。

フラフラしながらも、何とかつかまり立ちする姿が なんとも可愛くて、ギルドの女性陣にあっという間に囲まれてしまった。

もの言えずの幼いナツは、精一杯眉間にしわを寄せ

「だぁ~!!!がぁ~~!!」

と耳を押さえ、叫んでいる。

 

「おっす。姫さん!」

 

ナツが囲まれているテーブル席を見ながら、ミルクティでホッと一息入れていたルーシィの隣に仕事から帰ってきた グレイが座った。

一緒に仕事に行っていたエルザは、すでにナツの頬を突いて、満足そうに円の中心で目を細めたり、見開いたりして遊んでいる。

 

「あっ!グレイ!おかえり!!」

 

ルーシィがニコッと笑う。

 

「あれ。すごいな。。。」

 

若干ひきつった顔で、ナツ達の方を指さす。

 

「ほんとねっ!!ナツってばモテモテね!!」

 

おかしそうに、ニコニコと笑うルーシィの表情が突然曇った。

 

「「あっ!!」」

 

ルーシィの視線を追うと、エルザがナツを振り回している。

見る見るうちに、真っ青になっていくナツ。

 

「ナツ!!」

 

スツールを揺らす勢いで立ち上がったルーシィが、ナツの元へ走って行った。

何やら、そこにいる奴らを説得して ナツを抱いて戻ってきた。

ルーシィの腕の中で、ナツがぐったりとしている。

その後ろを、申し訳なさそうな表情の妖精女王が、トボトボとくっ付いてきた。

 

「スマン。ナツ。。。」

 

悪気は無かったんだと、、、俯くエルザをルーシィが隣に座らせた。

 

「ふふっ。大丈夫よ!エルザ!!すぐ元気になるわよ!!ナツだもん。」

 

ルーシィの笑顔に、エルザもつられて笑った。

 

「なんだぁ??ナツは酔っちまったのか?・・・しかし、姫さんも大変だな~!!」

 

グレイが、ルーシィの腕の中で、健康な顔色に戻ってきたナツのプックリとした頬を指で突いた。

エルザも、真似してナツの頬を突く。

眉間にしわを寄せ薄っすらと目を開いたナツは、グレイを睨み付けた。

そんなやり取りを他所にルーシィはナツに、確認するように話しかける。

 

「ナツ?」

 

ルーシィの呼びかけに、渋々と言った顔で、「お~。」と声をだし片手を上げた。

それを見て、ルーシィはやさしい笑顔で、ナツをいい子いい子する。

それに対して、先程とは一転 ナツは目を細めてニコニコと笑っている。

 

「ナツ。もう大丈夫になった??」

 

心配そうにナツの顔を覗きこむルーシィ。

 

「おー!!」とナツが返す。

 

その返事に、ルーシィはホッとしたような表情を見せた。

ナツが続いて、自分の腹をポンポンと叩く。

それを見て、ああっ!と言った表情を浮かべたルーシィが、大きなバックから何やら取り出した。

どうやら、何か食べさせるようだ。

言葉を発っしていないのに、身振りでナツのやってほしいことを察してルーシィがナツの世話を焼いている。

 

「ルーシィは手際がいいな!!まるでナツの思っていることがわかるみたいだな!!」

 

感心したように、隣に座ったエルザがルーシィに話しかける。

 

「そう?」

 

少し照れくさそうに、ルーシィが笑顔で答えながら、何やら柔らかそうなものを、1匙すくってナツの口へ運ぶ。

ナツは、ニコニコしたまま、口に運ばれるものを噛みもせず飲み込んでいく。

世話を焼いているルーシィもどことなく楽しそうだ。

 

「確かに、姫さんはいい母親になりそうだな!!ナツは普段と大して替わんねぇな。姫さんにベッタリで。」

 

そういいながら、グレイはルーシィの髪をクシャリを撫でる。

反対側の隣で、エルザもニコニコと、ルーシィとナツのやり取りを見ていた。

 

「そうだな!!まるで、本当の親子みたいだぞ!!ナツとルーシィの子供を見ているみたいだ!!」

 

エルザの何の気ない一言に、ルーシィは持っていたスプーンを落としてしまう。

 

「えっ////」

 

そう言えば、ここに来る途中でも「よく似てる」だとか「父ちゃんどこ行ったんだ」とか、まるでからかうような口調で言われていた。

それは、いつも隣に居るナツを指していたんだと 改めて思うと赤面してしまう。

ナツとあたしの子供。。。。。???

