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強敵あらわる? ~下~

ナツに強敵です。勝てるのか?勝ってほしい!!てか勝たなきゃ、ナツルーじゃないじゃん!!

突如 思いついて 書き始めました。誤字脱字あると思いますが、おろしければどうぞ(@^^)/。

 

そう。これは依頼である。

しかも、マスターからの。あの日、ナツは 訳が分からず説明を求めに ルーシィの家に不法侵入すると、ルーシィは待っていましたと紅茶を用意していた。

 

「ルーシィィィィィィィ!!!」

 

と素直に胸に飛び込む相棒を目に止めつつも、頬を膨らませルーシィを睨み付ける。

 

「・・・ナツ。・・・怖いわよ?」

「ルーシィ。政略結婚なの?脅されてるの?ホントにラクサスと結婚するの??」

 

すでに半泣きのハッピーの訴えに、

 

「っ!?そんなわけないじゃない!!って、、、内緒よ?」

 

ハッピーの頭をなで答えるルーシィ。クルッとナツに振り返り

 

「ナツもよ?邪魔しないって約束できるなら、訳を話すわ。」

「??なんなんだぁ~??」

 

半ば、パニックを起こしながらも、・・・理由は知りたい!!しぶしぶと頭を垂れ頷く。

 

「・・・邪魔しない・・・・約束する。」

 

そう言うと、ナツは後ろからする大きな男の気配の方へ振り返る。

 

「ククッ。素直に約束したな?俺が証人だ。破ったらただじゃおかないぜ?」

 

ラクサスが、ナツの頭にその大きな掌を置きガシッとつかむ。そのまま自分に顔を向かせる。

 

「ラクサス!!!なんで~!!」

 

ハッピーが、びっくりしたと叫ぶ。ニヤリと笑みを浮かべ「婚約者だからな!」と答える。

ナツがいら立ちを隠さず、ラクサスを睨み付ける。

 

「ックックックっ。話を聞くんじゃなかったか??」

「もおぉ!!あばれないでよ~あたしのへ~や~~!!」

 

とルーシィの声で少し冷静さを取り戻し席に着く。

 

「ラクサスゥ~。ルーシィ~なんなの?どおしたの?」

 

ハッピーの言葉にルーシィが口を開く。

 

「本当に他の人に言っちゃダメよ?」

 

うんうんと頷く1人と1ッ匹。

 

「・・・依頼だ!!」

 

ラクサスが言った。

 

「そう。これは依頼なの。ラクサスの婚約者を頼まれたのよ。マスターに」

「「っえぇぇぇぇ!?」」

「続けるわよ?大魔闘演武の時ラクサス ラミアのジュラさんを倒したじゃない?

 それを見て、ラクサスに目を付けたお偉いさんのお嬢様達が沢山いてね?

 こぞって、交際を申し込んでくるらしいの。断っても断っても。

 終いには、財力を使って圧力をかけてきたり、評議院にまで手を回してきたりすごいらしいのよ?」

「・・・それでなんで、ルーシィが婚約者にならなきゃいけねぇんだよ!!」

「隠れ蓑よ!!か・く・れ・み・の!!」

「?なんだそれ??」

「つまり、ルーシィっていう婚約者がいるから無理です。って断るんだよね?」

「そういう事よ。」

「そんなん、その時だけ そう言っておけばいいだけじゃねぇか!!」

「・・・。ダメなのよ。」

「なんでダメなの?ルーシィ?ラクサス??」

「・・・。見張ってやがる。」

「そう。一部はストーカー紛いの事もしているみたいでね?」

「お嬢様がそんな事するの??」

「お嬢様だからたちも悪いのよね?人を雇ってラクサスのまわりを調べたり、脅してきたりもあるみたいなの。」

「ほっときゃいいつったのによぉ。じーさんがなぁ。」

「じゃあ。ほっとかいいじゃねぇか!!!」

「変なこと言いふらされて、ギルドに迷惑かけるのも目に見えてるって。」

 

ラクサスとルーシィが説明している。

 

「じゃぁ、ルーシィじゃなくてもいいじゃねぇか!!」

「なんだナツ焼いてんのか??」

 

ラクサスはニヤニヤしている。

 

「っ!?そんなんじゃねぇ!!チームだからな!!仕事とかこまんだろ?」

 

狼狽えるナツに、ハッピーもニヤニヤしている。

 

(ナツだもんね・・・。焼きもちなんて焼かないよね・・・。)

 

「仕事は、一緒に行きゃあいいだろ?チームとして。婚約しててもかんけぇねぇ。

 ってかそういうのは変わらねぇ方が、前から付き合ってました!って感じが出るだろうしなっ。

 ルーシィ?」

 

ラクサスが、ルーシィを見つめる。

途端、かぁぁっと頬を染めるルーシィ。

 

「でもさぁ、なんでルーシィなの?オイラも気になるよ~。」

「そういえばそうよね?ミラさんとかの方がいいんじゃない??」

「ふっ。そりゃぁ、ルーシィとお近づきになるチャンスだからな?(ニヤニヤ)」

「「「////なっなっなっ!?!?」」」

「ハッ!!そんなあわてんな!適任なんだよ。ルーシィは、顔、スタイル、頭、極上じゃねぇか!

