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2016.11.~#フォロワーさんの絵から小説を書かせていただく りんたのナツルーから

形勢逆転

 

澄んだ空気。雲一つない蒼い空。

冷たい風は、冬を運んできていた。

 

もうすっかり寒くなった今日、雲の無い空を見上げ桜頭の男が閃いたとばかりにニィっと笑った。

久し振りに星が好きなあの子を星空の下に誘ってみようかと。

そう思いながら気分よくギルドの扉を潜ったはずだった。

 

ギルドの一角で行われた女子会という名の可愛い雑談の場。

誰かが忍ばせたアルコールによって、その会合は緋色の髪をした恐怖の象徴の力も加わり、気が付いたら酷い有様になっていた。

 

「マスターだ~れだっ……わたしだ~!!」

「ひぃぃぃ……」

「もうやめてぇ~」

「……なんでエルザばっか…」

 

先日、ルーシィの家で開催された恐怖のクリスマス会。

酒が入った事により、さんざんな目に合ったのもまだ記憶に新しい。

なのになぜ、こんなことになってしまうのか。

 

ただ1つの救いはここがギルドの酒場であり、緋色の暴君女王様のストッパーなりうる銀髪の悪魔が、女の尊厳だけは守ってくれようとしているということ。いや、面白がって焦らしているだけかもしれないが――。

 

とにかく、ミラジェーンの介入により全裸されることはなく、違うモノがあたえられることになった。

だが事と次第によっては、それは服を剥かれるよりも大変な事態になってしまった気もする。

ミラジェーンが銀髪の綺麗な髪をなびかせ、背筋がぞっとする様な笑顔で取り出したのは、色とりどりの小さな小瓶達。

 

 

 

 

 

 

 

「おまっ薬のせいでこんなんっ!?」

「え~? 確かに魔法薬は効いてるわよ? ……でもねぇ」

 

それだけじゃないかもっと、ご機嫌にルーシィは笑った。

 

チームメイトでルーシィと特に仲の良い桜頭のナツによって、ルーシィは恐怖の女子会から救出され家に連れ帰られていた。

アルコールと魔法薬がまわり、ルーシィは大変ご機嫌である。

ルーシィが飲まされた薬は、2種類だった。

1つ目はあがり症の人の為の魔法薬で、羞恥心を軽減する物。

そしてもう1つは、飲んだ者の声が命令となって、声を聞いた者はその言葉に逆らえなくなってしまうもの。

 

 

「…だってぇ、いつもは恥ずかしくてできない事も、今はとぉぉぉぉぉっても楽しいのっ…んふふふ」

「…まじかよ…」

 

ナツを座らせ、床に伸ばさせた足の上に股がったルーシィは、妖しく微笑んでいる。

 

「…ナツは、動いちゃダ・メ・よっ」

「……ぅぐ……」

 

語尾にハートでも付きそうな甘ったるい、舌足らずな声でルーシィは言葉を紡ぐ。

ルーシィは気付いているのかいないのか、魔法薬の効果によって何気なく口にしたルーシィの言葉はナツを縛りつけている。

ナツの体が思うように動かないのも、そのせいだけなのかは定かではないが。

 

「ふぅ…何か、この部屋暑いようなぁ…?」

「…お………ル……」

 

ルーシィの言葉のしばりのせいで、ナツはうまく言葉を発する事もできない。

何とか動けないかと、ナツが腹の底に力を籠め変に体温をあげてしまったのだ。

やはりどうにも体がいうことを聞かない。

 

「…もしかしてっ…ナツがぁ、部屋の温度あげてるのぉ? ……もう、冬だってのにぃ…暑ぃっ」

 

囁くように独り言をいいながら、ルーシィは己の服に手をかけた。

薄いキャミソールを残して、部屋の熱気でピンク色に染まった肌が惜しげもなくナツの眼前に晒されている。

目の前で起こっている事態に、ナツの視線は釘付けだ。

だが、身体が動かないのだからしょうがない。

 

「…ルー…(ルーシィ、目ぇ覚めた時……怒んなよ…)」

 

ルーシィに動いちゃダメと言われてから微動だに出来ないナツ。

声を出すのもやっとの状況だ。

やっとのことで発した声にルーシィは、コテンと首をかしげた。

 

