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2014年07月14日~

秘密結社『妖精の尻尾』シリーズ・処女宮の星霊の後日談

罰ゲーム

 

 

ここは、繁華街のはずれにあるとあるビルの一角。

桜頭の少年は、一角の椅子に縛りつけられていた。

その少年を銀髪の美人姉妹が取り囲んでいる。

 

「さぁ、観念しなさい!!ナツ。」

「もうナツったら、ちょっとこの服着て呼び込みに行ってくれるだけでいいのよ?」

 

有無を言わさずの姉妹の圧力にひるむことなく、桜頭の少年ナツは鋭い視線を返していた。

 

なんでこんなことに。。。

そうあれは先日の依頼での話だ。

チームメイトのルーシィとハッピーとで、久しぶりにシロツメの町に出向く依頼だった。

依頼内容は、枯れた温泉の調査。それと、新しい温泉の発掘。

 

自分の常人離れした五感をもってすれば、地脈の音を拾うことも可能だし、チームメイトの星霊の力をもってすれば、地面を深く掘り温泉を掘り当てることなど、、、、造作もない仕事であったはずだ。

 

気を付けることといえば、、、魔法を使っているところを人に見られないこと。

 

 

現在この世界では、魔法というものは廃れ果てていた。人々から忘れ去られているのだ。

機器の発達した現代。現代人たちの認識としては、魔法とは物語の中の空想の産物だと思われているのが現状だ。

 

しかし魔法を使う者たちは、確実に存在する。

ここ『妖精の尻尾』はそんな現代に忘れ去られた存在の魔導士たちを、保護し魔法を制御できていない者にはそのやり方を教え、居場所がないものには居場所を与え、仕事を与え生活させている。

 

表向きは、“探偵事務所という名の何でも屋”であるが。。。

其の実、要人などから依頼を受けて遂行している“秘密結社”でもあるのである。

 

そう。ナツはその依頼時に魔法を人に目撃されてしまったのだ。

ナツからすれば緊急事態だったのだが、、、それはただの勘違い。

依頼主の所有するホテルを半壊させたのだ。

その際の咆哮は、ナツが放ったと確実な証拠は出ていなかったが、そうではないのかと噂されることになったのだ。

 

 

現状噂は広がることはなかったし、その噂を真に受ける者もなかった。

後日素知らぬ顔で目撃者の働くホテルに泊まったほかの魔導士が、目撃者に暗示をかけそれは夢であったようにと記憶操作のダメ押しもしたのだ。

 

ということで、大事になることはなかったのだが、万事解決とはいかない。

ナツの所属する『妖精の尻尾』は、、、、その騒動のおかげで大赤字だ。

その穴埋めを、この銀髪の姉妹が請け負っていたのだ。

 

 

 

姉の手には1冊の見覚えのある本。

妹の手には、これまた見覚えのある、、、、フリルの付いた。。。。

 

「くっそぉ。。。」

 

「ナツ~!!もう観念しちゃいなよぉ~!!おいらもルーシィも連帯責任で一緒に働いてあげるんだからね~!!」

 

ナツの足元に歩み寄ってきたその相棒の首元には、いつもの風呂敷柄のスカーフではなく、真っ赤な蝶ネクタイが鎮座している。

 

「なんでハッピーは、、、それなんだよ。・・・・オレも。。。」

 

ナツは額にじっとりとした汗を流しながら、ショートカットの幼馴染が手にしている・・・・メイド服を見て視線をおとした。

そして、あきらめた様に大きく息を吐き出した。

それを目にし、銀髪の姉妹は目を細めうっすらと笑みを浮かべたのだ。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ナツの悲痛な叫びが、締め切られている部屋に響いた。

 

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ナツファイトww

0715

 

 

部屋から出てきたナツは、中性的な雰囲気を纏っていた。
・・・・口を開かず、黙っていればだが。。。
筋肉質の体が、ふんわりとやわらかい女の子のそれになっている。

 以前ルーシィに女装させられたのとは明らかに違い、、、今のナツは銀髪の姉妹の手によって、体格からして女の子に近いフォルムに変わってしまっているのだ。さすがに胸まではないが。。

