top of page

2014年2月13日

キミに出会えたこと

ナツ→←ルーシィのナツルーです。一応バレンタインネタ。。。
以前この展開は、、、、書いたような気もするけど、、、、、気にしないでください。。。。( ;∀;)moの脳はショボイので、、、、、(/_;)
何か似たようなものを昔見たけど、それでもいいと言う優しい方は、お通りください(´Д⊂ヽ誤字脱字にも注意です(/ω\)では。どぞ ^^) _☆~~

 

 

ここは、フィオーレ王国。

商業と魔法が盛んな街 マグノリア。

そしてマグノリアにある、お騒がせの魔導士ばかりが集まるとして有名な魔導士

 

ギルド『妖精の尻尾』。

 

そこに1通の上等な紙でできた封筒が届いた。

流れる様な綺麗な筆記体で書かれた宛名は、

『妖精の尻尾 マスター マカロフ・ドレアー様・星霊魔導士 ルーシィ・ハートフィリア様』。

 

 

「ルーシィ!!ルーシィはおるかの??」

 

カウンターのいつもの席で、いつもの様に桜頭の少年と、喋る青猫と談笑していた 金髪の少女が顔を上げた。

 

「は~い!いま~す!!」

 

笑顔で、自分を呼んだマスターマカロフに向けて、片手をあげる。

そのまま、座っていたスツールから腰を浮かすと、

ふんわりと笑うその金髪の少女ルーシィは、 小走りでマカロフの元にやってきた。

 

「何ですか~??マスター!!」

「何か用か?じっちゃん!!」「何々~??ルーシィ怒られるの~??」

 

ルーシィに続き、桜頭の少年ナツとその相棒青猫のハピーがルーシィの横に並んだ。

 

「へっ!?・・・あんた達は呼ばれてないでしょ?」

 

あきれ顔で2人を反目で見ると、ルーシィはシッシッと片手で追い払うふりをする。

 

「あい!オイラ達チームなので!!」

「おう!!しょうがねぇから一緒に怒られてやるぞ!!」

「!?あたしが怒られる決定!?何もしてないし!!」

 

2人と1匹でぎゃぁぎゃぁ言い争っていると、その脇から『ゴホン』と咳ばらいが聞こえる。

ルーシィは小さな溜め息を落とし、慌てて彼らから視線をマカロフに戻した。。

 

「お前達!少しは静かにできないのか!!マスターが話をできんだろうが!!」

 

緋色の髪をなびかせ、そこに仁王立ちしているのは、チームメイトのS級魔導士、それに加えギルドの風紀委員ともいえるエルザだ。

その場にはエルザの他、同じくチームメイトの氷の造形魔導士グレイ、天空の滅竜魔導士ウエンディ、その相棒で白猫のシャルルまでもがいた。。

そして、マカロフの後ろには酒場の看板娘のミラジェーンまでもが控えている。

 

「うむ。まぁよい。ナツ達も一緒でちょうどいいしのう。」

「ったく!!お前ら少しは静かにするてぇ事をいい加減覚えろ!!ガキじゃねぇ

 

んだから!!特にそこのクソ炎!!」

「あぁ~ん!!上等じゃねぇか変態パンツ!!」

 

氷と炎のいつのもにらみ合いが始まる。

 

「あんだよ!!やんのかー!?この燃えカス野郎!!」

「やんられんのはでめぇだ!!変態くそ氷野郎!!」

 

腕を組み 下唇を出し合い、両者一歩も引きそうにない。。。

 

「もう!!やめなさいよ2人とも!!・・・グレイ、、、服!!」

「うおっ!?」

「変態決定だな!!つーかルーシィ、うるせーよ!!」

「んだぁ?姫さんに当たってんじゃねぇ!!」

「んだぁ?こら!!」

 

ルーシィのまだ、かわいい制止も聞かず、ヒートアップする2人の横から どす黒い気が放たれている。

 

「やめんかぁ!!!!」

 

エルザの鉄拳制裁で、ナツとグレイは仲良く床に沈められた。

 

「あわわわわっ!!大丈夫でしょうか??お2人とも。。」

「・・・・・自業自得ね。」

「シャルルの言うとおりよ!!まったくもう!!ほっといてもすぐ復活するわよ!!」

「あい!!」

 

 

騒動から、早々に退避していた2人と2匹が、マカロフの前に戻ってきた。

 

青いストレートの髪を揺らしワタワタしていた、他のメンバーより少し幼い少女ウエンディと、その相棒の白猫のシャルル。

そしてルーシィとハッピーだ。

 

「それにしても、みんなも呼ばれたのね。。。」

 

ルーシィは、それぞれに視線を巡らせた。

何かあるのだと。。。

 

「うむ。揃ったようじゃし、話を進めても、、、よいかのう?? 王都で行われるパーティーの招待状が来たんじゃが、、、ほれっ。。」

 

マカロフは、封蝋にしっかり型押ししてある薄緑色の上等な紙でできた封筒を、カウンターに放った。

 

「パーティーですか??」

「うむ。・・・・ルーシィ。。お主が指名されておる。」

「え??」

 

ルーシィは、先ほどカウンターに置かれた薄緑色の封筒を、手に取った。

いつの間にか復活していたナツも、ルーシィと頬をくっつけて 一緒にそれを覗きこんだ。

 

「近いって///!!」

 

グッと掌でナツの顔を押し戻しながら、ルーシィは封筒の中に入っているカード

 

を手に取った。

今度は右からはエルザ、腕の中からハッピーが覗き込んでくる。

カードの間から、1枚の便箋が一緒に出てきた。

それを、ルーシィが読み上げる。

 

「えっと。。。2月14日。。。場所は、、クロッカス…貴族の屋敷。。。警護を兼ねてパーティに参加してほしいってことですね。。。。」

「・・・なんだ?仕事か??」

 

ルーシィが途中まで読み上げたのを聞いてナツが、マカロフを見る。

 

「しっかり最後まで聞かんか!!馬鹿もん!!」

 

呆れた目でナツを見るマカロフ。

 

「計5~6名ほどで、、、出来るだけ男女ペアでお越しください。

 又、そのメンバーの中に、是非ルーシィハートフィリア嬢を指名します。

 報酬は、仕事内容に関わらず、1日1人10000J。。。。」

 

先を読み上げようとしたルーシィが口を噤んだので、横からエルザが便箋を奪い取って読み上げた。

じっと、封筒を睨み付けるルーシィにハッピーが心配そうにをかけた。

 

