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15.11.28 コラボ企画 あきちゃんこと、ご存じakiraさんと♡ 文章はあきちゃん→moの順です。さて、何処からどこまでどっちが書いたのでしょうかwww←
 

 

見つめる先

 

「綺麗…」

 

言葉と共に微かな吐息が鼻先にかかる。

 

“ゾワリ”

 

えもいえぬ感覚が背を駆け上り、思わずナツは眉間に皺を寄せた。

完全に脳へと到達する前に無理矢理声を絞り出す。

 

「…しつこいぞルーシィ」

 

不機嫌を全面に押し出して溜息混じりに低く告げれば、微かな風の流れから目の前の気配がす、と身を引くのが分かった。

 

けれど、視線だけは相変わらず注がれたまま。

暗闇の中でも感じるのだから相当夢中で見つめているのだろう。

 

普段なら喜んで受ける所なのだが生憎と今は勘弁願いたい。

 

痛い程ささるそれを掌で遮る。

ほんとに綺麗――なんて言われても、嬉しくもなんともない。

それに、そろそろ本気で嫌気がさしてきた。

 

――この状況

 

実は先程から何度となく繰り返しているからだった。

 

 

事の始まりは朝。

 

新しく開店する小さな雑貨屋へ手伝いに行くと言うルーシィに便乗してナツも着いて行った。

あっちへこっちへ忙しなく立ち回る姿を目に入れつつ自分も手を動かしていると、視界の端でぐらりと金色がよろめいた。

お世辞にも広いとは言えない店内。大股一歩で軽く飛んで、危うく床に頭突きを食らわそうとしていたルーシィの手首を掴む。

 

引き寄せて支えてやると彼女の肩ごしから床に小さな窪みがあるのがうかがえた。

 

どうやらこの窪みに蹴躓いたらしい。

 

***

 

「ふわぁ!! ナイスキャッチだねナツッ!」

 

見事自分の腕の中に納まったルーシィの綺麗な金糸が揺れている。

 

「ったく気ぃつけろよなぁ」

「へへへっごめんねっ」

 

フワリと揺れた金糸が、腕から逃れて行ってしまう。

 

――んだよ

――もうちっとくっ付いててもいいのにな…

 

名残惜しそうに、先程までルーシィを抱えていた空洞を眺め、再びルーシィに視線を移した。後ろからでも彼女の耳が真っ赤に染まるのが視界に映ると、ナツはまぁいいかとニンマリと笑みを浮かべた。

 

窓から差してきた陽の光が、天井からつるされている――ルーシィが言うには、まじないの飾りらしき――もの、そのカラフルな変なものに反射して店内に、複雑な影を作っている。

 

――ごちゃごちゃしてて、歩きずれぇな……

――燃やしちまうぞ……いぁ殺されるな…

 

何だかんだ思いながらも、ナツは天井につるされた色も形も様々なまじないのかかった飾り物を見渡した。すると丸い木の輪に鮮やかな赤い羽根が飾りにつけられ、大きな水晶が真ん中に嵌められている飾りに陽の光がちょうどナツの目に反射してきた。

 

「おわっ」

「…なにっ?」

 

まぶしさに目を細めると、自分の口から上がってしまった驚きの声にルーシィが慌てて駆け寄ってくるのが見えた。

 

――おいっ

――そこの窪み……

 

スローモーションのように目に映るルーシィの足が、先ほど躓いた窪みに再び――

 

「っ!! きゃぁぁ!!!!」

「同じとこで、躓くなよっ!!」

 

無事キャッチできたは良いが、ルーシィを抱えたままナツは尻餅をついた。その拍子に丁度ナツの頭上にあった飾りが揺れ、落ちてきてしまった。

 

「っ!! あぶねえっ!!!!」

 

とっさにナツは、ルーシィを抱え込んでその落下物からかばった――自分がぶつかることもいとわずに――

 

 

 

その結果がこれだ――

 

 

 

 

 

「うがぁぁ…くそっ! 好きにしやがれってんだっ」

「……そんなに怒んなくっていいでしょっ……きれいなのに……」

 

「あのなぁ……オレは何にも見えねぇんだぞっ」

「まぁ、そうよね……」

 

「ってか、仕事戻れよ…」

「休憩中! ……あんたのせいで、早めに休憩いれてもらったんでしょうがっ」

「へいへい」

 

――ナツから見えないから、こんなに近づけるんじゃないっ

――案外、肌がキメ細かいのよね……やっぱりいつも体動かしてるからかしら……

 

