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TRICK or TRICK ~2013~

 

  お菓子はいらない!!

    悪戯させろ!!!

      悪戯しないで お菓子食べてよ!!!!

 

マグノリアにも、ハロウィンの季節がやってきた。

街並みがいたるところ、オレンジと紫のリボンで飾られている。

その街にある 魔導士ギルド『妖精の尻尾』は今日もにぎやかだ。

 

ナツside

自分の部屋で、ソファに寝転がり、透明の液体の入る小瓶を眺める桜色の髪の少年 ナツ。

 

「なぁ。。ハッピー!」

 

ナツが、相棒の青い猫に、話しかける。

 

「なにさナツ。オイラシャルルにあげるお菓子包んでて忙しいんだ!!」

 

とハッピーが振り返る。

 

「ナツゥ。それ何??」

「あぁ。。これな・・・。」

 

昨夜のギルドのカウンターであった出来事を話してやる。看板娘のミラが、長い銀髪を揺らしこちらへやってくる。

 

「ねぇナツ。これあげる。」

 

はいと、透明の液体が入った小瓶を渡された。

 

「なんだこれ?」

「フフフ~。ナツとルーシィが今よりも仲良くなれるかもしれない薬よ?」

「・・・どうなんだ?」

 

いぶかしげに尋ねるナツに、ミラが説明してやる。

 

「素直になれるのよ。飲んだ人が。思ったことを口にしちゃうの。」

「・・・ホントかよ。」

 

んん~しょうがないわねぇ。と言ってキョロキョロするミラ。

 

「ミラちゃん飲みもんくれ!!」

 

グレイがちょうどよくやってきた。

ニヤリと黒い笑みを一瞬浮かべ グレイのぶどう酒に透明の液体を少し混ぜ魔人ミラは「はい。」と、笑顔で渡した。

 

 

「サンキュ。ミラちゃん。」

 

よっぽど喉が渇いていたのか一気に飲み干すグレイ。っと、

 

「ウッ!?」と声を上げる。

 

 

「どおした?グレイ?!」

 

ナツが声をかけると、頭に?を浮かべ「???・・・いや?なんでもねぇ」と一つ置いた椅子に腰を下ろした。

そこへ、「グレイ様~!!」とジュビアがやってくる。

その後ろで、ぞくっとする様な目で、ミラが微笑んでいる。

 

「おう。ジュビア!!」

「きっ今日はジュビア、グッググレイ様に聞きたいことがあります。」

「おぉぅ。なんだ?改まって。」

「グレイ様はジュビアの事どぉお思いですか??」

「///かっ可愛いと思うぞ?青い髪や白い肌は綺麗だと思うし、触るとやらけぇしな触り心地もいいな!!好かれて悪い気はしねぇな。。。」

 

・・・・一瞬の間。。。。ジュビアは顔を真っ赤にして、固まっている・・・。

 

「っ!?!?何言ってんだ俺!?!?いや!!今のは忘れろ!!忘れてくれぇぇ///!!!」

 

そのまま踵を返し、街へ消えていくグレイ。。。

 

「どぉ??ホントでしょ??ルーシィの本音聞きたくない??」

 

にっこりとほほ笑むミラに背中に冷たい汗を流しながらも、それを受け取る桜色の髪の少年ナツ。とまあこんなことがあったんだ。。。

 

「へぇ。。それってエクシードにも効くのかな??」

「さあな。ボリボリ。」

「ナツ!!じゃぁ、ハロウィン用のお菓子にそれ混ぜちゃえば??ルーシィにだけ。。。」

「いぁ。。それじゃあ、いつ食べるか分かんねぇし、他の奴らがいるとこっちが聞きづれぇ。。。」

「ナツ、意外と照れ屋だもんね!!プププッ」

「ほっとけ! ボリボリ。」

「お菓子も作れないしね?ナツは。。。」

「そうなんだよなぁ。。。ボリボリ。ごっくん」

「あれ?ナツ・・・何食べてんの??」

 

「んあ?そこに有ったクッキー。ボリボリ。」

 

「!?!?ってそれはオイラのハロウィンのだよ~!!!!!!!!!!」

 

 

 

ルーシィside

さぁってと、マフィンは上手く焼けたし、次はクッキーね。

これ、アタシが作ったって言ったらみんな驚くかしら??フフフッ。これはひとまず、冷蔵庫に入れてっと。

 

金髪の少女ルーシィは、ハロウィン用のパンプキンマフィンを作っていた。いつものマフィンと違って特別仕様だ!中にクリームが入っているのだ。後は飾りにのせるクッキーを焼くだけだ。

今日の為に、鉄竜のガジルに頼んで、クッキーの型を3つ作ってもらったのだ。

1つは、ギルドマーク→ギルドのみんな用に!!

