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確かなもの 3

 

 

ルーシィside

 

太陽が、だいぶ上まで上がった頃、窓から入る眩しさに意識が上がってきた。

隣に小さく丸まっている桜頭。

やっぱり夢ではなかったか。。。

 

そっとその桜色の髪にてをあてると、もぞもぞと丸まっていたものがこちらに寝返った。

その頬には涙の跡がある。

 

ご飯を食べた後、森へ帰る!!

1人で大丈夫だ!!というこの子を、無理やりベットに引きずり込んだ。深夜、寝付いた後も何度かうなされていた。

そして、こんな小さな子供が、声を殺して泣いていた。自分も、思い出すことがある。

 

どんなに小さい子供でも、自分で考えて行動している。

大人の勝手な解釈で、キズつくのはいつも子供だ。

キズつかなければ、学べないこともあるだろう。

分かっている。

そうやって自分自身痛みを知って乗り越えてきたのだから。

 

そっと目の前の桜頭を胸に抱いた。

でも、せめてここにいる間は、やすらぎを。

心から思った。

 

「うぅ゙~。」

 

小ナツが呻った。。。少々苦しかったようだ。

自然と強くなっていた腕の力を緩め、桜色の髪を指で梳いてやった。

 

「・・・ルーシィって、女だよな?」

 

いつの間にか目覚めていたようだ。

 

「えぇ。。そうよ?」

「・・・女の体って、みんな暖かくって、いい匂いがするのか??」

 

キラキラした目で、胸に挟まりながら こちらを見上げてくる小ナツ。

 

「・・・女の人に会ったことなかったの?」

「ああ。でも、イグニールに教わった。いろいろ言ってたけど、女は柔らかいって言ってたぞ!!ルーシィ柔らかいから女だろ?」

 

ルーシィの胸に顔を埋めて楽しそうにしている。

 

「・・・///。そっそうね。。。でも匂いは、1人1人違うんじゃないかしら?ねっハッピー!!!」

 

助けを求める様に、青猫をさがす。

 

「ナツ~。ルーシィは女の子で、ナツは男の子だからそんなに胸を触っちゃダメなんだよ?」

 

呆れた顔で、目を擦りながらハッピーがいった。

 

「・・・そう言えば、イグニールがそんな事も言ってたっけ?でも、番になればいいんだろ?一緒に寝たからもう番だろ!!」

「・・・オイラ、朝ごはんの支度してくる。。。ルーシィ後よろしく~!!」

 

ハッピーは翼を出して、あっという間にキッチンに消えていった。

 

「はぁ!?////ちょっ!?ハッピー!!!」

 

どうせならもっと人間ぽいこと教えてやってくれ~!!心の中で叫びながら、小ナツを胸から引きはがして体を起こした。

小ナツも一緒に体を起こした。

 

「・・・なんか違うのか?」

 

小ナツは、向かい合い 少し戸惑った表情を浮かべている。

 

「えっとね?ナツ。・・・まず、人は番という言い方をしないわ。」

 

小ナツが固まった。

 

「う~ん。そうね~。夫婦とか、、、恋人とか?お互い好き同士で恋人になって、誓いを立てて夫婦になって家族を作るの。」

「・・・・。」

 

ルーシィは「そうだ!」思い立ってベットサイドに置いてあったカギに手を伸ばして、小ナツに向けてやさしく笑った。

 

「ナ~ツ。大丈夫よ。見てて。。。開け!小犬座の扉。二コラ!!」

 

”リンゴーン”

 

「プップーン!!」

 

小ナツがびっくりした表情で、ルーシィとプルーを交互に見ている。

 

「もう一人行くわよ? 開け!磨羯宮の扉。カプリコーン!!」

 

”リンゴーン”

 

ヤギの姿の執事が現れた。

 

「ルーシィ様・・・・まだそのような格好で?」

「あははははは。き今日はお休みなのよ!!えへへっ。っそうそう!!ちょっとお願いがあって、、、耐火の子供服ないかしら?」

「・・・かしこまりました。」

 

