2014年5月31日
竜の血④
シリアスです。ナツ→←ルーシィのナツルーです。
ナツ・エルザ、ハッピー達は、ようやくその地に足を踏み入れていた。
鬱蒼とした木々が生い茂るその地で、少女の案内を受けて足を進めた。
そして、この先が集落だという所で 少女が再び口を開いた。
「待って。」
ナツは前へ出そうと持ち上げた足を、その位置で止め少女に振り返った。
少女は腕をエルザに捕まれたまま1歩前へ進み出た。そしてその先を指さした。
その動きに合わせエルザも1歩前へ出た。
「この先に結界が張られている。転送魔方陣もあるわ。無断で入れば、、、すぐに霧の民に知れてしまう。」
「だからって、、、この先にルーシィがいるんだ!!どうすることもねえ!!!さっさと行くぞぉ!!」
「だな!!敵さんから来てくれるなら、手間が省ける。どうせオレ達の敵じゃねえ。気にせず進もうぜ。エルザ!!」
「まあまて、霧の民はアリシアにとって、大事な仲間なんだ。。。」
淡々とした口調で話す少女に、ナツとグレイが喰って掛かるが、エルザに諌められた。
少女に微笑みかけるエルザ。その笑顔のまま強い眼差しで、真っ直ぐと少女を見つめたままエルザは口を動かした。その様子をハラハラ、ワタワタとするウエンディの近くで、ハッピーとシャルルが見守っていた。
「まあ、だからと言って、退く訳にはいかなんがな!!」
真っ直ぐとアリシアを見つめる目は、静かな怒りをたたえたままだ。少女の言い分に同情の余地はあるが、その行動が正しいとは到底思えない。
ルーシィをさらったこと、ルーシィに成り変わったこと、、、そしてこの少女にこのような行動をさせようとした事が、仲間のやる事なのか!?それは、静かな怒りをエルザに与えていた。エルザはその胸に怒りを抑え込んでいる。
「・・・遠回りになりますが、、、抜け道があります。幼い頃わたしと、、、、。幼馴染が村をこっそり抜け出す時に使っていたものですが、村の中心よりも山頂側に出ます。抜け道を通っても、そこから出て地面に降り立てば いつ太古の霧様に見つかるかもわかりませんが。。。」
「・・・行ってみる価値は、、、あるな。」
「おい!!そんな簡単に信じんのかよ!!」
アリシアの説明を聞いたエルザがそう言うと、グレイが怪訝な声を出す。
グレイとてエルザと同じように、内に怒りを顰めているのだ。グレイは、何よりも仲間を大事に思う男だ。自分達の仲間に、自分のチームメイトで妹の様に可愛がっている少女に、危害が加えられているのだ。ルーシィが無事だとバツゴから伝えられてはいるが、こんな所業をした霧の民とやらに怒りしか浮かんでいないだろう。
ただルーシィを欠いたチーム内で、最後は絶対暴走するエルザや、普段からハチャメチャな上 ルーシィが係ったら止まらないナツのストッパーにもならなければいけないため、冷静な一面を表に出してはいるがその心は熱く燃えている。
何より、妹分のルーシィが心配だった。彼女に成り変わるったという事は、、、何かしらルーシィは傷を負わされているかもしれない。そんな事をいちいちバルゴを使って伝えてくるような奴ではないのだルーシィという少女は。その懸念もぬぐいきれていない。
グレイも結局は、戦闘となれば加減が効かなくなるだろう。そのピリピリした空気は、周りにも伝わっている。
アリシアに向けていた鋭い視線を、グレイに移してエルザが喋り出した。
「・・・半分だ。ここから先は、2手に別れる。グレイ!お前は私と共に正面突破だ!!敵の意識をこちらに集めるんだ。
ナツ!!ハッピー!!ウエンディ!!シャルル!!アリシアに先導してもらい抜け道を行け。私達が注意をひきつけている間にルーシィの元へ急ぐんだ!!集落の中に入り込んでしまえば、お前達ならどうやったってルーシィの居場所は鼻で追えるだろう?」
「「おう!!」」「あい」「はい!」「わかったわ。」
エルザの凛とした声がその場に響いた。それぞれが、自分の次の行動を確認し答えた。
「エルザさん。」
気合を入れるメンバーの脇で、少女がエルザを見つめる。その視線に気づきエルザが、少女に向き直った。少女は、眉を顰め心配そうな表情を浮かべている。
「・・・すまないな。アリシア。お前達霧の民は、私達の大切なものに手を出してしまったんだ。それなりの制裁は受けてもらう。・・・・・・・だが、悪いようにはせん。」
エルザは、金髪の少女の頭をクシャリと撫でた。今はまだ、その容姿はルーシィのモノだ。
エルザとアリシアのやり取りに、その後ろでグレイは眉を寄せていた。
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さぁ!!とつげ~き!!