「知っている人なの?ルーシィ??大丈夫??」

「そうだぜ!姫さん無理しなくていい。断っちまおう!!」

 

グレイが、ルーシィの肩に手を置き、その顔を覗きこんだ。

・・・・っが、、、ルーシィの目が、『J』になっている。。。

 

「・・・おいぃぃぃ!?」

「1日10000J!?・・・場所が遠いし行き帰り合わせれば、、、最低でも3日間!!キャッ!!パーティに参加するだけで、1人30000Jは確保できるわね!!」

「・・・・・・ルーシィ。。。目が。。。」

「・・・はぁ。」

 

ルーシィの表情を覗っていた仲間たちは、揃ってちょっと引いた苦笑を見せた。

 

「完全に目がJになってるな。。。」

「あい。さすがルーシィです。」

「・・・・ルーシィ ガメツイもんな!!」

「そっそんな言い方は!!いけないのでは。。。」

「まぁ、、、おいしい話ではあるわね?」

 

「・・・・いいんだな?ルーシィ。」

 

「では、ルーシィ。。大丈夫かの??断る事も出来るんじゃぞ??」

 

 ハートフィリア。。。

 貴族。。。

 自分を指名してきた依頼。。。

 お嬢様時代の自分を指名されているようで、気分のいい話ではないが、、、

 

そんな自分を、軽口をたたきながらも みんな心配してくれているのだろう。

でも、これは妖精の尻尾にきた依頼だ。

しかも、個人を指名してきている。。。

・・・だが、幸いなことにチームで行動できる。

ここに、集められたメンツを見て ルーシィは少しの怖さもなかった。

 

マカロフの問いに、笑顔でうなずく。

 

「はい!みんなが一緒なら、大丈夫です!!」

 

握りしめていた手を、暖かい武骨な手が包み込んだ。

 

「大丈夫だ!!」

 

反対の手を、一回り小さい手が、両手で包み込んでくる。

 

「はい!!わたしも、ご一緒させてください!!」

 

少し震えていた肩に、鎧の手と、ひんやりした手が乗った。

 

「心配ない!!」「ああ。オレ達が一緒だ!!」

 

目の前で、青と白の猫達がにっこり笑っている。

 

「パーティーで、美味しいお魚出るかな?ルーシィ!?」

「ハッピーは食べる事ばっかりね!!まったく。」

 

「うむ。よく言ってくれた。。。。。。ただ、お前たちだけじゃちと心配での、ワシも当日合流する。」

 

貴族の邸宅で、騒動を起こしても困るからの~と、自前の髭をマカロフが撫でた。

 

 

 

 

 

「「「マスター!!」」」「じっちゃん!!」「じーさん!!」

 

 

 

「・・・・まったくみんな。。。甘やかしすぎね。」

 

 

 

「あい!!」

 

 

*

 

パーティの前日。

クロッカスの街に到着した一行。

 

マカロフとエルザが依頼主の元に挨拶に向かう中、他のメンバーは、ドレスショップにいた。

パーティは正装だ。

という事で、依頼主がセッティングしてくれていたのだ。

 

女子更衣室で、ルーシィ、ウエンディ、シャルルは用意されていたドレスの中から、気に入ったものを試着している。

 

「・・・こういうのって、、動きづらいのよね・・・!!」

 

ドレスを身にまとい、鏡の前でクルリと身をひるがえすルーシィ。

 

「うわぁぁ。ルーシィさん似合いますぅ~///」

 

ウエンディが、目をキラキラさせて ルーシィのドレス姿に見惚れている。

 

「やだっ///ウエンディったら!!ウエンディも可愛いわよ!!お姫様みたいね!!シャルルもね!」

「あら!ついでに褒めてくれて、ありがとう。ルーシィもよく似合うわよ!!」

 

用意されていたドレスは、どれもサイズはピッタリだし、可愛くて、迷ってしまう。

 

「ねぇ。ウエンディ!シャルル!このピンクのドレスと、水色のドレス どっちがいいかなぁ??」

 

なるべく動きやすいものをと選んでいたのだが、どうもこのピンクのドレスが気になってしまう。

 

「そうね。。水色の方が、動き易そうだけど。。。」

「う~ん。でも、ルーシィさん、そのピンクのドレスよく似合ってますよ!!」

 

「ヘヘッ///・・・ウエンディは決まったの??」

「はい。」

「私は、サイズがないから、これに決めたわ。」

「ってことで、わたしも、シャルルに合わせてこれにしました!!」

「わっ!!リボンが沢山ついてて可愛い~!!よく似合うし!!2人でお揃いなんて、姉妹みたいね!!」

「エヘヘへっ///」

 

 

「おい!!おせえ!!!」ナツの声と共に、カーテンが豪快に開けられた。

 

ウエンディは着替え終わっていたが、ルーシィは下着姿で2つのドレスと鏡で合わせているところだ。。。

 

「!?きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

ナツの顔に、ルーシィの回し蹴りが、クリーンヒットする。

そのままカーテンのむこうに飛ばされ、丈夫な壁にぶち当たりぐしゃりとつぶれ落ちた。

 

「イテテテッ。。。凶暴な奴だなぁ。。」

「凶暴って何よ~!!着替え中に入ってきたあんたが悪いんでしょ!!変態!!」

「!?グレイじゃねぇ!!!一緒にすんな!!ってか、そんなん 見てねぇし!!」

「おい!!変態=オレに変換すんじゃねぇ!!俺は変態じゃねぇぞ!!」

 

黙って、遠巻きに様子を見ていたグレイが、突っ込む。

 

「じゃぁ。痴漢よ!ち・か・ん!!」

「なっ!?酷い言い草だな!!残忍な奴め!」

「残忍って、、、アンタのせいでしょ~~~~~!!!!」

 

言い争いながらも、物陰で着てきた服を身に着けていたルーシィ。

服を着終わるとルーシィは、ナツの首根っこを摑まえて、真っ赤な顔で大声を出した。

慌てて、他のメンバーが止めにかかる。

 

「おい!!やめとけ!!他の客に迷惑だろ!!」

 

先程かるく無視されたグレイが、ナツを押さえる。

 

「ルーシィさん!!おおお落ち着いてくださ~い!!!」

「はぁ・・・とりあえず、ドレス選んじゃったほうがいいんじゃない?ルーシィ。」

 