カプリコーンは、小ナツを一瞥し 何もない空間に手を差し入れ、洋服を取り出しルーシィに渡した。

 

「では。」そう言うと、煙と一緒に消えていった。

 

プルーが小ナツに気付き、小ナツのまわりでジャンプしたり手をたたいたり踊ったりしている。

小ナツはポカーンと口を開き まだ動きを止めていた。

 

丁度よく、ハッピーが朝食をテーブルに運んできた、

 

「ルーシィ!!ナツが固まってる!!!いきなり刺激が強すぎたんじゃない??」

「・・・ナツ!!ご飯食べよっか??ハッピーの目玉焼きおいしいのよ!!」

 

小ナツの目の前まで顔を寄せルーシィがニッコリ笑ってそう言った。

 

「・・・おぅ。」

 

「ねぇナツ?この世界には、人間以外にもたくさんの生き物がいるのよ?プルーたちはアタシの家族。仲間なの。おかしいかな?」

 

小ナツは首を横に振った。

 

「見たことない人は、簡単には信じてくれないかもしれない。でも彼らは存在する。ちゃんといるの。」

 

小ナツは、朝食を咥えながら、視界がゆがみ、頬に熱いものがつたうのを感じた。そっとルーシィが、それを指で拭ってくれた。

 

「オイラ、タオルとってくる!!」

 

ハッピーが洗面所へ消え、タオルを持って来て小ナツに渡した。

 

「・・・ありがとう。」

 

小ナツはタオルに顔を埋め、しゃくりあげながらしゃべり始めた。

 

「イッイグニールは、オレの父ちゃんだ。・・・オレに滅竜魔法を教えてくれたんだ。・・・ドラゴンなんだ。」

 

言葉に詰まりながらも、やっと自分の口で教えてくれた。ルーシィとハッピーの手が桜色の髪に伸びた。

 

「よく言えたね。」

「ドラゴンがお父さんなんてすごいよ!!」

「・・・みんな、嘘だって。オレが嘘ついているって馬鹿にするんだ。」

「・・・大丈夫。イグニールはいる。」

「そうだよ。ナツが滅竜魔導士なのが証拠だよ!!」

「そうね。もっと大きくなれば、魔力も大きくなるわ。誰も嘘だなんて言えなくなる。」

「ナツ。オイラ達は信じるよ!!」

 

その日は、沢山イグニールの話をした。小ナツは、楽しそうにケタケタと笑っていた。

どこに行けばいいかわからないので、しばらくここにいることを嬉しそうに承諾してくれた。

 

***

 

ルーシィside~3日目~

 

「今日は買い物行くわよ!!」

「あ?」

「何かうの~??ルーシィ!!」

 

1人と1匹はそろって、ルーシィを見た。

 

「えっ?普通に食材とかよ?・・・今日は好きなもの作ってあげようか??」

 

1人と1匹の目がキラキラと輝いた。

 

「オイラOSAKANA~!!!!!!」

「はい。いつも通り!ナツは?」

 

小ナツはもじもじとしている。

 

「・・・オレ。どんなのがあるかよくわかんねぇ。。。。でも肉がいい!!」

 

そう言うとナツは、ニカッと笑った。ルーシィは小ナツの頭を撫でて、

 

「じゃぁ、いいもの見せたあげる!」

 

そう言って、1冊の本を持ってきた。そこには、料理の写真がいっぱいあった。

朝ごはんを食べたばかりなのに、ナツのお腹がグ~っと鳴った。

 

「おっ!?オレこれがいい!!!」

 

小ナツが指差したものは、目玉焼きののったハンバーグ。よっぽど目玉焼きが気に入ったのかしら?