 俺と並んで絵になるだろ?まずそれで、あきらめる奴もいんだろうし。

 戦闘もそこそこ行けるしな。言葉づかいも知ってる。」

 

真正面から自分がどう見られているか聞き、照れる///ルーシィが下を向く。

その様子にハラハラするハッピー。

以外にも、ルーシィをほめるラクサスに、口を開けたままのナツ。

 

「ルーシィは苦い思いもあるだろうが、上流階級のあしらいに一番長けているしな。

 それに お前らがいるから、1人になって危害を加えられることもまあないだろうし?」

 

黙ってきていたナツが、顔を上げ声を荒げる。

 

「あんだよそれぇ?ルーシィはもうお嬢様じゃねぇ!!」

「ナァ~ツッ!!角を立てたら、まずいのよ!!あいつらは粘着質だから、ギルドに迷惑がかかるかも。」

 

ルーシィにいさめられる。

 

「・・・まぁ、とにかく適任なんで、一番に声かけたんだが、、、ルーシィが受けるも断るも決める前に、お前が乱入してきたんだ。今は、どこで誰が見てるか分かんねぇんだ。そうなっちまったら、もうルーシィにやってもらうしかねぇんだよ。敵をだますなら味方からっていうしな。」

「うぐっ」

 

自分にも非があることから、言葉を詰まらせる。

 

「大体おまえは、ルーシィのただのチームメイトだろ?恋人じゃねぇんだろ??止める権利はねぇ!!」

「うぐぅぅ。」

 

ラクサスの言葉に、もうぐうの音も出ないナツ。

頼みの相棒も、すでに面白いことになってきたと目を輝かせている。

 

(チームメイトに、独占欲?心配してくれてんのよね・・・ナツだしね。はぁぁ~。)

 

「あははは。まぁそういう事よ?協力してね?ナツ。」

 

トドメとばかりに、にっこり笑うルーシィ。

 

「じゃぁ、話もまとまったし。あたし、もうお風呂入って寝たいから、みんな 帰ってくれる?」

 

ルーシィに追い出され、2人と1ッ匹は帰路に着く。とラクサスが、口を開く。

 

「ちょっと耳かせナツ!!」

「あんだよ?」

「実はな、大魔と演武で目をつけられたのは俺だけじゃねぇ。ルーシィに目をつけたお偉いさんもいるんだ。

 しかも、王族級らしい。わかるか?」

「・・・わかんねぇよ・・・。」

「ちったぁ考えろ!!失敗したら、困るのは俺だけじゃねぇ。」

 

「・・・ルーシィも困るのか・・・?」

「あぁ。ルーシィに嫌な思いさせたくねぇんだろ?結婚断われても、下手したらギルドには居られねぇかもしれねぇ。」

「なんでそうなんだぁ?・・・それは困るけど。」

「まぁ、今回は一石二鳥なんだ。我慢しろ!!・・・それに。」

 

ニヤッとラクサスが笑みを浮かべ言う。

 

「少し距離をおきゃぁ、あのお嬢さんも自分の気持ちに気付くんじゃねぇか?」

「ルーシィの気持ち?」

「そぉだよ?お前ら、近くにいすぎて感覚 鈍っちまってんだろ?」

「ニブくねぇ!!鈍いってなんだよ!!」

「おまえは、自分がルーシィをどう思っているか、わかってねぇのか?。」

「あっ?仲間だ!!・・・チームだから、特別な仲間だろ??」

「横からチャチャ入れてやるっつてんだ!感謝しろよ??」

「チャチャ入れるってなんだよ?」

 

「はぁ。。。お前も気づいてないのかよ!!!」

 

 

 

 

ラクサスを見送ると、ルーシィはふぅ。と息を吐き、うっすら頬を染め「しっしょうがないわねぇ」と呟き 振り返り、ナツの枕元に腰を下ろす。

 

「はい。ファイアドリンクとはいかないけど、どうぞ。

 

とスポーツドリンクのようなものを差し出される。

ナツは、体を起こしそれを受け取ると、一気に飲み干した。

 

「サンキュ。ルーシィ」

 

自然と、自分が笑顔になっていることに気付く。それを見て、目じりを下げ、嬉しそうに微笑むルーシィ。

 

(/////////////////////アッ///ヤバい/////////)

