top of page

2014年1月31日 『いっしょに帰ろう①』

いっしょに帰ろう

ナツ→←ルーシィの両片思いのナツルーです。オリジナル設定が多数あります。
苦手な方は、バックしてお戻りくださいm(__)m
大丈夫だよ~という方のみ、誤字脱字に注意して 自己責任で お進みください☆

 

 

「んん~!!よく寝たぁ。。。」

 

1人、自室のベットの上で目が覚めた。

窓から覗く、外の世界はまだ薄暗く、起きるには少し早い時間だったかと思いながら、ルーシィは暖炉に火をくべた。

火種がジリジリと広がって、薪に火が移っていくところをボンヤリ眺めていた。

 

ふと、今日は何しようかと思考を起こし始める。

 そういえば、今日はミラさんが新作のケーキ焼くから、一緒に食べようってリサーナが言ってたっけな。

 

いつも一緒にいるナツとハッピーは、ナツに指名の依頼が入り同じく指名の入ったグレイと共に出かけている。

帰ってくるのは 多分明日辺り。

エルザとウエンディも、何やら興味の惹かれる報酬の依頼を見つけて泊りがけで出かけていた。

ルーシィも誘われてたが、ナツが居ると出来ない事を今のうちに済ませておきたくて 遠慮させてもらったのだ。

 

( ん~。。あと1日かぁ。。。やっぱり皆いないと詰まんないなぁ。。。 )

 

どれくらい、火を眺めていたのだろう?

窓の外はすっかり明るくなっている。

揺れる火の向こうに、いつものアイツの笑顔が浮かんできて そこを離れがたかった。

 

身支度を整え、朝食をギルドで採ろうと いつもより早めに部屋を出た。

ギルドに向かう中、街の人たちのいつもと違う雰囲気を感じ、、、胸の奥がざわめいた。

不安な気持ちを抱え、ギルドの扉をくぐる。

 

今日、あたしの運命が変わるなんて、、、思いもしなかった。

静かな日常が過ぎて行って、、明日にはいつもの様に、賑やかで楽しい日々が帰ってくるはずだったんだ。

 

 

そこは、騒然をしていた。

ミラやリサーナ、エルフマンの姿が見えない。

「ねぇ。何があったの??」

 

入り口近くにいた人物に話しかける。

 

「リサーナが!!」

 

リサーナが、病院に運び込まれたらしい。

昨夜、家に戻らなかったリサーナを心配して、ミラとエルフマンは朝早くから町中を探し回ってい。

そして、公園の片隅に倒れているリサーナを発見したのだ。

リサーナは、誰かと争った形跡があるが、大きいけがは見当たらなかった。

 

・・・が、、、、まだ意識は戻らないそうだ。

 

ルーシィは、不安を抱えながらカウンターの席に着いた。

祈るような気持ちで、リサーナの無事を願う。

どうか、リサーナが助かりますように。

 

そこに、ギルドの扉が乱暴に開かれ、男たちが入ってくる。

「ルーシィ・ハートフィリアだな!!」

その男たちは、ルーシィに槍を向け動きを制してくる。

何が何だかわからない。。。

困惑するルーシィ。

そこに、評議院のラハールが入ってきた。

 

「ルーシィ・ハートフィリア。リサーナ・ストラウス襲撃の件で話を聞きたい。」

 

ギルドが騒めき立った。

騒ぎを聞きつけた街の人も集まっている。

 

「??何か分かったんですか??」

 

何を聞かれるのかは、解らないが自分で役に立てることならとルーシィは席を立った。

 

馬車で移動中、衝撃を受けた。

襲われたリサーナが意識を取り戻し、襲撃してきた人物を名指ししたのだと言う。

そして、どうしてもルーシィと話がしたいのだと。。。

(・・・なんでアタシなのかな?ナツやエルザが居ないから??でも、ミラさんもエルフマンもいるって聞いてるし??)

ひとまず、リサーナが意識を取り戻したことに、ホッと一息つくとどこからか声が聞こえる。

 

「ぬけぬけと、よくそんな顔がしてられる。」

背筋が凍るとはこの事を言うのだろうか!!

 

リサーナの病室に向かう際、エルフマンがいた。

拳を握りしめ、射抜くような鋭い視線を向けられた。

何かを言おうと口を開いたが、そこに言葉は出てこなかった。

尋常ではない雰囲気に、呑み込まれそうになりながらルーシィは、リサーナの病室に入っていった。

評議院のラハールは病室の外で待っているそうだ。

 

「リサーナ??」

 

病室のベットに横たわる彼女は、青白い色素をなくした肌で、生気のない表情をしていた。

 

 

 

 

そこで告げられた言葉は、あたしのたっている力を奪い、言葉を奪った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、評議院に連行されることになった。

 

 

 

 

評議員に囲まれて 病院を出ると、ギルドの仲間が待っていた。

白い目を向けられている。

冷たい視線が突き刺さってくるようだ。

そちらを見ることができない。

 

「「「ルーシィ!!!」」」

 

よく知る、会いたくて逢いたくて やっと明日あえると思っていた人物がいる。

こちらに駆け寄ってこようとしているのを、グレイに後ろか押さえつけられている。

 

「嘘だろ!!そんな筈ねぇ!!」

 

ナツが叫んでいる。

あたしのまわりは評議員に囲まれている。

 

「ルーシィ!!本当のこと言え!!今すぐ 助けてやる!!!」

 

グレイも必死に声をかけてくれる。

 

「ルーシィ!!!」

 

ハッピーの目には涙が浮かんでいる。

 

「ルーシィ!!!そんな筈ねぇだろ!!」

 

ナツのまわりに、ボォッと炎が上がりはじめる。

 

「ルーシィ・ハートフィリア。言う事があるなら言え。」

 

評議院の一人がルーシィを拘束している縄を引っ張った。

 

 

「クッ! 。。ナツ。ハッピー。。グレイ。。。皆。。。ごめん。。」

 

 

それだけで精一杯だった。

 

 

 

 

 

 

ごめんみんな。。

 

 

 

 

 

 

ごめんナツ。

 

 

 

 

 

ハッピー。

 

 

 

 

 

ごめん。。。リサーナ!!

