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2014年6月25日

それはとても大切で、繊細な。

ナツとルーちゃんのいつもの喧嘩。でもなんだかスッキリしない。そんなん中、ルーちゃんは心につられるように体調も悪くなって。。。

ルーシィが大好きなナツと、ナツが大好きでずっと隣に並んでいたいと思ってるルーちゃん。撮れを見守る仲間達。今回はラクサス、雷神衆も登場予定ですw

 

 あたしには、……大好きな人がいる。

人生を変えてくれた人。仲間を、あたしがあたしでいる場所をくれた人。

いつだって、一緒にいて誰よりも近くにいてくれる人。

 

 あたしは、アイツを理解しているつもりだったし、アイツはあたしを一番に理解してくれているものだと……そう思っていたんだ。

 

 ― ルーシィお前、戦闘中に前出てくんじゃねぇよ!

 ― はぁ? 誰のおかげで報酬貰えたと思っているのよ!!

 ― ルーシィが前出てこなきゃ、こんなに手こずってねぇよ!!

 

 ― 何てこと言うのよ! あたしが依頼の品を守らなかったら、アンタ全部壊してたじゃない!!

 ― だ~か~ら~! それ持ったら引っ込めって言ってんだよ!! 戦闘の邪魔なんだよ!!

 

 ― 何よその言い方! あんたが勝手に暴れたんでしょ! それに邪魔って…失礼すぎ! バカ! 単細胞!!

 ― バカとか単細胞とか関係ねぇだろ!! 邪魔なもんは邪魔なんだよ!! お前のせいで、力が出せねぇんだよ!!

 

 ……なによ。邪魔だ邪魔だって、あたしが足手纏いだとでも!?

冷静になってみれば何でもない、……ただの売り言葉に買い言葉。それだけの口喧嘩。……いつもの事だ。

言い出したら折れる事のない彼の為に最後は、あたしが折れる……はずだった。

 

 あの時、その一言がナツの口から出てきてしまったんだ。

その言葉が棘となり、胸の奥深くい処に刺さって、抜けない。ジリジリと毒が溶けだしていくように、痛みが広がっていく。

 

 ―ああ、邪魔だし! 足手まといだ!! エルザやミラみたいにはいかねぇだろ……前出てくんじゃねぇ!!!

 

 ……何の悪戯だろう? なぜ、そんな事を言われなければいけないんだろう??

 

 ここで、人と比べられる必要があるのだろうか?

 あたしは、あたしよ?

 あたしは、ただ……自分にやれることを、やっていただけなのに……。

 そんな、誰かみたいだったらいいのにっていうんなら…

 

 ― ……じゃぁ、エルザとくればいいじゃない。

 ― はぁ!? そういうこと言ってんじゃねぇだろ!!

 ― そうとしか聞こえないわ! あたしはあたしよ? 他の人の真似なんてしないわ。そんな枠にあたしを閉じ込めようとしないで!!

 ― 何言ってんだよ!? オレが言いたいのは……

 ― うるさい! うるさい!! うるさい――!! もう……聞きたくない。

 

 その場を後にした。イライラが、治まらない。何より……ショックだった。

アイツが、本気でそんなことを言ったのなら……。あたしを認めていないという事じゃないのだろうか??

一番にあたしを……ルーシィを認めてくれているのは、ナツだと思っていたのに……。

 

 まさか、ナツからあの人と同じ物言いをされるとは思わなかった。

 

 ― ルーシィ!! なぜ、あちらのお嬢さんの様に出来ない!! 出来ないなら前に出てくるんじゃない!!!!

 

 そう言い放った父の冷たい視線は、あたしを、……ルーシィという人格を心の奥深くに閉じ込めてしまうには十分だった。 胸が苦しくって、息苦しくって、あたしがあたしらしく居られる場所を、ずっと求め続けている。

 

 

 

 

 先日の依頼先での喧嘩。

 

 あたしは、その場にナツを残して帰ってきた。帰るには列車に乗らなければならない場所だったが、ハッピーがいるから平気だろうと……。だが、一足先に帰ってきたのはナツ達で…マグノリアの駅から出てくると不貞腐れた顔のナツに捕まったんだ。

 

 ― …ワリィ。言い過ぎた。

 ― 言い過ぎたってだけで、本当はずっと思ってた事なんでしょ。誤ってもらわなくて結構よっ。

 ― ちがっ!! ……んだよ。折角謝ってんのに。

 ― その言い方……。態度も気持ちもチッとも謝罪してないじゃない!!

 ― はぁ!? オレはお前を心配してんだろ!!