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ナツ・ハッピー・ウエンディ・シャルルは山頂に目を向けていた。
そこで、ぽそりとナツが薄く唇を開いた。
「・・・ルーシィの匂いがする。」
伝言を伝えた後バルゴが、ルーシィの星霊の鍵束を持っていった。
星霊界から、ロキを介しルーシィの元へ帰るのだと言っていた。
バルゴやロキとルーシィの近い距離感に、モヤモヤしたものを感じながらも、きっと何かやろうとしているルーシィの元へ一刻も早く!!
駆け付けたい!!焦りを感じながらナツは深く眉間に皺をよせた。
そして、自然と拳を作って、力を込めている。その様子に、ハッピーも気合を入れなおした。
アリシアの案内によって、狭い木々の間を抜け、朽ちた大木の根元から延びる真っ暗な細い道を進んでいく。そこを抜けると、人工物の板にぶち当たった。アリシアがその板を持ち上げるように言うと、「え?」と知っている声が板の先から聞こえる。
ナツの鼻がスンスンと、耳がピクピクと、動いた。
「・・・ルーシィ?」
「!!ナツ??え??どこ??」
自分の頭上にある板のむこうに、会いたくて仕方のなかった気配を感じ、ナツはいてもたっても居られずその名を叫んだ。
「ルーシィ!!」!!
勢いよくその板を押し上げたナツの視界に、金髪が揺れた。
いつもの様に、ふわりと甘く笑うルーシイの姿に、ナツの胸の奥がトクリと鼓動を早くした。
目の前の愛しい少女の姿に、跳びつこうとして・・・ナツは固まった。視界の先の金髪が揺れて・・・・・。
「ルーシィ!!!」
「ナツ!しー!!しー!!声抑えて!!」
いつも彼女の動きに合わせ軽やかに揺れる綺麗な金色の髪が、一部短くなっている。
そして、頬に残るひとすじのキズ痕。それは、他力によって無理やり髪が切り取られたのであろうと簡単に想像できた。
驚きで、唖然としながらも、、、沸々とナツに抑えきれ無い怒りが込み上げてくる。
「うわぁぁぁ!!熱いよ!!火!!火!!!火でてる!!ナツ!!!」
ナツの後ろから跳び出してきたハッピーが叫ぶ。
続々と抜け穴から人が出てきたが、ナツの目には映っていないようだった。
このままでは、今いる建物すべてが焼き尽くされてしまう。一抹の不安を感じ、暴走しそうなナツの意識を戻そうとルーシィが手を伸ばした。
チリっとルーシィの指先がナツの火の熱さに震えた。
だが、ルーシィは伸ばした手を引っ込める事はせず、そのまま伸ばしていく。ナツを囲む様に熱風が渦を巻いている。
「ナツ!!落ち着いて!!どおしたのよ?ナツ!!しっかりしなさい!!!」
ルーシィの手を、体を、無意識によける様にナツの炎がうごめき、ナツが伸びてきた腕を引き寄せルーシィを抱きしめた。
すっぽりとナツの腕の中に収まるルーシィは、ナツの腕の中でその表情を見つめてた。
「ナツ!!熱いよっ!!火を押さえて!!」
「誰だ!!誰にやられた!!!」
ギラリとゆれるナツのツリ目が、凶悪な表情を作っている。
ナツの体から炎が漏れ出ているが、その炎は決してルーシィを燃やすことはなかった。ナツの体温が上がっている事で 引き寄せられたルーシィは熱さを感じているようだが、それも決してルーシィを傷つけるものではない。
ナツの腕に抱かれ ナツの言葉を受け、ナツが何に怒っているのか見当がついたルーシィは苦笑いを見せた。
「ナツ落ち着いて。火消して!!それ引っ込めなきゃ話せないよ!!ナツ!!!」
ルーシィの声が届いたのか、ナツの炎が少し弱まったように見えたのも束の間。
ナツがルーシィの頭に手を置き、金糸を撫でた。そして無残に短くなっている髪に触れた。
抑えきれ無い炎が天井を貫いた。
「ナツ!!!」
ルーシィがナツの胸を強く叩いた。ナツはルーシィを強く抱き締めたまま炎を揺らす。その目はひどく辛そうに揺らめいていた。
「ふっざけんな!!誰だ!誰にやられた!!!」
ナツのブチ切れた様子に、同行していたハッピー達は言葉を発する事も出来ない。
腕の中のルーシィだけが、その胸を叩くが炎が収まる様子が見られない。
このままでは危ない。建物ごと崩壊しかねない。そう思った時、金髪の少女が口を開いた。
「・・・私です。」
金髪の少女アリシアがそう言うと、ナツがアリシアにギロリと炎を宿した視線を向けた。
その視線に合わせる様に、ナツの炎がアリシアを囲んでしまった。
一気に周りにいたメンバーも慌て始めた。ルーシィも必死にナツの意識を落ち着かせようと躍起になっている。。
「「ナツ!!やめて!!」」
「ナツさん!!」「ナツ!!ダメよ!!」
ナツが鋭くアリシアを睨み付けている。その睨みにもひるむ様子を見せず、少女は淡々と告げる。
「私が、、、彼女に成り代わる為に、、ルーシィさんの細胞が必要でした。。。」
ナツの目が見開き、その炎が大きく膨らんだ。
天井の高いこの建物の屋根を一部貫き、他にもそこかしこが焦げて火が燻っている。