 

 

 

 

 

 

ルーシィは、こぼれそうになる涙を堪え自らの足で評議院の馬車に乗り込み、連行されていった。

 

 

 

 

 

 

ナツは、その場で崩れ落ちる様に座り込んだ。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・そんなわけあるか!!!ルーシィが。。。そんなことするもんか!!!」

 

 

 

 

ナツの悲痛な叫びが、空虚な空にこだました。

 

 

 

 

ナツがギルドに戻るころには、ルーシィがリサーナを暴行したという話はすっかり広がっていた。

ギルドの中は、静まり返っている。

 

そんな筈ねぇだろう!!

なんで!なんで!!!こんな事になってんだよ!!

どうなってんだ!?

 

ふざけんな!!

ルーシィがそんな事する訳ねぇじゃねぇか!!!

 

カウンターに陣取り、酒を煽るグレイの隣までやってくると、自分も酒を頼み、喉に流し込んだ。

 

「・・・おいナツ。お前どう思う?」

「!!どうもこうもねぇ!!ルーシィがそんな事するわけねぇだろ!!」

「んなこたぁ。オレだって!!」

「んな解りきったこと聞いてんじゃねぇ!!」

 

胸ぐらを掴み合いながら、ルーシィを信じている発言をする2人に、どこからか声が聞こえる。

 

「でも、ルーシィ自身が認めたんだろ!!」

「そうだ!!」

「リサーナだって証言してるらしいじゃねぇか!!!」

「信じられなくっても、、、事実だろ!!」

 

顔も見せずに遠巻きに、攻撃的に言葉を浴びせてくる。

 

「どっちも本人から聞いた話じゃねぇ!!!」

 

ナツが叫んだ。

その叫びに、誰かが反論を投げかける。

 

「だいたいナツが、ルーシィかリサーナかハッキリしねぇからもめたんじゃねぇのか??」

 

悪意に満ちている。

・・・・・・誰が言った?

それに賛同する声も聞こえる。

 

「オレは!!」

「一番はどっちだったんだぁナツさんよぉ~!!」

 

ギルドの中の空気も何か変だ。

違和感を感じながらも、かけられる言葉に苛立ちが堪え切れない。

 

「ふざけんな!!どっちが一番とかそんなんじゃねぇだろ!!!!」

 

今にも火を噴きそうな勢いで、声をあげると、言葉と一緒に炎が噴き出す。

そこの集まっていたメンバーも、2・3歩後ろに下がった。

 

「抑えろ!!ナツ!ギルドも燃やす気か!!!」

 

止めようと、グレイがナツの周りに氷の壁を作った。

そのまま、ナツの頬を殴りつけた。

 

「頭冷やせ!!!」

「ナツゥ!!」

 

ハッピーの叫びに、我に返ったナツは、頭冷やしてくると言ってギルドを飛び出した。

 

「・・・・どっちが一番とかじゃないんだ。。。ルーシィが戻ってこなかったら。。。ナツは2度と笑えない気がするよ。オイラ。」

 

ハッピーが、ポロポロと涙を流しその場に座り込むと、ギルドの扉の前にたたずむ緋色の髪の少女が目に入る。

 

 

「・・・エルザ!!」

 

 

険しい表情の妖精女王。

 

「何があったんだ!!!」

 

先程から、ルーシィやリサーナの名前が出ているのに、姿が見当たらない。

そして、ギルドの空気が何かおかしい。

何よりも、先程すれ違った ナツのあんな顔を見たのは初めてだ。

 

「オイラ達も、よくわからないんだ。帰ってきたらリサーナが誰かに襲われて入院したって。

 そしたらその犯人はルーシィだって言うんだ。よくわからないうちにルーシィは評議院に連れて行かれちゃうし

 リサーナがそう証言したっていうし。。。もう何が何だかわからないんだ!!」

 

問いかけてきたエルザに、ハッピーが涙を堪えて説明した。

 

「・・・・・・マスターは??」

「・・・・分からない。」

「倒れているリサーナが発見された時はいたらしい。」

「そうか。」

 

何かを考える様なエルザ。

 

「お前たちは、ルーシィに会ったのだろう?様子はどうだった??何かに操られているとかそう言う感じはしなかったか?」

「いや。」

「・・・そんな感じはしなかったよ。でも、、、すっごく悲しそうだった。」

「直接リサーナにあったものは?」

「いや。俺らは会ってねぇ。」

 

エルザの問いに、グレイとハッピーは力なく答える。

 

「ナツは?」

「あっ。飛び出してっちゃったんだ。。なんか、ギルドのみんなおかしいんだ。」

「・・・・確かにな。いつも喧嘩っ早かったりするけど、今日はいつもよりなんか変だな。」

「・・・・・・・・・・・ハッピー。ナツを探してこい。リサーナの病院に向かおう。」

 

ここでは、埒が明かないと踏んだのだろう。

ひとまず、被害者とされるリサーナに話を聞いてみるのは いい案かもしれない!!

