2014年04月11日
彼と彼女とアタシとアイツ～下～
ナツ→←ルーシィのナツルーと、ジュビア→→→←グレイのグレジュビ？です。
マガスぺを読んで、衝動的に書きはじめました。。。どうだろうか。。。結局みんなで、きゃいきゃい騒いでるだけの様な。。。。
オリジナルの魔法などの設定があります。何でもこいの方のみお進みください。
お目汚し失礼しますm(__)mどぞ ^^) _☆~~
洞窟の中を、上へ上へと足を進めた。
激しい登り坂が、体力を奪っていく。
ましてや、洞窟の中の気温は どんどんと熱くなっていた。
先程目に映した 綺麗な光景には、氷もあったと言うのに。。。
むんむんと漂う熱気に 氷の魔法を使うグレイは ぐえっと頭をたれ、ルーシィの額にも大粒の汗が滲んでいる。
「グレイさま。大丈夫ですか？」
眉を下げ、心配そうにグレイの顔を覗きこむジュビア。
そっと手を伸ばして、グレイの額に掌をあてた。
「うおっ。・・・あちぃな。」
手をあてられた方のグレイは、反射的にジュビアの手から逃れた。
「はっ！！すっすみませんグレイ様！ジュビアの身体は水なので、温められると、、、ドンドン熱くなってしまうのです。」
ジュビアの顔がうっすら赤くなっている。
・・・のぼせているのかもしれない。
「えっ！？それって、、、大丈夫なの？ジュビア！！」
その会話を聞いて、ルーシィは身を乗り出した。
「ねぇナツ！ジュビアって沸騰したら、蒸発しちゃうのかなぁ？？」
「おっ？試してみるか？？」
ルーシィの心配を他所に、少し離れたところにいたナツが、手に炎を出して近づいてくる。
「ちょっと！コラッ！！やめなさい！！・・・まったくもぉ～！！」
近づいてくるナツの足を止めようと、ルーシィがナツの前に立場だかった。。。
「何だよ試してみようぜ？」
「あい。ナツ蒸発しちゃったら、ジュビア小さくなっちゃうのかな？？」
「おっ！そんなのみてことねぇな！！どうなんだぁ？？」
「もう！！馬鹿なこと言ってないで、その炎引っ込めて！！それでなくっても暑いんだから。。。」
「・・・ちぇ。。お前ら貧弱だなぁ～。このくらいの暑さで。」
そういいながらも、ナツも汗をぬぐった。。。
ナツとルーシィとハッピーがじゃれ合っている脇で、ジュビアの身体がフワッと、ヒンヤリした手に支えられた。
「仕方ねぇな。ちょっと冷やしてやるから、じっとしてろ！！」
正面からジュビアの肩に手を置き、グレイが魔力を練り始める。
ぐらぐらと茹りそうなジュビアの身体から、熱気が覚まされていく。
うっとりと、とろけた視線でグレイを見つめるジュビア。
その視線に頬を赤くしながらも、目線をそらしてグレイは、視界に入ったルーシィに声をかけた。
「姫さんも、ついでに冷やしてやろうか？」
「え？」
と嬉しそうにルーシィは振り向いた。
がそのまま固まる。
グレイの肩越しに・・・・・・ジュビアが、こちらを見ている。。。。
その目からは、
『こいが～た～き～！！』
と言うジュビアの声が聞こえてきそうだ。。。
「いあ。。。きょっ今日は、、、遠慮しておこうかしら？？」
「プフフッ。ジュビアに首絞められちゃうよね？！」
ルーシィの額から、じっとりと汗が流れ落ちた。
ハッピーと笑い合いながら、ルーシィはナツが腰を下ろしているその隣に腰を下ろした。
？？心なしか、ナツの顔が赤い気がする。。。。
「ナツが座ってるなんて、、、少し休憩するのね？」
「ん？あぁ。。。そうだなっ」
「プフフッ。ねぇルーシィ。」
「なぁに？猫ちゃん」
「ルーシィ。たまにはナツに、膝枕位してあげればぁ？？」
「「！？はぁぁ？？」」
反射的にルーシィが、後ろに体をのけぞらせた。
青猫が、ニヤリと厭らしい笑みを浮かべている。
バランスを崩しながらも、転けまいとルーシィは、体の後ろに手をついた。
ニュルッとした、なんとも気持ち悪い感触がする。
一瞬にしてルーシィの身体は、鳥肌に包まれた。。。
「％＃!"#$%！？！？」
言葉にならない叫び声をあげ、ルーシィはつい握ってしまったものを投げ捨てようと手を振り回している。
あまりのご乱心ぶりに、ナツが声をかけた。
「おいぃ！！落ち着け！！てか手ぇ離せばいいじゃねぇか！！」
パニックになりながらナツに振り向いたルーシィはそのまま、ナツの胸に飛び込んだ。
顔をその逞しい胸板に擦りつけ、蛇が絡められたままの腕を振り回し続けている。
「おっ！？///・・・おぉ。そのまましがみついとけ！！」
ナツがルーシィの腕を掴み、その手に絡みついている蛇を掴んで、離れたところに投げ捨てた。
「ほらっ。とれたぞ！！」
「あっありがと。。。」
ナツに抱きついたまま、ルーシィは眉毛を下げ 蛇の動向を伺っている。
「プフフフッ。ルーシィ大胆だね！！！」
「？？・・・・・！？キャッーーー！！！」
ハッピーの発言に顔をあげたルーシィは、自分から抱きついたくせに、ナツの肩を押しのけた。。。
「あれ？？ナツ体熱すぎない？？」
「んあ！？・・・お前声、、、うるせぇ。。。」
声も何処か力が入っていない。
そう言えばさっきよりも、顔が赤い、、、と言うか黒い？
「え？？ナツ！！！」
「・・・あれ？？」
「ナツーーー！！」
ナツがそのまま後ろに倒れ込んだ。
熱で目を廻してしまったようだ。。。
火竜のナツが。。。。
その額に手をあてると、焼けるように熱い。
よく見ると、先ほど手当をした肩に巻いた包帯が、変色している。
慌ててその包帯をどかすと、肩のキズが黒くただれている。
「ナツ！！・・・！？ジュビアは？？」
「あい！オイラ確認してくる。」
慌てて、ハッピーがグレイとジュビアの元へ飛んでいく。
ーこのキズ。。。
ー先程の毒が残っていたのかもしれない。
慌てた様子で、グレイがジュビアを抱えて来た。
「ルーシィ！！ジュビアの様子が！！！」
「うん！ナツもなの！！」
ルーシィは、腰にぶら下げている銀色の鍵を手に取った。
