top of page

確かなもの 5 ~完~

 

ルーシィside~7日目~

 

ルーシィは、小ナツとハッピーと一緒に、この時代のナツが消えた場所を目指していた。

森の中を分け入って行くと、遺跡が見えてくる。そこに、ブルーのリボンがはためいていた。

 

「あっ。ルーシィのリボン!!」

 

ハッピーが先だって、そこへ飛んでいく。

 

「ルーシィの??」

「そうよ!!目印に結んでおいたの忘れていたわ。」

 

ルーシィはそれを解き、汚れを払ってたたんだ。

 

「なぁ。ルーシィ!!それ、くれよ!!」

「これ??欲しいの?汚れてるわよ?」

「うん。それがいいんだ。」

 

ルーシィは、小ナツの腕をとって、そこにリボンを巻いてやった。

遺跡に2人と1匹は入っていった。もうすぐ奥の部屋だ。

 

「ねぇ、ナツ。・・・あなたは、何度もアタシを助けてくれたわ。」

「ん?」

 

「本当はアタシ、ナツと同じくらいの年なのよ?」

「えっ?」

 

「ナツ~!!ちゃんとオイラも見つけてね!!」

「おう!任せろ!!」

 

小ナツがニカっと笑った。奥の部屋に入ると、赤い靄がうごめいている。

 

(・・・・やっぱり!!)

 

小ナツが何かに気付いた。

 

「えっ!?!?」

 

混乱する小ナツに向かって、叫んだ。

 

「ナツ!!!未来でアタシを助けに来てね?」

「・・・おう!!」

 

小ナツが、小さい拳を天に向ける。

赤い靄が、

 

「そのアタシは、ナツを知らないかもしれない。」

「ええ゙っ!!!」

 

小ナツを包んだ。

 

「大丈夫!!アタシはすぐにナツを大好きになるわ。」

 

魔法陣が浮かび上がる。

 

「未来で会いましょ!!」

「オイラも~!!!」

 

小ナツの体が光出した。

光の中に、小ナツは消えた。

いや、、、帰っていった。自分の生きる時代に。

 

・・・そして、、、ナツが帰ってきた。

魔法陣の中心に倒れる 桜色の髪の先程より大きい少年。

金髪の少女は、そこに座り込み彼を膝にのせ抱き寄せた。

 

 

「ナツ。。。おかえり」

 

 

 

***

ナツside~7日目~

 

ルーシィを見に来た。今日は、まだ来ていないようだ。大きな木に寄りかかって、目を閉じた。

 

オレはどおしたいんだろう?小さい頃、突然消えたイグニール。

捨てられたと思った。自分の中に、空洞ができた気がした。

ずっと怯えていた。怖かった。他に、大切なものなんか。。。。。。

 

リサーナも消えた。それで、気が付いたんだ。オレが大切に思うと、居なくなってしまうんじゃないかと怖くなった。

 

ハルジオンでルーシィと出会って、、、、多分始めから惹かれていた。

でも、認めたくなかったんだ。また消えてしまうかもしれない。

 

それでも近くに居たくて、執着した。チームを組んで、仲間として、近くにいた。

大切な存在にならない様に、仲間として。

 

ルーシィの中に、リサーナと重なるところを見つけると、気持ちにブレーキをかけることができた。

リサーナの様に、失くさない様に。

 

でも、リサーナは帰ってきた。

 

オレの中の大切な人は、もうルーシィだった。

仲間だ仲間だと線を引いてきたのは、自分なのに。

彼女の自分のさみしさを埋めたくてつい一緒にいすぎた。

とっくにとらわれていたのに、もう自分じゃどうしようもなくなっていた。

それくらい、ルーシィが大切な存在になっちまった。

 

・・・・だから、リサーナは戻ってきたのかもしれない。

 

・・・だから、ルーシィが死んだのかもしれない。

 

オレは近くに居てはいけないのではないか?

もうここで、幼い彼女を見守って、過ごしていけばいいんじゃないか?

 

視界がかすんだ。地面がぽつぽつと濡れた。

風が頬に触れた。風がやさしい匂いを運んでくる。

そちらに顔を向けた。

 

「・・・ルーシィ?」

 

そこに、幼いルーシィがいた。

 

「泣いているの?」

 

幼いルーシィが言った。

 

「何が悲しいの?」

 

何が悲しいの?・・・何が悲しいんだ?

 

「ママには、もう会えないけど。・・・悲しいけど。アタシ、下は向かない。ママが悲しむから。」

 

 

 

 

 

 

 

・・・そうだ。

ルーシィはけっして下を向かない。

目の前にいるルーシィも下を向いてはいない。

もう、ママには会えないこともちゃんと知っている。

壊れてしまうんじゃないかってほど、涙は流れた。

でも、前を見ている。下は向かない。

 

急に、自分が恥ずかしくなってきた。

ルーシィのママは・・・・パパはもういない。

オレは何かを失ったのか?

