2014年6月23日
“ギシリ”
ある夜のお話。ナツだってねぇ?
スプリングの軋むような音が耳に入ってきた。
その音に、奥底に沈んでいたはずの意識がわずかに浮上した。
意識だけぼんやりする中、まだ体は動きそうにない。
ルーシィはあまり動き出そうとしない意識のまま、ぼんやりと思いだしていた。
(そう言えは、、、今日はあいつら泊ったんだっけ。。。??)
“ギシリ”
今度は思いのほか近い位置からの音に、思考しはじめた意識が持っていかれる。
自分の直ぐ脇のスプリングが人の体重をうけて深く沈んだのを感じていた。
(・・・・ふへ??)
ルーシィがなんだろうと考える前に、自分よりも幾分高い体温に包み込まれた。
(・・・もう。。。こうやって侵入してくるのね。。。///)
その体温は微睡む意識の中でも、布団の中にナツが侵入してきたのだと悟ることができた。
不法侵入を繰り返し、いつの間にかダメだと言っても泊まっていくようになったナツとハッピー。
さすがに同じベットで眠るのは、年頃の娘としてはばかられる。が、ルーシィとしては実はそんなに嫌ではない。
相手はあのナツだし、無遠慮に触れてくるが決して、男女のそれとは違う。身の危険も感じないため、ルーシィからすれば許容の範囲内であった。
まぁ、決して口に出しては言わないが、、、ナツの暖かい体温はルーシィにとっては心地のいいものだった。
それは、大好きな男の子の体温だからかもしれない。
ナツとルーシィは恋人ではない。それでも、ルーシィがナツに恋しているというのも事実だ。だからこそ許してしまうともいえる。
それに、ナツもどういう了見だかははっきりしないが、明らかにルーシィを特別扱いしている。それは、ルーシィ以外には周知の事実だし、、、実はルーシィも気付いている。
ナツが布団に入ってくると、ギュッと抱きしめられ逞しい腕が頭にまわされた。ルーシィはナツの体重をうけて沈むスプリングの上で目を瞑ったまま寝心地を確かめる様に寝返りを打つと、いつの間にかナツの腕がルーシィの首の下に回った。
その心地いい感触に落ち着く場所を定めて、ルーシィは再び深い眠りに沈んでいく。。。はずだった。。。
そう。
いつもはいつの間にかナツが布団に入り込んでいたのを、朝になって築くのだ。
が、今こう直に意識してしまって、ルーシィの頭には血が集まってしまい、到底眠れる状態ではなくなってしまった。
身じろいだ時にナツに背を向けたので、赤くなったであろう顔を見られることはなかったバズが、、、顔を向けた先でハッピーの尻尾が揺れくすぐったくてたまらない。
たまらず寝返りを打つと、鼻さきに熱い息がかかった。
すれすれの位置に、ナツの顔があることが容易に想像できてしまい、ルーシィは固まってしまった。もう1ミリも不用意に動けない。
動けば自分の唇がナツのどこかに、、、もしかしたナツの唇が自分の顔のどこかに当たってしまう。。。。
ルーシィは恥ずかしさと緊張に思考が止まってしまう。鼻先に伝わるナツの体温と唇にかかるナツの寝息。。。。
そうだ!少し体を離そう!!と思った時、ナツの腕に力が入りその距離のまま固定されてしまった。
ナツのその行動に驚きのあまりルーシィは目を見開くと、スヤスヤと寝息と立てて瞼を下ろしているナツが目の前にいるだけだ。
超近距離であるが、ピクピクッとたまに動く瞼と、むにゃむにゃと口を動かすしぐさは、見慣れたナツの寝姿そのものだ。
決して起きていて、ワザとやっている様には感じなかった。
ガッチリと固定されてしまったが、気持ちよさそうに眠っているナツを起こすのも忍びなくなってしまって、ルーシィは諦めたように体の力を抜いた。そして、ナツの顔を近距離に目に映しているのにも照れがあり、瞼を閉じだ。
・・・・心地いいナツの寝息のリズムに、いつの間にか自分の呼吸も同じリズムを刻み始めると、ルーシィの意識はまた微睡み始めた。
*
*
*
*
『ちゅっ』
*
*
柔らかく暖かいものが唇に・・・触れて・・はなれた・・・?
(え・・・???)
『ちゅっ』
またそれが触れて離れていく。
ガッチリと自分の首の下に回っているナツの腕と腰に絡まっているナツの腕が随分熱くなっている。
あたしの後頭部を捕まえている熱い掌がじっとりと汗ばんでいる。
(え?ナツ。。。起きてる・・・の・・・?・・・えっ??)