 

「よし!!買い物行くわよ~!!」

「おぉ~!!」「あいさー!!」

 

2人と1匹は仲良くアパートを後にした。

 

 

商店街に着くと、あちこちから声がかかる。

 

「ルーシィちゃんいらっしゃい!!今日は子連れかい??」

「子供いつ産んだんだ~??ルーシィちゃん。」

「あれ?いつもの彼氏はどおしたんだ?」

「小っちゃいナイト連れてんね~。」

 

など、なじみのお店の人にからかわれてしまった。いつも隣にいる桜頭の代わりにそこにいるのは、小さい桜頭。

ナツとルーシィの子だと言われたりもした。

1つ1つに、全力で否定や返事をして、ワタワタするルーシィを、ハッピーは羽をひろげ空から眺め、プフフッと口を押えた。

 

はぐれないように、しっかり繋がれた、小さい手と白い手。仲のいい親子のような、姉弟のような ほほえましい光景に商店街の人はいろいろおまけをしてくれた。

 

小ナツは、初めて見るものばかりで 終始ルーシィにあれは何だそれは何だと質問を浴びせた。

ルーシィは1つ1つ丁寧に、小ナツにも分かるように説明してやった。この先、生きていくのに必要なことは教えてやりたかった。

すべての買い物が終わるころには、太陽が天辺を超えていた。

 

「あー!!くたびれたぁ~。。。」

「ルーシィ。。。荷物も重いし、オイラお腹減ったよぉ。。。」

「オレ、全然元気だぞ!!」

 

ルーシィもハッピーも荷物を抱えフラフラとしていた。

 

いつもの様に、買い物をしたのに、いつもの荷物持ちが・・・・。

ふと、いつもの桜頭を探してしまう。一気にルーシィの頭の中が、ナツの事で占領された。

 

「ルーシィ??」

 

小ナツがルーシィの顔を覗きこんだ。

 

「あぁ!?ああそこの公園で休憩しようか?ホットドックも売ってるし!!」

 

ルーシィは先に見える公園を指さし、1人と1匹はそこに向かって走り出した。

 

「もー!!転ばないでよ~!!」

 

走り抜けていく小ナツの背中に、彼が重なった。

 

・・・・・ナ・ツ・・・。

 

無事なのだろうか?

元気なのだろうか?

ご飯を食べたのだろうか?

何をしているんだろうか?

・・・・・。

ちゃんと、、、寝れているのだろうか??

 

彼を想う。

目の前にいるこの小ナツも、確かにナツだ。

でも、まだ幼く 守ってやりたくなる。

小ナツの笑う顔にナツが重なる。

いろんな表情の中に、いつものナツがいる。

・・・・でも、、、ナツに逢いたい!

 

小ナツに対する想いと、別の焦がれる想い。

 

昔、ママが天国にいっちゃった頃、1人でさみしくて、ママのお墓の前でよく泣いていた。

その時、黙ってじっと隣に座ってくれた人がいた。その人が、未来で会えるよと言った。

一緒にいてくれる存在を無意識に探していたのかもしれない。

 

そして、ナツに出会った。

 

ナツはアタシに対して引力を持っているようだった。おもえば、出会った時からどんな感情にしろ惹かれた。

始めは、同世代の友人。すぐにチームメイトになった。いつも一緒にいてくれた。不法侵入してくるのだって、困ることがあっても本気でイヤではなかった。アタシが1人にならない様に、そうしてくれてるってちゃんと解ってた。うまれて初めて、同世代に囲まれた。友人がたくさんできた。そして・・・気が付いた。

 

アタシのこのナツに対する感情は、特別なんだって。ナツも同じだと思ってた。

ナツの特別を沢山くれるから。

でも、ナツはそれ以上踏み込んでこなかった。自分たちのペースでいいんだと、その場で立ち止まってしまって。

それでも、十分楽しかったから・・・それでもよかった。

 

一歩進んでいればよかったのだろうか?