「・・・・・制限時間は半日とか言ってやがったな。。。」
「あい!!ナツってば、、、案外似合うねっ!!早くルーシィのところ行こうよ!!」
「・・・あぁ。」

相棒の明るい声に普段であれば気を良くしたかもしれないが、、、この後のことを思うと気が重い。
正直気乗りはしない。どんな格好をさせられたって、誰に笑われたっていいんだ。。。 金髪のあの少女にさえ、真っ直ぐと自分を見てくれれば。。。
、、、呆れられなければ。

重たい足を何とか引きずりながらも、ハッピーを肩に乗せたままナツは酒場で待つルーシィのもとへと向かった。

今日は先日の赤字の穴埋めの為、身を削って酒場の宣伝を勤めなければいけないのだ。

「ルーシィ!!!いくぞぉ~!!!!」

バァン!!と大きく音を立て酒場に入っていくと、すぐそばから視線が集まった。視線とともに一瞬その場が静かになったが、すぐにギャーギャーとうるさくなっていく。

ナツはいろんな音を必要以上にに拾ってしまう耳を指でふさぎながら、刺さる視線の多さにひやりとした汗を垂らした。

 

ぎょっとした顔をするもの。

言葉を失うもの。

すかさずカメラを向けてくるもの。

・・・・だが、お目当ての彼女がいない。

 

そういえば目の前の人の集まりは何だ?とそこから声がかかった。

 

「ナッナツ~!?」

 

こちらに振り向いている数人の塊の中心から、知っている声がする。

自分に向けているカメラをことごとく、無言で握り潰しながらナツはその声の元へと近づいていく。

 

ルーシィは、魔導士仲間に囲まれていた。この妖精の尻尾の中では新参者のルーシィだが、元来の人当たりの良さと、叩けばはじくようなノリのいい性格のおかげですでに中心メンバーと化している。それにしても今日は一層人に囲まれている。

 

しかも、、、、男どもの手にはしっかりとスマホが握られていて、カメラ機能が起動しているようだ。ナツは眉間に深いしわを刻みながら足を速めた。

 

円の中心で少女が床に座り込んでいた。どうやら、腕にしていたブレスレットの金具が彼女の穿いている網タイツに引っかかってしまったのを取ろうとしているようだ。強く引っ張れば穿いているものが切れてしまうのを懸念して それが取れないが為に、身動きが取れなくなってしまっているのだろう。

 

ルーシィの状況は分かった。・・・・が、ブレスレットが引っ掛かった場所が悪い。スカートが半分以上めくれてしまっている。それを必死で隠してかがんでいる為に、これまた胸元がおろそかになっている。

集まっている男共の視線を集めているのは、、、、その胸元であろうことは、明確な事実であろう。

 

「ふぇっ。ナツ―!!・・・・・へっ?」

 

近づいてきた仲のいいチームメイトに向かって、助けをこう様に空いている手を伸ばしてルーシィは動きを止めた。 ルーシィの動きを無視して、ナツはすばやくかがむと、ルーシィがしゃがみこんでいる原因を無言で解消した。

 

「…ナツ?」

「…おう。」

「どっどdっどう1?!?」

「・・・いうな。行くぞっ!!」

 

 

ナツの姿を目にし、ルーシィの目の動きが固定されてようだ。

それもそうだろう。確かにナツなのに、、、、骨格が違うのだ。まるで本当の少女のように細身の骨格になっているのだから。

混乱するルーシィをその場に立たせ、ナツは周りの男共ににやりと視線を投げた。

 

おもむろに近くの奴のスマホを取り上げると、『ピキッ』っという音と共にその画面にひびが入った。それを見た他のメンバーは、先ほど撮ったであろう画像データをそそくさと消去した。

 