ハッピーは急いで、ナツを探しに飛び出した。

そして、ギルドを出たところで、意外な人物にぶつかる。

 

「ふぎゃぁ!!!!」

 

知っている顔の評議院の男だ。

 

その手には、ルーシィの友達のカギと愛用の星の大河が握られている。

 

 

 

 

 

 

 

「預かってきました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッピーの声に、エルザが飛び出してきていた。

 

 

 

 

 

「・・・・ラハール。。。」

 

 

エルザに迎えられ、ギルドの中にラハールの背中が消えた。

ハッピーは急いで、ナツを迎えに行く。

きっと、あそこにいる。

ナツが落ち込んだ時、2・3行きそうな処に目星は着いている。

でも、今回は、、、、ルーシィが関係して気が立っていた。

自分でも抑えきれていないほど。。。。

落ち着かせるために、あそこにいるはずだ。

ナツが一番 落ち着く場所。

 

 

 

 

ルーシィの部屋。

 

 

 

 

  

 

ナツは、街をぶらつき 気付くとルーシィのアパートまで来ていた。

いつもの様に、粘着質の炎で窓に飛び移り、器用に鍵を外して部屋の中に侵入した。

 

ルーシィが!!

そんな訳ねぇ。。。そんなことあるわけねぇだろ!!!

何でみんな分かんねぇんだ??

 

気を抜くと、身体から炎が噴き出してしまいそうだ。

 

リサーナが、ルーシィにやられたって?そんな訳ねぇだろう!!

ルーシィも、リサーナも、仲間だ。

互いを傷つける別けねぇんだ!!

何でそんな事をリサーナは言ったんだ??

 

・・・本当に言ったのか??

 

・・・本当にルーシィなのか??

 

・・・本当にリサーナが言ったのか??

 

・・・本当に・・・・ルーシィが認めたのか??

 

すべてが嘘に聞こえる。

 

あいつらが言ったみたいに、オレのせいなのか??

オレがはっきりしないから??

何に??

誰が一番とかないだろう??

ルーシィもリサーナも仲間だ!!

大切な仲間なんだ。。。。

 

仲間なんだと暴走しそうになる自分に線を引いていたんだ。。。。ルーシィ。。

あいつ泣いてないだろうな・・・??

1人で、心細い思いしてねぇかな。。。

 

ルーシィ。。。

お前がいなきゃ、、、オレ笑えそうにない。

腹の底が、どす黒いもんで埋め尽くされそうだ。

黒い感情が、体を蝕んでいくみたいだ。

立ち上がるのも、身体が重たい。。。

 

お前と出会って、、、いつも一緒にいて、、、気付くと離れられなくなっていた。

いつでも気になって、いつも隣に並んで、面白いこと沢山して、怒られて、笑い合ってたんだ。

確かに、ここに ルーシィがいたんだ。

 

まるで、はじめっから知っていたみたいに、当たり前に。。。

分かり合えていると思ってる。

支えてやれてるって思ってる。

2人の未来は、繋がっているって、、、、信じてるんだ。

 

オレから、笑う事を奪わないでくれ!!

オレから、ルーシィとの未来を奪わないでくれ!!!!

 

ハッピーの声が聞こえてくる。

オレを探しているらしい。

 

ルーシィならどうする??

そう考えたら、、、答えは簡単だった。

・・・・・信じてる。

ルーシィを、、、信じてるに決まってんじゃねぇか!!

 

ハッピーと合流して、リサーナの所に行ってみよう。

 

さっきの ルーシィ。。。

あいつ 混乱してた。

悲しんでいた。

また、、、自分が我慢すればいいって顔してたんだ!!

 

ぜってぇ 助けてやる!!

頼まれなくったって知るもんか!!

・・・ルーシィを助ける役目は、誰にも譲らねぇ。。。

 

 

 

 

ルーシィの部屋を後にした。

 

 

 

 

 

ギルドに戻ると、ラハールは帰った後だった。

先程飛び出した時の、ギルドの雰囲気は幾分落ちるいている。

が、どこからか、刺さるような視線は健在だ。

 

・・・・妖精の尻尾は、こんなとこじゃないはずだ。。。

冷静に感じてみれば、、、ギルドの者でないものが混じっている様だ。

「チッ」と小さく吐き捨てると、エルザに奥の部屋に来いと呼ばれた。

 

 

中に入ると、後ろで静かに扉が閉められた。

まわりを一瞥して、仲間を確認するとナツは、眉間にしわを寄せたまま吐き捨てる様に言葉を口にした。

 

「・・・・・・なんか入り込んでんのか??」

「・・・・評議院も同じ状態らしい。ラハールが言う事が本当ならだが、、、」

 

ナツは近くにあった椅子にドカリと座り込んだ。

 

「聞いたこと、教えてくれ!!」

「フッ。やっと、落ち着いた様だな。。。クソ炎!!」

「っ!!」

 

拳を震わせるナツを見て、エルザがグレイを窘める。

 

「よせ!グレイ!!ナツを呷るな!!」

「・・・ワリィ。」

 

グレイも、随分苛立っている様だ。

ナツの様に、それを表に出して所構わず発散させることが出来ないグレイは「ふぅー。」と頬に溜めた息を一気に吐き出した。

 

「 まず事のあらましだ。

 昨夜 家に戻らなかったリサーナを心配して探していると、公園でリサーナが気を失っていたらしい。

 発見したのは、ミラ。その場にはマスターや他のメンバーも数人いたらしい。

 争ったような後と、リサーナから微弱な魔力しか感じない事を見ると、争った相手は、魔導士の様だと判断が下った。

 その為、評議院が駆り出されることになったらしい。

 現場に着くと、大した調べもなしに被害者の証言だと、ルーシィの連行を命じられたそうだ。

 リサーナの元に連れて来いと。。。

 上からの命令で、それに従いルーシィをリサーナの元に連行したのは、ラハール本人らしい。

 移動の間ルーシィは、ずっとリサーナの心配をしていたようで、意識が戻ったと言うと心の底からホッとしていたように見えたそうだ。

 ラハール自身、ましてやミラやエルフマンが、リサーナに会うことを禁じられているような状況で、病室にルーシィだけが通された。

 病室から出てきたルーシィは、自ら罪を認め連行されることになった。・・・その目に怒りが見えたそうだ。」

 

