top of page

確かなもの 4

 

ナツside~4日目~

 

今日は、朝からここにいる。木の上だ。下を向くとルーシィのママの墓石がある。やることも思いつかなかったので、小さいルーシィを観察してみようと思った。

 

朝一番に、ルーシィはやってきた。

ママを見上げて、「おはよう!!」と元気に声をかけた。

そして、すぐに屋敷の方から声がかかる。

 

「ルーシィ様~お勉強の時間ですよ~!!!」

 

小さいルーシィは、「は~い。」と大きな声で答えて、こちらにウインクして去って行った。

昼を少しまわった頃、小さいルーシィがカゴを持って現れた。木の上のオレに向かって声をかける。

 

「ねぇ。おにいちゃん。一緒にサンドイッチ食べない?ママと食べるって言って作ってもらったの!!」

 

その表情は、目が赤い以外は 元気そのものだ。

小さいルーシィの差し入れを食いながら、小さいルーシィの話を聞いていた。

 

やれ、今日の勉強はどうだの。

この後の宿題がめんどくさいだの。

あの先生のまつ毛が長いだの。

あの人の息が臭いだの。

こんな本を読んだだの。

他愛もない話ばかりだ。

 

屋敷で、気軽に話せる人がいないのかもしれない。

いや、少女の話を聞く限りでは、大人はこの子にどう接していいのかわからないのだろう。

 

そして、『この間、ママがね・・・』と言って止まってしまった。

少女は少しの間の後、上を向いて涙をのみ込んで、にっこりと笑顔で話し続けた。

寂しいと言えないのかもしれない。

ママの話は辛くないのかと聞くと、首を横に振った。

涙は出ちゃうけど、大好きなママの話しだから。

ママとの大事な思い出だから!

聞いてほしいと、少女は言った。

 

彼女の心の強さを、少女の中に見た気がした。

 

宿題があるから!と言って少女は屋敷に戻っていった。

 

 

振り返って「また明日!!」と言って笑っていた。

 

 

ルーシィside~4日目~

 

今日は、朝から冷たい雨が降っている。空気がひんやりしている。

ハッピーがギルドへ報告に行って戻ってきた。

小ナツは、まだ寝ている。

 

「ハッピー。おかえり。」

「ただいま~!!ナツはまだ寝てるの??」

「そーなの。昨日遅くまで起きていたからね?それに今日雨だし、元気でないんじゃない?」

「そっかぁ。」

「そっちはどおだったの?」

 

ルーシィとハッピーは、向かい合って座った。

 

「あっ。マスターが後でギルドに来てほしいって!」

「えっ!?」

 

今ここにいるナツが、元の時代に戻ったときに 混乱しないようにと、ギルドには足を運んでいなかった。

 

「・・・ナツは??」

「ナツにも会いたいんだってよ?」

「・・・そう。わかったわ。」

 

小ナツがゆっくり起きてきた後、支度を整える 皆で部屋を出た。ギルドに着くと、いつものように声をかけられた

 

「ルーシィちゃんおはよー!!」

「やっほ~!ルーシィちゃ~ん!!」

「おぉっ!!こいつかぁ~。」

「おっ。懐かしいな!!」

 

あちこちから声を掛けられた。一様に、皆ナツの名前は口に出さないが。。。何か、示し合わせたのだろう。

ミラに促されルーシィは、小ナツをハッピーに任せ、奥の部屋に入った。

 

「マスター。おはよーございます!」

「うむ。おはよう。ルーシィ、朝から難しい顔をしておるな。」

 

ルーシィは、進められた椅子に腰をおろした。

 

「マスター。。。マスターは、なにかご存じなのですか?」

 

ルーシィは疑問に思っていたことを口にした。マスターが「うむ。」と、髭を撫で静かに話し聞かせてくれた。

話が終わり、ルーシィは部屋を後にした。ドアを閉めるか否かで、桜色と青色が飛び込んできた。

 

「「ルーシィィィ!!!話 終わった~??」」

「ルーシィ!!オレっ、ファイアードリンクっての、飲ましてもらったぞ!!!」

「ルーシィ!!ナツがひどいんだ!!オイラのOSAKANAクッキー全部食べちゃったんだ!!」

 

ルーシィが小ナツにコラッ!っと頭をコツくと、小ナツは不貞腐れ、ハッピーは満足そうにニコニコしていた。

 

「ルーちゃん!!」

 

レビィが駆け寄ってきた。

 