「開け！南十字座の扉！クルックス！！」
『リンゴーン』
扉を潜って、ロザリオの様な見かけの星霊が現れた。
「ディアー、「クル爺！！さっきの解析おわってる？？」
「・・・完了してホマ！」
「教えて！！」
「化け蛸の毒は、命を奪うようなものではないホマ。」
ルーシィとハッピー、グレイは顔を見合わせてホッと小さく息を吐いた。
「でも、すっごく苦しそうだよぉ。」
ハッピーがしょぼんとしたまま、ナツのむき出しの肌を突いた。
「それは、火傷の症状ホマ。薬を塗って少し休むホマ。熱が高いようなら冷やすホマ。一晩くらいで熱は治まるホマ。」
「・・・わかった。この症状どれくらい続くのかな？」
「本人の体力次第ホマ。毒は、死に至るものでは無いホマ。しかし、火傷による高熱で体調を崩し重症化することもあるホマ。」
「うん。ここで看病するしかないのね。。。」
「ルーシィィィ。。。」
「クスッ大丈夫よ！！２人の看病しっかりしましょ！！元々２人とも強いもの。。。」
「・・・あぁ。一緒に看病してやるか！！」
「クル爺ありがとう！！」
「・・では、失礼するホマ。」
南十字星の星霊は、塗り薬と包帯など、看病に必要なものを置いて星霊界に帰っていった。
横になれそうな場所に移動し、そこにナツとジュビアを運んだ。
油断すると、ジュビアの身体は熱を持ち始める。
グレイが地面に座り、その足の間にジュビアを抱え込んだ。
なるべく広範囲を冷やしてやろうと言うのだろう。
グレイが、やさしい表情を浮かべている。
その光景を、ルーシィは頬を赤く染めながら見ていた。
ナツの額にグレイに出してもらった氷を置きながら、クフフとルーシィは内心ひやかしたい気持ちでいっぱいだった。
後で、熱がさがったら ジュビアに教えてあげなきゃ！！
あっ。。でも、熱ぶり返しちゃうかしら？？
フフフッ。
あんなに大事そうに抱え込んで、、、、
「ねっ。起きてる時にそうしたら、ジュビア沸騰しちゃうんじゃない？？」
「・・・冗談じゃねぇ。。。今だって仕方なく。。。」
グレイが、ジュビアの顔を覗きこむ。
スヤスヤとした寝顔が、不意に眉をしかめた。
「・・・ぐれいさまぁぁあ、、、じゅびあは、、、じ、、、あは、、、じゃ、、まですかぁぁ・・・」
途切れ途切れのその言葉は、ジュビアが夢を見て魘されているのだとわかる。
（そんな風に、、、、思ってたのかよ。。。）
「・・・せめて、、、お、、そば。。にぃぃぃ。。。」
眠ったままのジュビアの目から、透明な雫が流れた。
少し熱が下がってきたことで、夢を見ているんだろう。
クル爺の持ってきてくれた熱さましが効いてきたのかもしれない。
「ねぇグレイ。聞いていいかな？」
「・・・あんだ？」
「何をそんなにためらっているの？」
「ためらう？」
「うん。ジュビアの事、嫌いじゃないんでしょ？？」
「・・・まぁ。」
「他に好きな人でもいるの？？」
「・・・・いや。。。」
グレイが頬をかきながら、視線を上に逃す。
「すっ好きでもない奴と、付き合えるかよ！！」
「う～そ！！どっちかっていうと好きなんでしょ！」
「あい！！見てればわかるよ！オイラにも。」
「うん。ねっ！始めはどうかな？って思ってたけど、最近は、もう当たり前っていうか、ジュビアを容認してる感じ？？だって迷惑そうじゃないよ？気付いてないの？？。。。」
「あい！グレイ楽しそうだよ？」
「・・・・・。（言葉がでねぇ///）」
グレイが黙ってしまったことで、会話はそこで終了した。
ルーシィとハッピーは、ナツの寝顔を覗き込んでいる。
いつの間にか、ルーシィの太ももには桜頭が乗っている。
どうやらハッピーが、仕組んだようだ。
はじめは、真っ赤に顔を染めていたルーシィ。
でも、どこか嬉しそうに桜頭を撫でている。
（・・・自分達だって、、、どうなんだよ。。。）
グレイは、自分の足の間で、再び気持ち良さそうに寝息を立てているジュビアの顔にかかった髪を摘み上げ、耳へと掛けてやった。
（やらけぇ髪だなぁ。。。サラサラだし。。。）
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なんかボロボロだな。。。。( ;∀;)グレイの微妙な気持ちｗｗ
＊
今回の依頼は、依頼人自身が１０年前に植えた花の採取だった。
花の名前や詳細は不明。
１０年前はただの種だったので、花が咲いた処を依頼人自体 見たことがないのだという。
種を譲ってくれた友人が言うには、氷の中にだけ 咲くことのできる炎の花。
氷から出してしまうと、途端に花を 炎を失ってしまうのだという。
この種をくれた大切な友人は一度だけ写真でこの花を見て、依頼人にも見せたいと 何とか種を手に入れたのだという。
ただ花を咲かせるには、１０年という長い年月が必要だった。
その上厳しい環境、熱気と冷気が混在する場所でしか咲くことがないのだという。
友人は自分の力だけではその貴重な花を咲かせることが難しいと、依頼人に頼んだのだという。
依頼人はその願いをかなえる為、この山を手に入れ、誰にも邪魔をされないように洞窟の入り口を隠していたのだと言っていた。
この洞窟と言うか、この山ごと依頼人の持ち物なのだそうだが、その環境が必要だったのだ。
現在、その友人は病にふせっているのだそうだ。
先が見えない病。。。。
その・・・・友人に、、、大切な人に、その花を見せてやりたいのだという。
その大切な存在は、この１０年の間にファーストネームを依頼人と同じものに変えた。
いつでも依頼人の隣に居て、支えてくれていたのだ。
そんな彼女の願いだ。
大切な人の為にと。。。
何としても、その願いをかなえてやりたい。
依頼人は、深くルーシィ達に頭を下げていた。
＊
そろそろ、夜になる時間だった。
クルックスの説明によれば、一晩で症状はあらかた落ち着くと言っていた。
ルーシィとグレイは、この時間 順番に休むことにした。