そっと手を伸ばしてみるが、触れることは恥ずかしくてできない。だが、どうせ相手からは見えていないのだからと、ルーシィはいつもよりも近い距離から、ナツのガラス玉に変わってしまった目だけではなく、ナツ自身を眺めていたのだ。

 

――あっ……胸のとこほつれてる…

 

そっと手を伸ばすが、また触れる直前で手を引っ込めた。

 

――何か見えてなくっても、触ったら捕まえられちゃいそうだしなっ

――まだ……見てたいし…

 

――大体ナツってば、結構可愛い顔してるのよね……

――意外と…唇も柔らかそう…

 

ルーシィは胸をドキドキとさせながら、人差し指を立ててナツの口元に向かって伸ばした。先ほどから文句を言っていたナツも、いい加減文句を言うのが飽きたのか、もしくは眠ってしまったのか反応がなかった。

 

人さし指の先触れるか触れないかのところに、ナツの唇がある。

 

――やだっ……恥ずかしい……けど

――何か、やめられないかも…

 

ほうっと、柔らかい息がナツの頬に揺れた。

 

「ナツ……? 寝てるの?」

 

ナツの目には、先ほどと変わらずきれいなガラス玉がはまっている。そして返事はない。

 

「……寝ちゃったんだ…」

 

その時名を呼ばれたことに遅れて反応したのか、ナツの口元がむにゃりと揺れた。ルーシィの伸ばした指先に柔らかいものが当たる。

 

――あっ

――柔らかいけど……ちょっと硬いのかな?

――やっぱ、男と女じゃ違うのね

 

ルーシィは何の気なしに、自分の唇にも触れてみた。ふにゃりと柔らかい。

 

――やっぱりあたしの方が、柔らかいかもっ……

―― あっ//////

 

唇に当てた人さし指を見て、ルーシィはボッと真っ赤に顔を染めた。その指先は先程ナツの唇に触れた指だ。

 

――ひゃぁぁぁぁ///

――これって……関節キッ……//////

 

チラリとナツの顔を覗けば、綺麗なガラス玉に光が反射していた。

 

――まっ解んないかっ

――フフッ

 

もう一度、確かめるように人さし指を自分の唇に押し当てた。

 

そして、眠ってしまったナツをそこで待たせ、ルーシィは依頼の仕事に戻った。仕事を終え再びナツの元へ戻ると、そこにはいつものナツが待っていた。

 

 

「おせーぞルーシィ」

「あっ……戻ったんだ…」

「おう。もう綺麗とか言わせねぇし……ほらっ」

 

ナツの手の中で、ガラス玉が2つ揺れた。そのガラス玉をルーシィはつまみ上げた。そこへ依頼主が、小さな袋をもってやってきた。

 

「ルーシィちゃんお疲れさま。ナツ君も、最初はお手伝いありがとうね。はい。報酬だよっ」

 

依頼主はルーシィの前まで来ると、持っていた小さな袋を渡した。そしてナツへと振り返った。

 

「それ面白いだろ?」

「……面白くねぇぞ。何も見えなくなるだけだし」

「あはは。本来は起動している間、そこに映る映像を残しておくものだから。目が見えなきゃ録画中は面白くないかもね」

「あ?」「……え?」

「そのガラス玉を、光にすかしてごらん。きっと起動中……ナツくんの目になっていた時に、ガラス玉に映っていた映像が残っているはずだよ」

 

店主のその言葉に、ビクリと肩を揺らしたルーシィは、ガラス玉を握りしめたまま後ずさった。

 

「おいルーシィ…」

「え? えヘヘ……ムリッ」

 

どうせすぐに追いつかれるのはわかっているのに、ルーシィは慌ててナツから逃れようと走り出した。

 

 

――ヤダヤダ///

――あたしってばなんであんな事しちゃったのっ//////

 

小さくなっていく背中に向かって、ニヤリと微笑むとナツも地面を蹴った。

 

「おっちゃん。あんがとなっ」

「おう。気をつけて帰れよっ」

 

 

 ――何かやってたのは、気配で分かってんだっ

――ゼってェ捕まえるっ!!

――んで、ルーシィがどんな顔してたか確かめてやるっ

 

 

 

 

Fin

じゃーん(*’▽’)♡

akiraさん→mo のリレーです♡

akiraさんの世界観に合ってるといいのですが…と、ドキドキしながら、楽しく書かせていただきましたっ♪

内容は、表紙の逆な感じになったわ(そう言えば)♡

あきちゃんありがとう~( *´艸`)♡

 

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