 ― なによっ!! 心配されるほど、あたしは弱くないわ。

 ― そう言う問題じゃねえ!!!

 

 結局マグノリアについても言い合いは続いた。なぜか、マイナス面ばかりが気になってしまって、ドンドン意地になっていく自分に、自分でも驚いたが、その日はもう止まらなかった。

 

 なにか、ナツがあたしを庇い過ぎなのも、気に食わない。そりゃあたしは、か弱い女の子だもの! 多少は庇ってもらうのもやぶさかではないのだけれども……。何かがおかしいんだ。その違和感が、あたしの中の不安を静かに広げてるんだ。

 

 それから2~3日たって、ナツがあまりにも過保護にするんで、問いただした。ナツはあたしの体調不良を、あたしよりも先に気が付いていたんだ。そういえば、食欲もないし……少し気持ちも悪い。……言われてみれば程度のものなのだが……。

 

 仲直りはした。でもあたしの中にできてしまったしこりは、まだそこに居続けているんだ。ナツが、体調不良だとあたしを気遣うたびに、そのしこりが大きく硬くなっていく気がしていた。

 

 ……あたしは、そんなに弱いやつなの?

 ……アンタの後ろに隠れてなきゃいけないの??

 ……それは……本当にあたし??

 ……本当は、ナツの言う通りなのかもしれない。

 

 みんなそう思っていたのに、気を使って言ってくれなかっただけなのかな……。あたしが……こんなに弱い奴が、最強チームにいるのが……間違いだったんだ……。そんな思考が、頭を占領するとルーシィの視界は涙に歪んでくる。

悔しいよ。自分の弱さが!! 人に庇われてしまう弱い自分が……悔しい………。

 

 でも、ここに居たい。最強チームは……ルーシィの居場所なの。やっと手に入れた、あたしの居場所なのよ? ……どうしたらいいの? 後ろにいるって……星霊だけを前に出して、引っ込んでいればいいの? そんな、友達を盾にするようなこと……あたしには出来ないよ。

 それに、もしそうしたとしても……それじゃあ、あたしは……魔力を供給するだけの人形? あたしじゃなくてもいいんじゃない? それとも、それが星霊魔導士だとでも言うの?

 

 魔力さえあれば、あたしの友達はいくらでも強くなってくれる。でも……、あたしが弱いから……本来の力すら出せていないのかもしれない……。……もしかして、ずっと足手まといだったの? あたしじゃなくって、違う誰かのほうがよかった……の…? 

 あたしの友達も……? ギルドの仲間たちも……? 皆、本当はそう思っていた……の?

 

 ナツ……も……?

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

ルーちゃん( ;∀;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……シィ…! …… ……シィ!!」

 

 

 

「おい! ルーシィ!!」

 

 

 突然目の前に現れたのは、緋色の髪。そういえばここはギルドのカウンターだった。

 

「ルーシィ? どうした?? 急にボーっとして。」

「あっ。ごめん呼び止めといて……考え事しちゃってた! ごめんなさい。」

 

 ルーシィは、その大きな瞳にチームメイトの女性を映した。自分からエルザを呼び止めたのだ。

振り返ったエルザの笑顔に、その凛とした瞳の輝きに見惚れていた。エルザの強さは、いつまでたってもあたしの憧れなんだ。

 

 そうしたら、急に先日の記憶がフラッシュバックしていた。頭の片隅からはなれない記憶。視界にいるエルザが……ぼやけて見える。

 

( !! いけない!! )

 

 ルーシィは沸いてくる水分を無理やりせき止めて、エルザに笑顔を向けた。エルザを、僻んでいる訳ではない! ……ただ、エルザの様に強くなりたい。……ナツと、並んで立っていられるように……。

 

「いや。謝るほどの事でもないぞ! で……どうした?」

「うん。エルザにお願いがあって……」

「お願い? なんだ? 言ってみろ!!」

 

 ルーシィの隣に座ったエルザが、目を細めてルーシィを見つめる。

エルザに言ってみよう。ギルドの風紀委員とか言われて、白黒はっきりさせて厳しい面のある彼女だが、本来の姿は可愛いものや甘いモノが大好きな普通の女性だ。そして、ルーシィをことのほか可愛がってくれている。

 

 きっと、修行をつけて欲しいと頼めば二つ返事だろう。その修行を想像するだけで、吐き気を覚えるが……それでも、強くなりたい!! ナツや皆に、置いて行かれたくないんだ!!!