「レビィちゃん!久しぶり!!」

 

少女2人は自分の胸の前に出した両手を向かいあって繋ぎ、ピョンピョン跳ねている。

 

「ルーちゃん!!ちょっと調べて解ったことがあるんだけど、今いい??」

「えっ?!うんうん!!」

 

小ナツがルーシィの上着の先を引っ張った。

 

「う~ん。。。ナツ!!ちょっと向こうで遊んどいで!!」

 

小ナツは、下を向いてしまった。ハッピーは、久しぶりに会えた愛しい白猫に夢中で、こちらには気が付かなそうだ。。。

 

「ナツ~??一緒に難しいお話聞けるの??」

 

ルーシィが、下を向いた小ナツの顔を覗きこむように、しゃがんで話しかけた。困ったなっと思っていると、視界によく知る人物が映る。

 

「グレ~イ!!!おねが~い!!」

 

仕方ないといった面持ちで、グレイが近づいてくる。

 

「ナツ!!アタシここでお話があるから、あのグレイって人に遊んでもらいな!!」

「えぇ~!!」

 

ナツが思いっきり嫌な顔をした。

 

「てめぇ。。。姫さんの頼みだから仕方なく面倒見てやろうってのに、いい度胸だな!!」

「あぁ゙~!!別に頼んでねぇ!!」

「あんだとぉ~!!」

「やんのかぁ~!!」

 

年齢が変わっても、やることはちっとも変わらない炎と氷。

 

「ルーちゃん。ナツって、小さくなってもルーちゃんにベッタリね♡」

「レレレビィちゃん!?な何言ってんのよもう!!」

 

ルーシィは赤くなった顔を掌で隠しながら、レビィの隣に座った。

 

「で、レビィちゃん。」

「うん。あのね?ルーちゃん。エルザが写してきてくれた魔法陣の解読を進めたのね。

 それでぇ、、、今現在、解っているのが、

 まず、時間軸をいじる。つまり、タイムスリップするってこと。

 あと、気づいたんだけど これには、入れ替わる存在が必要だってこと。

 つまり、この時代のナツが過去にとんで、昔のナツがこの時代に来たってこと。

 もう一つ、これは憶測なんだけど、入れ替わる存在同士の意思や行動が重なった時に発動するんじゃないかと思うんだ。」

「でもそんなに、簡単に同じことができるのかしら??何か引っかかるわね。。。」

 

2人で意見の交換をしキリがよくなった頃、グレイがナツをおぶってやってきた。

 

「こいつ。暴れるだけ暴れて、コテンと眠っちまいやがった。。。」

 

部屋まで運んでくれるというので、それに甘えグレイに小ナツを運んでもらった。

 

コイツは、全然変わんねぇ。このまま図体だけ大きくなんだな。

など、口ではボヤキまくってはいたが、ちゃんと手加減をしてくれたようでグレイの背で眠る小ナツの顔は、安らいでいた。

グレイは小ナツをベットにおろし、ルーシィの頭をクシャリとなで、

 

「おまえが元気なくしてどおすんだ!!大丈夫だ。何とかなるから。アイツは絶対無事だ!!」

 

と言葉を残し、この後、仕事なんでなと 帰っていった。それを、笑顔で見送るとルーシィはソファにドカッと身を沈めた。

ハッピーはまだギルドで、ルーシィ1人。

 

・・・しかしなぁ、、、と頭をひねる。

同じタイミングで同じこと、、、、?

そんなに簡単にできるおこおじゃない。。。

でも、それがおきたから、ここに小さいナツがいる。

ってことは、、、、偶然ではないわよね。。。

つまり、偶然ではないと仮定すると、

この時代と、昔のナツを入れ変えて、、、、何か得があるのかしら??

・・・・誰が?

それとも、本当に偶然なの?

 

・・・まだ情報が足りない。。

 

マスターに聞かされた話が、頭をよぎる。

 

 

『こちらに来たナツは、もとの時代には戻れる。が、未来を覚えている事はできないであろう。』

 

 

『じゃが、ナツにとってここに来ることは、必要なことじゃったのだろう。』

 

 

 

***

ナツside~5日目~6日目~

 

次の日も、その次の日も小さいルーシィは朝になるとママの墓石に「おはよう」を言いに来た。

そして、昼までお勉強をして、昼過ぎに食べ物を持って声をかけてきた。ママの話をオレに聞かせて戻っていく。

午後は日によって違うと言っていた。

 