「おい。おかしい事ばっかりじゃねぇか!!」

「・・・ルーシィ・・・リサーナ。。。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

グレイはその場で、エルザに掴みかかる。

ハッピーは、自分の尻尾を握りしめて、歯を食いしばって 体を震わせている。

エルザは掴みかかってきたグレイの手を包み込むように、自身の掌を重ね元の位置に戻した。

 

「・・・・・・で、なんでキルドに知らないやつが何人もいるんだ?」

 

ナツが、唸るような低い声で吐き出す様に言った。

 

「!!さすが火竜といった処か。よく気付いたなナツ。」

「!どういう事だよ?!エルザ!!」

「ああ。ラハールの話しだと、、、どうやら事の動向を伺っている者がちらちら見えるらしい。何かよくない薬でもギルド内に撒かれたのかもしれん。」

 

淡々と語っているようで、エルザの目には炎の揺らめきのようなものが見える。

みんなの態度が変だとは思っていたが、、、、、気付かなかったことにグレイは悔しそうに 拳を作って自分の腿を叩いた。

気が動転してたもん。しょうがないよと青猫が尻尾を丸めて シュンとしている。

 

「・・・それで?皆大丈夫なのかよ!!」

「・・・それは、ウエンディが調べている。レビィ達が今日ギルドに来てから、気分がおかしくなったんだと外に避難していたんだ。

 今は、ポーシェリカさんの所だ。」

「ギルドの中に何かあるのか!?」

「・・・・調べてみる必要があるな。。。幸いなことにこの部屋は、何ともない。それにレビィは泣いていた。。。

 自分がコントロールできなくなっって、、、ルーシィが連れていかれるのを見ているしか出来なかったと。。。」

「侵入してきている奴らの仕業か?」

 

「・・・多分な。狙いがルーシィに罪をきせる事だと考えると、ギルドの者を、疑心暗鬼にさせルーシィが犯人だと植えつければ、、後ろ盾を失くせるというのが目的なのかもしれん。

 もしくは、免罪になってもルーシィが帰ってくる場所を奪う事が狙いか。。。。」

「・・・どっちにしろ、犯人の目的は、、、、」

 

「「・・・ルーシィ。。。」」

 

 

「くっそぉ!!!!」

 

 

『ダァァァァン!!!』

 

 

ナツが目の前にあったテーブルに拳を叩きつけた。

 

テーブルは砕け割れ、、、ナツが叩いた処は こぶし大の焦げが出来、煙を上げている。

 

そうなると、証言をしたというリサーナが心配だ。

結局のところ、リサーナの姿が確認されたのは、倒れているところだけだ。

ひとまず、評議院にいるルーシィに危害は加えられる事はないだろう。。。

日が昇ったら、リサーナがいるはずの病院に向かう事になった。

 

 

 

そして、ナツは エルザから ルーシィのカギを渡された。

 

 

「お前が預かっておけ。」

 

 

紐を通して首にかけると、思っていたよりも重みを感じる。

 

 

 

鍵達が、ジャラっと揺れた。

 

 

 

 

 

エルザとグレイとハッピーと一緒にナツは、リサーナの入院する病院の前まで来ていた。

 

 

何やら騒々しい。

 

・・・・・何かあったのか??

 

早速エルザが情報収集を始める。

 

「おい何があった?・・・・『ゴツッ』遅い!!」

「おい何があった?・・・・『ゴツッ』遅い!!」

「おい何があった?・・・・『ゴツッ』遅い!!」

1人2人3人、病院のスタッフが倒れていく。

 

「エエエルザ!!落ち着け!!」

 

グレイがエルザを羽交い絞めしたところへ、ミラが駆け寄ってきた。

 

「ナツ!!エルザ!!!」

 

随分慌てた様子だ。

 

「ミラ!!何かあったのか??」

「リサーナが!リサーナが!!いなくなってしまったの!!」

 

動けるはずないのに!!と、泣きながら喚く姿は、いつもの様子からは容易に想像できる姿ではなかった。

リサーナがいた部屋に飛び込み、ナツは匂いを追おうとして、、、首をかしげる。

 

「ナツ・・?」

 

ナツの様子に、それぞれがどうしたんだと言うような表情を浮かべている。

 

「匂いがしねぇ。。。リサーナの匂いが、全然しねぇ。。。」

 

ナツの発言に、皆 一気に血の気が引いた。

それは、元々ここにはリサーナがいなかったという事言っている。

では、あれは誰だったのだろうか?

 

そもそも、リサーナの様子や発言に ミラは違和感を感じていた。

もし、まかり間違えてルーシィがリサーナを攻撃したとして、、、、はたしてそのことをリサーナは人に言うだろうか??

仲間の攻撃を受けたとして、その真意はを自分で確認するまで自分の妹は口を開かないのではないか??

ましてやギルド以外の人間に。

ルーシィに誰かが変化している可能性だってあるのだ。

それを、あんなにはっきりと、断言できるものだろうか??

 

その疑問を晴らすために、面会謝絶の部屋にこっそりと入り込んだのだ。

しかし、ベットは冷たく そこにはリサーナの姿はなかった。

あれは本当にリサーナだったか??

倒れていたリサーナを目にし、相当動揺してしまっていた自分の記憶を辿る。

 

それぞれが思考を巡らせ、視線を合わせた。

 

「・・・・・リサーナはもしかして。。。」

「あぁ。可能性はあるな。」

 「っ!?だからかっ!!」

「だからルーシィは。。。」

「相手は、、、評議院か?一度ギルドに戻るぞ!!マスターの指示を仰ごう。」

 

 

エルザの発言に、賛同し皆で、ギルドを目指す。

 

 

 

・・・・どうか無事でいてくれ!!!