「俺もう少し寝るわ」

 

と言い捨てると、ルーシィに背を向け布団にもぐる。

 

「・・・・・・・。」

 

じっと、ルーシィの視線を背中に感じ落ち着かないナツは、何度も寝返りを打つ。

 

(ねっ寝れねぇ・・・・。)

 

そんなナツに、ルーシィが口を開いた。

 

「ほらっ。ナツ!!」

 

なんだ?と布団から顔を出すと。肌色が目の前にある。

 

「あ゛?」

「はい。枕が合わなくてねれないんでしょ?ラクサスに言われたのよ?枕貸してあげなって。」

「・・・えっ?」

「はい。膝枕してあげるって言ってんのよ。ありがたく思いなさい。

 ///どうぞ?少しでも休んだ方がいいでしょ?」

「あっ。いあ///」

「ナツ。ここは素直に借りておけ。」

 

!?!?

いつの間にか戻ってきていたエルザが口をはさんだ。

 

「「えっエルザ!?」」

 

エルザはナツの頭をむんずとつかんで、ルーシィの太腿にのせる。

 

「よし。寝ろ!!」

 

エルザの迫力に、ぐっと目を閉じる。ルーシィのにおいに包まれてやっと深呼吸出来た。

情けない自分の殻を、ルーシィの存在だけが いともたやすく崩してくれるんだ。

そっと、青い塊がすり寄ってきた。

 

「ナツ。よかったね。」

そう言って目を閉じた。

 

(やっと、いつものナツに戻った!!今まで、ルーシィが足りなかったんだって気付いたのかな?)

 

ルーシィがエルザと話す声が、子守唄の様に聞こえていた。

 

 

 

朝方、グレイに叩き起こされた。

 

「おいおい。ナツさんよぉ~!!いい加減姫さん離してやんな。」

 

ムンズと首根っこをつままれ、少し離れたところに投げ捨てられた。

 

「んがっ!?!?!?」

 

突然の衝撃に目を覚ましたナツ。グレイがルーシィを抱え上げているのが目に入る。

ルーシィはまだ眠っているようだ。

 

「ルーシィに触んな。。。変態パンツ。。」

 

その言葉に、ルーシィを布団におろしたグレイが、不敵な笑みを浮かべ振り返る。

 

「おいおい。誰が変態だ!!ツリ目野郎!!一丁前にやきもちかぁ?大体今は、仮にもラクサスの婚約者だぞぉ~!」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべている。

 

「今は・・・関係ねぇだろ。誰も見てねぇ。てかっ、テメェが触ってんじゃねぇ!!」

 

ナツがそう答えると

 

「ルーシィはおめぇのもんじゃねぇだろ?それに運んだだけだ。お前が腰に巻き付いたままで、姫さん横になってないんだぞ。」

 

昨夜の状況を思い出し、頬を朱に染める。

 

「////いあっ///。」

「リンゴみたいになってんじゃねぇよ!?こんのムッツリ野郎!!昨日の上の空は晴れたみてぇだが、心配かけんな!!」

頭をコツかれる。

「・・・俺にも触んなぁ!!変態うつんだろ!!!」

「ププププッ。グレイは、とっくの前から変態です。プッ。」

 

ふわりと相棒が傍らに降りてくる。

 

「ナァ~ツゥ~?よくねむれたぁ~??」

「おう。」

「姫さんのおかげだな。」

「ああ///」

 

「違うよぉ~!!オイラが、ルーシィの膝の上を譲ってあげたお蔭だよぉ?いつもはオイラの場所なのに!!」

「ハハッ。ちげぇねぇ。」

「んんん~~~~。」

 

ルーシィの寝言?が聞こえ、2人と1ッ匹は慌てて声を抑える。

 

「姫さん心配してたぞ。昨日の失態だけじゃなくて ずっと不機嫌で上の空の誰かさんのこと。」

「あい。ナツ目が怖かったよぉ。。。ラクサスにやきもち焼いちゃって。。理由知ってるのに。プププッ。」

「////いぁ。///。」

「んでぇ。ナツさんはやっと 自覚したのか??とっくに 姫さんにべた惚れだって。」

 

ニヤニヤと、昨日のラクサスのような視線を向けてくるグレイ。

 

「無自覚で、しっかり姫さんを振り回した挙句、依頼に嫉妬して 不機嫌まき散らしやがって。」

「うるせぇ。。」

「まぁ、来週までの辛抱だ。これが終わったらしっかり姫さんに伝えてやんな!!」

「あい!!プフフフッ。ルーシィの慌てる姿が目に浮かびますぅ。プププッ。」

「・・・・。軽くあしらわれるかもしんねぇだろ。ルーシィは仲間としか思ってねぇもんよ。。。」

「クックックッ。しおらしいな。ナツさんよぉ。」

「あい。でもナツは隠し事できないから、気付いちゃったらルーシィにもすぐばれちゃうと思うよぉ?ルーシィが好きだって!!ププッ。」

「いやぁー。姫さんは結構な鈍感だからな。。ギルドで気付いてねぇのは、ルーシィぐらいだったろ?」

「んなっ!?」

「あい。ラクサスとの婚約で、みんなナツを可哀想な目で見ていました。あい!!」

「・・・・・。」

 