ウエンディとシャルルに声をかけられ、ルーシィは、深く息をはき出し カーテンの内側に1人で戻っていった。

試着はせず、鏡の前で交互に合わせてみる。

 

カーテンのむこうから声がかかった。

 

「右手に持っていたやつ。」

「え??」

「・・・・だから、さっき右手にもってた方がいい!」

「・・・・・そう。。。わかった//////」

 

ルーシィは、それに決めたようで、ドレス1着抱え奥にいる店員に伝えに行った。

後に、なぜかナツも着いて行く。

その2人の後姿に、仲間たちはつぶやいた。

 

「やっぱりしっかり見てたみたいね!ルーシィの下着姿も。」

「シャルル!!?」

「あい。ナツはそういう奴だよ!男の子だし!!」

「まぁ。あいつの男だし、、、姫さん限定だからいいんじゃねぇの?」

「そう言う問題じゃないですよ!!」

「しっかしよう。自分の髪の色とお揃いにさすとか。。。。クックックックッ。」

「それを言うなら、ナツの髪の色をずっと抱えていたのはルーシィもよ!!」

 

 

*

 

お目当ての当日の衣装をめ、指定された宿泊所に向かう一行。

そこで見上げた建物は、とても立派なホテルだった。

建物の中に入ると、ゆったりとしたロビーに緋色の髪と、白髪頭が見えた。

 

「「マスター!!エルザ!!」」

 

ハッピーを腕に抱えていたルーシィがそちらに駆け寄った。

続いて、ウエンディとシャルルも駆け寄る。

その後ろを、何やらおでこをくっつけてにらみ合うナツとグレイがのそのそと近づいてくる。

 

「カギは預かっている。1人1部屋だそうだ。イヤ。。ハッピーはナツと。シャルルはウエンディーとだな。」

 

エルザが、テキパキと鍵を配ってくれた。

 

それぞれの宛がわれた部屋に、荷物を置いてマスターの部屋に集合するように言われている。

ルーシィは、ハッピーを腕に抱いたまま部屋に入った。

直ぐに目についたのは大きめのクローゼット。

ルーシィはそこに、荷物を置きながら、部屋の中を見渡した。

 

クローゼットの隣には、良く磨かれた鏡の付いた鏡台。

普段なら、2人で使う部屋なのかもしれないと、思った。

ハッピーが、ぽふんぽふんと飛び跳ねて遊んでいるのは、ダブルより少し広めのクィーンサイズのベット。

・・・女性なら、3人くらいは寝れそうな広さだ。

それに、大きな窓があり、その前には大きめのソファと、ローテーブルのセットが置かれている。

部屋自体は広くはないが、置いてあるものを考えるとゴージャスな部屋だった。。

ただの護衛の依頼に、こんないい部屋を用意するなんて、、、よっぽどお金が余っているのかしら?

拭いきれない嫌な気持ちがルーシィの腹の中でグルグルとまわっていた。

 

「ルーシィ!ハッピー!!まだか~??」

「今行く~。」

 

廊下からナツに声をかけられ、揃ってマカロフの元へ向かう。

 

 

「挨拶は無事すみましたか??」

 

ルーシィが不安げは表情で、マスターに問いかける。

他のメンバーも、揃ってマスターの顔を覗きこんだ。

 

「うむ。依頼主に、特別な事はなかった。。。。。のぉ?」

 

それを受けて少し視線をずらし、エルザに目配せするマカロフ。

 

「?なんだよじっちゃん。」

「うむ。。。」

「ここは、私が説明しよう!!いいですね?マスター??」

「うむ。頼むぞエルザ。」

 

「依頼主に、怪しいところは見当たらなかったが、、、ルーシィを指名してきたのはパーティの主催者である依頼主ではないらしい。」

「・・・・?」

「パーティの来賓客から、そうしてほしいと頼まれたそうなんだ。ルーシィに渡したいものがあるとかでな。」

「・・・渡したい物??」

「それが何かは知らないらしいが、依頼主はその人物の身分はしっかりしているので安心してほしいと言われた。」

「・・・・・。」

「依頼主からは、変な感じも、嘘をついているようにも見えなかった。」

「じゃが、その来賓客と言うのが、、、少し気になるでのぉ。。。。わしはこれから、ちっと出てくるからのぉ。。。」

 

「と言う訳で、油断は禁物だ!!ルーシィ!!絶対一人になるな!!部屋は別れているが、誰かと一緒にいた方がいいだろう!!そしてマスター!!羽目を外し過ぎぬように!!!」

 

 

「・・・・・あい。」

 

 

 

時はずぎ、、、夜はマカロフを除いたメンバーで街に出て、食事を済ませそれぞれ部屋に戻る。。。。

と思いきやマカロフ以外が、ルーシィの部屋に集まっていた。

 

「よし!!では明日は、朝からペアで動くぞ。私はマスターと共に依頼主に着く。グレイとウエンディは周囲の警戒。ウエンディ!!グレイが服を脱がない様に

 

気を付けてやってくれ!!」

「うぐっ!?」「はっはい!!」

 

「ハッピー。シャルル。お前たちは連絡係だ。なるべく魔力は温存しておけ。いざという時に機動力が欠けるのを避けたいしな!!」

「あい!!」「りょーかい!!」

 

「で、ナツ!!ルーシィから離れるな!!」

「おう!!」

ナツが返事をしながら、ガシッとルーシィの肩を引き寄せてきた。

「うわっ!?ナッナツ///」

 

「よし!!では解散。私はマスターの監視に向かう。ミラに頼まれているのでな、、、、ここには戻れんかもしれん。・・・後は頼んだぞ!!」

 

エルザが部屋を出て行った。

 

暫くすると、グレイが欠伸をしながら立ち上がった。

 

「くぁぁぁっ。喉乾いちまった。オレ酒でも飲んでくるわ!!」

 

ニヤッと笑ってグレイが立ち上がった。

 

「ナツ!!ここよろしくな~!!」

「えっ??グッグレイさん!?」

 

慌ててようにグレイの後姿に、ウエンディが声をかけたが、後ろ手に手を振ってすぐ戻る~っと出て行ってしまった。

 

「・・・心配すんな!外はグレイに任せとけよ。ここは、オレがいるし!!」

 

きっと、グレイはその辺を警戒しに行くのだろう。。。

ナツはウエンディを安心させる様にニッと歯を見せて笑った。

ルーシイも、その隣でわかってるよっと言った表情で微笑んでいる。

 

