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確かなもの 1

 

ルーシィside~始まり~

 

夜中の1時を回ると、決まって桜色が窓に現れる。

依頼で、家を空けている時以外は、ほぼ毎日だ。

カタリと窓を開けて、部屋に侵入してくるのは、いつもの男だ。

 

「・・・ナツ。」

 

桜色の髪の少年は、この時間 普段と違う。

何というか、いつもと違うのだ。

 

まず、口数が少ない。。。

あまり目を合わせない。

何より、笑顔。。。あの、太陽のような笑顔で笑うことがないのだ。

暗く、うっすらとしか笑みを浮かべることはない。

それすらも、稀なのだが。

 

彼は、ベットの縁に腰を掛け、アタシの髪を掬う。

それはそれは、壊れ物を扱うように。。

ただ悲しそうに。

この世を呪っているようなことを言う。

「心に空洞がある」のだと。

「大切な信じていたものが壊れていくと」のだと。

「大事な存在を失くしてしまう」のだと。

そして、「強くなりたい。」のだと、涙を流すのだ。

最後に決まって、静かな怒りを抱いているように「・・・夢だったんだ」と小さくもらすのだ。

 

自分の腹の中の怒りを抑えるように、自分の肩を自分で抑え身を小さく震えさせている。

 

なぜ??

そして、私は決まって、ナツの頭を抱き、背中をさすって あやすのだ。

そして、落ち着いてくる彼とそのままベットで一緒に眠るのだ。

嘆き震える彼の頭を抱えて。

 

アタシは、こいつのおかあさんか??

まぁ。いい。頼られているのだから。この彼も、ナツなのだから。

 

彼は「ごめん。」と決まって小さくつぶやく。

 

朝になると、いつものナツに戻ってる。。

でも、夜のことは覚えていないんだ。

 

それは、大魔闘演武の後から始まった。

原因にも、覚えがある。

ナツの目の前で、アタシが死んだのだ。

正確には、アタシを庇って『未来のアタシ』が死んだのだ。

 

少し様子を見ようとしていたけど。。。

 

苦しそうなナツを見ているのは辛い。

 

髪を梳いていたやさしい掌は、頬を撫でアタシを見る。

ただ抱きしめられていた彼は、手を背に回し抱き返してくる様になった。

嘆いていることに変わりはないのだが、考えているようだ。彼なりに。

最近では、明け方近くまで背中をさすってやることもしばしばだ。

改善されているのか?悪くなっているのか?わからない。

ただ、抱きしめてあげることしかできないのだ。

 

アタシは、少し寝不足の頭でそんなことを考えていた。

心配は尽きない、不安が募る。

抱きしめる云々は内緒にして ギルドで相談してみようかとも思ったが、

弱っているナツを、ほかの人には知られたくない気もした。

 

そんな事をしているうちに、、、ナツが消えたのだ。。。

 

 

 

そんなある日

 

今日は晴天。

貫ける様な青空が広がっている。

冬のすんだ空気が心地いい。

 

最強チームはモンスターの討伐依頼で隣町までに出かけていた。

今回は物を壊すこともなく、難なく依頼を遂行した。

全額報酬をもらえルーシィはご機嫌だった。

隣町の依頼という事で、ナツが列車に乗るのを拒み、仕方なく帰りは歩きとなっていたが、

ご機嫌のルーシィは、ニコニコとその隣でスキップでも踏みそうな勢いだった。

 

不意にナツが森の方から 匂いがすると言って森に入っていってしまう。

ナツの只ならぬ様子に慌てて、ハッピーに先を行くチームメイトに伝える様に言いルーシィはナツの後を追った。

 

最近のナツは、時折おかしかった。

多分知っていたのはアタシだけだが。。。

何処にいくの?ナツ!!

始めに呟いた後、何も言わなくなって歩くナツの背中に、一抹の不安を覚えていた。

 

ナツは吸い込まれるように、古い遺跡のような建物の残骸に入っていった。

少し離れた位置から、自分たちを呼ぶ声が聞こえる。

エルザ達に解るように、髪を解いて青いリボンを建物の入り口に縛り付けナツの後を追うルーシィ。

 

そこに追いつくと、赤い炎のような靄がナツを包み込んだかと思うと、光に包まれた。

 

「ナツーーー!!!!」

 

ルーシィは瞬間ギュッと閉じた目を開けると、ナツのいた処を中心に魔法陣がうかんでいる。

 

「・・・・ナ・・・ツ・・・・!?」

 

ナツが消えた。

・・・光が弱まってくる。

・・・・・・何か見える。

光が治まり、そこにフラフラと近づいていった。

 

魔法陣の中心に桜色の髪の子供が倒れていた。

その子供の首には、鱗模様のマフラーが巻かれている。

 

「・・・えっ!?」

 