その作業をハッピーが確認している間に、ナツは呆然と突っ立ているルーシィの手を引きナツはさっさと酒場を後にした。ルーシィはどうしたのだろうと首をかしげている。

酒場を出たところでナツは、ルーシィを軽く睨み付けた。

 

「お前さぁ。女んだろ!?」

「・・・うん。って、じゃなかったら何なのよ!?」

「少しは気を付けろよ!!」

「へ?なにを??・・・ってかナツすごいね。女の子みたいよ!!」

 

嬉々とした表情を浮かべるルーシィに毒気を抜かれつつも、ナツは鋭い視線を崩さないで、話を続ける。

 

「その話じゃねぇ!!・・・・写真とか撮られていいのかよっ!!」

「・・・?ナツ…そんなにこの格好いやなの??機嫌悪いわね。。。」

 

写真?写真撮っていいって言われたからいいわよって言ったわよ?ほらっあたしってかわいいからね~!!などと、ルーシィはどこが写真に収められていたかを知らないから言えるのだろう。

 

「っ!!だから~!!・・・・はぁ。」

「??ハッピー遅いわね。どうしたのかしら??」

 

きょとんとした表情のルーシィに、完全に毒気を抜かれてしまったナツは、小さく息を吐き出した。(まぁ、オレが気を付けてればいいんだけどよう。。。)

その様子にルーシィは笑みまで漏らしている。

 

「ルーシィ。。」

「な~に~??」

「さっき・・・乳見えてたぞ。」

「そ~??・・・・・っ!!!!」

 

一瞬にして顔を真っ赤に染め上げ、涙目で振り返ったルーシィ。

 

 

 

「にゃ~にゃ~にゃにゃ~(ナツ~ルーシィ~お待たせ~!)」

 

酒場の扉から青猫がゆっくりと出てきた。相棒の肩までよじ登るとその頬が真っ赤に晴れているのに気が付いた。

 

「ナツ?」

「あ?」

「だってっ///ナツが////」

 

その様子に、ハッピーは理解する。

また自分の相棒は、言葉足らずにルーシィの乙女心とやらをつついてしまったのだろう。。

唇を突き出していじけた様子の金髪メイド姿のナツと、真っ赤な顔で目にいっぱい涙をためたこちらも元来の金髪のメイド姿のルーシィの間に入り青猫が口を開いた。

 

「ナツー。ナツに言われた通り、ルーシィのきわどい写真データはしっかり消去させてきたよー!ルーシィも、ナツが気が付いたからよかったけど、気をつけなきゃだめだよー!!女の子なんだから~!!」

 

「おう。」

「///ふへっ///」

 

出っ張らしていた唇は引っ込めたが、ほほを膨らませたままのナツと、何があったのかに気が付いたルーシィ。慌ててルーシィがナツに飛びついた。

 

「ナツ!!!ごっごめん!!!・・・ごめんね?」

 

ルーシィが飛びついてきた時点で、膨らんでいた頬を引っ込めているナツがチラリと腕に絡まるルーシィを見た。

 

「それと・・・ありがとね!!」

 

目が合ったところで、にっこりとほほ笑まれてしまえばナツは「おう。」としか返せなかった。

 

 

ナツとルーシィが持つ籠には、ミラから配るように言われた酒場と探偵事務所の『妖精の尻尾』のチラシがたくさん詰まっている。それをそれぞれが手に持ち、いくつかの角を曲がった先にある駅前の広場まで2人と1匹は並んで向かっていた。

 

ミラからの指令は、このチラシをしっかりと配ること。

そしてこれを手に取った人が、客として『妖精の尻尾』に来るように、しっかりと愛想を振りまけとまで言われていた。

なので喧嘩は御法度。罰ゲームも兼ねてのメイド姿という事らしい。

 

「それにしても、、、ナツよく似合うわねっ!!」

「・・・うれしくねぇ。」

「なんでぇ??可愛いし、似合うんだからいいじゃない!!褒め言葉よっ!!」

「だから・・・うれしくねぇ!!!」

「まったくしょうがないわねっ。。。でさっ。あたしも似合うでしょ??」

「にゃ!!(あい。)」

「・・・そんなもんだろっ」

 