先程の場所と違い、嫌な雰囲気や気配はなかったが、念の為見張りを立てることにしたのだ。
陽が落ちる時間になると、茹だるように暑かった気温も落ち着きを取り戻し、少しの肌寒さも感じる。
先に休めとグレイに促され、ルーシィは壁に背を預けた。
ジュビアの体を冷やすために出される冷気が、ルーシィ達まで届いていた。
まだ、グレイは安心できないのだろう。
ジュビアの体温が安定するまで、グレイが休むことはないだろうと、ルーシィは内心思っていた。
膝の上の桜頭は、スヤスヤと寝息を立てている。
その腹の上で、青猫も丸まって瞼を下ろしていた。
ナツの熱はすっかり下がっているようだった。
少し目を瞑るだけ、、、そう思っていたが、、、よほど疲れれいたのかもしれない。
睡魔はすぐにやってきた。
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ちゃんと前の話しとつながってるのか？？何か不安。。。
ｍｏの頭の中では繋がっているんだけど、、、う～む(*’▽’)
何か解んなくなってきたぞ！！よし！！勢いで乗り切れ！！
[newpage]
微睡む意識の中 肌寒さを感じ体を震わすと、暖かいものに包まれた。
？？布団？？
ひと肌よりも少し暖かい。
そして、ベットとは違う感触。
でも、なんだか触れた心地が良くって安心した。
遠くで、声が聞こえている。
会話は聞き取れないが、、、優しい声。
よく知っている、２人の声だ。
普段は、喧嘩ばかりなのに小さな声でひそひそと話す様子は、自分たちを起こさないようにしているのだと想像がつき、意外な一面を感じられたようで なんだか胸の奥がくすぐったくなった。
そのまま安心して、ルーシィの意識は深い処へ沈んでいった。
深く沈み込んでいたのであろう意識が、不意に上昇を始めた。
聴覚や嗅覚が戻ってきて、そう言えば仮眠をとっていたのだなと、脳みそが動き始める。
固い岩に背を預けていたはずが、背がいたくない。
足元に冷気を感じ、ルーシィは重たい瞼を持ち上げた。
目の前に桜色・・・・？
「・・・やだ！！あたし結構寝ちゃった！？グレイだいじょ・・・『シー。』」
慌てて体を起こそうとすると、自分を包み込んでいる存在に気が付いた。
喋るなと口を押えられている。
「しー。大声出すなよ？」
ひそひそと囁かれる声。夢の中で聞いたようにやさしい声だ。
「ナツ！大丈夫なの？？」
「ああ。もうすっかり！！」
ルーシィの視界いっぱいに、やさしく笑うナツが映った。
「そっかぁ。よかったぁ。。。」
ルーシィは安心から胸をなでおろした。
「オレ、熱なんてはじめて出したかも！」
「・・・もう。心配したんだから。あっグレイは？？」
「んあ？ああ。見張りは俺が替わった。」
あっけらかんとした様子のナツ。
昨晩、毒に侵され、火傷を負い熱にうなされたとは到底思えない。
「ナツ。キズは？」
体を起こして、ルーシィはナツの肩口に視線を向けた。
そう言われ、ナツは肩を落として、ルーシィの目の前に向けた。
昨日、熱さましを飲ませ、薬を塗った時のまま綺麗に包帯が巻かれている。
そこにそっと手を置きルーシィが良かったぁ。と洩らした。
ナツからは見えないが、ルーシィの表情が容易に想像ついたのだろう。
ナツは眉毛を下げて、ルーシィの頭にポンと手をのせた。
「心配かけたな。もう///大丈夫だぞ！！」
「べっべつに心配なんか///うんでも、、、ほんと、、よ、、かったぁ。。。」
「あい！心配かけないでよね！！ナツー。」
ナツの肩に置いた手を降し、そのまま頭をナツに預けようとしていたルーシィはビクリと肩を揺らした。
「ハッピー！！おっ起きてたの///？？」
「あい！！２人とも随分仲良さそうだったのに、、、邪魔しちゃってごめんね？オイラもナツが心配で。。。」
頭を撫でていた手を、ルーシィの背にまわそうとしていたナツは、宙で手を泳がせ ジトッと相棒を盗み見た。
案の定、彼の相棒は丸いお目々を三日月に変えて笑っている。
ニガ虫を噛みつぶしたように、ナツが眉間にしわを寄せた。
そんな相棒同士のアイコンタクトを他所に、ルーシィはグレイ達の方に視線を流した。
胡坐をかいた足の間に、ジュビアを抱え込んだままグレイは後ろにある岩に背を預け天井に向かって口を開けて目を閉じていた。
足の間にいるジュビアの様子は、、、、、、、、、、、、、うん。元気そうだ！！
頭をグレイの足に載せ、上を向いたまま赤子の様に手と足を体の中心に集め、小刻みに揺れている。
そんなジュビアがクルリとこちらを向いた。
ルーシィと目が合うと、むすっとした視線を向け、体を起こした。
「・・・なんです？ルーシィ。」
「い～え？。。。傷の具合はどぉ？？」
慌てて視線を外そうをしたが、そういえばと思い当った。
ジュビアは、目を覚ました時から目の前のグレイに夢中だったようで、ここにきてハタと自分をかえりみた。
途端顔を青くして、目に涙を浮かべている。
「ジュジュビア？？」
「はわわわわっ！！ジュビアとしたことが！！グッグレイさまにご迷惑を！！どうしたことでしょう！？どういたしましょう！？」
「いあ。とっとりあえず落ち着こうよ！！」
「目を覚ましてから、あまりに幸せな状況に！！意識がああああ！！！」
「ジュビア！！シー！！シー！！グレイ起きちゃうよ！！」
１人パニックになっていたジュビアも、グレイと言う単語が耳に入り落ち着きを取り戻した。
「ルーシィ！・・・ジュビア。。。どうしましょう？？」
目にいっぱいの涙を溜めて、ルーシィに振り返ったジュビアの姿が、ルーシィにはひどく可愛らしく映った。
「くっしゅん！！」
笑みを浮かべながら、ジュビアに話しかけようとしていた口から、言葉が出るよりもさきに、身体が寒さを訴えた。
着替えなどの入った大きめのカバンは泉にはいる時に置いてきてしまった。
今背負っているリュックには、ちょっとした応急セットくらいしか入っていないのだ。