多いにからかわれているが、自分の気持ちを自覚して ここのところのモヤモヤが晴れて なんだかスッキリしていて、ナツはすがすがしい気持ちだった。

 

「まぁよ。その前に この依頼を解決すんぞ!!ボ~としてねぇで、しっかりしやがれよ?」

「ププププッ。ナツ頑張ってね?ルーシィももう限界に近いみたいだし?」

「おう。」

 

なんだかわからないが、応援してくれている相棒にそう答え、身支度を整える。

 

「もう出んのか?そういやエルザは?」

「ああ、見回りに行ってるはずだ。。。。ちょっと見てくるかぁ。。。なぁ?ハッピー?」

「あい!プププッ。ナ~ツ~寝ているルーシィに悪戯しちゃダメだよ?ププププッ。」

「・・・・・んなことすっかぁ~!!!」

 

ナツの叫びを背中に、1人と1ッ匹は部屋を後にした。

 

その後、目が覚めた金髪の少女が、己を抱きしめえて眠る桜色に気付き、叫び声を上げたとか。。。

 

 

 

夕方ギルドに戻ると、ラクサスとマスターが、待ち構えていた。

 

「よく戻った。ご苦労。」

 

そういうと、エルザを呼び、奥の部屋に行ってしまった。

他のメンバーは、それぞれ飲み物などを頼み席に着いた。

ルーシィの膝にはハッピー。隣にはナツ。反対側の隣にはグレイ。

最近ではちょっとなつかしい組み合わせだ。ギルドのメンバーがそれとなく様子をうかがっているのが分かる。。。

 

今はただの仲間だし、いつもどおりでいいんだとナツは、いつも通りルーシィをからかい、いつも通りルーシィにベッタリだ。。。。

その先日との変わりように、横にいるグレイの顔も、ひきつっている。

 

(…顔に出過ぎだ///)

 

人の婚約者に無遠慮に触れるナツに皆 苦笑するが、出発前に元気のなかったナツを思い出し、ナツだしなぁと溜め息を吐く。

そして少し、皆ホッとする。

それから、次の日も、その次の日も、ルーシィは、ラクサスの隣にいる。

その脇に、ナツとハッピーもいる。たまにグレイも。

ルーシィは、恥ずかしそうに ラクサスに寄り添うが、目の奥に炎をともしたナツは目をそらさず、傍らにい続けた。

 

『ルーシィにそれ以上触んな!!つうか、ルーシィはそんな触らして平気なんかよ!!

 あぁ~でも、俺も同じ風に触ってっしなぁ。。オレはいいんだけど。。。。俺もただの仲間だし、、

、ラクサスと立場一緒だもんなぁ。。。んんん~~だぁ!!今は依頼中だ!!!作戦中だ!!!!

 気にしちゃダメだ!!!あ゙あ゙~~~~また!!なんであんなにくっつく必要あんだよ!!

 ったく、オレで遊んでやがるラクサスの奴。

 触り過ぎだ!!!!!!!ちくしょ~~~~~』

 

明日は、音楽会という名のパーティだ。

 

 

 

 

パーティ当日。

フェアリーテイルから、出席するのは、マスター、ラクサス、ルーシィ、ナツ、ハッピー、グレイ、ミラの6人と1ッ匹だ。主催者は、王族の関係者らしい。

大魔闘演武に参加していたメンバーを代表して最強チームとラクサスたちが招待されている。

エルザがいないのは、ガジルとジュビアを連れ ラクサスの代わりにS級に出かけたためだ。

ルーシィを守るため、女性がいた方がいいということで、ミラも出席してくれることになった。

ここは、女性の控室。

 

「フフフッ。ルーシィ可愛い!やっぱりドレス似合うわよ。」

「そういうミラさんだってぇ。とってもきれいですよ!!」

 

身支度を整えていると、メイドが声をかけてくる。

 

「ルーシィ・ハートフィリア様。主が是非ルーシィ様とお近づきになりたいと申しております。こちらへ。。」

 

強引に手を引かれるが、

 

「失礼ではありませんか?私たちはゲルトですよね?エスコートしてくれる連れがおりますので。」

 

とするっとすり抜け、優雅にドレスの端をつまみ挨拶する。

 

「あらぁ。あ・な・た が、ルーシィ様?ご実家が鉄道会社をやっているとか?」

 