ルーシィは、その大きな目を瞬かせながら、子供に駆け寄り抱き上げた。

男の子は小刻みに震えている。

 

「・・・・うゔ・・・さみぃ。。。」

 

そう言って、眉間にしわを寄せルーシィにしがみついてきた。

何がなんだか分からないまま、ルーシィはその子供に脱いだ上着をかけてやり、

 

「とりあえず、ここから離れなきゃ!!」

 

建物の入り口を目指そうと立ち上がった。

 

「ルーーーーシィィィィィ!!!!」

 

青い塊が飛び込んでくる。続いて、緋色の髪の少女と漆黒の髪の少年がそこへ走り込んできた。

 

「ルーシィ!!ナツはどうしたんだ??」

「姫さん、この辺光ってたな?何かあったのか??」

 

ルーシィが抱えている物体に、いち早く青猫が気付く。

 

「・・・・えっ?・・・これ・・・」

 

青猫が覗き込む先をそこの少年少女が確認しに来ると動きが止まった。

 

「・・・・ナツ?」

「・・・・・だな。ちっせぇが、この生意気なツラ見覚えがある。」

「・・・やっぱり?ナツなのよね?・・・・・イグニールのマフラーしてるし。」

「うむ。だが、、、、服が違うな。」

「そう!!そうなのよ!何か違和感があると思った!!服まで変わってるっておかしいわよね?」

「あぁ。しかし、、、ギルドの来たころよりも少し幼く見えるな。」

「どおなってんだ??姫さん?」

「アタシも追いついた時には、ナツが靄と光に包まれて、目を開けた時にはもうこんな感じで。。。」

「・・・ナツが縮んじゃったぁ~。。。」

 

ハッピーが目に涙をため、ちびっこを見つめている。

つられて、ルーシィの目にも涙が浮かぶ。

 

「なっ!?姫さん泣くな!!大丈夫だ!!何とかなんだろ!!」

 

しばらく黙って、ナツを観察していたエルザがやっと口を開いた。

 

「・・・ルーシィ。」

「・・・なに?エルザ。」

「そのまま、ナツをギルドに連れ帰りマスターに相談しろ。苦しそうにしていたのは落ち着いたようだが、まだ顔色が悪い。

私とグレイは少しこの辺を調べてから戻る。頼んだぞ!!」

 

真剣な物言いに、ルーシィは頷きナツを抱えてたちあがった。

小さいナツは、ルーシィの腕の中で いつの間にかルーシィに抱きつき安心したように眠っていた。

 

「・・・・・オイラは?」

 

ハッピーは囁くようにつぶやいた。

 

「・・・ルーシィと一緒に戻ってろっ。」

 

青猫の頭を、グレイがよしよしとなでやった。

 

「しっかし、さすがクソ炎。小っちゃくなっても姫さんにベッタリだな。」

「あい!!ナツだから仕方ないです!!」

 

 

* 

 

 

ナツside~始まり~

 

ふと目がさめると、最近見慣れた天井。。

 

「ルーシィ??」

「あっ。ナツ?起きたのね!!」

 

大好きなルーシィの声が少し離れたところからする。

 

「・・・。腹減った~!!」

「今作ってるわよ!!起きたなら顔洗ってきなさい!!」

 

どうやらキッチンで、すでに朝食の支度をしているルーシィに促され、洗面所に行き。。。。戻ってくる。

丁度、キッチンから出て来た、ルーシィに「テーブルに運んで」と、2人分の朝食を手渡された。

オレが席に着くと、遅れれてティーセットを持ったルーシィも向かいに座る。

 

「ナツッ。おはよう!!」

「はよ。ルーシィ。いただきます!!」

 

両手を顔の前で合わせてそう言うと、オレはフォークを握る。

 

最近朝 気が付くとルーシィの家にいることが多くなった。

というか、仕事で家を離れている時以外は だいたいルーシィの家で目が覚める。

 

「なぁ、オレいつ来たんだ??」

「ん~~??・・・・いつの間にか?」

 

ルーシィが、呆れた顔をしてこっちを見て答える。

 

「オレ、夜家帰ったよな?」

「そうね。」

「最近、すっとこうだよな?」

「そうね。」

「なんで怒んないんだ??」

「・・・・。」

 

じーと俺の目を見つめてくるルーシィ。何か考えているようだ

 

「・・・怒ったって、なんで来たかも覚えてないんでしょ?・・・はぁ。。」

「・・・おう。」

 

少し疲れた顔をしたルーシィにいたたまれなくて、頭をかきながら、ワリィと小さく言った。

 

「しょうがないわねぇ。」

 

と、いつもの様に、ルーシィが笑う。その笑顔に、ホッとした。

 

迷惑がられている訳じゃないんだよな?