「はわわっ。。では、ルーシィさん!!お風呂入ってこられたらいかがですか??」

 

ウエンディに進められ、じゃあお先~っと、ルーシィは浴室に入っていった。

 

 

ルーシィがルームウェアを身に包んで、浴室から出てきた。

全身が上気し、ほんのりと白い肌をピンクに染めている。

 

「あれ??ウエンディ達は??」

 

部屋にはナツしかいなかった。

 

「あ?ハッピーが菓子食いたいって言うから、ウエンディ達と買出し行かせちまった。」

 

ベットに腰かけていたナツが、ルーシィに振り返りそう言った。

 

「え~!?今の時間からお菓子って・・・聞いただけで、もたれる・・・・ハハッ。。」

 

身体から湯気をだし、頭にタオルをのせたまま ポスンとナツの隣に ルーシィは腰を下ろした。

一呼吸おいて、ナツにニ~ッコリと笑顔をむける。

 

「へっへ~!!」

 

その大きい目を瞬かせながら、上目づかいでルーシィはナツを見つめる。

 

「・・・・・・・あんだよ!?」

 

ナツが少しあきれたような目でルーシィを見る。

 

「んっ!!お願いね?」

 

そう言って、ルーシィはナツに背を向け頭を傾けた。

ルーシィはナツに、頭を乾かせと言うのだ。

ナツは軽く溜め息を落とし、ルーシィの頭に乗るタオルに手を伸ばした。

 

ルーシィの家に勝手に出入りしているナツは、先日ルーシィの部屋のドライヤーを誤って壊してしまった。

怒ったルーシィを宥めようと、苦肉の策で熱を込めた手でタオルを掴むとその髪にはわせた。

温まったタオルは見る見るうちにルーシィの髪の水分を奪い、タオルに吸い込んだ水分をナツの熱がとばす。

あっという間に髪が乾く上に、なんともサラサラに仕上がった。

偶然の産物であったが、このことをルーシィはいたく気に入ってしまい、、、それから機会があると、ナツに髪を乾かせとねだるのだった。

熱を込めた手でタオルを握り、ルーシィの綺麗な髪を撫でたり、梳いたりした。

あっという間に金髪から、余分な水分を乾かしていく。

 

「ほれっ!!乾いたぞ!!」

 

ナツがルーシィの後ろから、コツリと頭を小突いた。

 

「ふふっ。ありがとう!!ナツの手ってあったかくてすっごく気もちいわよね!マッサージ効果もあるのかしら?!」

 

ルーシィがキレイな金髪を、なびかせながらナツに振り返って、ふんわりと笑った。

 

「ありがとうっ!!ナツ!!」

 

っ/////////。

無防備に笑いやがって!!!

はぁ。。。絶対オレの事、、、男だと思ってないよなルーシィ。。。

こんなに近い位置にいるのに、、、他の誰よりも近くに。。。

決してその隣を誰にも譲らないように!!

さっきから、ルーシィの甘い匂いが、鼻をかすめて、、、、流石に限界だ!!

 

鏡台の前に座り、先程カバンから出した何かを、顔に塗りつけたり叩いたりしているルーシィの後ろに立った。

 

「ルー「あっナツ!?」」

 

声をかけると同時に、鏡の中で目が合ったルーシィが、にっこりと笑った。

 

「んぁ??」

「ナツってさぁ、、、髪乾かす要領で、巻けないかな??髪の毛。。。」

「・・・・・ほえ??」

「髪巻くやつ、、、忘れちゃって///」

「・・・・・・・ほぉぉ。。」

「ナ~ツ!!お願い!!」

 

片目をつぶって、鏡越しに上目づかいでナツを見るルーシィ。

このルーシィの、お願い!!顔は、、、、ズルイ!!!!

そんなん、、、断れるわけがねぇ!!

 

・・・が、それを何でもない様に、、、何とか不機嫌面を作るナツ。

 

「・・・どんなだよ。。。」

「こう。。。指でクルクルってさぁ?出来ないかなぁ??明日ドレスだから、アップにしたいんだけど、、、今日キャンサー呼べない日なのよ!!」

 

とうとう鏡越しでなく、クルッと身体ごとナツに振り返って、顔の前で両手を合わせる。

 

「ねぇナツ!!お願い!!」

 

又も 首を傾けで、ウインクしながら上目遣いで見てくる。

 

「うぐっ・・・///しっしょうがねぇな!!」

 

渋々といった顔で、ナツが金髪に手を伸ばす。

 

「で?どうやんだよ??」

「えっとね?・・・・・・・」

 

と、ナツの手をとって器用に髪を巻きつけていくルーシィ。

段々要領を得てきたナツに 後は任せて、ルーシィは鏡越しに意外と器用に動くナツの手をじ~っと見つめている。

 

「ふふっ!!ナツって意外と細かい事も出来るのね!!ちょっと焦されちゃうかもって心配しちゃってた。」

 

嬉しそうに目を細めているルーシィが、鏡に映る。

 

(・・・・まぁ。お前の髪だからな。焦すようなヘマ出来ねぇっての!!)

 

「・・・帰ったら、飯おごりな!!」

 

ルーシィの髪を指に巻き付けながら、ナツがニヤッと笑う。

 

「えぇ~!!おやつぐらいでいいじゃない!!む~!!」

 

プクッと、頬を膨らませているルーシィが鏡に映る。

 

「。。そうか!!これ、頭半分だけでいいんだな??」

「うう~~。。じゃっじゃあさっ!!ナツの好きな料理作ってあげる!!」

「///おぉ!!それでもいいぞ!!・・・・腹いっぱいになればな!!」

「ちょっとぉ!?乙女の手料理になんてこと言うのよ!!」

「ハハッ!!乙女って。。。??」

「こら!!惚けないでよ!!目の前にいるでしょ~が!!!」

 

目をつり上げて、後ろに振り返るルーシィの目に、楽しそうに微笑むナツが映る。

どちらかともなく笑い出すと、鏡に向き直ったルーシィが、頭をナツに預ける様に 寄りかかってきた。

 

2人の視線が、鏡越しにゆっくり絡む。

 

「ねぇ。。ナ『コンコンコンコン!!』」

 

ノックが聞こえ、ドアが勢いよく開いた。

 

「ただいま~~~~~!!!!」

 

ハッピーが勢いよく部屋に飛び込んでくる。

それを恨めしそうに、睨み付けるナツ。

続いて、ウエンディとシャルルもただいま~と言ってナツの前を通り過ぎた。

 

