2014年3月10日
涙ヲナガスバショ ㊦
続きです。ルーシィが痛い思いをするのは、、、無理!!!と言う方は、こちらでお帰りくださいm(__)m
何でもこいの方は、誤字脱字に注意して、自己責任でお進みくださいm(__)m
暫くして、テラスの窓が乱暴にたたかれた。
緋い髪と、桜色が覗く。
ローグが窓を開けると、ナツが飛び込んできた。
そのまま一直線にルーシィの元へと駆け寄る。
エルザは、部屋の様子を確認してローグに目線を置いた。
「何があったんだ?」
「あぁ。」
ローグはテラスに出て、後ろ手に窓を閉めた。
「通りかかったら、2人が男達に囲まれていた。
天竜の方は、ひどいケガではない。ルーシィハートフィリアを治療して力尽きて眠ってしまったようだ。」
「そうか。。。。。ルーシィは?」
「治療を受けたお蔭か、先ほど自ら起きた。
終始笑って居た様子からすれば、懸念していたことはなさそうだな。」
「・・・どういうことだ?」
「駆け付けた時、意識はあったようだが、散々リンチにあったはずだ。
多分体中痣だらけだろう。それに、、、、服装がだいぶ乱れていた。」
*
窓からナツが、飛び込んできた。
ナツだ!ナツだ!!ナツだ!!
ナツの手が、ルーシィの腕を引き寄せた。
その瞬間、ルーシィは安堵した。
暖かい。この腕は、この暖かさはナツだ!ナツなんだ!!
実を言えば、本当は先程から震えを押さえるのが大変だった。
あの絶体絶命のピンチから、助け出してくれた剣咬の双竜の、影でさえ怖かった。
あの現場では、何とかこの危機を脱出しようと躍起になっていたし、ウエンディもいた。
大量のアドレナリンが出ていたんだろう。。
ここで気がついた時、目の前の男の影に血の気が引いた。
その影が、すぐに知っている人物だと認識できたのに、、、片割れに言われ距離をとって貰うまで息が出来なかった。
体が勝手にこわばっていたのだ。
助けてくれたのに怖がっては、相手にも失礼だし、妖精の尻尾の魔導士が弱い女だと思われたくもなかった。
精一杯笑った。笑顔で、会話をした。
今では何を話していたのかも、、、、さだかではない。。。
それに一度崩れたら、2度と立ち上がれなくなってしまうんじゃないかって怖かった。。。
大好きなナツでさえ、怖いと思ってしまうんじゃないかって、、、必死で平常心を保とうそしていた。
自分でも健気だと思ってしまうほど、献身的にウエンディの治療をした。
ウエンディの存在が、天からたらされた救いの糸のように思えた。
ナツの人より高い体温が、ルーシィの心の中まで染み込んでくるように、ルーシィの体から、余分に入っていた力が抜けていく。
ナツなら、、、怖くない。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ルーシィを癒すのは、ナツのお仕事☆
*
ローグの説明を聞くと、妖精女王の顔色が変わった。
キーンと空気が凍ったのが解る。
冷や汗が背中を伝い落ちた。
ローグは一歩後ろに下がる。
と足元に、2人を抱えて飛んできたであろう猫達が、そこで力尽き 肩で息をしている。。。
エルザが目を細めルーシィへと視線を送ると、そこでルーシィはナツに抱きすくめられていた。
ナツの腕の中で、眉を下げているのがうかがえる。
「・・・・そうか。」
小さく息を吐くと、エルザは青と白の塊を抱き上げ部屋に入っていった。
「2人を救ってくれたことに、礼を言う。なにか、、、望みはあるか??」
振り返ったエルザの口から礼が伝えられた。
「・・・・・あぁ。」
*
「・・・・・・・ナツ!!」
ナツに抱きしめられ、ずっと我慢していた糸が切れる。
先程の男達は、ウエンディを人質にとって、ルーシィの体に手を伸ばしてきた。
痴漢の様に体を這った男たちの手の感覚が、、、、肌に残っている。
男達の下卑た笑いが、、、、耳に残っている。