 

 

 

 

 

 

ギルドに着くと、、、何とも不思議な光景が目に飛び込んできた。

先陣をきって ギルドに入っていったエルザが鳥肌を立てて、後ずさり、ハッピーをつかんで、顔の前に構えた。

 

「エルザさん!!ミラジェーンさん!!ナツ君!!グレイ君!!エルフマン君!!そしてハッピー君!!お揃いですね。」

 

白いスーツに身を包んだ小さいおっさんがつま先立ちで、バレエの様にクルクルと回りながらエルザを目指して突っ込んでくる。

回るたびに、ブルブルと腹回りの肉が揺れている。

 

「エルザさ~ん!!」

「ぎゃ~!!近づくな!!」

 

思わず、エルザは換装して、一夜を蹴り飛ばした。

 

「どうしてメ~~~~~ン!!!!」

「「「兄貴~!!!」」」

 

トライメンズだ。

ナツもグレイも今までの緊張が解け、ポカンとしてしまっている。

そこに、ウエンディが駆け寄ってきた。

 

「ナツさん!エルザさん!!なにかわかりましたか??」

「ウエンディ!!どっどういう事だ??なななっなぜ!一夜がここにいるんだ??」

 

ウエンディの肩を強くつかみ、前後に揺さぶるエルザ。

 

「エエエルザさあぁぁぁん!?おおお落ち着いてくださ~い!!」

 

ウエンディの悲痛な叫びに、落ち着け!!と その手をガジルが掴んだ。

 

「$%&!?あぁ。。。すまないウエンディ。」

 

額に汗をかきながら、目を泳がせながら、エルザがウエンディに謝罪する。

 

「おいガジル!!帰ってたのか!!じっちゃんと一緒だったんだろ?じっちゃん何処だ?!」

 

匂いでそれを、感じ取ったのだろう。

今にも掴みかかりそうな勢いで、ナツが吼える。

 

「あぁ??ちったぁ落ち着け!!この単細胞!!」

「あぁぁん!!!」

 

互いの胸ぐらを掴み合う竜たち。

 

「んなことやってる場合じゃねぇだろうが!!クソ炎!!鉄屑野郎!!」

「「あんだぁとぉ~!!」」

 

そこに、パンツ野郎の乱入。。。。

 

「あわわわわっ!?皆さん落ち着いてくださ~~~~い!!!一夜さんお願いしますぅ~。。」

 

ウエンディの悲痛な叫びが響くと、天井に刺さっていた一夜が復活して降ってきた。

 

「お任せください。マドモアゼル!!さぁ~安泰のパルファム~」

 

一夜のパルファムがギルドに充満する頃には、騒いでいたメンツも落ち着きを取り戻した。

 

「ざっとこんなもんです。エルザさん見てくださいましたか??」

「「「さすがです。殿!!」」」

 

ブァサァっと髪をなびかせて、きらりと歯を光らせ 笑いかける一夜。。。

ササッとそれに、花吹雪を盛るトライメンズ。。。

 

「えっとぉ。。皆さんを嫌な気持ちにしてしまうものは、隠して設置されていた魔水晶だとわかったのですが、まだ処分できていないんです。。。というか。。。」

「そう簡単に処分出来る物ではないんじゃ。その効果は一般人にも蔓延してしまうのでな、ギルドで効果が薄れるのを待つのが得策じゃろう。

 じゃが、いかんせんギルドの空気が悪いんでな。ソ奴に来てもらったという訳じゃ。。。。スマンなエルザ。。。」

 

ウエンディの説明を、途中からマスターが代わった。

 

「いえ。マスターがそうおっしゃるのなら・・・・・我慢します。」

「マスター!!、リサーナが、、、、行方不明なんです!!」

 

エルザが話し終わるとすぐに、ミラジェーンがマスターに駆け寄った。

 

「うむ。わしも探りを入れてみたんじゃが。。。どうやらリサーナは、昨夜のうちに拉致されたようじゃ。今はルーシィが連れ去られた屋敷にいるようじゃ。」

「!?ルーシィは、評議院にいるんじゃねぇのか?じっちゃん!!」

「うむ。今朝早くに、身元引受人じゃと名乗る貴族の元へ連れていかれたらしい。」

「なんで、そんな勝手な事を!!!」

「・・・いや。それが目的だったのかもな。。。」

「くそぉ!!」

「・・・ルーシィ!!リサーナ!!」

 

エルザ、グレイ、ナツ、ハッピーが声を荒げた。

ミラは、力なくその場に座り込んでしまい、駆け寄ったウエンディに支えられている。

エルフマンは、呆然と立ち尽くしている。

 

「バニーにいう事をきかせるための人質だ。お前らの妹は、丁重に扱われているはずだぜ。」

 

ガジルが声をかけた。うん。とミラの声が聞こえる。

 

「うむ。狙いは、ルーシィであろうと考えられるのぉ。

 ルーシィに何をさせたいのかわからんが、、、あの子は強い心を持っておる強者どもには屈しはせんだろう。

 ただ、、、、中の状況が解らんことにはのぅ、正面から乗り込むことも避けたいのぅ。う~む。」

 

「っ!!じっちゃん!!オレが行く!!」

「・・・どうした?ナツ。」

「カギが足りねぇんだ。。。」

「「え?」」

「ロキとバルゴの鍵だ!!あいつらは、ルーシィのとこ行ってんだ。ルーシィはもう1人で動いてんだ!!早く行かなきゃ!!!」

 

ナツの言葉に、エルザが賛同した。

 

「マスター!!先にナツだけでも 向かわせましょう!!」

「・・・うむ。ナツ。目立たずにルーシィの元にたどり着けるか?」

「おう。ハッピーがいれば簡単だ!!」

「・・・よし!!ナツ、ハッピー先行せい!!残りの者も2手に分かれて向かうのじゃ!!ギルドは、ワシが守っておるから心配せんでよい。よし行って来い!!」

 