(・・・・うぐぅ。。。せっかく!・・・ちょっといい雰囲気だったのに。。。。)

 

一気に賑やかになった部屋の空気に、ナツの心の声はかき消された。

わいわいお喋りしながら、夜が更けていった。

 

真っ先にウトウトしだしたウエンディをベットに寝かせ ナツとルーシィは、窓際の大きめのソファに座り星を眺めていた。

 

「・・・ナツは、部屋戻らないの??」

「んっ!一緒にいた方がいいだろ?ルーシィは寝てていいぞ!!オレも寝るし。オレは寝てても、気配感じるから。」

「フフッありがと!頼りにしてるよ!!ナツ。」

 

真っ直ぐナツを見るルーシィの大きな目に、夜空に輝く星が映る。

にっこり笑うその笑顔は、安心したような柔らかく優しい感じがする。

その笑顔を見ると、ナツの中にもルーシィのあったかい優しい心が移ってくるような錯覚を覚える。

が、なんだか一生懸命に明るく振舞おうとするルーシィの様子が気にかかる。

 

「おう!!さっさと寝ちまっていいぞ!」

 

ナツがニカっと笑って大きめのソファに寝っ転がった。

 

「・・・でも、もう少し星を見てからね?」

 

ナツの寝転がったソファの脇の床にペタンと腰を下ろし、そこに背を向け ルーシィは窓の外を見上げたまま喋り出した。

 

「ナツ。いつも、、、ありがとね。ほんとうに。。。アンタが、、、アンタ達がいてくれるから、あたし全然怖くないの。迷惑かけちゃって、心苦しいけど。。。。頼らせてもらうから!!・・・無事帰ったら、、、、ごちそう作っちゃおうかな??フフッ///」

 

ルーシィがニコニコしながら、何にしようか~??

ーハッピーはやっぱりお魚でしょ~!!

ーナツは、お肉よね?

ーシャルルは~??

などと、眠っているウエンディの傍らで、ハッピーと何やら話をしていた白猫に向かって声をかける。

震える声と、ルーシィの匂いに少し涙の匂いが混じっている。

 

「私たちは、ちゃんと報酬貰うから心配いらないわよ!!」

「そうそう!!でもオイラは、お魚ならありがたくいただくよ!!」

 

ナツは、腕を伸ばしてルーシィの肩を引き寄せた。

ソファの背凭れで、きっとハッピー達からは見えない。

いつも茶化してくるが、こういう時はさりげなく気を使ってくれる猫たちだ。

 

「何も気にすることねぇ!!オレ達は好きでついてきただけだ!!それに、お前は1人じゃねぇだろ?」

 

いつもより少し低い声で、やさしくナツが囁く。

ルーシィは、黙ってナツの肩に頭をくっ付け、コクンを頷いた。

 

「お前、少しテンションおかしくなってんぞ!?もう寝ちまえ!!なっ?」

 

ナツがやさしくルーシィの頭を撫でる様に、髪を梳く。

 

おまえが、元気ない事なんて声を聞けばわかるんだ。

どんなに明るく振舞っていたって、オレには隠せねぇんだ。

誰だって、そんなに強くねぇんだ。

だから、お前の隣には、、、オレがいる。

1人じゃねぇんだぞ?ルーシィ。

 

 

「・・・・うん。」

 

 

 

 

*

 

数時間後。

 

、、、、まだ、、夜中です。

まだ、皆さん寝ています。

いつの間にか、入り口近くの椅子に、グレイさんが座ったまま眠っているみたいです。

 

//////。

私の頭のあたりで シャルルと、ハッピーが寄りかかり合って丸まっています。

そちらも、まだ寝ているようです。

・・・・・・・ルーシィさんも、、、寝ています。

/////ナツさんは、、、、起きてますよね??

 

私のとこからだと、背と頭しか見えませんが、ナツさんは横向きに寝っ転がっていて、片方のひじをついて頭をのせているような体勢です。

///時折、空いている手で、金色の何かを触っています///。

あれって////ルーシィさんの髪ですよね??

/////そっそこから、ルーシィさんの寝息が聞こえますもん。。。。

あっ////ナナナナツさんが!!!いい今!!ルーシィさんの髪を掬ってそこに/////!?!?/////

 

「あわわっ///」

 

「んっ?。。。むぅ~~。。。」

 

やっ!!声でちゃいました///

!?ルーシィさん??起きちゃいましたか??

・・・・・・・。

おっ起きなかった様です。。。はぁ。。。

 

ナツさんの肩が、揺れた様な気がしましたが、、、、こちらを向かないようです。。。。

あっナツさん固まってる!?

・・・寝ている人にそんな事するからです!!

 

//////なんか、、、覗き見しちゃったみたいで、、、私の方が恥ずかしいです!!

 

あっ!!ナツさんの耳、、、真っ赤!!

 

・・・・・・・もうこうなったら、、、、、、、、、、、、寝たふり寝たふり。

。。。。Z。。ZZzz。。。zz。。。

 

 

*

 

翌朝。

 

ルーシィが目を覚ますと、目の前に!!!ウエンディの可愛い寝顔。

半開きの小さい口から、クークーと寝息が聞こえてくる。

ウエンディの頭の上の方に、ハッピーとシャルル。

部屋の入り口あたりの椅子の下で、パンツ1枚の。。。。はぁ。1枚だけでも穿いててくれてよかった。。。

そして、後ろからあたしを抱きしめて寝ているのは???

・・・・・・・やらかい??

何かいい匂いするし。。。ん??

緋色の、、、髪。。。

 

「ルーシィ起きたか~??」

 

そっと、体にまきついているエルザの腕をどかして、ぎゅうぎゅう詰めのベットからはい出した。

ソファの脇で、ナツが大あくびをしていた。

 

「・・・・ナツ?」

「はよっ。ルーシィ。」

「んっ。おはよう。ナツ。。。あれ??あたし・・・・??」

「んん?ああ。ルーシィここで寝ちまったから、運んどいてやったぞ!!」

 

さあ褒めろと言わんばかりの言い方に、若干頬をひきつらせながら、ルーシィが息をはき出した。

 

「ん~!!言い方は気に食わないけど、、、ありがと。お蔭で風邪ひかなかったわ!!」

「ん~?なんだよ、その言い方。。。・・・・・・まぁいいか。」

「フフフッ。結局みんな集まってるのね?」

「おう。順番にドアが開くから、途中て、グレイが椅子から落ちやがるし、オレあんま眠れなかったぞ!!」

「そっか。。気張ってってくれたんだ。。ありがとね。。。。お疲れさま!!」

 

ねぎらう様に、ナツに向かって、ルーシィが微笑んだ。

 

 

はじめて会った瞬間、やっと会えたって なぜか思ったんだ。

はじめて声を聞いた瞬間、コイツだ って感じたんだ。

誰が何と言おうとも、お前がなんと言おうとも、何が起きたってオレがお前を守りたいんだ。

どうせ、守られるだけではいないんだろう?