それを目にしたウエンディが、力の限り暴れ、一度は男たちの手から逃れたのだが。。。
2人で路地の中を逃げて回って、追いつめられ、ウエンディを庇ってリンチにあったのだ。
今度は逃げられない様に、自分たちのアジトに運んで行こうという声も聞こえていた。
目の前が真っ暗になった気がした。
脳裏にナツの顔が浮かんだ。
お蔭で、諦めることはしなかった。
手錠により魔力を封じられていても歯を食いしばって、暴れて抵抗していた。
後ろ合わせに戦っていた、ウエンディは泣き叫んだいた。
蹴飛ばし、噛みつき、暴れた。。。。。
何とか、ウエンディだけでも。。。
意識が飛びそうになる中、目の前が霞み体中痛かったが、何とか意識を保っていた。
たいして触られたわけではない。
服の上から胸を背中を腹を尻を足を撫でられただけだ。。。。
だが、何人かの見知らぬ男の手の感覚が、気持ち悪い。
ニヤニヤと笑っていた男たちの目がまだこちらを見ているように感じていた。
その体を、ナツがやさしく、でもきつく抱きしめてくる。
まわりには、助けてくれたスティングやローグ、ナツと一緒に駆けつけてくれたエルザ達が居る。
普段なら、恥ずかしくて暴れていたかもしれない。。。
でも今は、ナツの熱からはなれる事なんて考えられなかった。
「ルーシィ。もう大丈夫だ。」
ナツのやさしい声が降ってくる。
ナツは何も聞かなかった。
マントの下に隠れている体を見なくても、五感の優れたナツなら、何があったのか解っているのかもしれない。
血の気の引いていた身体に、ナツの熱が移ってくる。
「ふっぅ。。。うぇっ。」
ルーシィの双眼に大粒の雫が湧き出しては、頬をつたって流れていく。
声を出して子供の様に、ルーシィはひとしきり泣いた。
駆け付けてくれたのが、、、ナツであってほしかったし、ナツであってほしくなかった。
襲われそうになったなんて、、、ナツには、知られたくはなかった。。。。
でもきっと、何処かから伝わったかもしれない。
きっと、自分からは知らない男達に体をさわられたなんて、、、、口には出せないだろう。。。
もし、自分じゃない誰かからその事を聞いたら、、、、ナツはどうするんだろう。
怒ってくれるとは思うけど、、、それは、、、仲間としてだろうか?
女であることで嫌な思いをしたのに、女としてナツの隣に居たいとこんな時でも考えてしまっている。
ナツとあたしの間には、確たる関係があるわけではないのに。
大切に思っているし、大切に思われているのは分かる。
それが、仲間に対しての想いなのか、、、それとは違うところからきている想いなのか、あたしには判別できない。
あたしは、、、、ナツを特別に思っているんだから。。。
きっと、、、駆けつけてくれたのがナツでなければ涙を流すことは、出来なかっただろう。
せき止めていた感情が一気に溢れだし頭の中が、混乱する。
ナツの腕の中であふれ出した涙と共に、その混乱する感情も流れ落ちるようだ。
その様子を、スティングとローグが、呆然として見つめている。
エルザは、ウエンディの様子を看ていた。
ウエンディの枕元には、移動の際頑張った猫たちが寝かされている。
ルーシィの事は、ナツに任せておけばいいという事なのだろう。
先程までルーシィは、ずっとニコニコとしていて、窓の外を眺めていたはずだ。
スティングとローグは、目をそらせず、ナツとルーシィを眺めている。
「・・・・・ローグ。ルーシィさんずっと笑ってたよな?」
「・・・・ああ。」
「・・・・・・ナツさんが来たから?」
「・・・そうだろうな。・・・・・・強い女だな。」
「あぁ。。。オレ、、、、ちょっとナツさんが羨ましいかも。」
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
さて、、、お礼は何してもらおうか?