見る見るうちに、耳まで真っ赤になっていくのが自分でもわかる。

顔が異常に熱い!!!

ナツとは、そういう関係じゃないのに!!

この依頼だって、たまたまあたし達しかいなくって ミラさんに頼まれただけだもん。。。

 

でも・・・実際も、こんなにかわいいのかな・・・・。

・・・・・・・ナツの赤ちゃん。。。/////

ナツによく似た赤ちゃんだと思うと、、、急に恥ずかしくなってくる。

他の人から見たら、、、、っこ・っこ・この小さくなったナツのお父さんは、いつものナツだって思うんだ。。。

その子を世話してるんだから、あたしがお・お・お・奥さんに見えるのかしら・・・・////////

 

赤面しながら、思考を巡らすルーシィをお構いなしに、またナツがニョキニョキっと伸びた。

今度は、2歳くらいだろうか?

さっきよりも随分しっかりした印象を受ける。

 

「わっ!?結構大きくなったわね!!着替えなきゃいけないな~。。。」

 

そう言うと、ルーシィは鞄の中からゴソゴソと洋服を漁った。

着替えを確認して、どこで着替えさせようかと ギルドの中をキョロキョロと見渡すルーシィに、グレイが恐る恐る尋ねる。

 

「・・・姫さんが。。。着替えさせるのか??」

「え?そうだけど??自分で着替えられないじゃない!」

 

何を当たり前のことを聞くんだろうと、首をかしげるルーシィ。

 

(流石に。。。ここで姫さんは照れないだろうけど、、、コイツ平気なのか??)

 

グレイはチラッと、ルーシィの前に座るナツに目を向けると、何か通じるものがあったのか、バシッとグーで殴られた。

 

「てんめぇ!!」

 

反射的に、ナツの胸ぐらを持ち上げると、慌てた様子のルーシィが、ナツを庇った。

 

「キャッ!!グレイやめて!!」

 

ナツをギュッと胸に抱き、ルーシィがグレイに抗議の視線を送る。

 

「えっ!?いいぁ。。。。ワリィ。。つい。。」

 

ばつが悪そうに、グレイが持ち上げていた腕を下ろした。

 

「ルーシィ。医務室を使え。いくらナツでも注目を浴びて着替えるのは可哀想だろう。。。なっグレイ。」

「おう。そッそれを言いたかったんだよ!!」

 

エルザの助け舟で、グレイも頷いた。

 

「・・・・・グレイでも、人前とか、、、気にするんだね。。。」

 

サラッと、その言葉を残しルーシィは ナツを抱き荷物を持って医務室に入っていった。

 

 

 

 

医務室のドアが閉まった時、ギルドのドアが開く。

 

 

 

 

「「「「ただいまー。」」」」

 

エクシード隊と、ウエンディのご帰還だ。

仕事の報告を済ませるとハッピーは、キョロキョロとギルド内に視線を運ぶ。

 

「あれぇ。。ナツとルーシィはぁ???」

 

ポスンとカウンターに座り、ハッピーはミラに問いかけた。

にっこり笑う、ギルドの看板娘ミラは、医務室を指さし「面白いことになってるわよ!!」とウインクした。

何やら楽しそうな、雰囲気を察し ハッピーはそーっと医務室のドアを少しだけ開けた。

 

 

「ほらナツ!!ちゃんと服着ないと、風邪ひいちゃうわよ?」

 

ルーシィの声だ!!

 

「もー!!脱いだもので遊ばないの!!」

 

ナツの声は聞こえない。。。

 

「こらっ!どこ触ってるの!やめなさい!!」

 

ドタバタと走り回る音。

 

『ガタン!』

 

何かに躓いたか、あたった音。

 

「キャッ!?」

 

ルーシィの驚いた声。

 

『ギシッ』

 

ベットの軋む音。

 

「ちょっ!動けないでしょ~!!!」

 

『ギシッ』

 

ベットの軋む音。

 

「キャッ!!やめてナツ!!!」

 

ルーシィのちょっと焦った声・・・・・!?!?

