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moのお誕生日に、いただきましたトコヤさんのめっちゃわいいナツルです!!


『指先で奏でる愛のメロディ』



「……でさー」
「へー。だったら……」
「……そーかもしんないけどさー」
「だってそうだろ?じゃねえと……」
「……あー。そう言われると確かにってなるわ」
「だろ?そしたら……」
「……ぷっ。何よ、それー」

カラカラとルーシィが笑えばナツもつられて笑う。
一頻り笑い合った後、ナツは不意に己の腕がつつかれる感触に気付いた。
首を傾げてそちらに目を向ければ、ルーシィがまるでピアノの鍵盤を軽やかに叩いて音楽を奏でるような手付きとリズムでテーブルの上に投げ出されていたナツの左腕を指先でつついていた。

ポロンポロンとそこから小気味良い音色が聞こえてきそうだ。

小さな鼻唄交じりでルーシィは指先でナツの腕をポンポンと叩く。
痛くもない、若干むず痒さを覚える感触はしかし、何処と無く気分が落ち着くようでいて。
ナツは口をつぐんでルーシィの動きをぼんやりと眺めていた。

心地好いソプラノの小さな鼻唄。
軽やかに滑るように動く指先。
そこから奏でられる軽快なリズム。
強くもなく弱くもない、かといって不快に感じない腕への小さな圧迫感。
時折肩が触れ合う距離。
星のようにキラキラ輝いている双眸は残念ながら閉ざされている。
しかし、動く度に僅かに揺れる睫毛はその長さを物語っていた。

(……睫毛も金色なんか)

どうでもいい事だが、それはナツにとってとても重要な事実に思えた。

(っつーか、睫毛長ぇ)

ナツは構われていない方の手を伸ばし、ルーシィの長い睫毛に人差し指の背で触れた。
自前のそれは柔らかく擽ったく。
もう一度、と再び手を伸ばしたらルーシィは少し驚いた様子で動きを止めて目を見開きパチクリと瞬きをした。

「もう。何すんのよ」
「いあ、睫毛長ぇなって」

懲りずに再度手を伸ばすもルーシィは、嫌、と顔をずらして避けた。

「避けんなって」
「嫌よ、なんか」
「なんかってなんだよ。オレの腕にメッチャつついてきたくせに」
「そ、それとこれとは話が別ですー!」
「はあ?意味分かんねえぞ」

ナツは呆れてため息をついた。
それでもやられっぱなしでは性に合わないらしい。
顔を顰めながらも負けじと三度と手を伸ばし、睫毛に触れると見せ掛けて柔らかい頬に武骨な掌を添えた。
強弱を付けて触れれば、滑らかな肌の感触が掌に伝わってくる。
徐々に頬が朱に染まる様子を珍しげに眺めつつ赤く染まった目元を親指で撫で付ければ、ルーシィは少し困ったように形の良い眉をひそめて目線だけを自身真横に向けた。
己から視線を逸らされ、まるで蔑ろにされたようでナツは不機嫌そうに眉間に皺を寄せて口をへの字に曲げた。

「おい」
「な、何よ」
「何で目ぇ逸らすんだよ」
「だ、だってあんたが」
「いいから、オレを見ろ」

ナツは自分の思い通りにならずに不貞腐れる子供のように只ムキになっているだけだった。
その証拠に、頑なに己を見ようとしないルーシィの両頬を掴んで無理矢理真正面を向かせた。それでも視線をさ迷わせるルーシィに苛立ちながらも自発的にこちらを見るまではこのままの状態で居続ける魂胆でナツは口を堅く閉ざしじっと見つめた。
勿論、先に音を上げたのはルーシィ。

場所はギルドであり、勿論仲間達の視界に入っている。
これ以上公開処刑の羞恥に耐えきれず、ルーシィは泳がせていた視線を上げ、いい加減離しなさいよ、と両頬に添えられた武骨な手を引き離すべくその上から自分の手を置き口を開いた。
しかし、思いの外目の前の少年は真摯な眼差しを向けていて。
らしくもない大人びた表情にルーシィは、ひゅっ、と息を飲んだ。

「?ルーシィ?」
「あ、う」
「どうした?顔が熱いぞ?」
「う、う」
「『う』?牛が食いてえんか?」
「ちが……」
「じゃあ何だよ」

苛立ちを含んだ棘のある言葉とは裏腹に、ナツはゆっくりと顔を近付けコツリと労るようにお互いの額同士をくっ付けた。
途端、互いに息が顔に掛かり合う距離。
これではルーシィは言葉を発するよりも息を整える事に専念するしか出来ず。
再び無言を貫き通し始めたナツに対してルーシィは何とか喉を振り絞り声を出そうと唇を震わせる。
通常ならば誰も気付かない些細な仕草ではあったが、五感の優れた滅竜魔導士ナツ・ドラグニルにとっては充分な反応として受け取り。

ギルドにいた仲間達全員が完全に二人から目を離した一瞬の時を見計らい、躊躇なくナツはルーシィのそれに己の薄い唇を押し付けた。

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