ガジルの調べた情報によると、ルーシィ達が今いるのは、国境近くの街に外れにある、貴族の別邸らしい。

ナツは、場所を確認すると ハッピーのマックススピードにつかまりギルドを飛び出していった。

 

他の者は、事情を聞いたトライメンズの勧めで、天馬のクリスティーヌを使い最短ルートで目的地まで飛ぶ。

 

すっかり日が沈み薄暗くなってきた空を、白い翼が、弾丸の様に飛んでいく。

 

 

 

 

 

「「ルーシィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!」」

 

 

 

 

林の中の大きな木に囲まれた古城の様な、洋館が見える。

 

「ハッピーあれだ!!!」

「あい!!」

 

上空から見ると、門の所に、魔導士風の人物の姿が見て取れる。

洋館が見渡せる大きな木の上で、身を隠しながら ハッピーは羽を休める。

 

「ちきしょう!!ルーシィどこだよ!!」

「ナツ!!焦っちゃダメだよ!!」

「・・・・おう。。。」

 

耳を澄まし、目を凝らし、鼻を効かせる様に感覚を研ぎ澄ます。

視界がカーテンの閉まっていない部屋を捉えた。

その先に、見慣れた色の髪が揺れる。

ルーシィはこちらに気付いている様だ。

口をパクパクと動かしている。

 

集中しろ!!ルーシィの声をひろうんだ!!!

 

『ち・か・に・り・さ・あ・な・が・い・る・お・ね・が・い・な・つ・こ・こ・は・だ・め・か・め・ら・あ・り!!』

 

(オレ達が来るのも、御見通しだったのか?ルーシィのやつ。。)

 

「ハッピー。地下にリサーナがいるらしい。オレはそっちに向かう。ハッピーはルーシィにこの鍵を届けてくれ!!」

「・・・ナツ。いいの??」

「あぁ。ルーシィが言ってんだ。地下が片付いたらすぐ行く。ハッピー頼んだぞ!!!」

 

ナツの拳は握りしめられている。

・・・ルーシィがそう言ったんなら、ナツがルーシィのところ行ったらきっと怒るんだろうな。ルーシィ。。。

それに、何かルーシィに考えがあるのかもしれない。

 

ナツが木から、建物の陰に飛び降りていった。

屋敷の中は、何も反応がないみたいだ。

オイラも行かなきゃ!!!

音をたてない様に、カーテンの空いている部屋を目指した。

灯りは消されているが、ナツはこの部屋だって言ってた。

窓のふちに降り立つと、ルーシィの綺麗な髪が見えた。

「ハッピー。」

そっと部屋に招き入れられ、スカートの中に押し込められた。

ルーシィの足にしがみついて、、、移動する、、、と、洗面所だった。

 

「ルーシィ!!」

ギュッと、ルーシィの胸にしがみついた。

ルーシィはいつもの様にヨシヨシと、頭を撫でてくれる。

 

そこに、『コンコンコンコン』と扉がノックされる。

「失礼いたします。」という声と、ドアが開く音がする。

 

またルーシィのスカートの中に隠された。

それから、灯りが付けられた。

ルーシィは顔を濡らし、タオルを持って 洗面所から出た。

 

「・・・・何か?」

「何か、小動物のようなものが、こちらに飛んできたようなので、確認を。」

 

ルーシィの口から、冷たい音色が流れる。

人形の様に表情を変えないメイドが、ス~っと室内に入ってくると窓と窓の外を確認した。

 

「下に、何か落ちているようですね。確認いたします。」

 

また表情も変えずメイドは部屋から消えていった。

ルーシィが小声で「まだよ。」と言った。

そのままルーシィは、本を読んだり、机に向かったりしていた。

しばらくしてまた部屋がノックされる。

 

『コンコンコンコン』次に「失礼いたします。」と同時にドアが開いた。

さっきのメイドの声だ。

 

「先程の件ですが、このようなものが庭のあちこちに落ちておりました。

 あまり、不審な行動はなさいませんよう。ご忠告させていただきます。」

 

メイドが、数個の紙飛行機をルーシィに見せた。その威圧的な態度と言葉に、ルーシィも1歩も引かない。

 

「ふふっ。忠告?あなたは随分こちらのご主人様に気に入られているのかしら??客に意見するなんて、随分お偉いのね?」

「・・・いえ。ご気分をそがれましたら、申し訳ありません。身の回りのことは 私が預かっておりますゆえ 少々気にかかりましたので。」

「そう。フフフッ。・・・暇だっただけよ。・・そうね?・・お掃除の方に申し訳なかったかしら??

 それとも、紙を飛ばすような子供の遊びは幼稚だと咎めたいのかしら? 何かを疑う様なら、すべてあなたが確認されたら良い事でしょう?」

 

ルーシィは立ち上がると、脱衣所のドアと開けた。

 

「それから、タオル変えてくださる? 私、日に何度かシャワーを浴びたいの。よろしくて?」

「畏まりました。」

 

メイドはそこに入って行き、テキパキとクリーニングを行い、使われたタオルなどを持って出ていった。

 

それに合わせてルーシィは、ドレスを脱衣所に脱ぎすてハッピーを連れて、浴室に入っていく。

シャワーのコックを全開にすると、浴室はすぐに蒸気で白くなった。

小声でもうちょっと静かにね!と言うと、ハッピーの頭を撫でた。

 

少しして、メイドの声が聞こえる。

替えのリネン類を持ってメイドが戻ってきたのだ。

 

「御召し物はこちらに用意いたしました。」

「ご苦労様。」

「失礼いたします。」

 

洗面所のドア。部屋のドアが順番に閉まる音が響いた。

  

 

 