 

 

「ナツ!!ルーシィ!!何やってるのさ!!!」

 

ここギルドだよ~!!と慌ててドアの中に突っ込むと、ベットの上に腰かけたルーシィと、、、、、その足元に桜頭のちっこいのがしがみ付いている。

 

「え??ええええ!?!?!?!ルーシィ!!いつ産んだの??

 ナツにそっくり!!!やっぱり2人はそう言う関係だったんだね!!

 オイラにも隠してる何でひどいよ2人とも!!」

 

開いた口が塞がらないとは、こういう事なんだ!!

オイラ、、、ショックだよ!!

 

「ナツがオイラに隠し事するなんて、、、相棒としてショックだよ!!

ルーシィもルーシィだ。何でもない顔して、お腹に赤ちゃんいたなんて!!ナツ!!どういう事なの~??」

 

ハッピーが叫びながら、2人の元へ弾丸の様に突っ込んできた。

 

「はっぴぃ!!」

 

桜頭のちっこいのが、面白そうに目を細めて「カッカッカッカ~」と笑い出した。

ルーシィは、びっくりしずぎて絶句したままである。

状況が把握できないハッピーは、マフラーとパンツ一丁の桜頭の幼児の前にストンと降り立った。

そこであることに気が付く。。。その少年の首元には、相棒の古傷が見える。

 

「え??ナツなの??」

 

ハッピーの問いかけに、ナツがニッと小さい歯を見せて「おお!!」と笑った。

 

 

 

落ち着いた、ルーシィから事情を聞き、ハッピーはやっと納得がいったと胸をなでおろした。

 

「オイラ、ナツがここでルーシィ襲っちゃったのかと思って焦っちゃった!!」

 

すかさず、ハッピーの元に枕が投げつけられた。

散々逃げ回っていたナツも、ようやく服を着せられている。

ただ単に、ルーシィが着せようロしていた服が、グレイの服と似ているからやだって事だったらしい。。。

仕方なく、一回り大きい服の袖をまくって何とか着替えをすましたのだ。

 

 

「もう!!一気に疲れたわ。。。」

 

いつもは、綺麗にハーフアップにされているルーシィの金髪が、ボサボサに乱れている。

ちょっと髪梳かしてくる!と鏡の前にルーシィが立つと、ポテポテとナツもくっ付いて行く。

 

「ナツどおしたの?」

 

たった数メートルの距離もルーシィの後追おうナツに、ハッピーが首をかしげる。

 

「るうしぃ。。。」

 

そっと、ルーシィの足元に手を絡ませている。

 

「??ナツ?・・・・これも副作用か何かかしら??」

 

ルーシィとハッピーは顔を見合わせ、揃ってナツを見た。

ギュッとルーシィの足にしがみつく姿は、なんとも可愛い///

 

「こうしてると、ナツも可愛いわね!!」

「あい!!オイラの方が、こうなると お兄ちゃんだね!!」

 

ぐりぐりっとナツの頭をルーシィが撫でると、ナツは猫の様に目を細めて笑っている。

降ろした髪を、サイドで結びな直し、「さてっ。」とルーシィが振り返った。

 

「ナツも疲れたのかもしれないし、帰ろっか?ハッピー。」

 

ルーシィの笑顔に、ハッピーは、夕飯はお魚がいいな!!なんて言っている。

それに、しょうがないわね~っと答えながら、ナツを胸に抱きルーシィが立ち上がった。

ルーシィの腕の中のナツは、サラサラと動く金髪を一掴みし、アムアムと口に運んでいる。。。

 

「わっ!?ナツやめなさい!!」

 

髪を取り上げ、ナツのおでこをメッとコツクと ナツの目に見る見る内に涙が溜まっていった。

ルーシィとハッピーがオロオロする中、ナツはひとしきり泣くとそのまま眠ってしまった。

 

 

 

 

朝、ルーシィは、苦しくて目を覚ました。

 

「うぐぅぅぅぅ。。。」

胸のあたりが、、、、押しつぶされるように苦しい。。。。

瞼を閉じたまま、手探りて胸のあたりを探ると、ふわふわとした暖かいものに触れる。

 