*
「・・・そうか、スティングはナツ・ドラグニルが羨ましいんだな?。。。ユキノに言って置く。。。」
「はぁ!?何でユキノに言うんだよ!!」
「羨ましいんだろ?」
「!?ああ?!2人が仲良くって、信頼し合ってんだなって、そ・れ・が・羨ましいんだっつったんだ!!」
スティングとローグの会話が、部屋に響くとクスリと笑い声が聞こえてくる。
暫くナツの腕の中に大人しく収まっていたルーシィがクスクスと笑いだした。
金髪に頬擦りしていたナツは、憮然とした表情で、スティングとローグを見やる。
ルーシィの笑い声につられるように、エルザも笑みを浮かべている。
その様子に、スティングとローグは、頬を朱に染めてトスンと席に座りなおした。
「フフッ。ユキノはうまくやってるみたいね!!」
ルーシィの嬉しそうな声色に、ナツはその顔を覗きこむ。
ルーシィは、一度真っ赤な目でナツを見たが、涙でグチャグチャになった顔を隠す様に、顔に手をあてる。
そして、オズオズと口を開く。
「・・・あのさっ。あたし。。。シャワー浴びてきてもいいかな??」
「・・・・・大丈夫か?」
「うん。」
コクンと頷いたルーシィが、クシャリと笑った。
1人で立ち上がろうとすると、フラリと倒れそうになる。
その様子に、ナツが口を開いた。
「まだ、、、ムリすんなよ。。」
「ん~。大丈夫だって。。。」
「フラフラしてんじゃねぇか!!」
「でも、着替えたいし、、、身体洗いたいんだもん。」
今だ目に涙を湛えたままのルーシィの様子に、ナツがふぅと短く息を吐く。
「よし!!じゃぁ、俺も入る。」
「・・・・・はぁ?」
「風呂場で、倒れたら大変だからな!洗ってやるよ!!」
そう、爽やかに言いはなったナツ。
そのナツを反目で見るルーシィに対して、どこまでも真剣な様子のナツ。
「よしっ!」
「ちょっ!?ヤメッ!!」
ルーシィを抱えてたちあがったナツと、慌ててもがくルーシィ。
スティングとローグの口は開いたまま、閉じるのを忘れてしまっている。
その後ろを、すっと緋い影が通り抜ける。
ルーシィを抱えるナツの腕を、エルザが押さえた。
鋭くナツを睨み付けている。
「流石に、ここでそんなことは許せんぞ!!私が替わろう。」
「・・・・・・・・・あい。」
「えっ!?エルザ~。だから~!!1人で大丈夫だって。。」
「イヤ。。。この様子では、、途中で倒れかねんだろう??」
「!?・・・・・はぁ!?てか、エルザ目が怖いし!! はぁ。。。今日が日曜日じゃなければ。。。」
「なんだ?」「んあ??」
そこに魔法陣が浮かびよく知る音が響く。
『リンゴーン』扉が開かれた。
現れたのは、ピンク色の髪てメイド服を着た星霊。
「バルゴ?」
「姫。日付が変わりました。もう月曜日です。」
ナツの腕からエルザの腕の中へと移動していたルーシィの手をとるメイド。
「ナツ様。いくら裸で乳繰り合った中でも、、、ここは私にお任せください。エルザ様も、、、よろしいですか?」
「ナッ/////チッ違うでしょ~//////」
無表情のバルゴに見つめられ、エルザはルーシィを素直に渡した。
バルゴ連れられ、浴室へ消えていくルーシィの背を見送った。
「なかなか言い眼差しをしているな。」
「ちえっ。」
エルザに撃ち捨てられていたナツが、不貞腐れたように唇を突き出して床に座り込んでいる。
そこに歩み寄っていったエルザが、ナツの首根っこを掴み上げ視線を合わせた。
エルザのその顔は、眉間に深いシワを寄せ、怒りの感情を押さえ込んでいるときの表情だ。
「聞こえていたんだろう?ナツ。」
一気に部屋の空気が、鋭く尖る。
先程の、テラスでの話を言っているのだろう。
部屋の中に至って、ナツは滅竜魔導士だ。
常人よりはるかに鋭い聴覚が、その会話を拾っていない訳がなかった。