「ハッピー。きてくれてありがとう!!」

ルーシィが、シャワーを浴びながらハッピーを抱きかかえた。

「ルーシィ、本物のお嬢様みたいだったね!!」

「ハハッ。まぁね?」

ルーシィは、苦笑いを浮かべている。

「ルーシィ、外に紙ばら撒いたの??」

「ん?きっとハッピーが来てくれるかな?って思って、青色の紙で飛行機を沢山折って、飛ばしてたのよ。」

へえ~。とハッピーが感心していると、次いでだからとルーシィがからだを洗ってくれた。 

 

「そうだこれ!!」

星霊の鍵束を、ルーシィに手渡した。

「わっ!!ハッピーありがとう!!」

花が咲いたように笑って、ルーシィが裸で飛び跳ねた。

 

その時、ルーシィの手の中で、宝瓶宮の鍵が光り出す。

そこに姿を現したのは、水瓶を抱えた気の強そうな人魚。

 

 

「アクエリアス!!何で?」

「フンッ。水蒸気は水だろうが!!オラ、腕をかしな!!」

 

差し出す前に、ルーシィの右手を掴み上げ、嵌められているブレスレットを握りしめた。

 

「ったく。。。疲れることやりたくないってのに。」

 

ブツブツ言いながら、魔力を込めていく。

 

「アクエリアス?」

「ダーリンが心配してるからね。。。。ワタシのスコーピオンは心配性でな。。。」

 

文句を言いながらも、自らの魔力でゲートを通ってきたのだ。

黄道12門の1・2を争う魔力の持ち主のアクエリアスでも、相当しんどいのだろう。

その上、ラクリマ破壊の為に魔力を注ぎ込んでいるのだ。

見る見る顔色が青く変わっていき、額に冷たい汗がたれている。

 

『バキッ』

 

ブレスレットの魔水晶にヒビが入った。

 

「しばらく呼ぶな。ダーリンと1週間旅行だからな!!」

 

アクエリアスが、泡になって帰っていった。

重力に逆らわず、ブレスレットが浴室の床に落ちた。

ルーシィは、ブレスレットの嵌められていた右手を左手で擦り、最強の友達に感謝した。

 

脱衣所に用意されていたのは、純白のナイトドレスだ。

コルセットをしないでいいので、メイドを呼ばないで済む。

形ばかり、ブレスレットを嵌め直し ルーシィはバルゴを呼び出しナツの元に向かわせた。

 

 

「ハッピー。ちょっと暴れるけど、、、大丈夫??」

「!!アイサー!!」

 

 

 

 

 

「ロキ!!」

 

地下に降り、入くんだ通路を進んでいくと見知ったオレンジ頭が見えた。

ロキは、待っていましたと言った表情だ。

 

「やっぱり来たね。ナツ!!」

「ナツー!!」

 

どうやら、リサーナも無事なようだ。

ロキの説明によると、カギを壊すのは簡単でも、その際爆発が起きる仕掛けがしてあるのだそうだ。

ルーシィは、多分ナツならなんとかしてくれるって言っていたらしい。

理由は、爆発も炎でしょ?という事だ。

 

オレが来るのも、ルーシィの中で計算ずくなんだな。

って思うと、なんだかニヤケてくる。

 

ナツが扉を開ける爆発音で、こっちに人が集まらない様に、ルーシィは囮役として屋敷内でひと暴れするらしい。

そんなの、ルーシィが危ねぇだろうと、ロキの説明に口を挟むと、意味ありげにロキが笑った。

 

「僕は、ルーシィの星霊だから、リサーナを安全に外に連れ出すっていう 言いつけを守らないといけないんだ!!」

 

だからよろしくね!と肩を叩かれた。

爆発が炎なら食ってやる!!と鍵を壊そうと手をかける。

リサーナが、なるべくドアから離れた。

 

「お待ちください。ナツさま」

「「バルゴ!?」」

「姫のブレスレットは、アクエリアスが破壊してくれました。お兄ちゃん。」

「じゃぁ、今はルーシィに呼んでもらったのかい?」

「はい。掘れます。」

 

ドアの鍵から、手を放しナツが首をかしげている。

 

「ナツが、カギを持ってきてくれたのかい?」

「ん?ああ。ハッピーに持ってかせたぞ。」

「ルーシィはね。…リサーナも付けられてるけど、魔法が使えない様に魔封じのラクリマ付きのブレスレットを付けられていたんだよ。」

「まふう・・・??」

「・・・・まぁ。魔法が使えるようになったから、バルゴが自由に穴を掘れるようになったってことさ。

 自分の魔力でゲートをくぐるのは僕たち星霊にとっては、結構な負担なんだよ。いつもの力が出せなくなるんだ。

 僕も馴れるまでは、苦労したんだよ。」

 

だから、さっきはここで穴が掘れなかったのさっ。とロキが説明してくれたが、ナツはほとんど聞いていないようだ。

 

「じゃぁ、ナツはルーシィのところ行ってあげて!!」

 

リサーナが声を上げる。

振り返ると、ロキやバルゴも頷いた。

 

「では。」

 

バルゴが、頭に構えた腕を床に向かって突き刺し穴を掘りだした。

すぐに、その場とリサーナの足元がつながり、バルゴに姫抱っこされてリサーナが現れた。

 

「じゃぁ、ナツよろしくね!!」

「姫は、2階におります。そちらの穴が部屋までつながっております。」

「ナツ!!ファイト!!」

 

「おう!!」

 

ナツと別れた後、バルゴが床に飛び込んだ。

そこに、リサーナを抱えたロキが続いて飛び込んだのを見送った。

 

そこで、『ビィーーー!!ビィーーー!!!』という警報音が鳴り響いた。

 

 

 

ナツは、急いでバルゴが指示した方へ 炎のブースターで勢いを足し走り出した。

待ってろよ!!ルーシィ!!!!