炎が上がるのも時間の問題だ。
「ナツ!!やめて!!ちがう!その子じゃない!!ちゃんと話を聞いて!!!」
「ナツー!!みんな燃えちゃうよぉ!!」
「ナツさん!!ダメです!!やめてください!!」
「やめなさいナツ!!」
室内の温度は上昇を続けている。それぞれが叫ぶ中、アリシアを守るように霧が包んだ。
「くうっ!」
アリシアの悲痛な声がもれ出る中、ナツの炎は消されていく。
霧は、アリシアを優しく包む様に蠢いている。
「・・・霧様。」
「ナツ!!」
何とか腕を抜いたルーシィがナツの頬を思いっきり叩いた。
『パーン』と乾いた音が響いた後、ナツが瞬いた。目の前にいる涙目のルーシィを目にし、キョトンとして辺りを見渡した。怒りで我を忘れていたのかもしれない。
ナツは自分を落ち着かせるように、ルーシィの頭に顔を埋め彼女の匂いを吸い込んだ。
「ワリィ。」
ルーシィの肩に顔を埋めたままそう言うと、やさしく手を伸ばし、ルーシィの短くなった金髪を撫でた。
「・・・ナツ。大丈夫!!キャンサーが戻してくれるわ!!大丈夫よ。・・・でも、アリガトね!」
ルーシィがくすぐったそうに笑った。
その様子を見届けたかのように、アリシアを包み込んでいた霧が離れていく。
「待って!!」
太古の霧に向かって、ルーシィが叫んだ。
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一方エルザとグレイは、正面から集落に向かっている。
アリシアが言っていた通り、その場所を一歩進むと、いろいろな仕掛けが待っていた。
落とし穴。弓矢や岩が降ってきたり、さながら古い遺跡の冒険書に出てきそうな内容の仕掛けだ。その仕掛けを抜けると、手に武器を持った子供達だむかってきた。
「子供か!?」
「エルザ!!子供じゃねえ!!そんな魔力じゃねえだろう!!」
「しかし!!加減が!」
子供の姿に一瞬ひるんだエルザを、グレイが叱咤する。
「この魔力の量が、子供なはずねえ!!」
戸惑うエルザの様子からすれば、この霧の民とやらを傷つけたくないらしい。それが、本音なのだろう。グレイが両手を合わせ素早く魔力を練った。
子供がいる方から、魔力のこもった風が刃の様になって飛んでくる。
「チッ。アイスメイク!シールド!!アイスメイク!ハンマー!!!!」
エルザとグレイを迎え撃とうとした子供?達からの攻撃を受け流し、その頭に少々加減された氷の大槌が落された。
見た目通り打たれ弱い様で、その子供?達はその場に倒れた。
「・・・グレイ。」
「しかたねえだろう!!!」
「・・・ああ。すまない。」
エルザはギュッと眉に力を入れ前を見据え、バツが悪そうに苦笑を漏らした。その様子にグレイが軽く溜め息を吐いた。
倒れた者達をその場に残し、エルザとグレイはその場を駆け抜けた。
すると視界が開け、すぐ集落に出た。
石造りの家々は半分土に埋まっているような構造で、きっと上空から見れば家とは認識できないような形をしている。隠れ住んできたというのは間違いないようだ。
グレイが、エルザの一歩先を行こうと踏み出すと、その襟首を掴まれ引き戻された。
「うがっ!!」
グレイが踏み出そうとしたところには、魔法陣が光っている。エルザに引き戻され投げ捨てられたグレイは尻もちをついている。
その魔法陣を目に、グレイが顔をしかめると、エルザの鋭い視線が降ってきた。
・・・グレイの顔から血の気が引いていく。
「気を付けろ!!グレイ!!ここは敵の本拠地だぞ!!」
「っ!!あぁ。すまねえ。」
エルザが目を閉じあたりの様子を視覚以外の五感で探る。
背中合わせにグレイが立ち上がると、、、上着を脱ぎ捨てた。
「行くぞ!!グレイ!!」
「おう!!!」
2人は同時に地面を蹴った。
「換装!!黒羽の鎧!!黒羽・月閃!!」
高速で移動しながら、隠されている罠をエルザの太刀筋から発せられる斬撃が引き裂いていく。それによって、石造りの建物は、、、、崩壊していく。
「グレイ!!」
「ああ!!アイスメイク・牢獄!!」
建物の影から飛び出してくる者をグレイが次々と捕獲していく。隠れていた者たちは戦闘の意志が無い者が大半のようだ。と言うよりも、戦闘が出来ない様な女子供だけがそこにいた。大人の男の姿が見えない。辺りを伺いながらエルザが大きく息を吸い込んだ。
「我々は妖精の尻尾だ!!仲間を引き取りに来た!!!観念しろ!!ルーシィは何処だ!!」
エルザの声が響くと、1人の少年が建物の陰から出てきた。
両腕を上げている様は、戦闘の意志は見られない。
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*
「どう?ウエンディ。」
「はい。魂の波長。。いえ魂というほどもありませんね。魂のかけらに強い残留思念。思念の塊のようです。・・・・でも、とても弱っている。もう、魂のかけらは燃え尽きようとしている。」