ルーシィは肩を震わせ、金色の鍵を握った。
「ジュビア。。。ひとまず服着よう。」
ジュビアの分もメイド姿の星霊に服を用意してもらうと、その服を渡し 自らも水着の上から用意された服を纏った。
「そしたら、傷口のお薬かえよ？」
「・・・はい。ルーシィはやさしいですね。。。」
-先日巻いた包帯を外した。
「え？」
「ジュビアは、、、役立たずです。無理やりついてきたのに、、、グレイ様にご迷惑をおかけして。。。。」
-ジュビアの太ももは、腫れていて見るからに痛そうだが、もう熱は持っていなかった。
「・・・ジュビア。」
-新しくクスリをそこにのせる。
「そんな事ねぇだろ！」
口を挟んだのは、気の効いたことの言えなさそうな、、、、ナツだ。
「・・・そうでしょうか？」
「おおっ。そんなこと言ったら、タコ足に見事に捕まっちまったルーシィやハッピーの立場がねぇ！！」
「・・・うぐぅ。。。」
ルーシィは言葉にならない声を飲み込んだ。
だが、次に何を言うのかも気になるので、そのままだまってナツの言葉を待った。
「でも、ルーシィがいなかったら、熱で倒れちまったオレ達は大変だったわけだ。それに、オレは火傷もだけど、毒もくらっちまったしな！！」
「そうだよ！！オイラは非力でも、みんなにこのプリティーさで癒しをあたえてるし、ナツがいるからグレイは休憩できてるわけだし！！」
「仲間なんだから、助け合えばいいだろぉ！！」
-ジュビアの足にはきれいに包帯が巻かれた。
クスリと、ルーシィが笑って、口を開いた。
「ジュビアは、いつだってグレイを守っているじゃない！！ジュビアが元気ないと、、、グレイは、自分がジュビアを守れなかったからだって、責任感じるかもね～。」
「・・・ルーシィ。。」
「そうそう！！ひとまずジュビアは、グレイが少しでも休める様に、膝を貸してあげればいいと思うよ？？」
ルーシィとハッピーの言葉に俄然やる気を出したジュビアは、グレイの頭を抱え込んだ。
・・・まわりのうるささに 眉毛を寄せながらも、グレイはまだ起きられないようだ。
ジュビアの太ももに頭をのせながら、頬を染めているグレイ。
その様子を見ながらルーシィとハッピーは、クスクスと笑った。
「さっ。ナツも包帯替えとこうっ！」
「おう！！」
ナツの包帯が新しいものに変わると、タイミングを見計らったようにグレイがのっそりと起き上がった。
そっぽを向きながらポリポリと頬をかく姿に、とうとうルーシィとハッピーは噴出した。
＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋
何をしたいのか、、、えっと、、グレジュビをイチャイチャさせたいんだけど、、 なかなかイチャイチャしてくれないのよねぇ。。。
ナツルーは、考えなくってもイチャコラしてくれるんだけど、、、ｍｏにはグレジュビはハードルが高かった( ;∀;)
＊
それぞれ出発の準備をしていた。
そんな中、携帯食を口にしながら欠伸をしているナツに視線をむけるルーシィ。
ナツの膝に乗って、持参していたお魚を頬張っていたハッピーがその視線に気が付いた。
ナツの膝から降りて、ルーシィの元へ近づいて行く。
「ルーシィ。。。ちゃんと食べないとダメだよ？」
「あっ///ハッピー。。。うん。食べるよ！！」
ナツを見ていた表情とは打って変わって、ルーシィはニッコリ笑った。
魚を持ったまま膝の上に登ってきた青猫の頭を、ヨシヨシと撫でてやった。
たぶんきっと、彼女は自分のせいでナツがケガを負ってしまったと、、、沈んだ気持ちを隠しているのだろう。。。
「んだよっ。ハッピー！そんなにルーシィがいいのかよ？！」
気が付くと、唇を尖らせた ナツがルーシィの脇にたっていた。
ドスンとルーシィの前に座ると、ナツはルーシィが手に持ったままになっていた携帯食を掴んでルーシィの口に突っ込んだ。
「ふがっ！！」
「ったくよう。よそ見してねぇで///ちゃんと食っとけ！！」
そう言って、ルーシィの頭をくしゃくしゃと撫でた。
暗にもう大丈夫だとでも言うように。
コホコホとむせりながらも、それを飲み込むと ルーシィの頬が空気で膨らんだ。
「もう！乱暴！！あたしはナツと違って繊細なんだから～！！」
プクッと膨らんだ頬のままルーシィは、ナツを軽く睨んだ。
それにナツは、笑って答える。
ルーシィの膝にのっかっているハッピーも目を細めて、魚を食べながら笑っている。
支度を終えると、一行は洞窟の奥に足を進めた。
進むにつれて、段々洞窟内の気温が下がっていく。
肩を震わせながらルーシィはハッピーを胸に抱いた。
吐き出す息が、うすい色の靄を作って空気に溶けていく。
「ふわぁぁ。寒いわね～！！」
「あい！ルーシィの手、冷たいよ？」
ルーシィの呟きに、腕の中のハッピーが答えた。
その声に反応して、前を歩いていた 進行方向を向いたままのナツがルーシィに向かって手を伸ばす。
「んっ。」
「ん？？」
ルーシィは、その手を見て首を傾げた。
「プフフッ。ナツの手暖かいから、暖めてくれるんだって！！ルーシィ。」
「っ！？////えっ///あっあぁ。。。ありがとう///」
オズオズと手を伸ばすと、グイッと暖かい腕に包まれた。
ギュッと握りしめられた手に、大きな手が熱を伝えてくれる。
歩みが遅くなっていたナツとルーシィを、ジュビアに肩を貸しているグレイが追い越した。
「はいはい。お熱いこって。」
通り過ぎていくグレイの目は呆れ半分、からかい半分。
声をかけられた方は、足を動かすことを忘れ、、、その場に立ち止ってしまっている。
ワタワタと、双方 頬を染める姿に 少しの羨ましさも感じる。
コイツらは、対等なんだよな。
・・・ナツの方が先に嫁さん貰っちまいそうだな。。。
唐突にそう思ってしまった自分に、一瞬脳内が麻痺して 胸の中の方がトクリと動いた。
おれは、、、羨ましいのか・・・?
