2014年10月25日
世話焼かすんじゃねぇ
それは妖精の尻尾の酒場では、いつもの光景。
桜頭の滅竜魔導士のナツと星霊魔導士の金髪の少女ルーシィが声を荒げた。
ルーシィの綺麗な金髪には、ケチャップらしきもの。卸したてなのっ! と、酒場に顔を出したとき嬉しそうにしていたワンピースの肩には、オムライスだったらしき残飯。
目に涙を浮かべルーシィは、ナツを睨み付けていた。睨み付けられたナツも、タラリと汗をかきながらも自分は悪くないと、鋭い視線を返していた。
そして――ルーシィはプルプルと体を震わせ、汚れを落とすためか、ギルドの奥へと走り去ってしまった。一言「ナツのばか!!大っ嫌い!!」そう言い残して――。
残されたナツは、持っていたジョッキをその手で溶かし、木製のテーブルに穴をあけたあと、酒場を飛び出していった。その勢いにグワングワンと揺れた酒場の扉が、むなしく空を切った。
「……チッ」
「ルーちゃん大丈夫かな……」
酒場の2階から、2人の様子を見ていたガジルと、レビィ。レビィはルーシィの親友と呼び合える存在だ。今日彼女が身に着けていた白いワンピースが、どんな意味を成すのかも知っている。
「……ほっとけよ」
「ガジル……冷たいよっ」
「あ?……本人同士の問題だろっ……冷たいもくそもねぇ」
「……そうだけど。言い方ってものがあるじゃないっ」
ガジルの服の端を掴んでいるレビィの目には、涙が滲んでいる。
「くそっ。うっるせぇなぁ。ピーチクパーチクちびっこは声が高いからやかましいな」
「じゃぁ、ガジルは鉄だから冷たいのね!!」
ガジルの言葉を受けて、口に空気を含みムムム~と頬を膨らませるレビィの青い髪を、大きな手が撫でる。
「おおっちびっこ。よくわかってんじゃねぇか」
「……もう。褒めてないし///」
「ギヒッ」
笑ってはいるが、やはりどこか寂しそうなレビィを見かねて、ガジルは腰を持ち上げた。
「ちびが元気無くすこたぁ…ねぇだろうが……ったく」
ガジルの動きに、キョトンとした可愛い目が追ってくる。
「チッ。……オレもヤキが回ったな」
酒場を出て、ナツの走っていった方向に足を進めるガジル。
ガジルの背を見送って、レビィはルーシィが駆け込んだであろうギルドの大浴場へと続く扉を開けた。
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白いワンピースの訳?……moも知りませんw