その場に膝をつき祈りこのように胸の前で手を合わせるウエンディ。その傍らには白い猫が心配そうに付き添っている。
ルーシィに「みんなに話をしない?」と呼び止められた太古の霧は、そこにとどまっている。
「んで?出来そうなのか?」
「・・・残念ですが、霧の力が弱すぎます。」
ウエンディの言葉にナツは眉をしかめ下唇を突き出したまま、ルーシィを見た。
視界に入った金髪の少女は下を向いたまま、肩を震わせている。
ルーシィは腕を胸の前で組み、あごに手を添え何やら考えているようだ。そして腰にかかる星霊の鍵がポーッと光った。
それにすぐ気付いたルーシィは、そっと鍵を抱えた。気付いたというよりは、元々心で会話をしていたのかもしれない。
優しい眼差しで、ねぎらうように鍵に触れる。そのいつものきれいな横顔が、ナツの視線を縫い付けたかのように奪っていた。その視界の中心で、嬉しそうにピンクに色づいた ルーシィの頬が緩んでいく。
「そう。・・・うん。・・・そっか!!わかった。・・・・ありがとう!!クル爺!!」
ルーシィの大きな瞳が光輝いて見える。その横顔は何かを悟っている。
友達に良いヒントを貰ったのだろう。やはりこういう時に閃きを見せるのは、ルーシィの役目だ!!ひび割れかけたナツの胸の内側から、暖かい感情が湧いてくる。
ルーシィの瞳の輝きに、自然とワクワクしている。ナツは眉間のしわを緩めていた。
「ルーシィさん!!何かわかりましたか??」
「うんっ!クル爺が調べてくれたの!!」
嬉しそうに、友人の活躍を称えるルーシィに、ナツの口角もいつの間にか上がっていた。
ウエンディに微笑みかけた後、クルンとルーシィが向き直った。
その大きな瞳にナツを映して、挑戦的な視線をむける。その視線を受け、ナツの胸の内側がキュッと音をたてた。
「ナツ!!霧を作るわよ!!」
「・・・はっ?」
突然のルーシィの提案に、何のことやら頭がついて行かないナツ。
その様子に、ハッピーがニヤリと笑っている。
「栄養補充みたいなものよ!!ナツも炎を食べると元気になるでしょ!?」
「んあ?あぁ。。。んで??」
「ああ!!そういう事ですか!さすがルーシィさんです!!」
「・・・なるほどね!よく思いついたじゃない!!」
「さすがルーシィ!!・・・ってナツ?!さすが猫よりしょぼい頭だね!!」
「・・・・・・・・・・おい。」
先程の緊張は何処へやら、それぞれの表情には笑みが浮かんでいる。
ハッピーに反目を向けているナツ。その様子をウエンディとシャルルも笑って見ている。そんな中、ルーシィはなんだか少し楽しそうに、ナツに視線を送った。
「フフフッ。いい?ナツ!アクエリアスを呼んで、噴水を上げてもらうから、ナツは魔力を集中して熱を放ってくれる?ナツの魔力がしみた霧が、太古の霧の糧になるはずよ!!」
ルーシィの楽しそうな表情ばかりに見惚れていたナツは、またもコテンと首を傾げた。
そして、閃いたようにポンと手を打った。
「あぁ。オレが炎食うみたいな感じか!!」
「・・・だからさっきから、そう言っているじゃない。」
「あい。猫よりすっごくしょぼい頭です。」
その場に笑みが満ちたように見えた。
楽しげに笑い合う仲間同士。
そして、ルーシィが真剣な面持ちに変わった。
「いくよっ!ナツ!!」
名を呼ばれナツが、そちらに視線をむけるとルーシィは、宝瓶宮の鍵をくんできた水の入ったコップに挿した。
ルーシィの髪が、魔力によってぶわっっと宙に浮いている。淡い光に包まれるように鍵に魔力を込める姿に、ナツの視線が釘づけになると、視界の真ん中にいたルーシィの唇が動く。頬のキズに貼られたテープが魔力によって剥がれていく。
「開け!宝瓶宮の扉。アクエリアス!!」
音も無く、そこに鋭い視線の人魚が現れた。ルーシィをギロリと見据えて、口を開いた。
「おい。小娘!!何回いったらお前は理解できんだぁ??カ・ギ・を・盗・ら・れ・る・な!!って何度も言ってんだろうがぁ!!」
「ひぃぃぃ。ごっごめんなさい~!!」
「お約束です。あい」
馬の尻を叩く様な鞭をどこかから取り出し、パシンパシンと自分の手の内で音を立てている人魚。
顔の色を失くしながら、とめどなく冷や汗を流すルーシィに人魚が囁いた。
「後で仕置きだな!!・・・ったく。。。その前にちょっと面かせ!!」
「ふえ??」
人魚に首根っこを掴まれたルーシィは、拒否権なく顔を人魚に近づけた。
傷のついた頬に触れたかを思うと、傷の痛みが和らいだ気がする。
そして人魚が腕を離すと、切り取られた髪に綺麗な髪飾りが飾られている。
「フン。ただでさえ彼氏が出来ないんだから、これ位しておけ!!!私にはいるがな!彼氏!!」
ルーシィが髪飾りに触れる。嬉しそうに、誇らしそうに。そして、ふわっと笑った。
「ありがとう!アクエリアス!!」
とびっきりの笑顔でルーシィが、人魚に飛びついたかに見えた。。。