いやっ！！そっそんな事ねぇ・・・よな・・・？
グレイは眉間にうっすら皺をよせ、その考えを振り切るように少し大きな声をだした。
「ジュビア！あいつ等は放って置いて先行っちまおう！！」
ずいっと足を速めたのもつかの間、グレイに肩を借りながら歩くジュビアの口から、ため息が漏れた。
「・・・・どうした？ジュビア。ちょっと早かったか？？」
歩みを弛め、グレイがジュビアの顔を覗きこんだ。
ジュビアは、、、ため息をついたわりにはニマニマと緩んだ顔をしている。
くねくねと体が半分水に変わっている・・・・はぁ。。。
「ジュビアは！！幸せです！！！２人っきりになって、、、、その後は・・・あぁっ///
このまま、、、永遠の愛を誓いに！！！あぁ~んグレイ様～！！」
グレイの心配そうだった目が、下りてきた瞼に半分隠された。
小さいため息が漏れるが、すぐ隣のジュビアは妄想の中に入っていて気が付かない。
大方、ナツとルーシィ達のやり取りを見て、、、自分たちに当てはめたのだろう。。。
この少女は、あまりにも俺を美化しすぎているし、、、現実の俺を置いてきぼりにし過ぎだ。。。
好きだ好きだとくっ付いてくるが、、、恋に憧れている 夢みている様にしか見えない時がある。
巨大な魔力のせいで、雨空しか拝めなかった彼女の青空への憧れが、たまたまあの時に戦った俺に向かってしまったのではないか。。。
初めての青空を見たのが、その時いたのが たまたま俺だっただけの事だ。
・・・正面から彼女向かってしまったら・・・こんな筈ではないと失望されかねない。。。
そうなったら・・・離れていかれるのは・・・・置いて行かれるのは・・・俺だ。
それが、一歩踏み出すことに躊躇してしまうんだ。
悶えたまま歩みを止めてしまったジュビアを、肩に担ぎ上げ、グレイは無言でズンズン洞窟の奥へと進んでいった。
急に持ち上げられ、現実に戻ってきたジュビアは、「グッグレイ様！！いずこへ。。。。はっ////このまま教会へ。。。。あぁ～ん♡」と肩の上で、新たな妄想に入っていってしまった。
「・・・はぁ。」
なんか、俺が追っかけてるみてぇだな///
そんなこと思っているうちに、進む道が塞がれた。
行く先が木の根っこのようで、見事にふさがれている。。。
グレイはひとまず、ジュビアをその場に降ろしナツ達が追いつくのを待つことにした。
「あっあのグレイ様？？」
オズオズとジュビアが声をかけてきた。
「あ？」
ジュビアの視線が、グレイを捉えた後 静かに地面に降りて行った。
そのしぐさに、まつ毛なげえなぁぁと、グレイはボンヤリと思っていた。
一度、地面に行きついた視線が、眉毛に力が入ったかと思うと 長いまつ毛が持ち上がって 改めてグレイを捉えた。
「・・・グレイ様、ジュビア何か気に障る事でも。。。？？」
「・・・・。」
「グレイ様？？」
返事のないグレイに、ジュビアがしびれを切らしてその顔を覗きこんだ。
急にドアップで現れたジュビアに、自分の思考がストップしていたのだと思い知らされる。
ジュビアの流れる様なまつ毛の、視線の動きに、自分は見惚れていたのだ。
急速に思い知らされた自分の思考に、自然と顔に熱が集まってくる。
「どうかなさいましたか？グレイ様？？」
「いあっ//何でもねぇ///」
「グレーイ！！ジュビアー！！！」
ルーシィの声が聞こえてきた。
－「ジュビアのこと嫌いじゃないんでしょ？…気付いてないの？」
－ルーシィに言われた言葉が、頭の中でくりかえし木霊している。
小走りでこちらに向かってくるルーシィと。。。。
・・・・？？
なぜか、ハッピーにぶら下げられ、ぐったりしているナツ。
・・・はぁ。。頭いてぇ。。。。
呆れた視線をむけると、ルーシィの頬がカッっと赤く染まった。
・・・・今度は、何したんだよ。。。バカ炎。。。。
「ナツがルーシィに倒されちゃった～！！」
ハッピーの間の抜けた声が響いた。
ハッピーにぶら下がったナツの口からは、「ぐぇぇ」と言う呻き声しか聞こえない。
ルーシィは赤い顔のまま頬を膨らませている。
「・・・はぁ。。。どうしたんだよ？」
「！？しっしらないっ！！！」
「あい。グレイにからかわれて、ルーシィが照れちゃってナツの手を振りほどいたんだ。
そうしたらナツってばムキになって、、、ルーシィの腕をとろうとして、、、、狙ったようにルーシィのおっぱい触っちゃったんだ！！狙ったようにだよぉぉ！！ﾌﾟﾌﾌﾌｯ」
パサァ。
「はんっ。本当に狙ったんじゃねぇのか？このムッツリ炎！！」
ピクリとナツの耳が動いたかと思うと、ナツの口が高速で動いた。
「うるせぇ！！このヘタレ変態パンツ！！急に思い出したように脱いでんじゃねぇよ！！」
「なっ！！うっ///いつの間に。。。」
「プフフフッ。グレイってば、ジュビアが倒れてから脱ぎ癖治ってたのにね～！！」
「なっ//こらっ！！このお喋り野郎！！」
ぱさぁ。。。
「キャー！！！」
慌てて、ハッピーの口を塞ぎ、グレイはそろりとジュビアを振り返った。
そこには、グレイの脱いだ服をたたむ姿。
そう言えば、さっきルーシィがキャアと叫んだ。。。。
ジュビアが今たたんでいるのは、、、、最近お気に入りのトランクスだ。。。
「・・・・・・ジュビア。服とパンツくれ。。。。」
「はいグレイ様！！」
ピンと、アイロンと掛けたようにたたまれている、トランクスに足を突っ込んだ。。。
＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋
だから、ｍｏは何したいんだ。。。。少しはグレジュビ感が出たかな～？？
どうしても、ナツルーばっかりに行っちまう。。。(*ﾉωﾉ)だって、アニメが！！月マガが！！
ｍｏの脳内、ナツルーウイルスに感染中！！！もう感染したままでもいい(*’▽’)♡
＊
木の根が塞いでいる先からは、冷気が漏れ出てきている。
根の隙間からその向こうを覗くと、そこは氷に囲まれた世界だ。。。
この先に、きっと炎の花があるのだろう。
それぞれの表情が明るくなった。
木の根を力技で持ち上げると、何とか潜れそうな空間が開いた。
そこから漏れ出てくる冷気に、ルーシィとハッピーは肩を震わせた。
「うぅ～。もうちょっと厚手の服持ってきてもらえばよかったぁ。。。」
「ルーシィ！！オイラも寒~い！！」