ここにきて6日目、今日はピアノらしい。ちょっと、たどたどしいピアノの音色が聞こえてくる。

ピアノの音がやんで暫くすると、、小さいルーシィが駆けてきた。木の根元までやってきて、こちらを見上げた。

 

「そこに登りたい!!」

 

そう言って手を伸ばしてきたので、抱えてやって、木のもう少し上の方に小さいルーシィを抱えたまま座った。

 

「何か良い事あったのか?」

 

少女は目をキラキラさせていた。

 

「ママから、元気になるお薬を貰ったの!!」

「へ?」

「あのね?スペットさんが、持ってきてくれたの。ママがアタシの為に用意してくれていたんだって!!」

 

少女は、ポケットから包みを出して、見せてくれた。

 

「??」

「飴よ?魔法の!!」

 

少女が得意げに言う。

 

「へぇ~。」

「ママね!!魔導士だったの!!星霊魔導士!!!」

「そうか。すげぇな!!」

 

小さいルーシィの頭をぐりぐり撫でてやった。

 

「うん。この飴はね?元気になれる魔法がかけてあるんだって。つらいことがあったら、1つ舐めなさいって。」

 

その飴は、大きな瓶に入ってママのベットの下に隠してあったらしい。

1つずつ、ルーシィを想って瓶に詰めていったのだろう。

 

「良かったな!!」

「うん。ママの物。パパが持ってちゃって、何も無くなっちゃったから。嬉しいの!!」

「そうなのか??」

「うん。ママね?アタシにブローチとかネックレスとかもくれるって言ってたのに!!ママが、いつも身に着けていた物が欲しかったのに。。無くなっちゃった。。。。」

 

言葉は徐々に小さくなり、小さいルーシィの大きな瞳が揺れた。

 

「ママね?アタシが結婚する時、いつもしている指輪をくれるって言ってた。」

「・・・・。」

「それも、無かった。ぜ~んぶパパが持って行っちゃった。」

 

震える小さいルーシィの肩を後ろから包んでやった。

 

「だから。。。すっごくうれしい!!ママがアタシの為に用意してくれていたの!!・・・ママ。」

 

最後は、声が震えていた。それでも、上を向いて、小さいルーシィは涙をこらえているようだった。

オレは黙って、小さいルーシィを後ろから暖めてやることしかできなかった。

 

使用人が迎えに来る頃、ママの墓石の前で小さいルーシィはママに話しかけていた。

今日は、明るい声で「ママ。ありがとう。元気になるよ。ありがとう。ママ大好き。」そう何度も言っていた。

屋敷に戻る時、こちらを見上げて、「・・・明日もいる??」と聞いてきたので、笑ってやったら、小さいルーシィもニッコリ笑って屋敷に戻っていった。

 

小さくても、ルーシィはルーシィで。

・・・心が強い。

あんなにちっこくても、人を気遣って自分ばかりが我慢している。

こんな小さい頃から、我慢してきたんだ。

人前で泣き喚く事もなく。わがままをいう事もなく。

 

スペットさんとは聞いたことがあった。

よくルーシィを気に掛けてくれていたと、本人が言っていた。

決まった時間に来て、決まった時間に帰っていくのだと 少し寂しそうに笑っていた。

 

その時のルーシィの表情が浮かぶ。

 

ルーシィ。。。

今、何してんだ??

ハッピーが来てるかもな。

アイツも寂しがり嫌だからな。

 

・・・・心配してくれてんのかな??

心配してんだろうな。

・・・・寂しいと思ってくれてるんだろうか??

寂しがりだからな。

・・・・泣いてねぇだろうな?

また、1人で我慢してんだろうな。

 

今、何を想ているんだろうな。ルーシィ。

 

どうしたら、ルーシィは幸せになれるんだろう??

どうしたら、いつも笑っていてくれるんだろう??

どうしたら、一緒に居てもいいんだろう??

 

彼女は以前、「妖精の尻尾」にいることが自分の幸せだと言っていたが、

それもそうだが、そんな大勢いと一緒だけじゃなくって、もっともっと彼女には幸せになって欲しかった。

それを近くで見ていたかった。でも、1歩も踏み出せなかった。オレが隣に居たら、幸せになれないのかもしれない。

でも、離れられなかった。・・・離れたくなかったんだ。

 

・・・ルーシィ。オレは、、、お前の隣にいてもいいだろうか?