まるで舐めまわすように、目線を送らせる。

 

「!?」

「やぁだ、間違えてしまいましたわ。以前やっておられたのよね?」

 

ドレス用のセンスを口に当て、淑女と言われる部類の女が話しかけてくる。

 

「ええ。昔の話ですわ。それに私は、ただのギルドの魔導士ですから。」

 

きっぱりと、背筋を伸ばしたまま答える。

 

「ルーシィ?行きましょ??ラクサスたちが待ってるわ。」

 

ニッコリと言うミラに促され、ドアに向かうルーシィ。いくつもの視線を感じながら、会場に向かうルーシィ達。

 

「ルーシィ!ミラ!」

「おう。うちの姫さん方 今日は一段と可愛いな!!」

「ルーシィ、大事なところで転んだりしないでよねぇ?」

 

ナツ・グレイ、ハッピーが会場の入り口で待ち構えていた。

 

「マスターとラクサスは?」

 

ニッコリ笑みをつくり、ルーシィが尋ねると、クイッと、むこうに親指を向けるグレイ。

 

「早速つかまってやがる。オモテになるぜ!!」

 

指さした先にラクサスの姿を見つける。

 

「な~に?グレイうらやましいの??」

「なっ。やめてくれミラちゃん!!ここの怖い女は面倒そうだ。。。」

「フェアリーテイルの皆様でございますね?ドレアー氏があちらでお呼びです。」

 

ボーイがやってきた。

すっとすばやく笑顔を作り、「ありがとう。」ルーシィが応えそちらに向かい、ナツ達もその後を追う。

そこには、気のよさそうな紳士と、その脇で不機嫌そうにたたずむ淑女。

 

「お待たせいたしました。」

 

ルーシィが声をかけると、

 

「こいつらが、さっき話していたナツ・ドラグニル、グレイ・フルバスター、それにルーシィ・ハートフィリアとミラジェーン・ストラウスだ。」

 

ラクサスに紹介されると、女性2人は軽く会釈をする。

 

「ひどいよラクサス!!オイラもいるのにぃ~~」

 

ハッピーがつぶやき ナツとグレイがそれをからかい始めた。その様子に、紳士淑女達は 眉をひそめる。

ルーシィはいつもと変わらないナツ達の様子に、ホッとし深呼吸する。

 

「これ。おまえ達、うるさいぞ。もう少し静かにせんか!!」

 

マスターに叱られ、口を閉じる2人と1ッ匹。その様子にクスリと、笑みが漏れた。

アナウンスが入り、音楽会が始まる。

 

『クゥール!!!今日はお招きありがと~うございます。私ィ週刊ソーサラーのジェイソンが本日の進行を務めさせていただくぜ!!クゥゥゥゥル!』

 

いっせいに、楽器の演奏が始まる。

 

『本日は、紳士淑女の音楽会!!クゥ~~ル!!、スペシャルゲストがきているぜぇ!!』

 

ジェイソンのおかげで堅っ苦しい雰囲気は薄れた。立食形式のパーティのような音楽会だ。

「おお。始まりましたな。」そこにいた紳士が口を開く。

 

「そうそう。今日は飛び入りの演奏もできるんですぞ??フェアリーテイルからも参加されますかな?」

 

紳士は、無理にとわ言いませんよと、にっこり笑った。

そこに、脇にいた淑女が口を挟む。

 

「音楽と言えば、私ピアノが得意ですの。ハートフィリア様は 何か楽器を窘んでおいで・・・ですわよね?」

 

『スペシャルゲストは~~~、』

 

ドラムがなり、自分たちの元にスポットライトが当たる。

 

『フェアリーテイルの皆さんでぇっす!!!!フウゥゥ。クゥゥゥゥウゥゥゥゥウル!!!!!!』

 

ジェイソンの元に、一枚の紙が届けられた。

 

『えぇーっと、ここで、フェアリーテイルのルーシィ・ハートフィリアさんが、飛び入りで スペシャルな演奏を聞かせてくれるそうです!!!クッゥゥゥウゥゥゥル!!』

 

「えっ!?」

ルーシィの目の端に、先程の淑女が目に入る。いやらしい笑みを扇子で隠している。

まさか、できないとは申しませんよね?暗にそう言っているようだ。

 

ジャリッ。ナツが一歩前に出ようとした。ハッと、グレイとハッピーがナツの口を塞ぎ後ろに下がらせる。

ルーシィはナツに『大丈夫よ。』と目配せをして、『はぁ。』と息を吐きピアノの方へ歩み寄る。

後ろのオーケストラにポソポソと声をかけ、ピアノの前に立つ。

 

「僭越ながら、、、、、、、、、」

 