「!?!?」

 

意識が急浮上した。

胸の上には、ナツの頭が見える。

 

あれから3日。

本来なら、元に戻ったナツといつもの様に喧嘩したり、じゃれ合って居れたはずだった。

ナツの成長は、5歳くらいで止まってしまった。

 

魔法研究所で、一度診てもらったが 特に異常はないと言われ 帰ってきた。

その内、戻るのかもしれない。。。

本人のメンタルの問題かもしれないという、研究員の一言がルーシィの心に刺さっていた。

 

ナツは、、、、元に戻りたくないのだろうか??

子供のままがいいの??

ナツは、小っちゃくなってから必要以上にルーシィに触れてくる。

少しでも離れたくないようで、そばに座ると、どこか1か所触っったままでいるのだ。

ナツには、お母さんという概念が薄い。

 

先日ギルドで、、、それが仇になったのかもしれないね。とミラが呟いた。

 

当のナツは、毎日楽しそうだ。

元々記憶は繋がっている。

幼いため 力や魔力は弱いが、しっかり体を動かすことのできる年齢になったいるので

、、、いつものナツが体だけ小さくなっただけ、、、と言う印象を受ける。

 

いつもの様に、ギルドで大騒ぎを起こし、、、、乱闘。

力では叶わないはずが、、、ちょこまかと動き回り他に引けを取っていない。

・・・・まぁ、みんなが加減してくれているのだろうが。。。

 

 

いつもと同じように、ルーシィとハッピーと一緒にいる。

いや、ルーシィもハッピーも いつも以上に一緒にいてくれる。

ギルドから帰るのは、ルーシィと一緒。ルーシィの部屋。ルーシィと一緒にドアから入る。

流石に、一緒に風呂には入ってくれなかったが、、、頭と背中は洗ってくれる。

背が届かなければ、抱き上げてくれるし 膝にのせてくれる。

食べこぼせば、ハンカチでぬぐってくれるし、ベットに潜り込んでも怒らない。

終いには、ヨシヨシと頭を撫で、抱きしめてくれるんだ。

・・・・・ハッピーのような扱いだが。。。。。

ルーシィの甘いやさしい匂いに包まれると、、、すっげぇ幸せな気がするんだ。

 

もう少しだけ、、、もう少しだけ、このままで、、、微睡む意識の中、ついそう願ってしまったのは最初の夜だった。

 

次の日から、成長が止まってしまった。

メンタルが関係しているかもと言われ、、、ギクリとした。。。

研究員のジロジロと様子をうかがってくる目は、、、自分の下心を見透かされているみたいで、額にダラダラと汗が沸いて出た。

帰り際、研究員が耳打ちしてきた。

 

『緊急処置として・・・・・・・。』

 

いぁ////オレは、願ったり叶ったりだが。。。。無理だろう。。。

 

この薬の実験中は、成功報酬とは別に日割りの報酬が出ている。お蔭で、生活には困らないのだが、、、、

日に日に、ルーシィの笑顔に陰りが見えてきた。

ハッピーやギルドの仲間は、まだ面白がっているってぇのに。。。。

すっと一緒にいるせいで、ルーシィが、自分を心配してくれているのが よくわかってしまう。

 

ルーシィを、悲しませたくない。

笑っていてほしい。

そう思うのに自分が招いたであろうことで、ルーシィにつらい思いをさせてしまっている。。。

 

小さくなった体では、その華奢な体を包んで温めてやることができない。

・・・笑わせようとしても、悪戯すら成功しなかった。

 

そして、オレを気遣って ルーシィが笑顔を造るんだ。その笑顔は、、、オレの心臓を重たく殴りつける。

 

 

そんな中、昼飯をギルドで摂った後 ルーシィとハッピーと買い物がてら公園に来た。

ルーシィはベンチに座り、本を開いている。

 

オレとハッピーは、その辺を駆けずり回り 枯れ枝をひろって地面にルーシィの顔を落書きしたりしていた。

 

 

「おっ!あれ。フェアリーテイルのルーシィじゃねぇ??」

何処からか、男たちの声がナツの耳に届く。

「あぁ!!あの!!桜髪の男に・・・・」

「ちょっと、慰めて・・・・・・・・・」

 