 

 

***

ルーシィside~5日目~

 

 

今日は、近くにあるそんなに大きくない 図書館に来ていた。せっかくだから、絵本でも読んでやろうと思いたったのだが・・・・。

さすがというか、何というか。。。。・・・・・やってくれる。

何冊か絵本を選んで、小ナツが待っている席に戻ると 小ナツは口を押えてうずくまっていた。

 

「どうしたの?」

と声をかけると、

「!?!?」

ルーシィの口も押えられた。

 

・・・どうやら、図書館に入る時に ここではおしゃべりをしてはいけません!!と、説明されたのを真に受け、息をも止めそう勢いで、喋らない様に口を押えているという事らしい。。。とっても素直だ。。。小ナツから視界に入らないところで ハッピーがおかしそうに目を三日月の形にし口元を押さえている。

そっと、抑えてきた小さな手をどけ内緒話をするように、ナツの耳に口を近づけた。

 

「ナツ。ここはね?騒がなければ少しお話をしていいスペースなの。子供のスペースだからね!」

 

そう。ナツが待っていた場所は、キッズスペースと言われる場所。

他とは扉を挟んだ位置にある。

絨毯が敷いてあって、靴を脱いでくつろぐことができるのだ。

 

「と言っても、走り回ったり大声を出したり、人に迷惑のかかることはしちゃダメよ?」

 

小ナツが、口から手を放し「おう!!」と、満面の笑顔を向けてきた。

 

小ナツは、とっても素直よね。フフフッ。可愛いな。。。何であんなに、人をおちょくるようになったのかしら??

・・・・・・まぁ。。。「妖精の尻尾」で、育ったんだもんね。。。フフフッ。

だから、人一倍、仲間思いで、正直者。いつも助けてくれる。いつもアタシの近くにいてくれる。

 

小ナツの傍らに座り、1冊の絵本を開いた。始めは興味津々に カラフルな絵を眺めていた。

ページを1枚1枚めくる。5~6ページに差し掛かったころにはこっくりこっくりと桜頭が揺れ始めた。

 

「ナツ?聞いてる?」

ルーシィがやさしい声でそう聞いても、返事は帰ってこなかった。

「ナツ寝ちゃったみたいだよ!」

ハッピーが、小ナツの顔を覗きこんだ。

「・・・寝ちゃったのね?じゃぁ、ハッピーちょっとナツ頼んでいい??」

「うん。どうしたの?」

「えっと。ちょっと調べたい事があるのよ!・・・今日はお魚でいいから。よろしくね?」

「あいさー!!」

ハッピーに小ナツを任せ、今回の魔法陣について調べに、奥の方にある魔導書の保管される場所に向かった。

 

そこは図書館の地下に設けられていた。静かな薄暗い部屋の中に、何百冊の魔導書が並んでいた。

その中の、魔法陣や古代文字の専門書を持って来て、開いている机に向かった。

 

(・・・・う~ん。やっぱりここの本じゃ、レビイちゃんが言ってたくらいしか解読できそうにないわ。。。はぁ。)

 

引っかかるのは あの時のナツを包んだ靄。

それに、あの魔法陣を動かすには、結構な魔力が必要になりそうなんだけど。。。やっぱり、他の誰かが関わっているのかしら??

そうすれば、同時に同じ行動を起こさせる事も出来そう。・・・・でも、現実的に2つの時代を行き来で着なきゃ出来ない。無理だ。

 

「ルーシィさん!!!!」

 

地下の魔導書の部屋から出ると、顔なじみの司書に大きな声で呼ばれた。その焦った様子に、、、ルーシィの顔から、血の気が引いた。

 

「ナツー!!!ハッピー!!!!」

「「ルーシィ!!」」

 

階段を駆け上がると、桜色と青色がこちらに向かって叫んだ。

 

「ちょっ!?なに??何したの~!!!」

 

1人と1匹は、襟首を捻り上げられ、大人の男に馬のりされていた。傍らには、焦げた本棚と本。押さえつけている男の服は乱れ、頬は赤く腫れていた。

 

「ルーシィィィ~~!!」ハッピーが叫んだ。

「ちょっと!!取り合えず、その子たちを放して!!」

 

ルーシィが、駆け寄り小ナツとハッピーに手を伸ばした。すっと、小ナツたちを押さえつけていた男が、立ち上がった。

 

「まったくなんて子供だ!!!」

 

その男は、だいぶご立腹のようだ。ルーシィまで睨み付けてくる。

 

「・・・何があったか知りませんが、、、相手は子供です!!!」

 