ハッピーが即答したのに対して、ナツはチロリとルーシィの斬新に視線を向けてからポツリを応えるだけだ。口元にぐっと力を入れへの字口を作っているナツの様子は、テレを必死で隠そうとしているのだろうと、相棒のハッピーにはよくわかるが、ルーシィとしては期待したものではなかった。少し肩を落としたルーシィは次に降ってきた言葉に心臓をつかまれた。

 

「にゃーにゃーにゃー(ルーシィいつも可愛いもんねっ!)」

「・・・あぁ。そーだなー。」

 

ハッピーの発言に、軽く相槌を打つナツ。 だが、その軽い相槌にもルーシィは頬を赤く染めていた。

と、そこで背後から突然低い声が降ってきた。

 

「可愛いお姉さんたちに、飴あげる~!!」

 

声とともに、目の前に一輪の花と2つの飴が差し出された。

突然のことにナツは歩みを止めそうになるが、ルーシィはナツの腕をとって歩き続ける。その様子は・・・慣れているのだろうとナツの頭でも容易に想像できた。

 

「お姉さんたち可愛いから、このガーベラみたいだな~って思ってさっ!!」

 

にっこりと余裕の笑みを浮かべながら、その男が歩調をを合わせながらまだ花を差し出してくる。 それを横目にナツは、再びルーシィを見た。

 

「ほっときなさい。誰にでもしてるのよっ!いこう!!」

「そんなこと言わないでよっ。オレかわいい子にしか声かけないよ!!」

 

しつこい男は、とうとう少女たちの目の前に立ち道をふさいできた。

ルーシィはわざとらしく、大きくため息をつくとその男に視線を移した。

 

「みてわかりません?」

「うん。可愛いメイドさんたちだね~。」

「そう。あたし達、3次元に興味ないから!!」

 

そう言い残し、ナツの手を取ってその場を足早に去ろうとするも、まだ男は立ちふさがる。

 

「またまた~。どうせバイトかなんかでしょ??何時に終わるの?」

「あんたには関係ないわ。そこどいてよ!!」

「まあまあ怒らないでよっ。仲良くしようよ。おっ!!」

 

男は、ルーシィが持っている籠からチラシを1枚とってそれを見た。

 

「ふ~ん。妖精の尻尾ってbarでバイトしてるんだ?メイドさんの居るbarなんだ?」

 

どうにもしつこい。 しかも、妖精の尻尾のものだとわかられてしまえば、扱いに困る。

邪険にしすぎて、店によくない言いがかりをつけられても困るのだ。

追いつかれてしまったのが運の尽きだった。

 

ルーシィは困ったように、ちらっとナツを見た。今のナツは確かに女の子に見えるのだろう。・・・しかも何気に可愛いのが、、、少し癪に障る。

ナツはまだ呆気にとらわれているようだった。もしかしたら、これがナンパだとわかっていないのかもしれない。

ルーシィは一抹の不安を感じながらも、ナンパ男を睨み付けた。

 

「ねえねぇ!!」

 

としつこく言い寄ってくる男に、溜息しか出てこない。

 

「もう!!あんたに興味ないって言ってんの!!」  

 

そう言って強引に通り過ぎようとした時、ルーシィの腕をその男が掴んだ。

へらへらと笑いながら、ルーシィに話しかけていた男がルーシィのすらりと伸びた柔らかい手を無理につかんだのだ。掴まれている腕が赤くなっている。

 

瞬時に沸騰したナツが、「おい!!」とどすの利いた声を出した。

すると、、、ナンパ男の顔色が一気に青くなる。

 

「・・・お姉さんじゃ、、、なくて、、、おにいさん。。。!!!!」

「あっ!?」  

 

パッと、ルーシィの手を放すとナンパ男はナツを見たまま後ろへ1歩2歩下がり、踵を返すと走り去って行った。

ナツとルーシィ、そしてハッピーはキョトンとした目で互いと視線を交わした。

 