「・・・だからて、変に気を遣うのは違うだろ?」
「・・まぁ、お前とルーシィの間には、、、絆があるようだしな。。。ナツでなければルーシィは、素直に泣く事も出来なかったかもしれんな。。。」
「でも駄目だよ~ナツ~!お風呂一緒に入るなんて、ルーシィ超!!純情なんだからぁ~!」
少し回復してきたのであろうハッピーが口を挟んだ。
シャルルも、ウエンディも身を起こしている。
エルザは、つまみ上げていたナツをルーシィが寝ていたベットにほおり投げる。
「「ウエンディ!!大丈夫か??」」
ナツと、エルザからの言葉にコクンと首を縦に振るウエンディ。
「っ!?ごめんなさい!!私が油断したから。ルーシィさん嫌な感じがするって言ってたのに。。。」
「大丈夫だ。大丈夫だぞ!!。。。ウエンディ、落ち着いて状況を教えてくれるか?」
ウエンディのいるベットに腰を掛けそっと肩に抱き寄せるエルザ。
「・・・エルザさん。。。」
ウエンディはシャルルを抱きしめながらポツリポツリとその時の状況を説明する。
その小さい身体はずっと震えていた。
涙交じりになる声にのせられた言葉は、痛めつけられるルーシィに何も出来なかった自分をずっと攻めていた。
「ルッルーシィさんは、私に助けを呼びに行くようにって、前に出て庇ってくれていたんです。でも!!私。。。」
ポロポロと頬をつたい落ちる綺麗な涙。
「治癒をかけたくっても、魔法を封じらていて。。。ルーシィさん。。ちっ血を吐いて。。。。」
綺麗に包帯やガーゼでおおわれている小さい身体を自分の目で確認すると、ウエンディは嗚咽を漏らした。
「うっくぅ。。。。ひぃっくぅ。。。私。。ばっ。。かり。。。まだ、、、大した。。治療。。。して。。ない。です。。。るー。。しぃさんは。。?」
「風呂だ!!・・・風呂入れるくらい元気だから安心しろ!!」
ナツが立ち上がって、ウエンディの頭を撫でる。
「大丈夫だ。ルーシィは、、、、そんなに弱くねぇ!!」
ナツはウエンディの顔が見える様に床にしゃがみ込んで笑って見せた。
そして、立ち上がると、浴室のドアの前にドカリと座った。
その膝の上に、ハッピーも移動する。
*
浴室の中で、バルゴは泡だらけのスポンジで主の身体をなぞっている。
綺麗な体のラインがところどころ変色していて、腫れているところもある。
白い肌に、痛々しい黄色黒い痣が痛々しい。
主に見えない様にバルゴは、ルーシィの背後で顔をゆがめた。
「姫。。。」
「ハハッ。。。なんか女同士でも恥ずかしいわね。。。」
「姫。。。。恥ずかしいのは姫だけですので。。。お仕置きですか?」
「・・・・・・。」
メイド服のまま、浴室で泡立てたスポンジを握るバルゴ。
「姫、よく頑張りました。。。」
バルゴの表情は、読めない。。。。
でも、自分の為に心を痛めているのであろうと 想像できる。
「心配かけちゃったよね。。。?」
「・・・・・いえ。姫ならどうにか切り抜けられると、、、、信じておりました。」
滅多に表情を変えない星霊は、静かに主をねぎらている。
「ありがとう。信じてくれて、ありがとう。」
「ところで姫。折角水着も着ている事ですし、後はナツ様にお任せいたしましょうか?」
そう言った後、バルゴが主は夢の世界に入って行ってしまった。
「姫?」
その安心しきっている寝顔に、処女宮の星霊は目を細めた。
+ + + + + + + + + + + +
ウエンディいい子!!双竜かわいすぎ(´艸`*)
バルゴのもっとやらかして欲しかった。。。
[newpage]
綺麗な涙を流し続けるウエンディに、その相棒が声をかける。
「ウエンディ?あなた、もう少し寝てなさい。まだ、魔力回復してないわよ。。。」