とびついてくるルーシィに手を伸ばしてそれを阻み、アクエリアスが水瓶をかまえた。
「やるんだろ?早いとこ帰りたいんだ!!早くしろ!!・・・・この後デートなんだ!!カ・レ・シ・ト・ナ!!」ニヤリ。
「・・・もうっ!!・・うん!!ナツ!いくよっ!!!」
「おう!!」
ルーシィの金糸に、淡いブルーのピン止めが輝いて見える。
アクエリアスの噴水が上空に飛散し、ルーシィの髪を飾るピン止めと一緒にキラッと光を反射して、綺麗な光景を作る。その噴水を受けてナツの体から蒸気が上がる。
空中でジュッと水蒸気に変わり、周りの空気がジメリ気を帯びた。
水蒸気と細かい水の粒子がまじりあい、雲の様に霧が目に見えるようになった。
ナツから発せられる熱風によって、作られた霧は太古の霧に向かっていく。その糧になるために。
星霊と竜の魔力が、霧と一緒に太古の霧にうまく吸収されたようだ。
「ウエンディ!!いけそう??」
「はい!ですが一時のものです。そのまま続けてください!!」
「うしっ!!」
「チッ!!!」
そうこうしている内にエルザとグレイが、霧の民を拘束して社までやってきていた。
リアンだけではない、ルーシィを風の魔法で吹き飛ばした女もいる。
「アリシア!!!」
男が叫ぶ。
アリシアとルーシィは同じ姿で並んでいた。
同じ容姿に、、、バルゴが用意した同じ服。双子と見紛うほど。いや、まるで鏡のようだった。
男は、真っ直ぐとアリシアに向かって手を伸ばした。その細い手を握りしめた。
「アリシア!すまなかった。すまなかった。」
「リアン。。」
少女は、掴まれてその手をそっと、ただ握り返した。
ウエンディの詠唱が始まると、術者を囲む様に魔法陣が展開されていく。
「ミルキーウェイ!!」
祈りのポーズをとるウエンディの前に、薄く透き通るようなミント色の竜が現れた。
その姿に誰もが声を失っている。
『私はこの地を守る霧の竜。民達には太古の霧と呼ばれるモノ。』
ルーシィの考えは当たっていた。概ね大当たりだったのだが、、、予想以上なものが現れた。
ウエンディのミルキーウェイで、ほぼ思念の塊であろうその霧に会話をする力を何とか与えられないだろうかと。竜でなくとも、城の地下で出会った翡翠の竜のように。
何とかならないかと思ったが、、、まさか太古の霧の正体が竜とは。。。
考えていたルーシィ自体、、、、驚いて声も出ない。
「おい!!霧の竜!!イグニールとグランディーネと、、、メタリカ―ナのいる場所知らねえか??」
誰よりも早く口を開いたのは、、、ずっと父を探しているナツだった。
霧の竜はナツを一瞥して首を横に振る。
『わかりません。ごめんなさい。人であり竜の子よ。分からないのです。私は先の竜と人との戦いでキズ付き絶命するところを、リアン。あなたの先祖に助けられました。介抱してもらったのです。
その甲斐なく、命を落としてしまった私をその人は、弔ってくれました。墓のかわりに社を建造してまでして。
私は、食す方の竜でした。怖がられ、恐れられる事はあっても、、、された事のない扱いを受けたのです。死ぬ間際に。。。
人と言うものは何て尊いものなのかと、その時強く思ったからでしょうか。体を失ってもなお、私の意志は体に残っていた魔力を纏った思念の塊となった。それから400年私を助けようとしてくれた一族を守ってきました。』
霧の竜な静かに語っている。自分の最後の言葉を。
『霧の民よ。ただの意志となった私を必要としてくれてありがとう。
私はあなた達のおかげで楽しい思いを沢山頂いました。
・・・・ありがとう。本当に楽しかった。
・・私は既にこの世のものではないのです。・・・・・そろそろ静かに消える時。
・・・もうあなた達は、外に出て大丈夫なのですよ。
それに・・・・・人の犠牲の上に立ちたくない。
いいえ。大切なあなた達に、人を犠牲にしてほしくないのです。
優しい霧の民よ。あなた達は支え合って過ごしていける事でしょう。
貴方達の幸せをずっと祈っています。』
ミント色の綺麗な竜の体が透けて見える。竜はやさしくただ優しく笑っているように見える。その光景をそれぞれが、聞き耳を立てジィィと見つめている。と、
金髪がわずかに揺れた。
次の瞬間ナツにむかって白い腕が伸びていき、光るものをつき立てた。
「よせ!!」「やめてぇ!!」
『どすっ』と鈍い音がする。
「まだ間に合うはずよ。。。子が、魔力がダメなら、血を!!竜の血が霧様を、、、リアンたちを守ってくれるわ。。。ごめんなさい。誰の犠牲を払ったって、、、私には。。。」
少女がギュッと瞑っていた目を開くと、そこには自分と同じ姿の少女が、、、
桜頭の少年を庇って飛び出していた。
そこにしたたり落ちる・・・赤黒い液体。
「・・・・ナツ。。」
「ルーシィィィ!!」
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
キャーーーーー!!!!いきなりシリアス!?