木の根を潜ると、ボフンとルーシィの胸にハッピーが飛び込んだ。
それを、カイロ代わりにルーシィも抱きしめた。
吐息が真っ白に染まる。
熱に引かれる様に、ルーシィはいつの間にやら ナツに寄り添って歩いている。
ジーッとルーシィを見ていたナツが、おもむろにいつも大事にしているマフラーを外して、それで、ルーシィをグルグル巻きにした。
「！？ふふっ///あったか～い！ありがとう！！ナツ！！」
「おう！」
屈託なく嬉しそうに笑うルーシィと、ポリポリと頬をかくナツ。
その光景に、グレイは内心驚愕していた。
あのナツが、あのマフラーをあんな簡単に他人に。。。
あれは、、、季節外れだと馬鹿にされようが、汚れようが、終いには水着に着替えた時でさえ、、、、いつだって離さなかったナツの宝物だ。
・・・ルーシィはナツにとって、そんなに、、、、、大事な奴なんだな。
ナツの事は幼少時代から知っている。・・・・喧嘩仲間だ。
まぁ昔はそうだった。ただの喧嘩仲間だったんだ。
・・・・・・・ルーシィが来るまでは。。。
アイツ、そう考えてみれば随分変わったよな。
そりゃぁ、今でも喧嘩ばっかりしてはいるが 最近では昨日の夜の様に、静かに話をできることもある。
それも・・・ルーシィのお蔭なんだな。
このクッソ炎が、生き生きとしてんのも、、、、強くなったのも。。。。
ルーシィは、そこにいるだけで花が咲く様なイメージのある少女だ。
屈託なく、にっこりと笑う姿を目にすれば 髪をクシャクシャにして頭を撫でくりたくなる。
そして、諦めないし信じる強さを持っていやがる。
信じられるってのは、、、すっげぇ力になる。
信頼は、仲間の力になるんだ。
まぁ、妖精の尻尾は家族だ。
家族はみんな信頼し合っている。
が、彼女はそれが特別強ぇ。。。
星霊魔導士だからなのかもな。常に仲間を、友達を大事にしている。
その信じる力は、俺でさえ 力になるんだ。
信頼のおけるチームメイトだ。
不意に、肩を貸して一緒に歩いていたジュビアの体が冷たい事に気が付いた。
「ジュビア。大丈夫なのか？？お前、すっげぇ体冷えちまってるぞ。」
「はい！！ちょっと体温の調節が間に合わなくって。。。すぐに戻しますから大丈夫です！！」
少し顔色も悪い。
火傷の影響で、熱を出したばかりだ。まだ本調子ではないのだろう。。。
・・・・グレイは自ら上着を脱ぐと、ジュビアの肩にかけた。
「まぁ///着ていても脱いじまうから、、、持ってってくれよ。」
ジュビアがこちらに振り向いたが、空いている手でその視線をよけると、脇からクスリと笑い声が聞こえる。
ルーシィとハッピーが、からかいたいオーラ全開でこちらを見ている。
だが、ルーシィ達が口を開く前に、違う声がしてきた。
「まっ。お熱いこって！！」
ニヤリと笑って、ナツはルーシィの手をとって走り出した。
「こんのっ！クッソ炎！！普段トリ頭のくせに！！」
「ああぁ～ん。グレイ様がお優しい~～///」
いきり立ったものの、すぐ隣から気の抜ける声に引き戻された。
「ったく！！置いてかれちったな？」
今まで見た事もないグレイの反応とその微笑みに、ジュビアのハートはスパークした。
頭から湯気を出して、意識が遠のいてしまっている。
「・・・・はぁ。」
再びジュビアを肩に担ぎ、グレイも走り出した。
まだ視線の先に、桜色と金色が見えている。
ルーシィの手を引いている分、こちらが簡単に追いついちまいそうだ！！
グレイがニヤリと口角を持ち上げると、走るスピードをあげた。
すぐに引っ張られているルーシィに追いついた。
次にナツの横に並ぶと、「フンッ」と鼻を鳴らしてやる。
「お先っ！」
ナツの目に炎が灯った。
次の瞬間には、ルーシィはナツの肩の上だ。
「まてぇこるらぁぁ！！」
「待つわけねぇだろっ！！ムッツリつり目野郎！！」
「ぁんだとぉぉぉ！！オレがヘタレ氷野郎に負ける訳ねぇ！！！」
「・・・じゃぁ追いついてみやがれ！！」
「きゃぁぁぁぁぁぁ！！！ってナツお尻掴むな~！！」
２人の罵り合う声と、ルーシィの悲鳴が洞窟にこだました。
進む先は結構きつい上り坂だった。
２人の息が上がってきた頃、ナツの肩に担がれていたルーシィが叫んだ。
「ストーップ！！！止まって止まって！！！」
「あぁ？？今勝負してんだ！！黙ってろ！！」
「悪ぃな姫さん！！」
「違くって～！！！止まってよ～！！花！！あれ花じゃない？？依頼忘れないで～！！！」
もう少しで行き止まりの道の脇に、赤い花が揺らめいている。
「「うおっ！！」」
ナツとグレイが、慌てて足を止めた。
「プフフフフッ。２人ともほんと仲良しだね！！声揃ってるし！！」
「あぁ？真似すんじゃねぇよ！！この変態氷野郎！！」
「あん？真似してんのはそっちだろうがクソ炎！！」
「もう！！２人ともぉ！いい加減にしなさいよ！」
「うるせぇ！！関係ねぇルーシィは引っ込んでろ！！！」
「悪ィな姫さん！男には引けねぇ時もあるんだ！！」
オデコで、互いを押し合いながら 近距離で睨み合うナツとグレイ。
いつの間にやら、自分の足で立ちあがったジュビアが目をハートにして、応援を始めた。
「グレイ様～頑張ってください～！！！」
「・・・・はぁ。」
「プフフフッ。ルーシィ大変だねぇ？？」
「もう！煽ったのハッピーでしょうが！！」
プフフと笑う青猫を反目で睨みつけ、ルーシィは睨み合っている２人に振り返った。
おでこをくっ付けたまま、既に胸ぐらを掴み合っている。
ルーシィは、呆れた目を向け 大きく息を吸い込んだ。
「今すぐ止めないとぉぉ！！エルザに言いつけるから！！！！いいのぉ！！？？」
２人の動きが瞬時に止まって、揃ってルーシィに振り向いた。
「お前・・・エルザを、使うかぁ？」
「はぁ。。。姫さんのいう事ならエルザは２つ返事だろうよ。」
胸ぐらを掴み合っていた手が、双方たらりと下がった。
ルーシィはそれをしり目に、さっさと真っ赤に揺らめいているそこへ向かっていく。
震えがくる寒さの中、煌々とランプの灯がともっているような光景だ。
近づいてそこにしゃがみ込んだ。
目の前には、無数の氷の中に揺らめく炎。
他よりは少し気温が上がっているが、冷たい冷気が吹いてきて氷が冷やされている。
氷の器の中に・・・炎が揺らめいている。
その下に茎のようなものがある事から、これが植物であると何とか認識できる。