 

「うん……あのね?」

「!! 駅前にできた新しいケーキ屋さんの事か??」

「えっ。……イヤ」

「よしっ!! 今から行くか!!」

「えっ。えっ!? ……もうっ」

 

 勝手に話しを展開させてしまって嬉々として、ルーシィの手を引いて強引に立たせたエルザは、そのままルーシィを連れて扉へ向かう。エルザの目が、子供の様に輝いて見える、その満面の笑みにつられて、ルーシィにも笑顔がもれた。ズンズンと進んでいくと、扉の前で何かにぶつかった。

 

「うわっ!?」

 

 桜色の髪が、ピョンと跳ねた。

……ナツだ。ナツは大げさによろけてみせた。こっちの方が痛いに決まってるのに……。ルーシィは、ぶつかったところにそっと手をあてた。

 

「いてぇなっ!!」

「ナツ!! お前も行くか? ケーキを食べに」

 

 目の前で、ナツとエルザが楽しそうにしゃべっている。

 

「はぁ? 何でエルザとなんか」

「よしっ! ナツも行くぞ! そうだな……折角だしチームで行くか!! グレイはどうした?」

「あ? ……知んねぇよ。てか行くって言ってねえっ!!」

 

 エルザがナツの頭を強引に鷲掴んだまま、有無を言わさず前を向いた。赤とピンクが、2人仲良く歩いていく。

 

「……仲良いよね。。本当の姉弟みたい……。」

「は?」

「うむ。それでは、私が姉か!? よし! 弟よ。気分がいいからケーキを奢ってやろう。ルーシィも……どうした?」

 

 エルザにそう声をかけられて、自分の視界が歪んでいることに気が付いた。ルーシィは慌てて首を横に振った。だが一旦溢れ出した涙は、なぜか止まってくれない。

 

「あっ!! ちがくてっ! ちょっと体調悪いからあたし帰るね。ケーキは2人で行ってきて!!」

 

「おいっ! ルーシィ!!」

 

 ナツが心配そうに手を伸ばしてきたが、ルーシィは一歩後ろに下がってその手を交わした。またナツに、こんなとこと見られたら、……またナツに弱いやつだと……。

 

 弱くなんかない!!

 あたしだって……強くなってるはずなのに!!

 

ルーシィはナツを見ないで、エルザに向かって何とか笑って見せる。

 

「エルザッ。ごめんね。またねっ!」

「ルーシィ……。大丈夫なのか?」

「大丈夫。大丈夫! 休めばすぐよくなるからっ!!」

 

「ルーシィ!!! 無視すんじゃねぇよ!!!」

 

 ナツが、声を荒げた。その声は、怒気をはらんでいる。ルーシィの肩がビクリと揺れた。ポロポロと大粒の涙がこぼれてくる。

 

「ナツ!! やめるんだ!!」

「いぁ……。ワリィ……」

 

 ルーシィは、こぼれる涙をグッと堪える様に顔を歪め、持っている鞄を握りしめた。下唇をギュッと噛みしめる。

 

「……いいの」

 

 ナツの顔が見られない。ずっと、出会ってからずっと大好きだった人の顔を、真っ直ぐ見ることが……出来ないなんて……。

 

「ごめっ。2人とも……ごめんっ」

 

 たまらずルーシィは駆けだしていた。多分後ろからナツが追って来るのも分かっている。どうせすぐ追いつかれるのに……何を、ムキになってるんだろう……。自分の思考が分らない。

 

 角を曲がったところで、大量の人の流れに足を止めざるをえなかった。バタバタと走って来た足音が、すぐ後ろで止まった。

 後ろを振り向く事が出来ない。

何処に向かって吐き出したらいいのかも解らなくなってしまった苛立ちや不安が、ルーシィの中に渦巻いている。

何故、こんなに意地になってしまうのかもわからないの……。

 

「送る。」

「いい!!」

「フラフラじゃねえか。……送らせろよ。」

 

暖かい手が肩にのって、背中が暖かい体温に包まれる。最近、暑いし、疲れがたまってて、あまり食べれてなかったからかな……。

 

 

 

 

 ……なんか、体に力が…入らない………

 

 

 

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

ルーちゃんとうとう倒れてしまった( ;∀;)ナツしっかりしやがれ!!!!

 

 

 

 

 

 気が付くと、自室のベットの上に横になっていた。もちろん運んでくれたのは……。傍らに、腕と頭だけをベッドにのせたナツ。『グゴゴゴォ』とその騒音で、ナツが眠っていることが分かった。

 

 ……あの後、あたし……貧血…?

 ……くやしい。

 ………これじゃぁ、……また足手まといじゃん。

 

 あたしは、ナツの隣に並んで立ちたいのに!!