何か、、、ムリくり感が否めませんが、、、ごめんなさいm(__)m
*
腹を押さえる様に倒れ込むルーシィの体をナツが支えた。
ナツの腕の中に崩れこんだルーシィは、自分の足で何とか立ちあがった。
その時パチャンっと、水が弾けた。
「ルーシィィ!!おい!!ルーシィィィ!!!」
「大丈夫。何ともない。あたしは、、、、それよりも。。」
ルーシィが立ち上がると、咄嗟に水の膜を作っていたアクエリアスは、黙って星霊界へ帰っていった。
ルーシィの視線は、少女と、鮮血を流す小さな手を捉えている。
刃をつき立てた金髪の少女はその場で、ガクガクと体を震わし崩れ落ちた。
ナツを庇おうと飛び出したルーシィ。
その前に、少年が小さな手を出して少女を止めていた。
その小さな手が、アリシアの腕をしっかりと握った。
「アリシア。ダメだ。人を傷つけては、君の心が死んでしまうよ。」
「なんで・・・?リアン。」
「大丈夫だ。大丈夫だから!強く生きるんだ!!太古の霧も言っていたよ?仲良く助け合って暮らせって。」
「でも、、、またさらわれるかもしれない。今度はリアンが連れていかれるかも。。。」
涙を流しながら少女は、赤い血を流す小さな手を握りしめた。
少年のような姿の男は、痛みに顔を歪めながら微笑んだ。
「大丈夫。皆がいる。アリシアだけ頑張らなくていいんだ。」
そこに、ウエンディの力によって姿をかたどった霧の竜が口からブレスを吹きかけた。そのブレスはやさしく霧の民を包み込んでいく。
そしてやがて竜の形と共に・・・霧が晴れていった。
『生のある者、皆で、幸せになってください。』
その声は耳からではなく、1人1人の心に語り掛けられた。
*
「リアン!!アリシア!!」
金髪の少女が、その場にうずくまる男女を呼んだ。
霧が消えると、金髪の少女は、黒髪の元の姿に戻っていた。そして、、、銀髪の少年は、一気に歳をとった。というよりも、体が自分の時間を取り戻したのだ。
霧の竜は最後の力で、霧の民に時間を返していった。
少年と若い女性の姿をした者しかいなかった霧の民は、それぞれが自分時間を取り戻し、年相応の姿形になっている。・・・その表情は複雑だが。。。
その中から、1人の年配の女性が歩み寄ってくる。
「アリシア。リアン。ごめんなさい。若い貴方達ばかりにつらい思いをさせました。重荷を背負わせてしまった。ごめんなさい。」
その被っているローブからすれば、それはリアンと共に牢獄に来ていた女だ。
という事は、霧の民の代表。・・・そして、アリシアの母親なのだろう。
母親はそのまま2人を抱きしめた。
*
その後、マスターマカロフからの届けにより、評議院が到着した。
攫われた当人のルーシィが厳罰を望まなかった為、事の混乱は伏せられたまま。
魔水晶を作り出すという稀な魔法も、霧の民が得意とする風の魔法も、評議院の知るところとなった。その魔法の研究に協力することになるだろうが、人権は認められるだろうし、もうさらわれたり、魔水晶の生成を無理強いされたりする事もないだろう。
霧の民は、山を下りることになるという。山頂近くにある社は、霧の竜に祈る為にそのまま残されることとなった。
ちょうど、過疎化に悩んでいた村もある。そこに住まわしてもらうものが大半だという。先に集落から出ていった者たちの元へ行く者もいるようだ。それぞれが歩き出した。
偽のルーシィを保護してくれていた老人たちしかいなかった村に活気が戻り、商店が立ち並ぶのも近い未来かもしれない。
そして、皆が村に馴染んだ頃、リアンとアリシアは旅に出るそうだ。
幼い頃、2人は夢みていた。
閉ざされた集落をとび出して、自分達の足で大地を踏み、自分達の目で世界を見たいと。その忘れてかけていた夢を、叶える旅だそうだ。
*
「もしかしたら、何かの依頼先で会う事もあるかもねっ!!」
帰りの馬車の中、綺麗な金糸を窓から入ってくる風になびかせながら、ルーシィが振り返って笑う。
「ん~。そーかもなぁ!!」
ルーシィに応える様にナツが笑った。その上を旋回するハッピーは楽しそうに爆弾発言を落としていく。
「ナツとはキスした仲だもんね!!また会いたいよね?!」
「おっおい!!ハッピー!!!/////////いあっ!!?あのっ!?!?」
額から汗を滲ませナツはルーシィに振り返る。ルーシィは固まった笑みを返すだけだ。