1つは、おサカナ→もちろんハッピー用。

もう一つは、炎 → アイツ用。

 

型抜きを済ませ、天板に並べたクッキー生地をオーブンに入れる。

 

『♪♪♪~~♪♪~~~。』

 

静な部屋にタイマーの音が響く。

ソファに身を沈め お気に入りの本を眺めていたルーシィは、目を輝かせオーブンの中身を覗く。

 

「よしよしよし!!」

 

出来てる出来てるをと言いながら、そっとクッキーを取り出し、まだやわらかいそれを、シートのままクーラーにのせ冷ます。

 

「上出来上出来!!!」

 

今日は、いつもよりも上手に焼けてるわ!!フッフフ~ン♪嬉しそうに鼻歌を歌いながら、作業を続ける。

調子いいから、おやつ用のクッキーも焼いちゃおうかしら?などと考えていると、『ガタンッ』と窓が鳴る。

そちらへ振り返るとともに、「るーーーーしぃーーーー!!」と青い塊が胸に飛び込んできた。

 

「ゴホッ!?ハッピー?苦しいわよ!!」

 

抱き留めた青猫を後ろから入ってきたい相棒の方へ投げつける。

 

「うおっ。凶暴だな!!ルーシィは。よう!!」

 

と、見事ハッピーをキャッチした。

 

「で、今日は何の用??

「あっ!!ルーシィ聞いて!!ナツってばひどいんだ。オイラがハロウィン用にミラに焼いてもらったクッキー食べちゃったんだ!!」

「いあっー。悪かったな!!ハッピー!すまねぇな!!」

 

へらへらと笑っているナツを他所に、ため息をつくルーシィ。しょうがないわねぇと、一緒にクッキーを焼くことにした。

 

「うん!!これでよしっ!!後は型で抜いて焼けばオッケーよ!!」

 

ルーシィは、先ほど使っていたギルドマークとおサカナ。いつも使っている星の型抜きを出してやる。今回は、めずらしことにナツも手伝っている。少しは、悪かったって思ったのかしら?

 

「あぁ~!新しい型だぁ!!オイラ、おサカナ!!!」

「じゃ、オレは星だな!!」

「はいはい。好きに使っていいわよ!!・・・・・壊さないでね?」

 

2人とも、すっかり夢中で作ってるわね?ハッピーのご機嫌も収まったしよかったわ。自然とやさしい笑みがうかぶ。

 

「そーいえばさぁ、ナツの分はどおすんの??」

「あい。ナツはもう用意してあるんだよね??」

「おう。面白れぇぞ?内緒だけどな!!」

「プフフッ。楽しみだね。ルーシィは、何になるつもりなの??」

「あっうん。エルザがね、自分やウエンディの分と一緒にハートクロイツに、頼んでくれたのよ。明日、ギルドに届くらしいのよ。ハッピー達は?」

「オイラは、魔法使いなんだ!!明日は、ほうきで空を飛ぶんだよ!!」

「あぁ、オレは、、、内緒だ!!驚かしてやんぜ!?」

 

ハロウィンパーティーは、明日だ。

 

 

ん~!!いい天気!と、外に出て金髪の少女は伸びをする。

今日は、エルザとギルドで待ち合わせをしている。

午後からのパーティーで着る、衣装が届くのだ!!エルザに頼まれていたものを しっかり握りしめ、ギルドへ遅く急ぐ。

 

(あぁ~もう!!昨日ナツ達が遅くまで居座るから寝坊しちゃったじゃない!!)

 

大きな箱を抱え、ギルドまであと少し。

 

「おっはよ~!!」

 

元気よくギルドの扉を開ける。緋色の髪の少女は見当たらない。どうやら、まだエルザは到着していないようだ。

 

(・・・ホッ。)

 

「あら。ルーシィおはよう。さっきまでエルザ待っていたのよ?」

「えっ!?おはようございます。ミラさん!っでっでっでエルザは?」

「ちょっと別の用事があるとかで、出かけちゃったわ。はい。」

 

これ預かってたの。と包みを渡される。

 

「エルザ・・・怒ってませんでした??」

「フフッ。そんなことないわよ?ルーシィに頼んだものを心配してたけど。。

「はぁぁ。そうだこれ!エルザ用のケーキなんです。奥で預かってもらっておいていいですか?」

「あらっ。すごい大きさね。。。」

「エルザのリクエストなんで。」

 

ケーキをミラに預け、渡された袋の中を確認する。

 

(・・・わっわっ!?柔らかい!)