「にゃにゃにゃ!!」

「あはっ!あはははははっ!!」

「・・・なんだあいつ!?」

「そうよねっ!!声はいつものままだもんねっ!!!ハハっ!アハハハッ!!」

 

ルーシィとハッピーは笑いをこらえながら、ナツはちょっとブスッとしたまま、歩みを進め目的の駅前に到着した。

 

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ナンパww

 

0716

 

「妖精の尻尾で~す!!」
「おらっ!!よろしくな。」

「にゃ~!!」
「遊びに来てね~よろしく~!!」
「おう!飯もうまいぞ~!!」

「にゃーにゃー!!」

軽快にニコニコと営業スマイルでルーシィはハッピーを肩に乗せたまま、籠の中のチラシを配っていると、脇で同じようにチラシを配ってるはずのナツが自分をじぃっとみている事に、ルーシィは気が付いた。

「どうしたの?ナツ。」

声をかけてもナツは鋭い視線をこちらに向けたままだ。その真剣な眼差しに、ルーシィの心臓が早鐘を打ち出しすのをぐっと堪えた。

「えっ??なんなのよ!ナツ―!!」

ナツの肩にルーシィが手を置いてその肩を揺さぶっていると、不意にその手をつかまれて体ごと引き寄せられた。

その瞬間。

「きっ!!きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!」

勢いに乗って、ポスンとナツの胸に抱き寄せられたルーシィが、途端叫び声をあげた。
そして顔を起こすと、目の前のナツの頬をバチーンとビンタした。

ナツはぎゅっと眉間にしわを寄せながら、ルーシィの尻を鷲掴みながら、ルーシィを通り越してその後ろに立つ人物にを睨み付けている。

「お姉はんらちろこの店らい??可愛いれぇ!!」

その親父がルーシィの尻に伸ばしてきた手は、ナツが先にそこを掴んだことによって回避された。明らかにろれつの回っていない口調に、 イメクラかなにかと間違われてるのだろう。

「てめぇ!!なに触ろうとしてやがんだ!!」
「なっ!?触ろうとなんてぐふふふ~♪」
「触ろうとして、タイミング測ってやがったじゃねえか!!」
「おじさん。ただの酔っぱらいだから~♪」
「てんめぇ!!しらばっく・・・「ナツ!!!」」

酔っぱらいを怒鳴り付けていたナツが、ここでやっと腕のなかにいるルーシィに、視線を移した。

「あ??」
「////お尻放して!!!」
「おおっ!」
「お嬢ちゃんのお尻、気持ち良さそうらね~♪」
「テメェは引っ込んでろよ!!!」

ルーシィは怒りを忘れ、ハッピーを抱き上げ呆れてその様子を眺めていた。
すると、不意にルーシィの後ろから手が伸びてきて、形のいいその尻をまた違う酔っぱらいらしきおやじが掴んだ。

 「きゃっ!!!!」

ルーシィの声にナツが振り返る。ナツの目の奥で炎が揺らめいているように見えた次の瞬間、その親父の腕はナツによって捻り上げられてえいた。

「テンメェ!何しやがる!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!」


親父はその場に腰砕けるように座り込んだ。ナツの指がその親父の腕に食い込んでいる。それほど強く握っているのだとわかる。先ほどまでナツと言い合いしていた酔っぱらいはすでに走って逃げている。

 

慌ててルーシィがナツを抑えようとするが、怒りの収まらない様子のナツ。その場の温度が上がったような気さえしてくる。

 

「ナツ!!やめなさい!!折れちゃうわ!!」

「あ?このおっさんが悪いんだぞ!!!なんでかばうんだよ!!!」

「そうじゃなくってぇ~!!!わ~ん誰か~!!」

 

ハッピーも慌てて猫の姿のままナツの肩に飛び乗り、その顔を爪でひっかいた。

 

「にゃ~!!にゃー!!!ニャツ!!」

「もう!!いい加減にしてぇ!!!!!」

 