「おいルっルーシィ?ちっちがうんだ!!いあっ。。。違わねえけども!!っ!?ちげぇし!!!」
ナツの焦った様子に、ルーシィがとうとう噴出した。
「あたしに焦っていう事でもないじゃない!!それじゃあ言い訳しているみたいよ?ナツのファーストキスが、付き合ってもいない年上の女の人なんて・・・そんなの・・・イヤなら・・・忘れちゃえばいいんじゃない?・・・事故よ!事故!!」
「・・・いあっ。そのぉ。。。」
「なによ?」
ルーシィの乾いた笑みに、表情を引きつらせながらナツが口元をへの字に固定した。
ギュッと眉間に皺をよせ、平静を保とうと努力しているのが見て取れる。
・・・ルーシィにどう映っているかは、、、定かではないが。。。
グレイは馬車の屋根の上。エルザは運転手と並んで座っている。
「・・・・あのな?誤解されたくないから言うけどな?オレの初めてのチューはルーシィだぞ!!オレ、ルーシィにチューしてたし!!!」
「へぇ。・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ??」
ナツがそう言った後、馬車が動き出した。途端ナツは顔を青く染め屍とかした。
「ちょっとぉ!?ナツッ!!どういう事なのよ!!何それ!!ええぇぇぇぇ!!」
「うっぷぅ。。。うえっっぷ。。。」
「ナツー!!??なんなのよ!!あたし知らないわよぉ?!ってか付き合ってもないわよねぇ?あたし達!!!!」
何を言っても、項垂れたままのナツは答えられない。というか、盛大に頭を揺すられ、いつも以上に撃沈している。そのナツの脇で、いつナツに唇を奪われたのかとパニックに陥りながら、顔を真っ赤に染めたルーシィが、己の唇と押さえて床に座り込んだ。
馬車の隅で、その光景をウエンディが真っ赤な顔で見つめていた。
ウエンディの脇で、シャルルが呆れた顔をむけている。
いつの間にか、屋根から戻ってきていたグレイがハッピーに耳打ちした。
「おいハッピー。お前知ってて言ったのか?・・・あれどうすんだ??」
「プフフッ。ルーシィはナツの前で油断しすぎなんだよっ!!だいたいオイラ、もうじれったいのはお終いでいいと思うんだ!!」
氷の魔導士の呟きに、ハッピーは胸を張って答えた。
完
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お粗末様でした!!こんなに長くなる予定ではなかったのに。。。(*ノωノ)
シリアスは長く続かない、かなしいmoの脳内。。。
何とかまとまっていればいいんですが。。。お目汚し失礼しました(*‘ω‘ *)ヘヘヘ
*
おまけ
~イチャコラは誰もいないところでどうぞ!~
「ナツ。さっきのどういう事よ?」
「あ?あぁ///」
ルーシィの視線がナツに付き刺さる。
「そのっ///ルーシィが寝てる時に・・・///そのっ///」
「なっ///」
「いあっ///お前が、気持ちよさそうに///・・・寝ってっから///」
ナツらしくなく視線を泳がせ、口元をへの字に引き締め、そしらね表情を作っているが、その耳は真っ赤に染まっている。
「人が寝てる時に何してんのよ///!!」
そこにあった雑誌をナツにむかって投げつけた。
顔面に当たった雑誌を手に取ったナツの視線がルーシィを射ぬいた。
「だって美味そうだったんだ!!!ゴニョゴニョゴニョゴニョ。。。」
ナツの言訳を、真っ赤な顔のまま聞いているルーシィがふと視線を落とすと、一生懸命動くナツの唇が目に入った。
「あたし・・・・・・知らぬ間にファーストキス奪われてたってことよね!?」
「ぃぁ。。。。まぁっ。。。そうだな。」
ルーシィは、そっと自分の唇を撫でた。他の部分よりもうんとやわらかい唇。
「・・・・あたし覚えてないし。。。。」
そりゃ寝てたんだから知らないバズだ。と思っても、それを口に出せないでいると、ルーシィの白い手が伸びてきてナツのくちびつに触れた。
「あっ。意外とやわらかい・・・・・っ!!////ごめっ///」
つい伸びてしまったのであろうその手を、ビクンと揺らして、引っ込めようとするルーシィ。瞬間的にナツはその手を掴んだ。
何も言わず、ナツが顔を傾けてルーシィに近づいて行く。
っと、白い手がすれすれでナツの唇を阻んだ。
ナツに捕まれていない方の手だ。近い位置でルーシィの長いまつ毛が揺れて、大きな丸い目がナツを映した。
