秘密結社『妖精の尻尾』~プロローグ~
繁華街にあるビルの一角。そこに秘密結社『妖精の尻尾』が存在する。
だが、それは裏の顔。
表の顔は、ただの探偵事務所崩れの何でも屋『妖精の尻尾』。
ここは、その建物の地下にある酒場。
夜しか一般に開放していないため、昼間は仲間たちの情報交換の場、、、いわゆるたまり場になっているところだ。
桜色の髪の少年は、カウンターに相棒の青猫と座って、チームメイトの金髪の少女が来るのを今か今かと待ちわびていた。
桜頭の少年名は、ナツ・ドラグニル。
竜を父に持ち、火の滅竜魔法を使う魔導士だ。
7年前位に突如 姿を消した父イグニールを、待ちながらも探している。
それまでは、父と2人で暮らし、それ以前から妖精の尻尾には所属している。
父とは血は繋がっていない。
産まれた時から、魔力の暴走を繰り返し、実の親に捨てられ 養父イグニールに引き取られたのだ。
父に習った滅竜魔法を、誇りとし強く優しい心を持っている。
だが、普段は悪戯ばかりの騒がしい少年だ。
ついでに紹介しておくと、ナツの養父イグニール・ドラグニルは、竜であるが人の姿で生活していた。
現在、竜は忘れられた存在。実在しない、空想の生物だと思われている。
そう現代の竜は 本来の姿を隠し、、、魔法を用い人に姿を変え生活しているのだ。
イグニールもしかり。
イグニールが、竜だと知っていた者は、仲間の内でもほんの一握りだった。
そして、ハッピー。
ただの青い猫。の様に見えて魔法を使える者と話すことができる。
そして体から羽をだし人一人かかえて空を自由に飛ぶ事が出来る。
ナツが、卵から孵した。何とも不思議な・・・・猫だ。
因みに妖精の尻尾の外では、普通の猫のようにふるまっているが、実際は2足歩行も出来るし、姿もその辺の猫とは少し違う。
そして相棒のナツよりも使える頭をしていると、、、本人は言っている。
『バーン!!』
勢いよく開かれた酒場の扉。
いくら、地下にある部屋だとはいっても、近所迷惑なのでは無いかと心配になってしまう騒音にも、周りは一向に気にした様子もない。
そのドアを勢いよく開けて、そのままの勢いで、金髪の少女がカウンターにいるチームメイトの処まで駆け寄って行った。
「ねぇ!!ナツ聞いてよ!!」
金髪の少女こと ルーシィ・ハートフィリア。
世界有数のハートフィリア財閥の一人娘。
お嬢様としての生活を捨て、魔導士として生きるために家出をしてきた少女。
それまで箱入りだった為少々の世間知らずが玉に瑕の、容姿端麗、スタイル抜群、頭脳明晰の星霊魔導士だ。
なぜ彼女が妖精の尻尾の一員となったのか、、、それは、7年前に起った事件がきっかけであった。
―まだ10歳になったばかりの少女ルーシィは先日母を失った。
―元々体の弱かった母は、無理してルーシィを産み、ずっと病にふせっていた。
―それでも体調のいい日は、ルーシィと過ごしてくれ とても優しい母だった。
―ここ数年ベットから起き上がる事も難しくなっていた母が、とうとう手の届かないところに行ってしまったのだ。
―そんな混乱の中、ルーシィは誘拐されたのだ。
―仕事と、母の葬儀の準備で忙しかった父は、ルーシィが誘拐された事に気が付かなかった。
―その為、誘拐犯からの連絡すら父の元へと届いてもいなかった。
―幼いルーシィは、暗い小屋に押し込められ一晩放置されていた。
―恐怖と不安に押しつぶされそうになりながらも、母の面影だけを頼りに膝を抱え必死に耐えていた。
―助けが来たのは、登ってきた太陽が傾き空が黄金色に染まった時だった。
『ドッカ~ン!!!』
―爆発音の後、小屋の扉が開かれた。
―腰まで伸びた朱色の髪。―逞しい筋肉にまとわれた背の高い、やさしい眼差しの男性。
「もう大丈夫だ。」
―そうひとこと言って、ルーシィを抱きかかえて屋敷に連れ帰ってくれた。
―緊張から解放され、遠のく意識の中、、、ルーシィの目にはその男の腕に刻まれた妖精の尻尾のマークが映り、それが強く心に刻まれていた。