ナツの耳に届いた声の方に振り返ると、ルーシィの後ろから3人の男が近づいてきた。

 

「ねぇ~。君~フェアリーテイルのルーシィちゃんでしょ??可愛いね~!」

 

無遠慮に、ルーシィの肩に手を回してくる男。

 

「ちょっ!!!触らないで!!」

 

肩にのせられた男の腕から、逃れるルーシィ。

ハッピーが飛んできて、ルーシィの肩に乗る。

ルーシィを庇うため、ナツが前に出た。

 

「おいこのチビか??」

「だろうな。。。コイツが、あのサラマンダーの隠し子か。。。よく似てるみたいだな。」

「あぁ、、言い逃れようもないな。。」

 

コソコソと、男3人はナツを視界に入れ話している。

ひとしきり話すと、ナツからルーシィに目を向けた。

 

「ルーシィちゃん、隠し子押し付けられて、彼氏に逃げられちゃったんだってぇ??」

「かわいそ~~。」

「オレ達が、慰めてあげるよ~!!」

 

終始軽い口調。オーバーな身振りで ルーシィに迫ってくる男達は、何かとんでもない事を言った。

 

「「・・・・・はぁ??」」

 

ルーシィとナツの溜め息に、疑問符が混じる。

ハッピーは1人、口元に手をあて『プフフッ』と笑っている。

 

ポカンとした顔のルーシィのスカートの裾を 引っ張るナツ。

 

「・・・アイツ等、、、何言ってんだ??・・・・ルーシィ逃げる彼氏なんていたのか??」

 

ナツに視線を落としてから、フルフルと頭を横に振るルーシィ。

 

「縮んでる今のナツが~ナツの隠し子ってことだよ!?それと、いつも一緒のいつものナツが逃げた彼氏!!だね!!」

「・・・・・ハッピー??あなた、何か始めっから知っていたような口ぶりね??」

「あい!!一部で噂になっているんだよ!!ルーシィがナツに隠し子押し付けられて捨てられたって!!」

 

プフフフフッ♪と笑い転げるハッピー。。。

ルーシィの額には怒りマークが浮かんでいる様だ。

 

なんですぐ教えてくれないのよ~!!だからさっきも可哀想な目で見られてたの~?と、

ハッピーの髭に手をかけるルーシィを視界の隅でナツは動けなくなったいた。

 

・・・・・・オレが・・・・ルーシィを?・・・・捨てる?・・・・・!?!?!?

 

「ありえねぇだろう!!!」

 

ナツの体温が上がった。

 

「ふざけんな!!!」

 

まわりの気温も上がっているような気がする

 

「誰だそんな噂ながした奴は!!」

 

ナツが、口から炎を吹いた。

 

「まだ付き合ってもいねぇ!!!!」

 

「なっ/////////////」

 

その様子を後ろから見ていたルーシィは、一気に赤くなった。

 

(・・・・まだって////)

 

そこに、まだいた男たちが声をかける。

 

「ねぇ。ルーシィちゃん行こうよ~!!」

「そうそう!押し付けられた隠し子なんかほっといてさっ!」

「ほらっ。おいでよ!!」

 

男の一人が、ナツをかわして強引にルーシィの腕を引っ張った。

すかさず、その男の腕にナツが飛びかかった。

 

「うわっあちぃ!!」

 

ナツの熱い体温が、男の腕を焦がした。男は腕を離し1歩下がる。

 

「おいおい。ボクちゃん邪魔しないでくれるかい?」

「お前、今何した??」

 

3人の男に、ナツが囲まれている。

1人の男がナツの胸ぐらを掴み、持ち上げ地面に投げつけた。。

 

「ナツ!!」

ルーシィはムリな体勢で咄嗟に ナツを抱き留め、その場で転んでしまった。

「ルーシィ!!」

ハッピーが駆け寄ってくる。

 

「てんめぇ!!」

 

ナツの身体から、蒸気が上がりはじめ、周りの気温が一気に上がる。

 

「ナツ!!やめなさい!!あんた今の自分の状況わかってる?魔力がコントロールできてないじゃない!!暴走しちゃう!!」

 