小ナツを抱き寄せると、こちらも頬を赤く腫らしていた。ルーシィは、その男を睨み付けた。

その男が、何かを言おうと息を吸い込んだ時、司書が他の人を連れて戻ってきた。

 

「ルーシィさん大丈夫ですか??おちびちゃんと、猫ちゃんも。」

 

先程の男は、司書が連れてきてくれた警備員に連れていかれた。

 

「何があったのでしょうか?」

 

司書を見上げ、ルーシィが聞いた。

 

「あのね?ルーシィ!!オイラ達が悪いんじゃないよ!!」

「そうだぞ!!オレは悪くねぇ!!!アイツが悪いんだ!!!!」

「アンタ達はちょっと黙ってなさい!!」

 

ルーシィは、1人と1匹と諌め、傍らに座らせた。

 

司書の説明によると、ハッピーは、小ナツが寝ていたので、自分の読む本を探しに行ったらしい。小ナツが少しの間1人になったところに、あの男がきて、そこはオレが寝る場所だとナツをコツいたらしい。キッズスペースで寝かしておけなかったので、窓辺のベンチに寝かしていたのが災いしてしまった。寝ているところを、いきなりコツき起こされて、喧嘩になったそうだ。

 

あの男は、たまに図書館にきては、少々騒ぎを起こしていたらしい。。。巻き込まれたようなものだが。。。。。本を燃やしてしまったのは。。。コイツだな。。。

 

「ナツ。大丈夫??他に痛いところはない??」

 

小ナツの晴れた頬をなでた。

 

「こんなの平気だ!!」

 

小ナツは、ニシシと笑った。

 

「そう。」

 

今度は、焦げた本を手に取る。

 

「こ・れ・は・?」

 

ルーシィの顔は笑っているが、、、、目が、、、怖い。

 

「ハッピーも説明してくれるかしら??」

「「ひぃ!?」」

 

司書さんに何度も謝り、本は一応 修復にまわしてみることになった。

まぁ、治りそうにないので、その内請求書が回ってくるだろう。。。

 

「はぁ。。。」

 

溜め息をついて後ろをトボトボ歩く1人と1匹を見る。何だか、笑いが込み上げてきた。

 

「アハハハッ♪」

 

1人と1匹が、勢いよく顔を上げた。そのぽかんとした表情を見て、またおかしくなる。

ついには、ハッピーもわかったようで笑い出した。

 

「・・・どおしたんだよ?」

 

1人小ナツは訳が分からないと、頬を膨らませた。

 

「ん~ん。いいのよ。いいの。フフフフっ♪」

「プフフフフフッ。やっぱりナツです。。。あい!!」

 

小ナツの手をとり、ならんで歩きだした。

 

「なんだよ?ルーシィ??ごめんなさいって誤っただろ?」

「ん~。そうね!!それはもういいのよ。仕方ないし!!フフッ。」

 

桜色の小さな頭にハッピーは舞い降り、尚も笑っている。

 

「だってぇ。プフフッ。ナツも笑っていいんだよぉ!」

 

何だか解らないと言いながら、笑い合って帰った。

 

ナツ。

此処にも貴方がいるの。

まだ小さいけど、確かにナツだわ。

やっぱり、図書館とは相性が悪いみたいね!!

請求書がきちゃうから、早く帰ってきてくれないと大変。

ちょっと、報酬のいい討伐系でも行かなきゃね??

ねっ??ナツ。。。。

 

ベットの上。傍らには、小さい桜頭と青いモフモフ。

今は1時。

この時間になると、目が開いてしまう。 習慣は怖いなって思う。

 

貴方がいない事が、習慣になる前に・・・帰ってきて。。。ナツ。

 

マスターの言う様に、小さい頃のナツにとって、ここに来ることは必要な事なのかもしれない。

初めて会ったこの子は、ナツらしくもなく闇を背負っていた。

信用した人(ドラゴン)に、裏切られたと。人は、自分を信じてくれないと。嘘つき呼ばわりされ、頼るものもなく。

イグニールの存在さえ、否定され続けたら。。。そのままの環境に居たら、もっと、どんどん 頑なになっていったかもしれない。

闇にのまれてしまうかもしれない。あの、7年後のローグの様に。。。

 

大好きな。育ての親を憎んで過ごすなんて辛すぎる。アタシも、パパが憎かったこともあった。

でも、本気で憎めなかった。周りに支えてくれる人たちがいたから。やさしかったパパを、忘れないでよかったと思う。

最後は会えなかったけど、最後には心は繋がれたと思うから。

記憶はなくなってしまうかもしれないけど、少しでもここで思ったことは心に残ってくれると思うから。

 