 

 ナツはいつだって、豪快で鈍感なようで、意外にも人の心に敏感なんだ。それはきっと……痛みを知っているから。それでもいつだって、笑っていられるナツに憧れたんだ。その太陽みたいに照らしてくれるナツの笑顔は、喜びを知っているからなんだよね。

 

 あたしが落ち込んでれば、理由が解らなくたって隣に居てくれる。だからきっと……、あたしが落ち込んでるってなんか変だって、ナツは自分の発言を気にしているのかもしれない。売り言葉に買い言葉なんだから、謝ってくれたんだし。仲直りもしたんだ。だから……ナツには気にしないで笑っていてほしいな。

 

 それはあたしもか……

 

 あたしは、ナツのその笑顔の隣に並びたいのに!

 あたしの思考が、ナツから笑顔を奪ってしまったら?

 あたしの前で、笑ってくれなくなったら……??

 ……怖い!! 弱すぎる自分に、悔しい思いでいっぱいになってくる。ツンと鼻の奥が痛い。

 

 最近ネガティブな自分が、それこそ自分らしくないんじゃないかって……そう思う。でも、どうしてもこの思考が止められないんだ。とまらないんだ。自分の思考が、気持ちが、前を向いてくれない。

 

 ……まだ、体が重い。

 

 ルーシィは目に涙を浮かべたまま、ナツに背を向けて布団を深く頭からかぶった。桜色の髪に触れようと手を伸ばしたが、その手はそこに届く前に自ら引っ込めてしまった。

 

 火竜の彼は毛布を掛けなくったって、風邪なんかひかないし、寒くなんかないよね?

 

「……ルーシィ?」

 

 いつの間にか騒音にもちかいイビキがおさまっていて、代わりに優しい声が降ってくる。ナツは、口も悪いし乱暴だしでも……本来はとってもとっても優しいんだ。

 

「……」

 

 あったかい手が、かぶっていた布団を整えてくれた。……眠っていると思っているのかもしれない。何て言ったらいいのか解らない、でも胸を締め付けてくるような感情が溢れてくる。そんな自分が嫌で、不平不満を馬鹿みたいに、吐露してしまうのが嫌で、口を開く事が出来ない。そして……頬を伝い落ちる雫。

 

 その透明な雫を、あたたかくってやさしい腕がそっと拭ってくれた。

 

「……無理すんなよ……」

 

 ナツのやさしい声が、少し擦れて聞こえる。そっと後ろから抱え込まれて、その暖かさに安心して、ルーシィは再び深く意識を沈めた。

 

 

 

 

朝。

 

 気が付くと、既にナツの姿はなかった。テーブルの上に、“しっかり食え!!”と書かれたメモ。

厚切りのパンとジャム。コップに入ったフルーツジュース。そして、ルーシィの好きなメーカーのヨーグルトが置いてあった。ヨーグルトの周りには、雫が付いている。

 冷蔵庫にヨーグルトは無かったバズだ。きっと買ってきて、そのままここに置いたのだろう。

 

 半ば同棲の様にナツが家に泊っていく事も多いが、こうやって朝食の用意をしてくれたことがあっただろうか?

きっと、昨日倒れた自分を気遣ってくれているんだろう。……何処までも自分はナツの足を引っ張っているのでは?

 

 ……そう思う反面。ナツのやさしさが、ささくれ立っている心を解していく。ルーシィの胸にあったかい気持ちが溢れてきていた。

 

 何日振りだろうか?随分、食が細くなっていたが、久しぶりにしっかり朝食をとった。

 

 沈んでいた気分に光が差した気がする。ナツがあたしを照らしてくれているような、そんな気分。大丈夫だ。ナツはちゃんとあたしを見てくれている。うん。大丈夫!! これから、努力して、頑張って強くなればいいんだ!!

 

 ギルドに行ったら、エルザに強くなる方法を教えてもらおう!! きっと昨日の事も心配している。ちゃんと会って、大丈夫だって伝えて……修行、頼んでみよう。

 

 

 朝食を食べ終えて、ルーシィはふと部屋を見渡した。そう言えばしばらく部屋の掃除などをサボっていたな。思い立ったが吉日とばかりに、窓を全開にして新鮮な空気を通した。

 

 よしっ!! ナツもハッピーもギルドだろうし、まずは身の回りから綺麗にしよう。部屋も、ネガティブな自分も!! そしたら、明るい気持ちで、ギルドに向かおう!!

 

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

ルーちゃん再起動!!

 

 

 

 

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