・・・でも、ナツはきっと怖がっていた。。。

身動きが 取れなくなっていった。

、、、、それでも一緒にいた。ずっと近くにいた。

大切な存在。

 

ねぇ。。。ナツ。 1人にしないでよ。

 

部屋に戻って、2人と1匹でハンバーグを作った。

小ナツは興味津々で、手伝うが、、、、、。力加減が解らないのか、あちこちに肉や野菜を飛ばしたり、小麦粉をひっくり返したり。

へとへとになって、なんとか作った。小ナツは、怒られても、褒められても、ずっと笑っていた。その笑顔が、ルーシィを笑顔にしてくれた。

 

 

ナツside~3日目~

 

「うあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

またあの夢だ。・・・あぁ・・・ルーシィ。。。

 

気が付くと、夜中だった。どれくらい寝たんだろう??最近寝てなかったからか、最初は夢も見ないで眠っていたようだ。結局、また夢でたたき起こされたが。。。いくぶんスッキリしている。

 

空にたくさんの星が輝いている。

昔、イグニールに習った星の形。子供の頃から、星や月を眺めるのは好きだった。

昼間、ヘトヘトになるまで修行して、眠るときイグニールによりかかって空を見上げた。

あの星が。。。。あれとそれとそのさきと。。。。。。。。。。

 

ウトウトしている時に言われて、ちっとも覚えられなかったけど、他の勉強よりすっと好きだった。

 

最近は、ルーシィと星を見た。

 

以前、夜中に目が覚めて外に出ると、星空が広がっていた。

さえぎるものが無い処で見たくて、ひらけたの湖のほとりまで足を運んだ。そこに、知った匂いがあって驚いた。

ルーシィが湖のほとりで、星を見上げるように寝転んでいた。

 

「さすが。星霊魔導士だな!!」

 

そう声をかけた時のびっくりしたルーシィの顔は、ひどく印象に残っている。それから、星を見るときはルーシィを誘った。

ルーシィと一緒に見上げる星空は、イグニールと見上げた星空の様に、穏やかな気持ちになれた。

 

そのまま、また瞼を下ろした。

 

次に瞼を開けた時には、辺りはすっかり明るくなっていた。ヨッと起き上がり、固まっていた体をほぐす。

川に出て、顔を洗った。森に入って、その辺のもので釣竿を作って魚を待った。

記憶をたどって、懐かしい果実をいくつかもいできた。果物を食い終わる頃、やっと1匹魚が釣れた。

炎で焼いてかぶりついた。

 

「ゔっ・・・・。」

 

やっぱり塩もないので、味もない。それを平らげ、森の中を、イグニールの痕跡を探してうろついた。

 

(・・・何度も探したんだ。。。あるわけがない。。。)

 

そう言えばと思う。イグニールがいなくなってすぐ。

まだフェアリーテイルに入る前は、街に降りても散々嘘つき呼ばわりされて 落ち込んでばかりだったな。

イグニールに捨てられたんだって、ひねくれたりもしてた。

 

不意に、暖かい風が頬をかすめた。

 

そうだ、あの時、何かがあったんだ。

『妖精の尻尾』に入る前。。。

誰かに逢って、頑張ろうと思ったんだ。

あまり鮮明に覚えてはいないが、気持ちが前を向くきっかけを。。。

信じられる人もいるんだと確信したんだ。。。。

思い出そうとすると記憶に靄がかかる。。。

 

最近、考えることを放棄していた頭の中を少し整理してみようか?

この際、この時代にいる間にたくさん考えてみようかと思った。

 

考えれば考えるほど、ルーシィに会いたくなった。

 

小さいルーシィを見に行くことにした。

もうすぐ、暗くなる。ママの墓石の前。

1人で真っ直ぐそれを見上げ、頬を濡らす少女がいた。ただ、黙って、涙を流していた。

昨日、少女と別れる際に 上った木の上から、そっと眺めていた。少女は、何やら墓石に話しかけた。

 

そして、使用人の迎えの声が聞こえると、立ち上がりそちらに向かおうとした。

一瞬目が合った。少女の口が動く。

 

「またね!!」

 

ニッコリ笑って、少女は屋敷の中に消えていった。

 

 

つづく。

 

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