ルーシィは、立ち上がって、ナツを止めようとする。

そして、男たちに向かって声を荒げた。

 

「アンタ達サイテー!!!!子供に手を上げるなんて!!」

 

ナツの前に立って、ルーシィが男達を睨み付ける。

 

「釣れないこと言わないでよ~ルーシィちゃ~ん!」

「そうそう。こっちは、慰めてやるって言ってやってんのに!!」

 

男達の下衆な笑いが聞こえてくる。

そして、男の一人が、ルーシィに向かって吐き捨てる様に言った。

 

「自分を捨てた男と同じ名前つけてんのかよ!!いたいね~ルーシィちゃん!!」

 

・・・ルーシィの膝が擦り切れ薄っすら血が滲んでいる。。。

 

我慢ならなかったんだ!!

オレを庇ってルーシィが盾になあるのも、

これ以上子供扱いされるのも、守りたいと思っている奴に守られてしまうのも、、、、、

ギャラリーが集まる中、気付いたらルーシィによじ登り、顎を掴んで強引にその口を塞いでいた。

 

「っ&%#$&%$#+@:+*!?」

 

ルーシィはそのまんまの形で固まっている。

ポーッとナツの身体が光り、目を開くと元の姿に戻っていた。

 

「ナツ!!」

「ナツ!!戻ってる!!」

 

ルーシィの眩しい笑顔が視界に飛び込んできた。マフラーの上から、白い腕を回し、抱きついてきたのだ。

 

そして、落ち着きを取り戻すと ペチペチと頭から顔や体のあちこちを触る。

ざわつくギャラリーの中、ルーシィは目に涙を滲ませ、ペタンと地面に座り込んでしまった。

 

その後ろで、、、「おい。火竜じゃん!!」「やべぇんじゃねぇの?」と先程の男達の声が聞こえ、

治まりかけていた怒りが、沸々と再沸騰してくる。

睨み付けただけで、そいつらは背を見せ逃げていった。

 

巷で流れた噂。。。無責任極まりない。。。

 

・・・・・・ありえねぇだろう!!!オレがルーシィ置いて、、、どこ行くってんだよ!!!

怒りが収まらないオレに、地面に座り込んでいたルーシィが、力なく笑いかけてきた。

 

 

「・・・・ナツ。。。疲れた。。。帰ろ?」

 

そう言って、手を伸ばしてきた。

彼女の両手を引っ張って、立たせてやると、ルーシィがいつもの様に笑ってくれた!!

そのまま片手だけ手繋いだまま、ルーシィを引ッぱるように ずんずん進んでいく。

 

「ナツ~。ルーシィ!!よかったね~♪」

 

余裕のハッピーが、先だって飛んでいく。

 

 

おまけ

 

「ナツ!!よく気が付いたね!!」

「んぁ?何がだ??」

「小っちゃいまんまだと、ルーシィにずっとくっ付いていたれるもんね!!それに抱きしめてもらえうしね!!いつもオイラの事恨めしそうに見てたもんね!!」

 

だから、戻りたくないって思っちゃったんでしょ??と、笑いをこらえた相棒にからかわれた。

 

「なっなんでばれたんだ////」

 

そして後日、想定外なレポートが取れた事に気を良くした依頼主。

すっかり気に入られたナツとルーシィの元に、今度は指名で魔法研究所から依頼が来事になる。。。

 

 

 

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

ルーシィの彼氏と間違われていたことは、見事にスルーなナツくん。

『そこは、勘違いされてもいいし!!ってか、そこは、俺しかいないだろ!!』

 

ちびナツにチューされたことを、見事にスルーなルーちゃん。。。

『///あの時はそれどころじゃなくって///後で気づいたんだけど///今更蒸し返せない///(かぁぁぁ////)』

ナツの服はどうなったんだろ・・・??・・・・・・・・・。

 

なんかダラダラと長くなってしまった。赤ちゃんナツと触れ合うルーシィがかわいすぎて(*ノωノ)

ドンドン長くなっちゃっいました(/ω\)内容薄いのに無駄に長くてすみませんm(__)m

毎度、コメやブクマ、評価 ありがとうございます☆

おかげさまで、moは 頑張れております(´艸`*)感謝♡ 

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