挨拶をして、ピアノの前に座る。ルーシィがピアノを奏で始めた。

オーケストラがそれに続く。綺麗な音色が会場に広がっていく。

ルーシィがミラに合図を送り、ミラが傍らに立ち、歌を紡ぐ。

そこは、フェアリーテイルの妖精が舞い降りたようだった。

演奏が終わり、歓声と拍手が広がる。いつの間にか、先ほどの紳士と淑女は姿を消していた。

 

「お疲れさま!ルーシィ!!」

「お疲れ様です!ミラさん!!」

「ルーシィってピアノ上手なのね~?」

「えっえへ?・・・無理やり習わされてたんですよ。昔。・・・とりあえず追っ払えたみたいだし、あたし外の空気吸ってきます。」

 

ルーシィがそっとその場を離れると、静かに桜色がその後を追っていった。

 

「ナツが行ったなら大丈夫ね?」

 

 

「ルーシィ!!」

 

ルーシィが金糸を風に乗せ、振り向く。

 

「・・・ナツ。」

 

ルーシィの隣に、歩み寄る。

 

「んな顔すんなよ!イヤイヤやってた割には、うまかったじゃねぇか!ピアノ。」

「ん~。あんたが素直に誉めるなんて、びっくり!!ん~でも、ありがとね。・・・昔ね ママが弾いてくれた曲なの。それしか暗記してなくて。」

「あぁ~。こんなとこで弾きたくなかったな?ルーシィ。」

 

ナツがやさしくルーシィの頭に手を置く。

 

「フフッ。ナツに褒められてもなぁ~。」

 

くすっと笑って、ルーシィはその場でくるんと体を回す。

 

「あんだとぉ?」

 

ナツがニカッと笑顔をつくった。

 

「へへっ。うそうそ!!嬉しいわよ!!ありがとう。ナツ。」

 

ルーシィがやさしくふんわり微笑む。2人は目線を合わせ、笑い合った。

 

「ルーシィ!今度さぁ。。またさっきの曲弾けよ!!ルーシィの母ちゃんのピアノ聞いてやんよ!今度は、ギルドとかでさ!!」

「えぇぇ~!!」

「いーじゃねぇか。オレはじめて聞いたけど、ルーシィのピアノ好きだぞ!!」

 

フフフッと、嬉しそうに微笑むとルーシィは、頬を少し染めて、空を見上げた。

 

「見て~ナツ!!星が出てきた!!」

「おう!!ロキの星はどこだぁ?」

 

そこへ ボーイがドリンクを持って歩いてくる。

 

「お客様、おひとついかがですか?」

「わぁ!キレイ!!」

 

ルーシィは嬉しそうにピンク色のカクテルを手に取る。

 

「ナツ乾杯しよ?」

 

とナツにも同じカクテルをとって渡す。ボーイが顔を少し下にむけ、ニヤリと笑った。

 

「カンパーイ!」と、ルーシィが それを口にはこぶ。

 

『パリーン!!!!』

 

ガラスの割れた音が響く。ナツがそれを 手で弾いたのだ。

 

「テメェ。どぉいうつもりだぁ~!!」

 

ナツがボーイの胸ぐらをつかんで凄む。

 

「ナッナツ!!何!?」

「魔法薬の匂いがした!!」

 

ナツの体から、湯気が上がり始める。

 

「ぐぅ!!」

 

騒ぎに気付き、ラクサスとミラが駆けつけてきた。

 

「てんめぇ~、ルーシィに何飲まそうとしてんだぁ?!」

 

ナツがボーイを締め上げる。体から、炎がもれだした。

 

「ナツ!!駄目よ!!燃やしちゃダメよ。放して!」

 

ルーシィの言葉に、ハッとし、ナツが手を放すと、ボーイはその場に崩れ落ちた。

 

「睡眠系の魔法薬かぁ?」

 

ラクサスがこぼれたカクテルの匂いを嗅いでそう呟いた。

 

「ルーシィ様。。。僕のものに。。ルーシィ様を僕のものに。。。」

 

ボーイが消えそな呻き声をあげ、ルーシィに手を伸ばしてくる。

 

「ひぃぃ~っ。」

 

ルーシィが後ろに飛び退くと、それを庇うように、ナツが立ちはだかる。

 

「ルーシィさま。。。ルーシィさまは、僕のもの。。。」

 

ブツブツと、ルーシィの名を繰り返し呻き、尚も手を伸ばしてくる。

 

「ルーシィはお前のもんじゃねぇ!!ルーシィは!!!!!!!」

 

ナツはもう一度その男の胸ぐらをつかみ上げる。ナツの体から怒りで炎が噴き出し始める。

 

「坊ちゃま!!!坊ちゃまに何をするか!!!!」

 

鎧を身にまとった兵士が、ナツ達を取り囲む。

 

「坊ちゃまから手を放してもらおう!!」

 