ルーシィはリュックから、依頼主から預かった映像ラクリマを取り出した。
そこ一体に広がる、、、氷の中に咲く炎の花を映した。
夢中になって映していると、少し後ろから話し声が聞こえた。
「グレイ様～！！ロマンチックですねぇ///」
「あぁ。・・・・綺麗だな。」
ルーシィは内心くすくすと笑いながら、そっとその花を一輪 摘んで持ち上げた。
すると、炎が揺らめいて、氷を溶かしてしまった。
そして、氷が解けると花から炎が落ちて消えてしまう。。。
「よし。オレの出番だな！！」
グレイが一歩前にでて、一輪花を摘んだ。
氷がより冷やされ、、、、中の炎までも凍ってしまった。
「ムムッ」
「へっ！だっせぇ。。」
次にナツが手を伸ばしたが、、、手に触れる前に氷が解けてしまった。
そうすると花の炎も消えてしまう。
「・・・お前もな。。」
「もう！！あんた達が協力しないと持って帰れないから、２人に依頼が来たんでしょうが。。。喧嘩しないで協力し合いなさいよ！！！」
「そうですね。グレイ様。ナツさん。これはお仕事ですから。協力し合いましょう！！」
「ムムッ。」
「ここで失敗したら、、、フェアリーテイルの名折れよね？ナツ。」
「うっ。。。おう！！やってやる！！」
「ナツー！！グレイ！！ファイトォォォ！！！」
グレイに向かってクネクネと体を揺らしていたジュビアが、真剣な顔に戻っていた。
仕事がからんで、やっと普段通りのジュビアが顔を見せた。
ルーシィの言葉に、ナツも力を合わせることに首を縦に振った。
「えっとぉ、、氷の部分はグレイが持って、ナツが茎から炎が消えない様に熱をあたえればいいんじゃない？？」
「プフフフッ。じゃぁ、ナツとグレイはくっ付いて歩かなきゃダメなんだね！！プフフフッ」
お気の毒~と言いながらも楽しそうにハッピーが笑う。
が、そんな風にしてこの２人が花を運んでいくのは、、、、無理があるだろう。。。
「グレイの氷が安定すれば、ナツは手を放してもいいと思うけど？」
「・・・とりあえずやってみっかぁ。。。」
「おう。」
グレイが花の周りの氷をそっとつかみ、ナツが茎を折った。
花の周りの炎が揺らめいて、氷を溶かそうとするが、それをグレイが魔力を調整しながら抑えた。
「うっしっ。ナツ少し魔力押さえてみろ！」
「ああ。」
真剣な表情で作業が続き、何とかナツが手を放しても、炎は揺らめいている。
「すご～い！！２人とも天才！！」
「あい！！本当は仲良しなんだね！！」
ルーシィとハッピーが２人を褒め称えながら、、、一行は来た道を戻っていく。
「・・・・２人は仲良し？？」
ポソリとジュビアの声が聞こえた気がした。。。
木の根を抜けると、少しずつ気温が上がっていく。
「グレイ大丈夫？？」
魔力の調節に汗を流しているグレイに、心配そうにルーシィが声をかけた。
「・・・何とかするさっ。」
グレイの額にたらりと汗が流れる。
「グレイ様！！ジュビア冷たい空気を水で包んでまいりました！！どうぞ！！」
ジュビアがそういうと、グレイが体ごとジュビアの水に包まれた冷気の中に入った。
「おおっ！このまま熱い場所 突っきるぞ！！」
「よし！！」
蛸と戦った場所を通り過ぎると、蛸は随分小さくなっていた。
皆が通り過ぎた後、ナツが蛸の拘束を解いてやった。
蛸は大人しく穴に戻っていったようだ。
あっという間に洞窟の入り口に戻ってきた。
グレイを包んでいた、水の膜が解かれた。
ジュビアの額に汗が滲んでいる。
人一人を包み込むような水の膜を作り、中の気温が上がらない様に魔力を練っていたのだ。
相当な魔力を使ったのかもしれない。
「ジュビア！大丈夫？？」
ジュビアの前にルーシィが駆けよった。
「・・・まだ本調子じゃないんでしょ？無理しないで。」
「でもルーシィ。。。」
ジュビアの視線は、入り口の泉に向いている。
洞窟に入ってくるときは、ジュビアの助けをみな借りたのだ。
しかも帰りは、依頼の花と一緒だ。
ジュビアが再び大きな膜を作っても、グレイがそれを持ったまま泳ぐのは難しいだろう。。。
ルーシィは辺りを見渡した。
グレイはまだまだ平気そうではあるが、、、そんなに時間をかけてはいられないだろう。。。
ルーシィは、腰から金色の鍵を取り出し天井に向けた。
「開け！処女宮の扉！！バルゴ！！」
バルゴに事情を説明すると、泉をよけて外へと続く穴を掘ってもらった。
そこは、ルーシィが水着に着替えた場所だった。
「バルゴ。この穴塞いでおいてくれる？」
「畏まりました。姫。」
外に出た事で、花の炎が揺らめいた。
「ナツ！！」
「ん？！あぁ！！」
慌ててナツが茎に触れた。
「強すぎだ！！」
「わぁってるっての！！お前がもっと強くしろよ！！」
「ふざけんな！！もうちょと合わせろ！！この単細胞！！」
「ナツ！グレイ！！頑張って！！」
「くっそっ」
ナツとグレイが炎と氷の調整をしていると、またブツブツとジュビアの呟きが聞こえてきた。
やっと、炎が安定して、グレイがその花を持ったまま 一行は歩き出した。
「さっすがナツとグレイ！！」
「あい！！お見事です！！今日は随分仲良しだね！！」
「グレイ様とナツさん・・・・・氷と・・・炎・・・氷と炎。。。氷と炎？？？ 氷と炎！！！！」
ジュビアの声色が替わった。
殺気まで放ち始めた。
普段は自分に突き刺さってくる視線と殺気が、、こちらを向いてはいるが、、、刺さってこない。
すると、隣を歩いていたナツの肩が密かに震えた。
ジュビアに狙いを付けられたのは、、、何故かナツ・・・・。
身震いしたのだ。
「ナツさんまで、、、、ライバル！！恋敵。。恋敵。。。恋敵ィィィィィィィィィィ！！！」
「あはっ。アハハハハハハッ！！ナツ！！恋敵だって！！」
「んな！？」
「プフフフフフッ。いっつも仲良く喧嘩してるから目つけられちゃったね？？ナツゥ。」
ルーシィとハッピーが笑い、グレイが顔を引きつらせる中、ナツはコテンと首を傾げた。
「？？なんだぁ？？戦うってことかぁ？？よっしゃぁ！勝負だあぁぁぁ！！！」
その声にすかさずツッコミが入る。
「ライバルって恋敵よ！！意味が違うわよ！！」
「ナツ恋敵って意味が解らないの？？」
「はっ。さすがトリ頭！！」
「んだとぉぉぉぉ！？」