いっしょに立ち向かおう。

どんな時でも、お前を笑わせてやるから。

 

 

「まぁ。。。今日が本番だけどな!!」

 

声のした方に振り向くと、グレイが椅子に座っている。。。

//////////その脇には最後の一枚が・・・・。

ルーシィは、瞬間 天井を向きながらその辺にあったものを投げつける。

 

「グレイ服!!!!」

「うおっ!?」

「・・・・・・それじゃぁ、、、ただの変態じゃねぇか。。。変態。。。捕まるぞ?。。。」

「ぐっ!!」

 

いそいそと、服を身にまとうグレイに、厳しい声がかかる。

 

「最低ね。。。」

「あい。男として、なさねけないね!!」

「・・・・今日はウエンディと一緒に行動するんだぞ??・・・最後の1枚は、体に直接縫い付けておくか?」

「ひぃ!?エエエルザ。。。」

「あわわわわっ!?そっそれは痛そう。。。じゃなくって!!」

「おお落ち着け!エルザ!!!脱がねぇ!!もう、一枚も脱がねぇ!!!」

「いんや!!パンツ1枚縫い付けてどうすんだよ!服も縫い付けまえばいいじゃねぇか!!なっ?変態パンツ!!」

「・・・ほお??」

「アハハハッ!!エルザやっちゃえ~!!」

「おいっ!!姫さんまで。。。。」

 

起きた瞬間から、賑やかだ。

暫く騒いだ後 身支度を整えて、揃って依頼主の待つ屋敷に向かった。

 

「ルーシィ!!そのドレスよく似合うぞ!!」

「へへっ。エルザもよく似合ってる!とっても素敵よ!!」

 

エルザは、ざっくりスリットの入った真っ赤なマーメードドレス。

ルーシィは、昨日ナツが選んだ白地にピンクと黄色の花の刺繍されている華やかなドレスだ。

 

マカロフと、エルザが、先だって屋敷の門をくぐった。

まだ、パーティーの開催時間には早い。

使用人以外の人は見当たらない。

 

最上階の奥の部屋に通された。

マカロフ、エルザ、ルーシィ、ウエンディ、シャルルの順に部屋に入る。

続いて、ナツとハッピー、グレイが入室すると、ドアが閉められた。

そこで、その部屋の窓辺のデスクに向かっていた男性が顔を上げた。

 

「おはようございます。妖精の尻尾の皆さん!!お待ちしておりました。」

 

促されて、部屋の中央にある応接セットにマカロフと、女性陣が座った。

依頼主の男が、大きめの魔水晶をルーシィの前に そっと差し出した。

 

「いや~スミマセン!!」

 

と、頭の後ろを搔きながら その魔水晶のスイッチを入れようと男が手を伸ばすと、グレイが素早くその行為を 氷でさえぎった。

 

「何の真似だ!!」「何しやがる!!!」

 

ナツがルーシィを後ろに庇い、グレイと一緒に依頼主を睨み付ける。

マカロフとエルザ以外、いつでも戦闘に移れる体勢だ。

ナツが1歩前に出ようとすると、それを制するように、鎧の手がナツの前を遮った。

 

「やめんかぁ!!!通信魔水晶だ!!!」

 

申し訳あしませんと、マカロフとエルザが頭を下げている。

ルーシィとウエンディは顔を見合わせ、、頭に?を浮かべている。

 

「ハハッ。仲がよろしいんですね!!構いませんよ!!こちらの説明不足もありますし!では、説明いたしましょう!!ルーシィ・ハートフィリアさん?あなたと話したいと言う方がおられます。」

「ワザワザ、ここまで来て通信魔水晶でですか??」

「はい。本来であれば、ご本人がいらっしゃる予定でしたが、、、そうもいかなくなりまして。。。」

 

ルーシイがマカロフの方を振り返った。

その顔には笑みが浮かんでいる。

 

「スマンのぉ。わしも昨晩、真相を聞いたんじゃ。」

 

エルザも、さして驚いた様子はない。

訳が分からない他のメンバー。

依頼主の男が、とりあえず見てくださいと言って、魔水晶のスイッチを入れた。

 

そこには、見覚えのある女性が写っている。

 

『おはようございます。妖精の尻尾の皆さん。そして、ルーシィさん。』

 

その女性の後ろには、白い鎧をまとい、鬣の付いた兜を小脇に抱えた やたら姿勢のいい男性。

 

「「「・・・・お姫様??」」」

 

『マスターマカロフ殿、突然のこんなお願いを聞いていただいてありがとうございます。』

 

マカロフと、エルザは前日の夜中、事の真相を知らされていた。

一国の姫様が、一貴族の家に足を運ぶことは、当日まで伏せておきたい事だったらしい。

ボー然とするメンバーを他所に、ヒスイ姫はルーシィに目をむける。

 

『ルーシィさんお久しぶりです。突然およびたてして申し訳ありません。どうしてもお渡ししたいものがありまして。。。』

 

まだ、ボーっとしたままナツの後ろから魔水晶を覗きこむルーシィに向かって、クスクスと笑い声が届く。

 

『相変わらず、仲がよろしい様で。』

 

 

ヒスイ姫は、以前ルーシィの父ジェードと交流があったと言っていた。

実は、その時ジェードから譲り受けた蔵書が出てきたので、ルーシィに贈りたいのだと言う。

王族の仕事や、行事等で城から滅多に出ることがかなわないヒスイ姫は、アルカディオスにも内緒で、このパーティーに潜り込むつもりだったらしい。

が、、、見事ばれてしまい、、、魔水晶を通しての会話になってしまったのだ。

 

『ルーシィさんとは、沢山話したいことがありましたのに。。。。』

 