・・・・・・・なにも失ってはいなかった。

そうだ。なにも失ってはいない。

 

イグニールは、絶対どこかで生きている。見つければいいんだ。

リサーナは、、、、帰ってきたじゃないか!!

目の前で死んだルーシィも、、、、大丈夫だ。未来は変わったんだ。

 

・・・・・オレは、何を迷っていたんだ?

 

少女が傍らに腰を下ろした。

ポテンと、頭を預けてくる。

少女は小さくそうだ!!と言って、ポシェットを探った。

小さい手が1つの袋をナツの前に突き出した。

 

「あげる。今日、あなたがいたら渡そうと思っていたの。」

 

袋を受け取ると、少女は笑っていた。

袋の中には、色とりどりの飴が入っていた。

 

「赤いのがお勧めなの!!」

 

少女の笑顔が眩しかった。

途端、感情があふれた。

愛おしいと思った。

この存在が。

この子が、大きくなってオレと出会うんだ。

むず痒い気持ちがふつふつと湧いてくる。

 

「飴嫌いだった??大丈夫?」

「いんや。大好きだ!!」

 

顔が自然と、笑みを作っていた。

小さいルーシィは、泣きはらした真っ赤な目で、にっこりと笑った。

夕日に反射するその笑顔は、ひどく大人びて見えて、ルーシィに逢いたいと強く思った。

 

いつもの彼女の華奢な肩を抱き寄せて、柔らかい金色の髪に顔を埋めたい。

オレには、ルーシィが必要なんだ。ルーシィの匂いを肺がいっぱいになるまで吸い込みたい。

 

赤い靄がかかった。また アイツ の匂いだ!!

 

小さいルーシィに向かって言った。

 

「ルーシィ!オレ帰らなきゃいけないんだ!!」

「えっ?」

 

赤い靄が、ナツを包み始める。

 

「でも、また会える!!絶対だ!!!だから、それまで笑て待ってろ!!!」

 

自分の体が光出して、小さいルーシィから離れた。

 

「また会おうな!!未来で!!」

 

小さいルーシィの返事が返ってくる前に魔法陣に囲まれた。

 

 

 

 

 

 

「??」

 

自分は抱きかかえられている。

重たい瞼を持ち上げると、金色の髪が視界に入る。

続いて白く細い腕が自分に絡めれれている。

彼女は、何処かを睨み付け、動かない。

 

「・・・るーしぃ?」

 

彼女が、目線だけこちらに向けた。

自分の顔を見て、またそちらを向く。

彼女の腕に力が入った。

 

「ナツ!!よかった!気が付いたのね。」

 

桜色の髪の少年は体を起こそうと力を入れるが、ピクリとも動けない。

 

「ゔっ!?」

「ナツ無理に動かないで!!」

 

少女の言葉に従い、何があったのかそのきれいな横顔に問いかける。

 

「?覚えてないの・・・?」

 

やっと彼女がこちらを向いた。

 

(・・・覚えている。今度は・・・?)

 

その眼には、涙が溜まっていた。

 

「・・・とにかく、無事でよかった。。。」

 

そして、彼女はまたさっき見ていた方に向き直り、何やら睨み付けている。

少年がそちらに目線を投げると、懐かしい匂いがした。

 

「・・・イグ・ニ・・イル?」

 

目線の先には、薄く赤い靄がうごめきスーッと消えていった。

 

「イグニール??・・・えっ!?」

 

彼女が目を丸くして、少年を見つめてきた。

 

「・・・あぁ。イグニ・・・。」

 

少年は、弾きづり込まれるように意識を手放した。

ぎゅっと、自分を抱きしめる暖かい存在に感謝して。

 

 

* 

 

 

次に気がつたときは、ギルドの医務室だった。

じっちゃんがいる。

 

「ナツよ。。。すまんかったな。」

 

と言って額に手をあててきた。

 

「なっなんだよ!?じっちゃん!?」

「うむ。わしと初めて会った時のことを覚えておるか??」

「・・・あぁ。イグニールがいなくなって少しの頃だ。」

「その少し前の記憶はあるかの?」

「・・・・?」

「わしが、消した。・・・イヤ一時的に封印したんじゃ。」

「はぁ?」

「・・・・未来の記憶を持って過ごすのは、危険が伴うからの。。」

 

マスターが出した魔法陣がナツの頭に吸い込まれていく。

 

「!!?!?!?!?」

「もういいだろうと思うてな。」

 

そう言うとじっちゃんは部屋を出て行った。

 

(・・・オレ。ここに来たのか!!あぁ。なんか納得。だからなんだ!!オレ 初めっから、ルーシィ好きだったんだ。)

 

突然戻った記憶に特別混乱することもなかった。

その記憶はすんなり自分の一部に戻ってきた。。。

いや。形がなかっただけで始めから、オレの中に居場所はあったのかもしれない。

記憶をなくしていても、その感情はとっくに届いていたんだ。

 

起き上がると、枕もとの、紙袋が目に入った。

小さいルーシィからのプレゼントだ。

おもむろに、袋の中をベットの上に出してみた。

 

(・・・・・あれ?)