 

「ねっ。ルーシィ奥で試着してらっしゃい。サイズあわないと大変でしょ??」

「あっ!!そうですね!じゃぁ、ちょっとお借りします。」

 

袋を抱え、医務室に向かう。

 

「そうそう。ウエンディもそこで着替えてるから声かけてから開けてね?」

「は~い。」

 

扉の前まで来て声をかける。

 

「ウエンディ??おはよう。ルーシィよ!!開けていい??」

「あわわ。・・・・どうぞ。」

 

部屋の中に入ると、可愛らしい魔女ッ子が1人と1匹いた。

 

「おはようございます。ルーシィさん。」

「おはよう。・・・遅刻よ。」

「ううっ。ごめんなさい。ウエンディ、シャルル。ってか、可愛い!!!!」

 

ルーシィは、そちらに駆け寄る。

 

「よく似合ってるね!!ふたりとも魔女なのね?」

「そうなのよ。私はいらないって言ったのに。。」

「エルザさんがおまけで注文していてくれたみたいなんです。」

「いいじゃない!!シャルル。2人で魔女の姉妹みたいよ?」

「・・・まぁいいわ。ところでルーシィはどんなのなの?」

「あっそうね。まだよく見てないのよ。」

そう言って衣装を広げた。

 

「・・・・これは・・・。」

「・・・・・ネコ耳かしら?」

「そうね。猫ね。尻尾もあるわ!!・・・鈴まで!・・・魔女の使い魔の黒猫みたいね。」

取り合えず、着替えてみることにした。

着ていた服を脱ぎ、畳んでベットに置いた時、部屋の扉が勢いよく開いた。

 

「ルーーーシィ居るかーーーーーー???」

「いるか~~~??」

 

桜頭と青猫だ!!

・1・3・・5・・・8・・10・・。

たっぷり10秒は静止しただろうか?

 

「おっ。居た居た。ルーシィ!!ミラから菓子配り任された!!着替えたらカウンターで待ってろよ~。」

「あっシャルルおはよう!!るーしぃ!まってろよぉぉぉ!!」

 

俺達も着替えてくるから~と、扉をまた勢いよく閉め、飛び出していった。

下着姿のルーシィと魔女っ娘2人を残して。

『ぼとっ。』

掴んでいた衣装がルーシィの手から滑り落ちた。

 

「イヤァァァァァァァァァァ!!!!」

「はわわわわ。ルーシィさん大丈夫ですかぁ?」

「あいつら、ばっちり見て行ったわね。」

「・・・・。」

 

シクシクシク。。。気を取り直して、衣装を身に纏うとサイズはにぴったり。

さすがオーダーメイドだ!!黒光りする、毛並のいい耳と尻尾と、ロングの手袋。

鈴付きのチョーカー。

紫のビスチェのような上半身に、カボチャを思わすふんわりしたスカートのドレスだ。

 

(我ながら、似合ってるわね♪)

 

鼻唄まじりに、扉をあけ 医務室から出ていくと、テーブル席の方から

 

「災難だったなぁ。ルーシィちゃん!」

「まぁいつもの事だろぉ?」

 

などと声をかけられる。結構人が集まってきたようだ。

 

「少しは、この姿を見て、よく似合うね!とか 可愛いね!とか言えないのかしら???ここの男どもは!」

ヤジを飛ばしてくる方に、ルーシィは反目で冷やかに、視線を送った。。すると、今度は

 

「ルーシィちゃん怖えな。」

「ナツが最近エルザみたいだって言ってたぞ。」

「ルーシィちゃん恐るべし。」

 

など言い始めている。

はぁ。と息を吐きカウンターに向かう。

 

「ルッルーシィさんは、可愛いですよ!!」

「まぁ、似合ってるわよ。」

 

後ろからついてくる魔女っ娘姉妹に慰められる。

 

「ハハッ。」

 

カウンターには籠が並べられており、その中には、こぼれそうな程いっぱいのお菓子の袋が入っている。

これを子供たちに配るのね!!結構な量だから頑張らないと!!ルーシィは任された仕事に、気合を入れた。

 

 

「・・・ナツ達遅いわね?」

「そうですね。」

「どっかで昼寝でもしてるんじゃない??」

「・・・・遅いわ・・。」

 

「あっルーシィ。配るの時間かかりそうだから、もう始めちゃってくれる?ナツが来たら言っておくから!!」

 

忙しそうに動く ミラからそう声をかけられた。

 

「はーい。わかりました~。広場で配ればいいんですか~??」

「うん。そう あと、公園とか子供のいそうなところまわってくれるかな?」

「わっ私たちもお手伝いします!!ねっ?シャルル?」

「まぁ、仕方がないわね。」

「あらっ。助かるわ。ありがとう!ウエンディ。シャルル。」

 

と、看板娘の声が飛んできた。

 

「じゃぁ、手分けしてパッパと配っちゃおうか?ウエンディ達は公園の方お願いしていい??」

「はい。了解です。」

 

仲良く、魔女っ娘 姉妹と、黒猫ルーシィがギルドを後にした。

 

 

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