「・・・そうだな。ムリに話しをさせて悪かった。ゆっくり休んでくれウエンディ。」
シャルルとエルザがウエンディを寝かせ布団をかぶせた。
ウエンディの頭を、シャルルがねぎらう様に撫で続けている。
ガチャリと浴室のドアが開き、その中から「ナツ様」と声がかかる。
・・・・ルーシィの声ではない。
おう。と答えて、浴室に入っていくナツ。
すぐに出てきたナツの腕には、バスローブに包まれた金髪が眠っている。
「ルーシィ寝ちゃったんだね。。。」
「あぁ。ずっと気ィ張ってただろうからな。。。」
労わる様に大事に抱え込んだ金髪の少女を、ゆっくりとベットに沈め布団をかけてやった。
金髪を指ですくい撫でて、柔らかい頬に触れる。
ハッピーも、ルーシィにすり寄っている。
エルザが、ゆらりと立ち上がった。
それに合わせえて、ナツも立ち上がる。
「男たちの特徴を言え。」
彼らの背後に何もかも燃やし尽くしそうな炎が見えた気がした。
イヤ、実際ナツの身体からは、抑えきれ無い炎がくすぶっている。
先程の男たちは、怒らせてはいけない人達を怒らせたんだ。
*
男達を探すのは、簡単だった。
スティング達が言っていた路地に入ると、ルーシィの残り香が案内してくれた。
匂いの先に数人の気配を感じると、荒ぶる感情が溢れだしてくる。
そのナツの様子にエルザが声をかけた。
「ナツ。。。。いいか?殺すなよ。。。。ルーシィが悲しむ。。。」
そういい残して妖精女王が、男達の塊に向かって突っ込んでいった。
「・・・・・・・・・わかってるっての!!」
エルザとの遅れをつめる様に、ナツが炎をまとった。
「換装!!」
凛とした声が人気のなくなっている、工場街に響く。
落ち着いてよく見れば、大半が魔法道具を使うゴロツキだった。
4・50人はいただろうか。。。
モノの、2~3分で片付いてしまった。
「おい。もっと強ェ奴いねぇのかよ??大男ってのはどいつだぁ?」
ナツは、1人の男の襟首をねじり上げる。
「・・・おっお前ら。。。。何。なん。。だ。よ。。」
エルザの足元から、ニュッと男の腕が出てくる。
それをエルザは、すかさず踏みつけた。
「・・・・リーダーはどいつだ?」
エルザの言葉に、ナツに胸ぐらを掴まれていた男がチラッと、路地の先を見た。
「・・・そっちか!!」
ナツに掴まれていた男は、次の瞬間には壁に沈んでいた。。。
そこに、桜頭の姿も妖精女王の姿も もうない。
「おぅるらぁぁぁぁ!!でてきやがれぇぇぇ!!」
ナツが突きあたりの壁に向かって拳を叩きつける。
轟音と共に、壁が崩れ落ちその瓦礫にま混じって男が転がった。
次の瞬間エルザが後の壁に向かい細身の剣を投げた。
剣が刺さって崩れ落ちた壁から男が怯えた面持ちで、震えている。
そこに、ピュッと剣が飛んでいき、男の頭を掠める。
剣が後の壁に刺さったと同時に、男の髪がハラリと舞った。
逆モヒカンダ。。。
崩れた壁から、また男達があふれ出てくる。
今度は、魔導士も含まれている。
このゴロツキどもの幹部といった所かもしれない。
「ほ~う。紋章をかかげているのか。。。。」
エルザの目の奥がキラリと光った。
「何処のもんだぁ??」
出てきた男の一人が、ナツの腕の紋章に気付く。
「なんで、正規ギルドが!!」
「・・・・お前ら、、、闇ギルドかぁ?」
ナツの言葉に、紋章を付けている男達が2・3歩後ろに下がった。
「じゃぁ、やっちまっていいよな?エルザ。」
「・・・・ああ。殲滅だ!!」
その場にもう気配はなかった。
倒れているうちのどれかが、リーダーだったようだ。
紋章自体は見たことはなかったが、ゴロツキが集まって闇ギルドになる事なんてのはざらにある事だった。
早目に、闇ギルドの芽を摘んだという事になるだろう。