 「なんで喋んないの? もしかして……怒ってるの?」

 

目の前の2つの柔らかそうな山がぷるんと揺れて、ルーシィの顔がナツを覗き込んできた。

ナツの視界の真ん中で、にっこりと微笑むルーシィ。

ナツは何とかこの事態を打開しようと、ジィっとルーシィの目を見つめ返した。

 

「ねぇ、怒ってないならぁ……なんか喋ってよぉ」

 

自ら上着を脱ぎ捨て、装飾具やブーツを取り外し身軽になっているルーシィは、ニコニコと微笑みながら『動いちゃダメ』のまま動けなくなっているナツの太腿の上にちょこんと腰を下ろした。

太腿に伝わってくるルーシィの体温と、柔らかさ。ナツは何とか身体を動かそうとするが、体温が上がるばかりでピクリとも動けない。

 

「おっ……おいっ、ルーシィっ……やばいって…」

 

今度はスルリと声が出た。ルーシィの許しがでて発せられる様になった声で、ナツはルーシィを制止しようとする。

だが目の前のルーシィはなんだか楽しそうに微笑むばかりだ。

これはされるがままになるしかないのかと、ナツが諦めたように小さく息を吐いた。

 

 ――んふふ~なんか気分がいいのよねぇ~

 ――あっ……そうだっ

 

「ねぇナツッ」

「あ?」

「じゃじゃ~~んっ」

 

ルーシィがばんざいしたかと思うと、ばさりと生暖かい薄い布がナツの頭に掛けられた。

その布は紛れもなく、今目の前でルーシィが脱ぎ捨てた布だ。

続いて、ごそごそと布のこすれた音がしたかと思うと、パサリとナツの脇に白い折れ目の付いた布が投げられた。

ナツの目の端に移るそれは、ルーシィのスカートの生地とよく似ている。

 

「あれぇ~?」

「まっ待てってルーシィっ……おまっ」

 

焦ったナツの声が部屋に響く中、ルーシィのケタケタと笑う声がそれを消した。

 

「やだぁ~ナツ、あたしの服かぶってないでぇ、見てぇっ」

「いあだから……っ」

 

ルーシィの手によって顔にかぶっていた布が取り除かれると、そこには下着姿のルーシィがナツの顔を覗き込んでいる。

 

「へっへぇ、可愛いでしょこの下着!」

「ぬっ……おぉ…」

 

いろいろ思うところはあるが、目の前に晒された光景をまじまじと見つめるナツ。

『動いちゃダメ』と言われた自分の身体は、都合よく静止したままだ。

 

「これねぇ~、ナツの髪と同じ色なんだよ~見つけた時ぃ~、嬉しくってぇ、買っちゃったんだぁ~可愛いでしょ~?」

「……んっ…」

「何その言い方~そっけない~!! ナツなら喜ぶかなぁ~って思ったのにぃ」

 

御機嫌かと思ったら、プクッと頬を膨らませいじけた顔をするルーシィ。

ルーシィが身じろぐたびに、ブラの肩ひもが緩みたわわなそれがプルンプルンと揺れている。

あともう一息で、零れ落ちそうだ。

 

ナツは、あんぐりと口を開けたまま固まってしまっている。

 

「…ナァ~ツぅ……ちゃんとぉ~感想言ってくれなきゃいやっ」

 

ルーシィの言葉に、ナツの口が意志と反してモゴモゴと動き出す。

言いたくないが勝手に口が動いて喋り出してしまうのだ。

 

「………むごっ……かっ…ムググッ…かわいいって言うか…もご……エロ……っルーシィ、エロいんだよっ!!」

「…やっやだぁ~ナツのエッチっ」

 

どうせ言わされるならと開き直ったナツの語尾が強くなってしまった声に、ちっとも動じないルーシィはぽっと頬を赤く染め、体をくねらしている。

ルーシィの様子に、ナツの額から嫌な汗が伝い落ちた。

それを見逃さなかったルーシィは、にっこりと微笑み白魚の様な手でナツの汗をぬぐう。

 

「…ナツも、暑い…の?」

「いあっ」

「…んふふ~遠慮しなくていいのにっ」

「いや、だから違ぇからっ」

「しょうがないなぁ~あたしが、脱がしてあげるっ」

 