しかし、なんでいつの間にかルーシィん家に来てんだ?

そりゃいつでも一緒にいたいと思っているけど、、、オレ、夢遊病ってやつか?

でも、徘徊してるわけじゃねぇ。ルーシィん家に来てるだけだよな?

???ばっかりだな!自分でもおかしくなってくるぜまったく。

ってかこの際一度、家に帰る必要もないよな?

 

「ナーーーツ!!!!ルーシィ!!!!」

 

開いている窓から、青い塊が突っ込んでくる。

 

「ナ~ツ~!!またルーシィのところにいたね!!オイラ最近1人暮らしみたいだよ!!」

 

相棒が、朝からプンプンしながらやってきた。

 

「おう。ハッピー!!おは「ハッピーご飯は?」よ。」

 

オレが朝の挨拶を、相棒とかわしているというのに、ルーシィが言葉をかぶせてくる。

 

「オイラ魚がいいです!!ルーシィおはー!!」

「はい。ハッピーおはよう。はいはい魚ね?」

 

ルーシィがキッチンにむかうのを見送り、テーブルに座る相棒。

 

「ナツ。最近いつもだね!ルーシィが好きなのはわかるけど、限度を超えると嫌われちゃうよ~!!気をつけなきゃ!!」

 

ニヤニヤと口に手をあてている相棒。

 

「うるせぇ。。。」

 

気が付いたら、ここで寝てんだからしょうがないだろう!!

ってか、、、嫌われるのか?

・・・それは、イヤダな。。。

 

 

 

 

 

そんなある日~ナツside~

 

 

最強チームで隣町まで出かけた。

討伐の依頼を何の損害も奇跡的に出さずに遂行した。

チームの連携も、随分すんなりいく様になったなぁとかぼんやり思っていた。

最近体の調子がスッキリしない。

いや、頭がスッキリしない。

今は、あんなにはしゃいでいるルーシィも時折ぼんやりとほおけている。

・・・まるで、寝不足のような気だるさだ。

ギルドに向かって歩いていると、ふっと懐かしい匂いがする!!!

 

「えっ!?!?」

 

こっこの匂いは!!

高鳴る胸の鼓動を抱きオレは匂いのしてくる森へを分け入った。

後ろから、ルーシィも来ているようだが、ちょっと今は かまってられない。

 

おっ。ここだな!!

半分崩れてしまっている建物の入り口から匂いがする。足が早まる。

建物に、飛び込み奥へと足を進めた。

 

一番奥の部屋までついたが、お目当てのひとは・・・・・いない。

 

「はぁ。。」

 

おかしいな?首をかしげた時、懐かしい匂いに包まれた。足元に魔法陣が浮かぶ。

 

「ナツーーーーー!!!!」

 

ルーシィの声が聞こえた。ナツは光に包まれていた。

 

「ルーーシィィ!!!」

 

はっと目が覚めると、大きな木の下にいた。えっ?夢か・・・?

随分リアルな夢だったな~。と思いながら、上体を起こし辺りを見渡した。

 

そこに「なぁに?」後ろから声をかけられる。

 

よく知る匂いだか何か違う気がして、そちらに振り替えると、大きな目が間近にあった。

 

「あ?」

「・・・だから~な~に?桜色の髪のお兄ちゃん。」

「えっ?るっるルーシィ???」

「そうよ?あなたが呼んだんでしょ?どこかでお会いしたかしら?」

 

わずか、10歳くらいの金髪の少女が、いる。そして自分は、ルーシィだという。

 

・・・・とうとう、俺の頭 おかしくなっちまったか??

 

小さいルーシィがボー然とするナツの頭にそっと小さな手を置いた。

 

「どうしたの??お腹痛いの?大丈夫?」

 

覗きこんでくる小さいルーシィの瞳には、泣いた跡があった。

よく見ると、黒いワンピースを着ていてまるで葬式の帰りのようだった。

 

「・・・・あなたも、ママのお墓参りに来てくれたの?」

 

小さいルーシィの口から出た言葉に、またも言葉を失った。

 

「・・・ママのためにありがとう。」

 

寂しさをたたえながら、静かに少女は笑った。

小さいルーシィの後ろには、真新しい大きな石碑がそびえ立っている。

 

「レイラ・ハートフィリア・・・・・・。」

 

そこに刻まれている文字を読み上げた。

隣にいる少女は、その石碑を見上げたまま、声も出さずに涙を流した。その瞳は、横顔は、まぎれもなくルーシィであった。

 

 

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補足

 

う~ん。。。構想は前からあったのですが、まとまるか不安で書けなかった。

・・・まとまるかな・・・?不安。超不安。。。

ルーシィsideとナツsideで更新していこうと思います。

随分お目汚しするかもしれません。。ごめんなさいm(__)m今のうちに謝っておきます!

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