互いの呼吸が触れる位置で、ルーシィが小さい声で呟いた。
「ナツ。あの子にチューされたんだよね。。。」
「あっ、、、まぁ///ゴニョゴニョ///」
何とも歯切れの悪い言い方だ。ルーシィの双眼は、すでに潤んでいる。
「・・・あたしだと思った?」
「やっ!ルーシィじゃねえってのは、すぐわかってたんだ。。。けどもゴニョゴニョ。」
ルーシィから視線をそらし、マフラーで口元を隠すナツ。額には汗が滲んでいる。
始めからナツは気が付いていたことに、ルーシィの胸は熱くなっている。
が、気付いた上での偽ルーシィにチューされたという事だ。。。。
赤みのかかっていたその顔が、真顔に戻っていく。
唇を突き出せはキスできそうな近距離のまま、ルーシィの視線がナツを射ぬくと、少しずつ離れていく。
「へっへぇー。気付いてたのに、チューされたんだ。。。」
「あっいあ///」
「ナツなら、簡単によけれそうなのにね??」
「・・・しょうがねえだろ。。。一瞬ホントにルーシィに見えたんだ。
・・・・・・ルーシィがそんな事するわけねえって分かってんだけどな。。。」
ナツらしくもなくポツリと漏らした小さい声に、じわじわとルーシィの顔がまた赤く染まっていく。
「なっなによ。なんかあたしになら、されてもいいみたいな言い方じゃない///」
「あ?あー。んー。まー。あー。・・・・そうだろ?ほんもんのルーシィなら、襲われたら応えてやんぞ!?」
ポリポリと頬を搔きながら、桜頭が金髪を一掬い掴んだ。
「はっはぁぁぁぁぁ/////!?!?!?!?」
「ぐあっ!!耳元ででっけえ出すなよ!!うっせぇな。。。」
「ふへっ!?だって///あんたが変なこと言うからでしょぉ~~!!!!」
「・・・別に変な事じゃねえ。本当の事だろ!!オレ今回の事でわかったもんよ。」
「なっ///なに//がっ!?!?////」
「オレ・・・・ルーシイじゃなきゃ・・・無理みてぇ///」
意味が呑み込めないルーシィ。
ただ、熱烈に何か大変な事を言われているのは解っているのだろう。
頬を染めたまま、潤んだ目でナツを見つめた。
「ふ・・はぁ?なっなによ///ハッキリ言いなさいよ///」
「だ~か~ら~、ルーシィじゃねえと、勃つもん勃たねえっての!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?バッバッカじゃないの!?!?!?!」
慌てて離れたルーシィの腕をナツがやさしく引っ張った。よろけた少女を腕の中に閉じ込める。慌てるルーシィを逃がさない様に抱きしめ、その耳元に口を近づける。
耳にかかる熱い息に、ルーシィの鼓動が跳ね上がった。
「好きだって言ったんだけど」
「///////」
抱きしめる腕に力を入れるが、金髪の隙間からルーシィの耳が真赤に染まってるのを目に留め、腕の拘束を緩めた。
見えるところ全身を真っ赤に染めたままルーシィが固まっている。
その肩に改めて手を置き、向かい合わせになるようにナツが立った。大きく息を吸い込む。
「こっち向けルーシィ!」
「はっはい!!」
ルーシィの大きな瞳に自分の姿を映し、ナツは囁いた。
「ルーシィが好きだ。」
「//////」
「ルーシィだって、オレが好きだろ??」
「!?///////」
「/////////////うんって言えよっ!!」
ナツを瞳に映したまま、ルーシィは涙を滲ませている。もういっぱいいっぱいで、身動きが出来なくなってしまっているルーシィが、コクンと首を縦に振った。
次の瞬間ルーシィはまた、ナツの腕の中に収まった。
*
その後のギルドで。。。
「はぁ。。。あのイチャイチャバカップルどうにかなんねえの??」
「あい。見てるこっちが恥ずかしいです。」
酒場のカウンターに、仲良く金髪と桜頭が並んでいる。
「ちょっ‼!ナツ!!こんなとこでやめてよ~!!」
「いーじゃねえか!おまえが2人っきりになると、触らせてくんねえからだろ!?」
「っ///だってナツ。なんか怖いんだもん!!」
ルーシィが恥ずかしがって小声で話していても、ナツのバカみたいな大きな声でギルド内には2人会話が筒抜けである。
「・・・・はぁ。。。他でやってくれ・・・・ってか、部屋でやれ!!」
「ナツってば、自分の気持ちばれてから、隠さなくなっちゃったから、ルーシィ好き好きばら撒いて、、、、ハッキリ言ってナツがウザいです!!あい。」
ホントにend。