―次にルーシィが意識を取り戻した時には、母の葬儀が終わってから数日後の事だった。
―父は、屋敷にすらいなかった。
―寝込んでいる娘よりも仕事が大事だったのだ。ルーシィはそう思っていた。
―自分付のメイドに調べてもらったが、助けに来てくれた人を詳しく知る者はいなかった。
―わかったのは母の訃報を聞き、葬儀に来た男性という事だけだった。
―月日は流れ、父との関係は悪化するばかり。
―あれから、普通に外出することも禁じられ、屋敷の中に閉じ込められるように生活してきた。
―そして、16歳の誕生日を迎えて数日。
―父が見合い写真を投げてよこした。
「その人と、お前は婚約した。明日から、花嫁修業に勤しむように。」
―目も合わなかった。
―淡々と告げられたその言葉に、怒りすら浮かばなかった。
―その夜、密かに計画し準備を進めていた通り、ルーシィは家を出た。
―とりあえずの目的は、7年前助けてくれた人にお礼をいう事。
―あてもなく、時折バイトをし1年ルーシィは旅をしていた。
―そしてナツとハッピーに出会い、妖精の尻尾までたどり着いたのだ。
―だが、探していた人物には、、、まだ会えていない。
―この7年前に、失踪していたのだ。
―今では、チームを組むまでに仲良くなったナツの父、イグニール・ドラグニルだ。
「あたしったら、表通り歩いてただけでスカウトされたのよ!!やっぱり可愛いって罪よねぇ~!!」
満更でもない表情を浮かべ、少女は、桜頭の少年の隣に当たり前の様に座る。
もうこの光景も、見慣れたものだ。
―探している人物がいるとは言っていたが、その人物が自分の父だと知った時ナツは目を見開いて驚いていた。失踪している父が、遠い土地で人助けをしていたのだから。
―ルーシィはそのまま、妖精の尻尾に身を預けた。
―まだ、自分が何者なのかは、まだ伝えられないでいる。
―初めて自分以外の魔導士がいる環境。
―本当の家族よりも、よっぽど家族と言えるこの秘密結社『妖精の尻尾』は、暖かく新しいファミリーを迎え入れたくれたのだ。
「ぼ~っとしてて、歩きながら夢でも見たんじゃねぇか?」
「あい!ルーシィって意外と、夢みる乙女ちゃんだからね!!」
ナツとハッピーは揃って、ルーシィをからかってくる。
ルーシィの頬は見事に膨れ上がり、きっと1人と1匹を睨み付けた。
「もう!!ホントなんだから~!!!」
ルーシィは、先程芸能スカウトだと名乗った男に強引に渡された名刺を、テーブルの上に叩きつけた。
「おお。○○芸能事務所!!」
「ナツー!!ルーシィ意地になっちゃって可愛いね!!」
「ん?まぁ、、、ルーシィだしな!!」
「でもルーシィ凄いね!!本当にスカウトされたんだ。」
「あぁ。すげえなぁ。ルーシィのツッコミのセンスが俺たち以外にも認められたんだな!!」
「えぇっ!!そっちなの!?あたしがツッコミ担当って誰が決めたのよ~!!」
「っていうか、ルーシィ。その○○芸能事務所って、アダルト系の事務所よ。」
カウンターの中から、ほほえましそうに2人と1匹の会話を聞いていた銀髪の少女が声をかけた。
「ミラさん!!そうなんですか!!ってアダルト系ってなんですか?」
「「!?!?」」
「えっとね?・・・・・・・・・・・・・・・・・ってことなのよ。わかった?ルーシィ。」
「っ////////なっなんかあやしいと思ったのよねぇ。。。」
「プフフッ。ルーシィが可愛いからじゃなくって、ルーシィのおっぱいがスカウトされたんだね!!」
「!?ムッキー!!何言ってくれちゃってるの??猫ちゃん」
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
ナツルーの出会い篇は、本誌にそってみようかを思うのだが、、、現代風に持っていくと、街の名前とかどうしようか迷う。。。
マグノリア→魔具乃莉愛とか?(笑)どうしましょう???変なパロになっていくな。。。(ノД`)・゜・。つづく。。。。