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2014年10月28日

桜の木の下で

世話焼かすんじゃねぇの続きかな?

 

 

先日、ナツとの喧嘩の仲裁を思わぬ人がしたくれた。

本来優しくって、思いやりのある人だと、そう聞いていた。それを聞いて、親友と話す姿に確かに、そうなのかとも思っていた。だが、それを向けられるのは、レビィちゃん限定なのだと思っていたのだが――。

 

「ルーシィ何してんだ~? 置いてくぞ~!!」

「あい。ルーシィ置いてくぞぉ~!!」

 

隣町での依頼をこなし、今はあたしと、ナツとハッピーは歩いてギルドに戻っているところだった。

 

――先日の事を思い出していたなんて/// 恥ずかしくて言えないや。

 

ガジルが仲裁に入ってくれた――ナツとの喧嘩。

 

理由なんて大したことない――いつもの事だった。少し前、買い物の時に見つけた新しい洋服屋さんで、たまたまディスプレイされていた真っ白なフワフワのワンピース。特別それを買おうと思ってもいなかったけど、両手にとったもっと動きやすい服同士で、迷っていたあたしに――ナツが指差したんだ。その耳はほんのり赤くて、ポソポソとつぶやいた。『あーゆーの、着ねぇの?』ってポツリと――。

 

 なんだかうれしくって、でも恥ずかしくて――その時は、買えなかったけど、多めの報酬をもらえた時、こっそり買ったんだ。ナツが見たら、なんて言ってくれるのか――楽しみだったし、期待もしてたんだ。

 

仕事の無い日に、気合を入れて買っておいたそのワンピースに袖を通したんだ。――まさかその日のうちに、ナツに汚されて、シミを作っちゃうとは思わなかったけど――。

気付いてもくれないし、知らん顔だし、なんか機嫌悪いしで――喧嘩になって――仲裁してもらっての仲直り。仲直りしたというか、それをきっかけに――あたしはナツと付き合いだしたんだ。

 

前を歩いていたナツが、歩みを止め桜色の頭を傾けた。ナツの見上げる先には、1本の大きな桜の木。丁度満開で、先に咲いた花びらが風に舞っている。

 

「うわぁ。きれいねっ」

「ん? ああ。桜なっ」

 

振り返ったナツがニッと歯を見せて笑う。そのやさしい笑顔に、ルーシィの胸は、ほっこりと嬉しくなる。やんわりと広がる、ほのぼのとも甘い空気に、今まで空気になっていた青猫は、翼を広げた。

 

「もー!! オイラ早くシャルルに会いたいから、先帰ってるよ~!!」

 

ナツたちはごゆっくり~と言い残し、目前にひろがるマグノリアの街に向かっていってしまった。ハッピーを見送ると、ルーシィは笑顔でナツに振り返った。

 

「ねっナツ。桜の近くに行ってみようよっ」

 

楽しそうに、ルーシィはナツに笑いかけた。すると、ナツは微妙な表情を見せた。

 

「うっ……いあ」

 

ぼそぼそと何か呟いていたが、ルーシィは強引にナツの腕をひいて、小高くなっている丘を駆け上がった。もうすぐ大きな桜の木に到達する――。そう思ったら、視界に見たことのある人物の後姿が見えた。

 

「……えっ? ガジル?」

 

ガジルは背を桜の木に預け、座っているようだった。

ピクリとも動かないその後姿は、彼が眠ってしまっているからかもしれない。そう思って、昼寝の邪魔をするのも悪いかと、引き返そうとナツに振り向いた。

 

「あっ」

 

ナツがしまったと言う顔をしている。ルーシィは、ナツの声につられて再び桜の木の根元を見てしまった。風に吹かれた青い髪が揺れて見える。

その青い髪の持ち主は、ガジルに抱えられているのだろうと、容易に想像できてしまう。

 

「ふわっ///」

 

グイッと後ろに引っ張られ、熱い手に口を塞がれた。そして、その手がルーシィの腕を引っ張って歩き出したのだ。

 

「きゃっ。ナツ待ってよ」

「しっ」

 

ルーシィの口を、再びナツの手が覆う。目配せをして、コクコクとルーシィが頷くと、その手を離した。

 

「……ビックリしたんだけど///」

「だから……いくなって言っただろ」

 

「……え?」

 

その言葉に驚いた様子のルーシィに、ナツが続けて説明する。

 

「匂いがしたんだよ。ガジルとレビィの」

「そっそうだったんだ/// ナツでも……気を遣うんだね?」

「……まぁ、ガジルには借りができちまったからなっ///」

 

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