呆気なくかたは着いたが、ナツは、暴れたりない様子で回りに残っている壁を破壊した。
そこに、ブルーのリボンが舞う。
思い出してみれば、ルーシィの髪にはいつものリボンがなかった。
少しナツの炎で焦げてしまったリボンを拾い上げポケットに突っ込んだ。
いつの間にか、心は穏やかさを取り戻していた。
「戻るぞ。」
エルザの声が、ナツの耳に届いた。
夜が明けた頃、その街の自営団の前に、ボロボロの男達が、積み重ねられる状態で放置されていたそうだ。
*
すっかり帰り支度を済ませたウエンディとルーシィは、ホテルの前に座っていた。
ナツとエルザが歩み寄ると、笑顔で手を振ってくる。
エルザの腕の中には、猫が抱えられている。
「お前達、起きていても平気なのか??」
「はい。ご心配をおかけしました。私は寝たらスッキリです!!あわわわわっ!?猫さん!?」
「まったくもう。まだ寝てなさいっていうのに!!、、、まぁそんなことだろうと思っていたわよ!」
「シャルルは、怒ってても可愛いねぇ~。」
エルザとウエンディ達のやり取りを、目を細めてルーシィが見ていると視線を感じる。
ルーシィから視線を外さないナツ。
ゆっくりと瞬きをして、ナツと視線を絡める。
「。。。おかえり。猫ありがとう。」
朝日を浴びた、ルーシィの綺麗な金髪が光を反射しながら揺れる。
優しい、綺麗な笑みを浮かべてルーシィがナツに真っ直ぐ視線を投げる。
「おう!」
太陽の様に笑う桜頭の少年。
その筋肉質な腕が動き、骨ばっている手がルーシィの頭に伸ばされる。
珍しく何の飾りも付けていない為、ストンと肩に落ちる金髪。
まるで、光を放っているような輝きを見せる金髪を、その指で梳いた。
何度も。何度も。
もう大丈夫だと。
オレがいると。
そう伝えているようだった。
「あ~ぁ。リボン1つ失くしちゃったなぁ~」
「あい。ナツが新しいのプレゼントしてあげればいいんじゃない?」
「なっ!?なんで俺なんだよ?!」
「えぇ~//ナツ買ってくれるの~??嬉しーなー!!」
そこに笑い声が木霊する。
火竜の熱が、少女の心を温め続ける。
その光景を、ウエンディは目に焼き付けていた。
大丈夫だ。
やっぱり、ルーシィさんはすごい。
ルーシィさんの存在が、ナツさんを何倍にも強くしたんだ。
信頼できる人がいるだけで、きっと大丈夫だと思う。
「どうした?ウエンディ??」
「・・・いえ。。。私もいつか、素敵な恋がしたいなぁって。。。」
エルザは、ウエンディにむけていた視線を、ナツとルーシィにむける。
今は、青猫がルーシィの膝に収まっている。
それを桜頭の少年が、引っ張って引き離そうとしている。
包帯やガーゼだらけの金髪の少女は、そんな怪我なんか忘れてしまったように、幸せそうに笑っていた。
「ルーシィは、、、、ナツに任せておけば大丈夫だな。」
「そうですね!!」
ウエンディとエルザが微笑み合って居ると、白い猫が呟く。
「・・・・・ケガが、悪化しなければいいけど。。。」
エルザが振り返ったその先では、ナツとハッピーがルーシィを引っ張り合って居いる。
優しく笑っていた少女の表情に焦りが見える。
「ナツー!!ハッピー!!!やめないか!!」
妖精女王の凛として声が、冬の澄んだ空気を揺らした。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ナツ撃沈。。。最後は、ティターニアが締める。。。
*
おまけ
ルーシィを背負いナツがゆっくり歩いている。
エルザやウエンディは、少し先を歩いている。
シャルルとハッピーもその脇で飛んでいる。
「ナツ。ありがとね。。」
「ん?何がだ??」
「ん~?敵とってくれたんでしょ??」
「んあ?・・・・それはエルザも一緒だし。。オレが我慢なんなかっただけだ。」