満面の笑みで、ルーシィの手がナツの帯紐にのびる。

腰の締め付けが外されると、黒衣の合わせが開かれた。

露わになるナツの胸板と腹筋。相変わらず自らの意志で動けないが、体温だけは上がっていくナツの身体。

 

「あ……あたしねっ、ナツの体触ってみたかったんだぁっ」

 

そう言ったかと思うとナツの逞しい胸板に、ペタンとルーシィの頬が触れる。

まるで心臓の音でも聞くように頭を寄せ、ルーシィの白い手がナツの腹筋をなぞった。

 

「おいおいっ」

「ドキドキしてるっ……おっ、すっごい筋肉…」

 

何度も何度も、ルーシィの白く細い指がナツの腹筋をなぞっている。

それに伴って、ナツの身体から汗がしたたり落ちていく。

 

「傷だらけだね……ナツが頑張った証だ…」

 

うっとりと幸せそうに微笑むと、ルーシィはむき出しになったナツの胸板に抱きついた。

 

「…ナツの心臓の音…よく聞こえるっ…ふふふっ」

 

すっぽりとナツの胸に納まったようなルーシィのつむじに、ナツの声が響く。

 

「ルーシィ、しっかりしろっ! お前はそんなキャラじゃねえだろっ!!」

「…そんな事ないもんっ………あたしのキャラをナツが勝手に決めつけないでよぉ」

 

頬を膨らませて勢いよく顔を持ち上げたかと思うと、ルーシィの鼻とナツの鼻とがぶつかりそうな距離で、ルーシィの大きな目が半分瞼の裏に隠れた。完全に目が座ってしまっている。

 

「…キャラとか…どうでもい~の~っ……今だって、ちゃんとルーシィですぅ」

 

それだけ言ってルーシィは、ナツの胸板に左手を触れさせた。さわさわと優しくそこを撫でている。

身体を動かせないままのナツは視線だけをゆっくりと下におろすと、自分の髪と同じ色のギルドマークのはいった右手がツイッと、割れた腹筋の凹凸を下へ下へとなぞるのが見えた。

 

「…ぅぐっ……おいルーシィ!!」

 

何とかやめさせようと声を荒げるナツ。

その声にルーシィが顔を持ち上げると、ナツの目前でルーシィはうっとりとした表情を浮かべた。

 

「…かっこいいなぁ」

「…あん?」

「…ナツの体って……かっこいいよねぇ…」

「…おまっ……何言って」

 

不意に呟かれたルーシィの言葉に、焦るナツ。熱が顔に集まっていく。

らしくなくたじろぐナツに、ルーシィは嬉しそうに再び抱きついた。

 

「…ふふっ……暖か……って、熱すぎっ!!」

 

ナツの体温は、先程までの比ではない位急上昇している。

一気にまどろむ世界から飛び出したルーシィの思考は、体から煙を出すナツを目に、そこにあったコップに入った冷えた液体をナツの頭からかけていた。

 

「っ!? …つめてぇ…」

「…ごっごめん?」

 

視線が合うと、ルーシィは恥ずかしそうに目をそらした。

完全に思考が冷静になってしまったのだ。

それと同時に、しっかりナツを動けないようにと縛りつけていた声の効果も失ってしまっている。

――形勢逆転。

ゆらりとナツの視線がルーシィを捉えた。

合ってしまった視線をそらす事もできず、ルーシィは苦笑いを浮かべる事しか出来なくなってしまった。

 

「…なぁ、ルーシィ」

 

ナツがゆっくりと、ルーシィの手を取った。

 

「…触りたかったんだろ……オレの身体…」

「っ!? ひゃぁっ!!」

 

ナツの手を振り払おうにも、しっかりと握られていてルーシィの力ではかなわない。

 

「いいぞ……触りたきゃ、好きなだけ触れよっ」

 

距離を積めてくるナツに、ルーシィは真っ赤な顔で叫んだ。

 

「…ふわぁぁぁぁぁ……ごっごめんなさい~!!」

 

 

 

 

 

FIN

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ちっとも纏まらない~~~~~~~~楽し~~~~~~~~~~~~~!!!!

正気に戻って赤面ルーちゃん絶対可愛い~!!

迫られると狼狽えるけど、攻めるのは全然余裕のナツ♡むっふふ♪

 

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