2016.11.~#フォロワーさんの絵から小説を書かせていただく みたらしさんのナツルちゃんから妄想させていただきましたっ♪
今日も明日もずっとずっと
1年前よりも伸びた金色の髪を揺らしながら、ルーシィは一人、カルディア大聖堂を見上げた。
ギルドのみんなに祝ってもらって、生涯をナツと共に歩むと神に、皆に、そしてナツに誓った日から1年。
「うん…いつも通り、きれいなステンドグラス…」
本来であれば今日ルーシィの傍らには、将来を誓い合った旦那様がいるはずだった。
「……はぁ…ナツのバカ…」
別々の依頼に出掛けて、昨日の晩には二人とも帰ってきて、仕事先で訪れた場所、おこった事などの話しに花を咲かせ――ここには、二人で訪れるはずだった。
だが、昨日ギルドに届いた連絡で緊急事態が起きた事を知らされた。
エルザも一緒の仕事だ。失敗は無いはずだった。ただ、困っている人がいるのだ。それを解決する力が、ナツにはあるのだ。だから、ナツが悪いわけではない。
「……わかってるもんっ」
暖かい風が、青葉を乗せてルーシィの髪をすくう。
舞い上がった金髪を、愛しい彼の髪と同じ桜色のギルドマークで押さえると、ルーシィはまっすぐ前を見据える。
そこには変わらず、悠々とカルディ大聖堂が佇んでいる。
「明日には、帰ってくるんだもん……わがまま言ってたらダメだよねっ」
明日の朝には帰ってくると、ナツと一緒の依頼に出かけているエルザから連絡はきていた。
明日、ナツを迎えるために何か豪華な食事でも作ってやらないとなと、ルーシィは頭の中で残っている食材を使った献立をめぐらせる。少々買い足さなければならないものがでてきそうだ。
「たった一日。ずれたからって、なんだってのよっ」
その場に立ち上がるとルーシィは、気持ちが負けないようにギュと拳を握り込んだ。
「うん……日にちなんて関係ないじゃないっ」
口元に笑みを作り、ルーシィは空を見上げた。
――下なんか、向いてあげないんだからっ
「明日が、ある…」
――だって、ナツはあたしの元へ帰ってくるんだもん
「うん。そうだなぁ…買い物したら今日は、パパとママに手紙でも書こっかな」
――あたしひとりでガッカリしちゃってるけど…ナツだって、来たかっただろうしな……
「……オレの、悪口書くんじゃねぇぞっルーシィ」
その声に、弾かれたようにルーシィの肩が跳ねた。振り向くと、そこには――
「な…つ…」
大好きな彼が、どうしたって今日ここで一緒に居たかった彼が、さぁ来いとばかりに両手をひろげて待っている。
「……んだ? こねぇのか?」
瞬間びっくりしすぎて怯んでしまった足に力を入れ直すと、ルーシィは地面を蹴ってその腕に飛び込んだ。
「遅いのよ、ばかっ」
逞しい筋肉質な腕に包まれながら、その纏う暖かい空気ごと嬉しいを吸い込んだ。
――ナツの匂い
腕の中に飛び込んできた愛しい彼女を抱え込み、ナツはギュっと優しく腕に力をこめる。
ふわりと揺れる金色の髪からはお揃いのシャンプーの匂いと、ルーシィ自身の優しい匂い。
ナツも金色の髪に頬擦りしながら大好きな匂いで深呼吸をする。ふわりとナツの身体から余分な力が抜けた。
そして、フッとやさしく微笑んだ。
「んだよっ 無理やり帰ってきたのに嬉しくねぇのか?」
――ナツ、あったかいなっ
「嬉しいっ!! 嬉しいにきまってるでしょっ!!」
ナツの背にまわったルーシィのすべらかな手は、ギュっとナツの黒衣を握りしめた。
「大好きっ」
「あぁ、知ってるっ」
ルーシィを抱き締めていた逞しい腕に再び力が入った。驚く間もなく、ルーシィは抱き上げられていた。
目をぱちくりさせるルーシィに、ハルジオンで出会った頃よりもぐっと低くなった声が囁く。
「1年前も、こうやって登ったよなっ」
式を終えみんなが祝ってくれているその騒ぎを抜け出して、ウエディングドレスのままナツが連れて来てくれた大聖堂の裏手。
ひろがる芝生に大きな木の生えるの丘。ドレスの裾が絡まってうまく丘を登れなかったルーシィ。
その時も、今みたいに体が浮いたのだ。
「いこうぜっ」
太陽の位置も、去年と一緒。
1年前の今日が鮮明に思い出される。
幸せで、幸せで、幸せすぎて、溢れ出す幸せが、止まることがなかった去年の今日。
「ナツ」
大聖堂を見下ろせる丘の上。そこはなんの変哲もない緑に染まるただの丘。
だが、ナツとルーシィ二人にとっては、大切な場所。
――去年の今日も幸せだと思ったけど、
――今だって負けてないっ
幸せを確かめ合うように、目を合わせて笑い合う。
「大好きっ」
「あぁ…おれもっ」
ナツの返答に幾分かの不満にルーシィの頬が膨らんだが、目線を合わした後耐えられず二人で笑いだした。
自然と笑いがやむ頃には、しっかりと視線が絡む。
「ルーシィ、大好きだぞっ」
早口でそういうと、ルーシィが言葉を返す間もなく唇に啄むようなリップ音がなる。
数度繰り返してわずかな熱を移し合うと、うしろからルーシィを抱え込み自分の膝に座らせる様にナツは座った。
「……今日は、ひとりぼっちで過ごすんだなって、ほんとはちょっと寂しかったんだ…ナツ、ありがとっ」
幸せそうな笑みをうかべて、ルーシィが顔だけ振り返った。
「おうっ……じゃあ今は、ふたりぼっちだなっ」
「え……?」
「? ハッピーいねえし、オレとルーシィだけだかんなっ」
ニカっと楽しそうにナツが笑う。
その笑みは、背が伸びて、声が低くなって、大人びた今でもまるで少年の様だ。
「ふふふっ…そうねっ ふたりぼっち……なんだか、すてきねっ」
「そうか? これから、いくらでもふたりぼっちだぞっ! ハッピーがいても……子供ができてもなっ」
「……ここに来るときは、いつだってふたりぼっち?」
「おうっ! だから、勝手にひとりで来んなよなっ」
笑い合う若い夫婦。優しい風が幸せを運ぶようだ。
「ねぇ……」
「あ?」
「あたし達、幸せだねっ」
「あぁ…世界で一番なっ」
FIN
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あるナツルの結婚後でしたっ♪
幸せいっぱいを表現できていたらいいんだけど(*ノωノ)
是非!みたら氏のを先に見て読んでくださいねっ♪
お粗末さまでしたっ!!そしてみたら氏(人''▽`)ありがとう☆楽しかったっ!!