「あ~あ。あたしなんで女の子なんだろ。。。」
「は?」
「だってさぁ、男だったら、、、、こんな目に合わないじゃない。。。」
「、、、駄目だろ?」
「・・・?何でよ??」
「オレが、、、女じゃ可笑しいじゃねぇか!!」
「・・・・はぁ??」
「あ?ルーシィが男になったら、オレが女になるんだぞ??変じゃねぇか!!!」
「・・・・なんでナツが女になるのよ??」
「うっ///そんなん。。。男同士じゃ気持ちワリィだろ??」
「・・・??」
「だからぁ、男同士で好き合ったら、、、、気持ちワリィっつうの!!!」
「っ////ふぇぇ??」
「ルーシィは、女のままな!!んで俺も、男のまま。」
「・・・・・・あぅぅ。」
「その方がしっくりくるだろ??オレ女になりたくねぇし。。。」
「あぅあっぅわ///////」
「ぷっ!?なんだその声。。。」
ナツが足を止めた。
先を行く仲間達が、ドンドン小さくなっていく。
ナツの背で、ルーシィが首をかしげる。
「なぁ。ルーシィ。。。」
「ん?」
「オレ、、、、、男だけど、、、、、怖がんなよ?」
「・・・いつあたしがナツを怖がったのよ?!」
「今の話しじゃねぇよ。。。」
「ナツはナツでしょ??」
「おう。でもオレも男だから、、、いつまでも我慢できねぇもん。」
「・・・・・・・はぁ?」
「オレ、、、ルーシィの事女として見てるし。」
「。。。ねぇ。ナツ。。。。それって・・・?」
「分かんねぇ?ルーシィが特別だって言ってんだけど。」
「えぇっ!?」
「ルーシィ。」
「はっはい!!」
「オレ、ルーシィが好きだ!!」
「/////////////。」
背に負ぶっていたルーシィを、前に抱えなおす。
「ルーシィが好きだ。」
「///うん/////」
双眼を潤ませ、真っ赤な顔でルーシィがナツを見つめている。
「・・・だから、、、、怖がんなよ?」
「ナツが怖いわけないじゃない。。。あたしも////ナツが、、、、大好きよ!!」
ナツの首元に、ルーシィが腕を絡めた。
視線を絡め、どちらからともなく瞼がさがる。
『ゴチンッ』
「!?いったぁ!!」
「っうう。。。」
ルーシィが唇を押さえて顔を赤くして笑い出す。
それにつられて、真っ赤な顔のナツも笑いが漏れ出す。
「・・・・ナツが怖いわけない。ナツなら怖いことなんて、、、ないよ!」
「ん。」
歩む道の先から、青い塊が飛んでくる。
「ナツーーーーーーーーー!!ルーシィィィィィィィィィィ!!!」
「「ハッピー!?」」
「もう!!遅いよう!!何かあったのかもって、心配しちゃったじゃないか!!」
「ははっ。ワリィ!ルーシィが重いからよう。。。」
「なっ////!?」
「背中凝っちまってなぁ!!」
ナツの胸に抱かれているルーシィが、顔を赤く染める。
「だから、お姫様抱っこなの??」
プフフッと口に手をあてる青猫は、バッと翼を広げてきた道を飛んで戻っていく。
「ナツとルーシィが、、、、、ちゅーしてたぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「!?キャーーーーー!!!!ナツ!!止めて~!!!」
「・・・・別にいいじゃねぇか。事実だし?」
ねぇ?
ナツ
あなたのおかげで、、、
あたしは泣くことができるんだ。。。
いつだって、、、、
見ててくれるんでしょ??
あたしの大切な人へ
『ありがとう。大好きだよ!ナツ!!』
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
でスティング達が、後日御礼くださ~いって、ナツ達に戦いを挑む。
って、、、、考えてんだけど。。。。需要ありますか?なんか煮詰まりそうな予感もする。。。(*´з`)~☆