ナツに槍の先端を向ける。後ろから、ギュッと背中を掴まれた。

 

「ッ!?ナツ!!」

 

ルーシィがしがみついてきた。何かに気づいたようだ。

炎を引っ込め、ゆっくりと、坊ちゃまと呼ばれる男から、手をどけた。坊ちゃまは兵士に抱えられ、離れたところに避難した。

 

「王国軍ね。その人、何者なの?」

 

ルーシィの言葉に、隊長らしき男が答える。

 

「・・・国王の甥御様だ。ヒスイ姫の従弟さまにあたる。・・・どんな経緯があるかは存ぜぬが 王族への無礼万死に値する!!ひっ捕らえろ!!」

 

 

周りを囲んでいた兵士たちがわっと押し寄せてくる。

そこへ

 

「おやめなさい!!!!」「

「「「姫様!!!」」」」

 

全員の動きがピタリと止まる。

 

「失礼いたしました。ルーシィさん、ナツさん」

 

ヒスイ姫が歩み寄ってきた。そっとルーシィの手をとる。

 

「ルーシィさん、無事ですね??薬は飲まされませんでしたか?」

「えっえっ。ヒスイ姫??なに?ええ??」

 

急な展開に、困惑するルーシィのもう一つの手は、今だナツの服を握りしめている。

 

「・・・・。目ぇつけられてたのは、俺だけじゃねぇってことだ!!」

 

ラクサスがそういうと、ルーシィがハッとする。

 

「しかも、王族が関わっているようだと、マカロフドレアーさんから伺いまして、こちらで調べていたのです。」

 

ヒスイ姫の言葉に、大体の事情は呑み込めたようだ。

 

「・・・ずいぶんご迷惑をおかけしてしまったみたいですね。」

 

ルーシィは、表情を曇らせ 辛そうにうつむく。。

 

「ルーシィがわりぃんじゃねぇだろ!!!」

「でもっ!!ラクサスより・・・相手が王族だなんて・・なんで教えてくれなかったの?」

 

ルーシィの問いにラクサスが、こたえる。

 

「じじいがな、ルーシィは自分のことで人が傷つくのを極端に嫌うからって言うんでな。」

「そうね?ルーシィは、自分さえ我慢すればいいって、みんなに迷惑かからないならって 勝手に出て行ってしまいそうじゃない?」

 

バッと、ルーシィが顔を上げた。その通りだというかのように。

 

「っあぁ~!!そんなの許さねぇぞ!!!ルーシィ!!」

 

がばっと、ナツがルーシィを抱き寄せる。

 

「わわわっ!?ナツ??」

「そんなの・・・ぜってぇ許さねぇ。ルーシィは俺とずっと一緒にいるんだ!!!つーかルーシィいなくなったら、俺が迷惑すんじゃねえか!!!」

「はぁ?」

「オレ、ルーシィいねぇと、笑えねぇもんよ!!!!」

 

「・・・つまらないってことかしら?」

 

はぁ。ため息が漏れる。

 

「・・・ちげぇだろ!!!」

 

ルーシィを抱きしめる腕に力がはいる。けして放さないように。

 

「ふぇぇぇぇ//////」

「ナツ?ルーシィ潰れちゃうわよ?加減しなさい。」

 

ニッコリと笑ったミラが、嬉しそうに囁いた。

 

「ナーツ!!突っ走てんじゃねぇ!そうならねぇように、じじいが依頼出したんだろうが!!ルーシィを大事に思ってんのは、テメェだけじゃないんだぜ??」

 

ラクサスの言葉をきっかけに、

 

「ふぇっ。うわぁぁぁぁぁぁ~ん」

 

ルーシィがギルドのやさしさにナツの告白ともとれる言葉に大粒の涙を流す。

少し拘束を緩めたナツがそれを拭ってやる。そして、またルーシィをがっしりと抱き寄せる。

 

「///ナツ。」

「ん?」

「・・・苦しい(恥ずかしいよぅ///)。。。」

「っ!?ルーシィ様から離れろ~!!王国中の魔導士を集めて、ギルドをつぶしてやるぞ!!」

 

ボーイに扮していた、王族の男が怒鳴り付けるが、そちらに振り返ったラクサスとナツの竜のような睨み1つで泡を吹いて崩れ落ちた。男は駆け寄った兵士によって連れていかれる。そこでやっと、ルーシィとナツは ヒスイ姫の方に向く。

 

「コホンッ。もうよろしいですか?」

「姫様!!この者たちの無礼いかがされますか?」

 

兵士の一人が声を荒げる。

 