どうしたものかと涙目のルーシィが、思いっきり尻を掴んだ男とナツの横っ面をパァンとひっぱたいた。ナツはその場で動きを止め、その手から逃れた男は、じりじりと後ずさっていく。

 

気が付くと周りには、なんだなんだと野次馬が集まっていた。

ルーシィが視線を流すと、その野次馬の中に警官の制服が見えた。

 

これはやばいかもしれない。何かと騒ぎを起こしては近くのお巡りさんのお世話になっているメンバーも多い妖精の尻尾は、すでに要注意だとマークされているのだ。ここで騒ぎを起こすのは非常にまずい。

 

どうしよう!!絶体絶命!!??

 

「コラ!!往来の真ん中で何を騒いでいる!!」

「はいはい。野次馬の皆さんも散った散った!!」

 

婦人警官にしては、ずいぶんスカート丈の短い、、、しかも何か体のラインを強調したその警察官のコスチュームと帽子から覗く緋色の髪。その後ろから、こちらは普通の警察官のユニフォームだが、それを少しだらしなく着崩した無精ひげの警官。双方とも見覚えのある人物だ。

 

「エルザ!!!」

「にゃーにゃにゃ!!(マックス!!)にゃー!!!にゃにゃにゃー!!(その男捕まえて!!)」

 

「あぁ!?」

 

鋭い目つきで振り返ったナツの真正面に、真顔+鋭い目つきで仁王立ちをする緋色の髪の婦警がいる。

ナツは振り返った姿勢のまま、カチンと固まった。

 

ルーシィの手柄を頬につけた者は、その場に崩れ落ちながら逃げようとしていたところを、あっさりとマックスに捕まえられた。

 

「お?こいつか?何したんだ??」

「それが・・・」「にゃ~。。」

 

マックスのもとに駆け寄り、ルーシィとハッピーが事のあらましを説明していると、円の中心にはメイド姿のナツが残されていた。そこに婦人警官がゆっくりと手を伸ばした。

 

「・・・ナツなのか??」  

 

 嬉々とした少女の声が響く。

 

「まるで女の子ではないか!!ミラだな?相変わらずミラはいい仕事をするな!!」

「は・・へ??」

「ん?どうしたナツ??何を固まっている。」

「あ・・いあ・・・??」

「そうだマックス!!!カメラだ!!記念に写真を撮ってくれ!!」

 

ルーシィたちに事情を聴いて、置換男を拘束したところでエルザから声がかかった。

しぶしぶと、マックスは懐を探っている。

拘束した男をその辺のポールに縛りつけ、撮影会が始まった。。。。

 

その様子を野次馬たちが遠巻きに眺めていた。

青猫が金髪でツインテールの方のメイドの肩に乗りこっそりと何かを告げる。

耳打ちされた少女は満面の笑みで、振り返ると野次馬に向って叫んだ。

 

「あのメイドの男の子や、コスプレ婦人警官たちと写真を撮りたい方は、そこの角を曲がったところのbar妖精の尻尾にどうぞ~!!!」

 

そういって、持っていたチラシを空に向かって投げた。

 

ひらひらと空を舞うチラシを我先にと拾う者の後ろから、もう一人の金髪のメイドがギンとルーシィを睨み付けた。

 

声は出していないが、ぱくぱくと動くその口は、きっと文句を言っているのだろう。

ルーシィはにっこりと笑顔で、1歩後ろに下がった。

 

「!?ハッピー!!!逃げるわよ!!!」

「にゃー!!(あいさー!!)」

 

がっちりとエルザに腕をつかまれたナツは、しばらくあそこから動けないだろう。

このまま、先に酒場に戻ってしまえば、あとはうやむやになるはずだ!!

ハッピーを胸に抱き、ルーシィは笑いながら『妖精の尻尾』までの道を全力疾走した。

 

 

酒場の扉の内側に、金髪のメイドが先回りしているとは露にも思わずに。

 

 

FIN

 

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さて何が描きたかったんだろう!?日常かな。

 

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