表に名前を出してしまっては、アルカディオスにばれてしまうからと パーティーの主催主と隠密で話しを進めていたらしい。

お蔭で、ルーシィ達は、またハートフィリア家に関して何らかの陰謀が働いているのかと、気を揉んでしまったのだ。

昨夜遅く、見事アルカディオスにこの事がばれ、やっとマカロフとエルザの耳に事情が伝わったというわけだ。

我ままだったと、もうし訳なさそうに俯くヒスイ姫に、窮屈な生活を強いられていたことのあるルーシィは何か通じるものがあった。

 

「お姫さまだって、息抜き位 本来の自分でいたいですよね?」

 

ナツの後ろから抜け出し、魔水晶の前に座ったルーシィがポツリと翡翠姫に話しかけた。

ルーシィの発言に、妖精の尻尾の魔導士たちは やさしい笑みを浮かべる。

 

『っ!?・・・・はい。許されないと判ってはいるのですが、、、ルーシィさんはやはり聡明ですね?!』

 

魔水晶の中で、ヒスイ姫が微かに笑うと、アルカディオスが近づいてきてヒスイ姫に何やら耳打ちし、部屋を出ていった。

それに合わせる様に、ルーシィ以外の人が部屋を出ていった。

 

「ヒスイ姫?」

『あなたは、ジェードさんの言っていた通りの方ですね!!』

「・・・父が?」

『ええ。きっと、私の気持ちを理解して、、、いい友人になれるのではないかと・・・///おこがましいですね。。。』

パッと視線をそらしてしまうヒスイ姫に、ルーシィは触れるはずのない腕を伸ばし声をかける。

「ここは、あたしとあなただけです。今、ここにいる間だけでも姫の友人として、、、お話をさせて頂いてもいいですか?」

ルーシィの言葉に、ヒスイ姫の瞳の奥がわずかに揺れた。

そして、やっと年相応の笑顔を見せてくれた。

 

屋敷の違う部屋では、パーティが始まっているようだった。

ルーシィとヒスイ姫が談笑している部屋に、男が一人 近づいてくる。

 

「マスターマカロフ殿!!」

 

白い甲冑を脱いだアルカディオスだ。

 

「・・・なんじゃね?」

「私は、姫に無理をさせ過ぎなのでしょうか?ルーシィ殿と話す姫は。。。」

「・・・そうじゃのう。。。」

「ルーシィ・ハートフィリアと言う少女は、、、不思議な方ですね。」

「・・・・そうかもしれんし、、、イヤ、ルーシィは普通の女の子じゃよ。。。。姫様ものぉ。」

 

アルカディオスは、マカロフに1冊の重たい本を預け、城に戻っていった。

今日は、急な来賓が来られることになってしまったのですよ。とこぼしていた。

アルカディオスもきっと、ヒスイ姫に少しの休日を過ごしてほしかったのかもしれない。

 

*

 

 

ルーシィがヒスイ姫と、楽しい時間を過ごしている間に、パーティーは終わっていた。

他のメンバーで、パーティの警護も滞り無く済んでいた。

 

ホテルに戻ってくる前、マカロフに渡された父がヒスイ姫を介して残してくれた本を大事そうに胸に抱いているルーシィ。

その本は、冒険ファンタジーで屋敷にいる頃ルーシィが何度も何度も読み返しては、外の世界を夢見ていたものだ。

その辺では売っていない貴重な代物で、読み返したくて探しても、見つけることはできなかった本だった。

 

まさか父が、、、この本を手元に残していたなんて、、、もしかしたら 自分と同じように(まぁ、ヒスイ姫はこの場で姫として成し遂げようとする強い意志があるのだが、、、)ヒスイ姫が姫でいる事に窮屈さを感じている様に見えた事があるのかもしれない。

 

父は、姫を通してお嬢様時代のあたしを見ていたのかもしれない。

父が、あたしを見てくれていたのだと思うと 胸の奥がじんわり暖かくなった。

 

今は、昨日や今日の朝と打って変わって、、、部屋は静かだ。

ドレスを脱ぎ捨てて、シャワーと浴び、お湯を溜めた浴槽にゆっくり浸かってから、タオルを巻いて部屋に戻った。

・・・・そこにナツがいた。

 

「よっ!!」

 

っと軽く右手を持ち上げ、ニカっと笑うナツ。

 

「ふっ不法侵入ー!!!」

 

お決まりのパターンで、ナツに回し蹴りをお見舞いして壁に沈めた。

 

「こんなとこまで来て、、、侵入してこないでよ。。。はぁ。。。まったくもう!」

 

タオルで髪を叩きながらルーシィはベットに腰を下ろした。

むくっと起き上がったナツがルーシィをじっと睨み付ける。

 

「・・・・髪乾かしてやるから、、、服着ろ!!」

 

そう言って、部屋で着替えようと用意してあったであろうたたまれている布達をルーシィに向かって投げた。

 

「ちょっ!!・・・・まぁいいわ。ってか向こう向いててよ!!」

 

素直に背を向けたナツを確認し、ルーシィは素早く服を身に着けた。

 

 

はぁぁぁぁ。

びっくりさせやがって!!

・・・・そりゃぁ、、、予告してきたわけじゃねぇけど、、、、

男がいんだから、そのままの格好でいるんじゃねぇよ!!

いつもみたいに、ハッピーいるわけじゃねぇってのに!!!!

・・・・オレと2人っきりだって、、、解ってんのか?コイツ。。。ぐっ

信用されてるのか・・・?・・・・いあ。。。男として見られてねぇのかよ。。

 

。。。はぁ。。

 

まぁ、大体は自分のせいだという認識もある。

くだらない事ならいくらでも話せるのに、肝心な時にはいつだってはぐらかしちまうのは、、、、オレだし。。。

気持ちを伝えきれない自分の不器用さが、、、、憎らしくもある。。。

こんな気持ち、、、初めてで、、本当に本当にルーシィの事が大切で大事にしたくって、、、

だからこそ、離れられねぇんだ。離れたくないんだ。

 

 

服を着終わったルーシィがナツに背中を向け座った。

前日の様に、タオルに熱を移しルーシィの髪を乾かすナツ。

 

「ねぇナツ。そう言えば、何か用事だった??」

 

黙っているナツに、少し頭を持ち上げてナツに振り返ろうとするルーシィ。

 

「んん?あぁ///・・・ほら乾いたぞ!!」

 

用のなくなったタオルを床にほおり投げたナツが、どこからかまあるい何かを取り出した。

 