 

医務室を出ると、ハッピーとエルザ達がまっていた。。

この1週間にあったことを、質問攻めにされ、本気でめんどくさいが こっちで起きたことも確認したくて お互い報告し合った。

ひとしきり話が終わると、ハッピーは疲れたからオイラ帰るね?とニヤついて家の方へ飛んでいった。

 

「ルーシィは??」

 

あたりを見渡した。一番い合いたかったのに。。。。

 

「ルーシィは、家に帰した。」

 

きっぱりと、エルザが言った。

 

「目が覚めるまでいると言っていたんだがな?ルーシィも相当疲れた様子だったのでな。」

「そうだぞ。クソ炎。姫さんお前の心配と、クソガキの世話でぐったりだろうよ。」

 

・・・・ルーシィ具合悪いのか??

俺の頬が膨れたのが分かったのか、溜め息を吐いて グレイは後ろ手に手を振って、オレも今日は帰るわ~っと去って行った。

 

「ナ~ツ!!」

 

後ろから声がかかった。

不機嫌にそちらを向くと銀髪の姉妹がニコニコと立っていた。

 

「ルーシィから伝言預かってるんだけど~??」

「そ~よ~!!そんな不機嫌な顔してていいのかな??」

 

2人そろって、ニコニコと笑っている。

 

ルーシィの家に向かって走った。

早く逢いたかった。

『『家に帰る前に部屋に寄って欲しいんですって♡』』

あいつらニヤケタ顔しやがって!!

 

運河沿いを走ると、2階建てのレンガ調のアパートが見えてくる。

2階のその部屋の窓から、暖かい光が漏れていた。

開け放たれた窓に向かって粘着質の炎をだし一気に部屋に飛び込んだ。

 

 

小さいナツは、気が付くと大きな木の根元にいた。

 

「・・・・・・??」

 

何か夢を見ていたような。。。幸せな夢だった。大好きなにおいもする。

 

「・・・イグニール??」

 

当たらいをキョロキョロしても、やはり見当たらない。

差し込んでくる太陽の光に目を細め、その光を遮ろうと腕を顔の前にかざした。

ブルーのリボンが 風に揺れた。

 

「・・・・夢じゃない!?」

 

記憶が断片的によみがえる。その場から、立ち上がり森の出口を目指した。

森を抜けると、そこに小さい老人がいた。

 

待ってると言っていた。未来で会おうと。

 

「フェアリーテイル・・・。」

 

そこに行かなきゃ。老人が振り返った。

 

「滅竜魔法を使うというのは、、、お主か?」

 

老人が、しわだらけの顔にやさしい笑みを浮かべ、あの少女の様に ナツの頬のいつの間にか流れた涙を拭ってくれた。

この1週間にあった事を、老人に言うと、その老人は「妖精の尻尾」に連れて行ってくっると言った。

老人は、ナツの頭に手をのせた。

 

「・・・すまんな。。。」

 

 

「ルーシィ!来たぞ!」

 

ソファでウトウトしていたようで、頭を起こしてトロンとした瞳のルーシィがこちらをむいた。。

 

「ナツ!!」

 

柔らかい笑顔をこちらに向ける。

ナツはその隣に 腰を下ろすと、ポスンと金髪の髪が肩にかかった。

 

「ねぇ。ナツ??」

「んあ?」

「あれは、ナツだったんでしょ??」

「・・・・おう。」

 

ナツは、最後に小さいルーシィから渡された紙袋を見せた。

 

「ちっこい頃のルーシィかわいかったぞ!!」

「っ///ナツもね!!」

 

2人は、目線を絡ませ笑い合った。

 

「はじめてナツを見た時、びっくりしたのよ。でも、年齢が合わないじゃない?」

 

本当ならもうおじさんじゃない?とルーシィは笑っていった。

 

「でも、今回ナツが消えて、なんとなくあの人はナツだったんだなって。突然消えたのはこっちに戻ったからなんだって解った。」

 

「つーかよ。オレも、思い出したぞ。オレが、ちっこい頃ルーシィとハッピーに逢ったって。」

「フフフッ。今朝までそこで寝てたわよ!!!」

「おぉ。そうだな・・・・。心配してたんだろ?」

「・・・えっ?」

「オレの事、心配してたんだろ??オレ。。ここで過ごしてた時、たまにルーシィが寂しそうにボーっとしてたの知ってるぞ!!!」

 