「無礼?無礼はどちらでしょう?ルーシィさんは、私の大切な友人のお嬢さんです。先日、王国を救ってくれた大切な方です!!他の妖精の尻尾の皆さんも同様。私達の恩人ですよ?それに、無理やりルーシィさんを我が物にしようと、罪人から没収した怪しい薬まで持ち出したのです。どちらが悪いかなど、一目瞭然です。それに、自分の身分も名乗らず、ボーイに扮して策にはめようなど、嘆かわしい。」

 

兵士にきっぱりと言い切るヒスイ姫。その後ろから、見知った兵士が現れる。

 

「姫様。アルカディオス参上いたしました。おそくなり申し訳ありません。事態の把握に時間を要してしまいまして。。」

「アルカディオス。ご苦労様です。現状を報告してください。」

「はっ。まず、ラクサス殿に言い寄っておりました輩に、権力を振り撒く者もおりましたのでキツメのお灸をすえさせて頂きました。まぁ、すでにマカロフ殿の計画が功を相しておりルーシィ殿相手に 自らに勝ち目はないと、ギルドに盾をつくつもりも端からないといったようでしたが。

 つづいて、姫様の従弟殿の持ち出した魔法薬ですが、睡眠・暗示・催淫作用あるようでして、使われていましたら解毒剤を手に入れるのに少々苦労しそうでした。が、使われていないようで何よりです。早めに処分いたしましょう。

 そしてこの後、30分ほどでパーティがお開きになります。皆に気付かれぬよう早めのご退場を。」

 

「わかりました。アルカディオスありがとう。皆さん、この度をは ご迷惑をお掛け致しました。誠に申し訳ありません。。。。。。」

 

ヒスイ姫は最後に、城にも気軽に遊びに来てくれと言い残し その場を後にした。

 

おまけ→

 

 

おまけ

ギルドにて。

「しかしナツよぉ。。事情を知ってたって、お前がよく我慢できたな。。。」

「失敗したら、ルーシィがギルドから出ってちまうかもってラクサスが言うからよぉ。」

「おっ!ナツは、ルーシィの為なら我慢できんだなぁ~?ニヤニヤ。」

「なぁ!それにしてもよぉ。ルーシィをラクサスに盗るられちまうかもって思わなかったのかよ?」

 

「盗る訳ねぇだろ?ラクサスにはミラがいんだから。」

 

「「「「「「「えぇぇっ!?!?!?」」」」」」」

「お前、適当なこと言ってんじゃねぇよ!!!!」

「そうだぞ!!どうしてそう思うんだよ!!」

「だってよぉ、ミラからよくラクサスの匂いすんだろ??」

 

「・・・・お前しかわかんねえよ!!」

「好き合ってると、いっぱい触っていいんだろ?だから匂いが移んだよな!!」

 

ッカッカッカッカッと上機嫌に笑うナツ。

 

ある者は口を開いたままその場に膝まつき、ある者は何やら叫び、ある者は小さく体を縮め蹲り、ある者は天を仰ぐ。

 

「でもさぁ。ナァツゥ~!ルーシィがラクサスの事好きになっちゃたかもしれないよ??」

 

怪しい笑みを浮かべてハッピーがぽつりと囁いた。

見る見るうちに、額にダラダラと汗をかき顔が青くなるナツ。

 

「っ!?ルっルーシィぃぃぃ!!!!」

 

ルーシィの元にドタバタと駆け寄っていくナツ。

 

「ルーシィィィィィィィィィ!!」

 

家に帰ろうと、椅子から立ち上がったばかりのルーシィに後ろから抱きつく。

 

「!?きゃわっ!?ナッナツ///」

 

パーティの時の抱擁を思い出し赤面する。

 

「ルーシィ!!聞きたいことがぁ!!!」

 

「///ふぇ?」

 

恥ずかしい!!早くこの場を離れたい!!!

 

「ナツ。。。後でうちきてっ!」

 

ナツにだけ聞こえる声で囁き、ナツの腕からするりと抜けて走って帰路に着くルーシィ。

・・・一瞬動きを忘れたナツは、ハッとして「まーてよー!!るーしぃー!!」と叫んで後を追いかけ、ギルドを

飛び出していった。

 

「あ~ぁ。行っちまったな?お前どおすんだ?」

「あい。オイラ空気の読める猫なので、今日はウエンディのところに泊りに行きます。」

 

 

「・・・ナツの野郎。気付いてやがったか。」

「フフフッ。ばれちゃったわね?どうしましょ?」

 

 

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

あとがき

 完結です!!だらだらと長い文を読んでいただきありがとうございますm(__)m

なんか始めの構想と大部ずれてしまいました。。。勢いだけで書き上げた感があります。

ナツの天然熱烈告白→ルーシィ号泣→二人でイチャイチャ。とかまで本文に入れるつもりでした・・・。。。

まとまりがなくて、分かりずらくて申し訳ないです。お目汚し失礼しました(^^)/

 

 

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