「ほらっ!!」

 

それを見て、ルーシィが目をパチクリさせる。

 

「えっとな。。。さっきの依頼主のおっちゃんに聞いたんだ。。。今日はバレイ何とかって日だから、大切な奴に贈り物をするって///」

 

ナツの手には、綺麗な花冠が握られている。

 

「バレンタインね!・・・それで、あたしに?くれるの?」

「んっ。。。まぁ////」

 

だから、今日こそ、、、言葉にできない不器用な俺でも、想いを伝えられると思ったんだ。

そっと、ルーシィの頭にそれをのせる。

 

「・・・これどおしたの??」

「・・・作った。」

「ナツが??」

「おう!!結構苦労したんだぞ!!ただの花だけじゃ、面白くねぇだろ??」

 

顔を赤く染め上げたナツが、ニッと笑ってポリポリと頬をかいた。

頭にのせられたものを手に取ってみると、

 

ーアイピー

ーマジョラム

ーオレガノの花

ークロッカス

 

それぞれに愛を語る花言葉がある。

ナツは、花言葉何て分かって無いだろうけど。。。。

それに、、、これって、、、、

 

もう一度その花冠を頭にのせ、ナツに話しかける。

 

「ねぇ。。。ナツ知ってるの??古代ギリシアという国ではね?この花を使った花冠を結婚式で、花婿も被るのよ?2人でおんなじものを被って、それをリボンで結ぶの。・・・・ずっと一緒にいれるようにって///素敵な話でしょ??」

 

ねぇナツ。。。?

アンタはどういうつもりなの??

大切な奴って言われて、あたしに贈り物をしてくれるなんて////

 

すっごくうれしいのに、なかなかハッキリしないあたし達の関係に、少しの溜め息が漏れる。

 

「あぁ。それは、昔イグニールが教えてくれたから知ってる///・・・・だからそれにしたんだ///」

 

 

当たり前だ!!

きっとルーシィの事だから、この意味が解ると思ったんだ。

こんな、口下手な俺だけど、、、、お前の為に強くありたいと思っていんだ。

偽サラマンダーに引き寄せられたんじゃない。

ルーシィに引き寄せられて、ワクワクしながらあの街に向かっていたんだ。

って、お前に出会えた今なら思えるよ。。。

 

 

ナツの返答に、目の前がチカチカする。頭の中が一瞬、真っ白になった。

今、彼は知っていると言ったのだろうか??

結婚式に贈り合う花冠だと、、、好きな相手に贈るものだと、、、知っていてあたしにくれたのだとでもいうのか?

 

目の前の、愛しい人は真剣なまなざしで、ちょっと頬を赤く染めて、真っ直ぐにあたしを見ている。

 

 

「・・・・知っていて、、、あたしにくれたの?」

 

「あぁ。だから、そうだって言ってんだろ!!」

 

ぶっきらぼうに答えてくるナツは、実は相当照れているのかもしれない。

いつもは、男女を意識してもくれない ズバッとした発言であたしを悩ませるナツなのに。。。

こんな時は、とことん不器用なんだと思うと、苦笑が漏れてくる。

幸せずぎて、口元が緩んでしまう。うれしすぎて、自然と顔が、ニヤニヤしてしまう。

 

「・・・お返ししなきゃねっ////。」

 

ルーシィが、ナツに向かって笑いかける。

 

「ん?・・・別にいいぞっ!!」

 

照れたようにそっぽを向くナツ。

 

「う~ん!?そうだ!!じゃぁぁ、、、東洋のバレンタインに倣ってチョコ。。。チョコあげるね!!」

 

そう言って、ナツの手をとって、部屋を飛び出した。

 

「・・・なんでチョコなんだ??」

 

ホテル近くの、洋菓子屋へ揃って足をむける中、ナツがルーシィに質問した。

 

「ん?東洋ではね。バレンタインの日に女の子から好きな男の子にチョコを贈る風習があるんですって!!」

 

それを聞いて、あっという間に首まで真っ赤になるナツ。

つられて、ルーシィの顔も真っ赤に染まる。

 

「・・・・好きな男・・の・・子・・・?」

「////うん。好きな人にね?」

 

真っ赤な顔で、照れたように笑うルーシィは最高に可愛かった。

 

 

 

出会えたことに素直に感謝しよう。

 

 

 

ルーシィに出会えて、、、オレの世界は変わったんだ。

 

 

 

 

ずっと。

 

 

 

 

ずっと。

 

 

 

 

一緒にいよう。

 

 

 

 

お前を笑わせてやるから!!

 

 

 

 

 

おまけ 

 

再度、真夜中に侵入したルーシィの部屋で、、、

チョコの包みについていたピンク色のレースのリボンを花冠に結び付けルーシィの頭にのせた。

もちろん、リボンのもう片方の端は、しっかりとナツが握りしめた。

 

照れてしまって、やっぱり言えなかったひとこと。

 

「好きだぞ!!」

 

そして、今無性に伝えたいひとこと。

 

「すっと一緒にいてくれな!!」

 

幸せそうに、布団にくるまる愛しい彼女の頬に触れる。

 

ただ、そこで、自分を好きだと洩らしてくれた彼女の寝顔を眺めているはずが、、、睡魔に引き込まれ朝を迎える。

 

 

 

 

 

ナツがいないんだ~!!とルーシィの部屋に飛び込んできた青猫が、目を細めて笑う。

 

 

 

 

部屋の中では、ルーシィが人差し指を口の前で立て、『しー』と、微笑んでいる。

 

 

 

「まったくぅ。。。お似合いだよ!!」

 

 

 

しっかりリボンを握りしめたまま幸せそうな顔で眠る相棒と、、、その桜色の頭を彼の愛しい彼女が、こちらも幸せそうに愛おしそうに撫でていた。

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

お粗末様でした。ギリシアの花冠の話しは、昔聞きかじった話ですので、真実とかけ離れていたら

すみませんm(__)m   moのオリジナル設定だとでも思ってください(*´Д`)

無駄に花言葉とか、神話とか イグニールがナツに叩き込んでいると、、、萌えます(´▽`*)

そして、、、、気が付いた。ナオトインティライミさんの『君に会いたかった』に、ナツの気持ちがシンクロしました!!Σ(・ω・ノ)ノ!

狙ったわけではないのですが、、、、最早、ナオトさんのファンになりそうです(´艸`*)

 

 

 

 

 

 

 

bottom of page