ルーシィの目頭が熱くなってくる。ナツのあったかい掌が、頬に触れた。

 

「帰ってくるって、信じてたよ?もし、あの人がナツじゃなくても、ナツはちゃんと帰ってくるって。」

 

ルーシィの大きな瞳が揺れる。溜まらずナツは、ルーシィを抱き寄せた。

 

「心配させて悪かった!!待たせて悪かった!!!もうずっとここにいる。ルーシィを1人にはしねぇ。。絶対だ!!」

「ナツ。」

 

ルーシィの頬に涙がつたった。

 

「ナツ!おかえり。。おかえり!!」

「おう!!ただいま。。ルーシィ。。」

 

ナツは、ちょっと待ってろっと言って、小さいルーシィがくれた袋の中を漁った。

1包の飴を出した。

 

「なぁに?」

「ルーシィ。手!!」

「へっ?て?」

 

ナツがルーシィの左手を取った。飴の包みを開くと、ルーシィの指にはめた。

 

「えっ??」

 

ルーシィの指にはめられたものは、昔ママがしていた指輪。

ママによく似合っていて綺麗で、いつも触っていた。

一度頂戴と言ったら、『あなたが、お嫁い行く時ね?』と言って笑っていた。

亡くなったママの指にはそれは無く、どこに行ったか分からなくなっていたものだ。

 

「ルーシィ。ママの指輪探してるって言ってたろ?」

「うん。」

「ママがくれたんだ。飴と一緒に。・・・これで、お嫁に行けるだろ?」

 

ルーシィが、バッとナツを見た。

 

「・・・覚えていたの?」

「オレには、昨日一昨日お話だしな!!」

 

 

ナツが大きく息を吸い込んだ。

 

 

「ルーシィ!!お嫁にこいよ!!オレんとこに。。。」

 

 

ナツが、太陽のように、ニカっと笑った。

 

 

 

 

2人は確かな存在に。。。新たな誓いを約束をした。

 

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

あとがき。。。補足。。。

 

長かったし、途中でデータ消えちゃって泣きそうでした(/_;)

 

イグニールは、ナツに対して 最後の仕上げ?みたいな感じで、、

自分が父親として教えてきたこと以外、教えてあげられなかった母親の部分を、ルーシィに託した。

といった感じです。

ナツの未来の奥方にお任せします。

って事で、ナツの前から姿を消すとき 魔力と思念を残していったという設定。

 

魔法陣の仕組みとして、過去と未来のナツ同士が、ひどく落ち込んでいる時、闇に向かっていきそうな時に、

自分の思念(あんかい靄)で包み込むことで、思考と行動?を同じにすることに。

戻ってくる時も一緒。

両方のナツが、立ち直り前を向いて、自分の時代に帰りたいと思った時に合わせて、思念で覆う。

すべて、イグニールお父さんの仕業でした。

 

「オレ、小さい頃、、、ルーシィみたいなやつにあったような気がしたんだ。

でも気付くといなくて、きっと夢だったんだろうって思ってた。

会えるって信じてたけど、もしかしたら、ただの夢だったんじゃないかって。」

「・・・ナツ。」

プロローグの辺りで、ナツがルーシィがした会話。

ルーシィに出会ってから、マスターに封じられた記憶のふたが開きかけていたかもしれない。

でも、はっきり思い出せないので、喪失感が勝ってしまって余計落ち込んでしまった。。。

マスターは、ナツと初めて会った時に、時間軸の乱れを感じていて、ナツの話を聞いて未来に行ってきたと確信。

未来の詳細な記憶は、この先危険が伴うと判断して、魔法で蓋をした。

しっかり記憶を消すことはせず、夢だったんだと思う程度に。

青いリボンは、ナツは、なんだかわからないけど大事に持っている。

 

 

ナツが過去から帰ってくると、ママの指輪を持っている。

これが初めの構想。

そんでプロポーズしてほしかったのです。

始めは、ママの幽霊にでもあわせようかとも思ったんだけど。。。。。

だったら、ルーシィに会いに来るんじゃん!!とか思って。

 

 

滅竜魔導士って、闇にとらわれやすいのかなと思います。

未来のローグしかり。。。

イグニールはそれを危惧していた。そして滅竜魔導士がってことは、、、ドラゴンも??

 

ドラゴンたちは闇にとらわれない様に、姿を隠したのかな???なぞはたくさん残ってますね!!

 

最後まで読破していただきありがとうございました。乱文にて、お見苦しい点が多かったと思います。でも頑張ったので、許してください!!

 

お目汚し失礼しました。文章力欲し~~(/ω\)

ではまた(^^)/

感想お待ちしております!!よろしくですm(__)m

 

 

bottom of page