そっと薄目を開けると、目の前で顔を赤く染め上げ、ギュッと目を瞑ったまま唇だけを突き出すナツの姿があった。ルーシィの目が呆気に囚われたように点になる。
「///ふっ・・ナツ///?」
そのナツの表情の可愛さに、勝手に唇を奪われてしまった怒りなどすっかり飛んでしまった。怒りや焦りなどは微塵も感じず、ルーシィは瞼を持ち上げた。
ルーシィの声に、ギュッと瞑っていた瞼を持ち上げナツは、その視界にルーシィを捉えた。
「あっ///いあっ///」
起きているとは思っていなかったのだろう。
普段であれば、何をやっても素知らぬ顔をしているナツが、珍しく焦っている。
何より珍しいのが、耳どころか首まで真っ赤に染まっているのだ。
いつだって思わせぶりな態度で、自分を振り回しているナツがだ。
「あっ///」やら「いあっ///」やら繰り返すナツに、ルーシィは心の中で苦笑を漏らした。そしてその様子に加虐心を刺激されちょっとした悪戯心をのぞかせた。
何て事の無い。・・・・・・かわいい仕返しだ。
「ナツ。なに・・・したの?」
勝手に唇を奪ったのだから、それには意味があるんでしょ?
だいたい、この際はっきりナツに言ってもらいたい。
ナツに言って欲しい言葉があるんだ。
「あのっ//えっ。。。いあっ///」
「・・・いつもこんな事してるの?」
淡々とした口調で、言葉を繋げてていくと、ナツは一層焦って額にじっとりと汗をかきだした。でも、今言ってもらわないと、、、また機会が無くなっちゃうかもしれないの。自分の中ではとっくに答えの出ている気持ち。ナツは?ナツもでしょ??
「えっとぉ。あの。・・そのぉ・・・。」
バツが悪そうな顔をしているナツ。
あたしを抱え込んでいた逞しい腕にカキンと力が入っているが、微動だにしない。
この反応は、、、きっと初めてじゃないんだ。。。・・・・もう!!
あたしのファーストキスはいつ奪われていたのだろうと、またも心の中で苦笑する。
「いつから?」
「えっと、、、うわっ・・・そのぉ///」
普段からは考えられない程のはっきりしないナツの態度に、もう耐えられない!!
ルーシィがクスクスと笑いだすと、ようやくナツの肩に入っていた力が抜けてきた。
きっと怒っていると思っていたのが、そうではないと知って気が抜けたんだろう。
「ねぇ。まさか毎回こんな事してたの?」
「うっ///ワリィ。。。」
言葉を詰まらせながらも、謝罪するナツになぜか違和感を覚えるルーシィ。
その言葉が欲しいわけじゃない。・・・・もっと言って欲しい言葉があるのに。
「誤って欲しいわけじゃない!!」
「ふへっ?」
つい漏れた言葉に、ナツの間抜けな声が返ってきた。
ナツの目が点になっている。
「もう///だから~、なんでこんな事するの?」
早く言って欲しい!ルーシィの顔にも熱が集まりだしている。
きっと真っ赤に染まっているんだろう。
問い詰めているはずが、わずかにルーシィの声も震え始めている。
あたしの事・・・・・どう思ってるのよ!!
思案するナツにむかってダメ押しだ。
「・・・あたしじゃなくてもする??」
「んな訳ねえだろ!!」
ナツが大きな声を出した。
はっきりと即答が返って来た。
なんだかおかしくって、でも何だか嬉しくって、ルーシィの眉毛は下がったままだ。
胸の奥でトクリトクリと心臓が大きな音を立てている。
でも、落ち着け!!落ち着けあたし!!
ルーシィは小さく息を吐き、ギュッとした唇をかんで目を潤ませたまま微笑んだ。
「ねぇ。ナツ?」
「あー!!わかった。わかったからちょっと待て!!」
ナツは徐にベットの縁に掛けてあったマフラーを引っ張って取ると、ルーシィに向かって手を伸ばしてきた。。。
と思ったらルーシィの頭を通りすぎ、何かを捕まえグルグル巻きにした。
「ふぎゅっ!!ふが!!・・・!!!・・!!!」
ハッピーのちょっと苦しそうな声が、もごもごと聞こえなくなっていく。
「えぇ!?ハッピー!?」
ルーシィが慌てて振り返ろうとすると、ナツの熱い息が耳に触れた。
どうやら、ルーシィ以外には、聞かれたくないいという事なのだろう。
ルーシィの耳から顔を離すと、ナツは顔をみられない様にギュッとルーシィを胸に抱きかかえた。
ルーシィの頭の後ろで、もごもごと何かを叫びながら、身動きできずに暴れるナツの相棒を尻目に、ルーシィはナツ腕の中で、「嬉しい!!」と囁いた。
『ずっと。出会った時からルーシィが好きだ!!』
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ハッピー不憫!!!書きかけで、フォルダに眠っていたのを発掘したww
途中から文章が替わってるかも(*‘ω‘ *)てへへ。まあ、暖かく見守っていて♡