「はぁ。恋敵ってのはね？恋の競争相手の事よ！自分が好きな人に、同じように恋している人の事！！」
グレイに掴みかかろうとしていたナツの動きが止まって、鉄の錆びた音を立てる様に『ギギギギギッ』とジュビアに振り返った。
何か思い当たったようだった。
「！？・・・・じゃぁ。。。」
次にルーシィの腕を引いて、抱き寄せた。
「ルーシィはオレんだ！！！！」
腕の中にルーシィを納めると、ナツはジュビアに向かって叫んだ。
「////////////////ばっ馬鹿じゃないの！？」
ナツの腕の中でルーシィが叫ぶ。
「おい。どさくさに紛れて、告白している馬鹿がいるぞ？」
「あい！！ナツは告白しちゃった！ってのも気付いてないです。。。。あい！！」
「はっ！！ちげぇねえ～。」
ナツは怒鳴りちらし、それに何やら敵対心をそのままにしたいジュビアが睨み付け、
氷の中に入った花をもったグレイとハッピーが、溜め息交じりに笑いながら、来た道をもどっていった。
ナツの腕の中のルーシィは、これでもかと顔を真っ赤にして、言葉にならない声を『う~///』やら、『はへ～//』やら洩らしながら、ナツにまだ離してもらえない。
ジュビアの誤解が解けて、ナツが告白してしまったことに気が付くのは、依頼人に花を届けた後だった。
＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋
久しぶりに、ちょっと長かったぁ。。。短くしても１日少しづつ更新した方がいいのかな？？
ム~(/ω＼)。。。まぁいいかぁ。。。グレイとジュビアも書いてて結構面白かったです。
が、やっぱりどうしても グレイを追いかけるジュビア。の構図がおいしいので、しっかり通い合った両想いにはもっていけないｍｏでした。
登場人物が多いと、まとまらなくって 中々話が進まない( ;∀;)
ダラダラとお付き合いいただきありがとうございました！！
そして安定の、両片思いからの告白で ナツルー 完。
いつも、こんな感じだなぁ。。。付き合っているナツルーは、Ｒ－１８くらいしか書いていない気がするなぁ。。。
その内、未来設定でイチャコラさせてみようかなぁ。。。(*’▽’)ﾅﾝﾃﾈ
今回のおまけは、ツイで晒した帰り道の会話です。
＊
「この変態！！パンツまで脱ぐんじゃねぇ！」
「うおっ！！ってめぇ。脱ぎ始めた時点で言えよ！」
「はぁ？？テメェが勝手に脱いだんじゃねぇか！」
「もう！！いいから服着なさいよっ！！」
「ぐもっ！！」
「キィィ！恋敵！！！グレイ様、焦る事はありません。その肉体美にジュビアはもうっ！！」
グレイがパンツを履こうと片足を突っ込んだところに、ジュビアが飛びつく。
「グレイさま～♡」
「もぎゅっ！！ジュッジュビアやめろ。パンツ穿けねぇだろ！」
ジュビアの胸に顔を押しつぶされながら、グレイとジュビアはルーシィの前に倒れ込んだ。
「キャーーーーー！！こっちに体むけないでよ！！グレイの変態！！ばかー！！」
慌てて後ろを向くルーシィの頭をナツが自分の肩に押さえつける。
「おい変態馬鹿！！ルーシィに変なもん見してんじゃねぇ！！」
ハッピーがニヤニヤする。
「うるせー！！大体、上着脱いだ時点でいつもは姫さんが教えてくれんのによう。。。」
「だってぇ。。。」
「こ～い～が～た～き～ぃぃぃぃ！！」
「ひぃぃぃぃ！？」
声にぬめりでもあるのかと感じる程の、身体にジュビアの声がまとわりついてくる。
「もー！！恋敵じゃないしー！！」
「そうだぞ！ジュビア！！ルーシィは、変態なんか嫌いだ！！なっ？」
「・・・そっそうね！あたし、変態はちょっと。。。」
「おい。オレは変態じゃねぇ。。。」
「！？グッグレイ様なら、変態でもジュビア気にしません！！」
「そっそうよ！！へっ変態は、、、ジュビアに任せておきましょ！！（グレイごめん！！巻き込まないで！！）」
ルーシィの肯定言葉をうけて、満足げ口角を上げて 背にルーシィを庇うナツ。
顔をゆがませ口角をひきつらせたまま、ルーシィは額に汗しナツの後ろに隠れたままチラッとグレイを見て舌を出した。
「。。ひでぇぞ姫さん。いっつもナツの暴走から守ってやってんのは誰だと思ってんだ？（自分だけ蚊帳の外の逃げようとしてんじゃねぇぞ。）」
「うっ。。ごっごめっ。。」
ピクッとに目が動いたかと思うと、ジュビアの目が光る。
フラリと立ち上がると、ルーシィに鋭い視線を送る。
「こ～い～が～た～き～。。。」「ひぃぃぃぃ！！！」
「ふざけんなっ！！いつ俺が暴走したっつうんだよ！！」
「あぁ？？いっつも初めにブチ切れて、あちこち所構わず火ぃつけてんじゃねぇか！！クソ炎！！」
「あんだとぉ！！テメェがモタモタしてるだけじゃねぇか！！」
「テメェの出した火の粉や、テメェの砕いた瓦礫やらから、姫さん守ってやってんだ！文句言われる筋合いはねぇぞ！！」
「うぐぅ。。。くっそ。。。ってぇか早くパンツ穿けよ変態。」
「うがっ！？」
「キャーーーーー！！！！誰か助けてよ～！！」
「こ～い～が～た～き～！！いつもいつもグレイ様の近くに～！！」
今度は、ナツの耳がピクリと動き、聞き捨てならないと口を開く。
「ジュビアァ！！ルーシィがグレイにくっついてんじゃなくって、あの変態がルーシィの近くにいて いいとこもっていきやがんだ！！」
「おいおいナツさんよう～自分が出来ないからって僻んでんじゃねぇよ！！」
とうとう追いつめられて、ジュビアの前で震えるルーシィ。
「おいジュビア！その辺にしとけよ！！姫さん怯えてんだろぉ。。」
「！？グッグレイ様～？？ジュビアは、害虫退治をしてたまでですぅぅ。。」
ジュビアが改めてグレイに飛びつく中、ナツがルーシィに向かって歩み寄っていく。
「おいルーシィ！！」
「へっ？なんで怒ってんの？」
「…なんで、クソ氷を頼んだよ！！」
「はぁ？？」
「おいクソ炎！！姫さんに絡んでんじゃねぇぞ！！」
・・・エンドレス。。。
「ねぇハッピー。。。」
「もぐもぐ。なに？ルーシィ。もぐもぐ。」
「それ食べ終わったら、先帰ろうか？」
「ゴックン。あい！！」
「あたしも、空飛びたい気分なんだけど・・・？」
「あい。ルーシィ重いからなぁ～。」
「・・・ちょっとぉ？」
「あい！！任してルーシィ！！」
「フフッ。頼りにしてるよ！ハッピー！！」
結局、ルーシィに頼りにされるのはハッピー。