なんとなく、やらなきゃいけない事はわかってきた。

明日、小ナツに話そう。

小ナツが、自分から前を向いて進まなきゃいけないんだから。

 

 

***

小ナツside~6日目~

 

今日は、ルーシィが張り切って、お弁当を作ってくれた。ハッピーは、ギルドに行くって言ってた。

 

「ピクニックよ!!」とルーシィが言って、2人で森の中を探検したり、魚を釣ったり イグニールみたいに遊んでくれた。

 

夕方、綺麗な湖のところまで連れてこられた。

 

「此処はね?夜になると、星がきれいに見えるのよ~。」

 

と嬉しそうに、寂しそうにルーシィは教えてくれた。

 

「ルーシィ!!オレ強くなりたいんだ!!」

 

レジャーシートの上に座るルーシィを見て言った。

 

「オレ!強くなって、ルーシィの事守ってやる!!だから、ルーシィはずっと一緒にいてくれるよな??」

 

ルーシィの瞳を見ると、真っ直ぐ見つめ返された。

 

「ナツ。ここにいる間は、一緒に入れるわ。でも、ナツは、ナツの場所に帰らなきゃいけないの。」

 

意を決したように、ルーシィの瞳に力が入る。

 

「ナツ。よく聞いて?」

 

ルーシィが、小ナツの手を優しく捕って、やさしい声で話し出した。

 

「ナツは、気が付いたらアタシの部屋に居たんでしょ?」

「おう。」

「その前は、森の中だった。そうよね?」

「おう。そうだぞ。」

「アタシは、ナツを古い遺跡の様な所の奥で見つけたの。」

「えぇ??」

「ここはナツがいた場所と少し違う世界なの。ナツは自分の場所に帰って、前を向いて自分で歩かなければいけないわ。」

 

「??」

「そこで、仲間と出会って、強くなって、近い未来で また、アタシを見つけてくれる??」

「みらい??」

「そう。未来!ナツ。アナタは、もうすぐ元の場所に戻るわ。」

「!?ヤダ!!ここがいい。ルーシィやハッピーと一緒に居たい。」

 

ルーシィは、やさしく小ナツを抱き寄せる。

 

「大丈夫。アタシはナツがいたから、ここにいるの。ナツが、このままここに居たら、アタシは、、、妖精の尻尾にはいないかもしれない。

此処には居ないかもしれないわ。」

「??・・・フェアリーテイルなんて知らない。みんな、オレを仲間外れにするんだ。嘘つきだって。嘘なんてついていないのに!!」

「大丈夫。ナツは嘘つきじゃないもの。大丈夫よ!!みんなナツをまだ知らないだけ。ちゃんと解ってくれるわ。」

 

桜色の髪を白い掌が、何度も何度もやさしく撫でる。

 

「ナツ。頑張って!!強くなってアタシを守ってくれるんでしょ??」

「・・・・。」

「アタシは、守られるだけのお姫様って柄じゃないけど、強くなったナツになら守らせてあげる。」

 

小ナツがゆっくり顔を上げルーシィの目を見た。

 

「大丈夫!!ちゃんと出会えるから!!」

 

ルーシィは、今まで見たことがないとってもやさしい笑顔でオレを見た。

 

オレは、知ってたんだ。此処が、俺の場所じゃないって。でも居心地がよくって。。。

ルーシィは、夜中、決まった時間に起きて窓を眺めている。

寂しそうに。オレが一緒にいて、守ってやろうと思っていたのに。。。

強くならなきゃ守らせてくれないんなら、強くなればいいんだ。

 

「オレが、強くなったらルーシィとずっと一緒に居てもいいのか??」

 

ルーシィを見ると、またやさしく笑った。

 

「そうよ!!初め手の出会いの直ぐ後には、助けに来てくれる。」

「元の場所に戻っても、絶対会えるんだよな??」

「うん。そう。絶対!!」

「強くなったら・・・イグニールとも会えるかな??」

「そうね!!強くなったら、一緒に捜しに行こうか?」

 

ルーシィがニコッと笑う。

ルーシィが笑う度に、楽しくなる。強くなった先で、ルーシィが待ってると思うと 楽しくなってきた。

 

「ルーシィ!!オレ、そのいせき??ってとこ行きたい!!」

 

 

bottom of page