 

 

 

 

 

ルーシィとハッピーはタイミングを見計らって、部屋のドアを蹴破った。

寝るために用意されたナイトドレスは、袖を引きちぎられ、裾をひざ上までカットされ 元のドレスの跡形もない。

 

屋敷内に、警報音が鳴り響いた。

すぐに、人の集まってくる気配がする。

扉の前に控えていた使用人は、すでに扉の下敷きで反応がない。

 

魔導士ではない者への、魔法での応戦を避けるため、ルーシィは屋敷内を走りぬける。

追ってきた数名を、カギと一緒にハッピーが持ってきてくれた星の運河を使い拘束する。

そして、また姿を現し数名を引き寄せながら、逃げる。

少しづつ、屋敷内の使用人を縛り上げるルーシィと、ハッピー。

気付くと、屋敷の奥に入り込んでいた。

いったん休憩と、ルーシィ達は 近くの部屋に入り込み、呼吸を整えるため壁にもたれた。

 

「ねぇルーシィ。これ」

ハッピーは目の前の壁を見つめている。

「えっ??」

イヤ、壁にかかっている大きな肖像画を見つめている。

金髪の、若くきれいな少女。

 

「これ、、、ルーシィ??」

「・・・・・・ん~ん。きっと、、、ママよ。」

「ママ?ルーシィの??」

「そう。多分ね!!あたしの知っているママは、もうちょっと大人だったけど。」

 

フワッとルーシィがやさしく笑う。

何でこんなところにあるの?と聞いてくるハッピーに、ルーシィは眉毛を下げ 困った顔をした。

 

「・・・この黒幕はね、あたしを、、、ママの代わりにしたいみたい。」

「ママの、、、、代わり??」

「そう。よく似てるでしょ??あたしママに。」

 

ハッピーは、壁にかかっている絵を見上げ頷いた。

 

「でも、ママとどんな知り合いなのかも分からないのよね。。。」

 

すると磨羯宮の鍵が光った。

ルーシィはそれに手を添え、目を閉じた。

次に目を開けたルーシィの瞳は、悲しみをたたえていた。

 

「ルーシィ??」

「・・・・・うん。ママの事が、大好きだったのよ。それに、ママもその人の事、大事に想ってたみたい。」

 

磨羯宮の鍵を握りしめたまま、ルーシィは何かを考えている様だ。

 

「そうだ。私はレイラの為に強い身体と力を手に入れたのだ。」

「!?誰だ!!」

「・・・レイラの夫になるはずだった男だよ!!さぁおいで、、、、レイラ!!」

 

ルーシィに向かって、両手をひろげ歩み寄ってくる。

ハッピーは、ルーシィを庇うように前に出た。

 

「さぁ。レイラ!!」

『ドカッ!!バキィィィッ!!!』

「ルーシィィィィ!!!!」

 

ドアをけ破って、ナツが飛び込んできた。

ルーシィの腕を掴み 自分の後ろに引っ張り庇うように、前に出る。

 

「ナツ!!」

 

ルーシィは、ナツの背に抱きついた。

 

「来てくれるって、信じてた。」

「ああ。当たり前だ!!!」

 

腹に回ったルーシィの腕に、手を重ねるナツ。

ハッピーがナツの肩に乗った。

「オイラ達が揃ったら、誰にも負けないよ!!!!!」

 ハッピーが大声で、啖呵を切る。

 

「ナツ!!あいつが黒幕みたいだよ!!ルーシィの事をレイラって、ルーシィのママの代わりにしようとしているみたいなんだ!!」

「 ふざけんじゃねぇぞぉぉぉ!!ルーシィはルーシィだ!!他の誰でもねぇ!!!」

「・・・・ナツッ!!」

 

ナツの背から、少し高めの熱がルーシィに伝わってくる。

焦る気持ちや、悔しい気持ち、辛い気持ちを和らげてくれる暖かさだ。

 

「あなたと、母の間に何か約束があったのかもしれませんが、あたしは母のレイラではありません。」

 

ナツの背から隣に並び出てきて、ルーシィがはっきりとした口調で前にいる男に訴えた。

 

「許さない。。。許さない。。。許さないぞ。。。レイラ!!約束したじゃないか!!!」

 

男の周りの空気が渦を巻き始める。

 

「病気を治して、強くなったら一緒に冒険に出ようと。。。。約束したじゃないか!!!」

 

男を中心に、空気が刃になり 男を中心に空気が渦を作る。

それからルーシィを庇うように、ナツがルーシィを腕の中に抱き込んだ。

ハッピーはルーシィの腕の中に避難している。

ナツの頬が、風にかすられ 血が流れる。

 

「私は、その為に!!努力したんだ!!辛い治療にも耐えたんだ!!レイラと一緒に過ごすために!!!」

 

ルーシィの手の中に、処女宮の鍵が帰ってきた。

ナツの腕に、腹に、背に、足に切り傷が増えていく。

 

「レイラは、私と一緒にいてくれると約束してくれだんだ。一緒に魔導士として戦ってくれると。

 病気を治して帰ってきたら、一緒に。。。毎日一緒にいれるはずだったんだ。」

 

「レイラ様は、魔導士として、一緒に冒険することを約束したのです。あなたと生涯を共にするなど、約束していないはずです。」

 

ルーシィは、カプリコーンを呼び出した。

当時の事を知っているようで、レイラに変わってその男に伝えたいことがあるらしい。

 

「病気治療の為、塞ぎこんでいるあなたを元気づける為、レイラ様は一緒に冒険することを約束したのです。

 大きな治療を控え、気弱になっていたあなたを励まし、生きる希望に繋がればと考えたのでしょう。

 ですが、あなたが治療の為外国に行っている間、レイラ様は体調を崩されました。魔導士を続けて行く事が困難な病でした。

 レイラ様は、魔導士としての力を失いかけて、光を失いかけた時、商業ギルドに新たな光を見つけたのです。」

 

「そんな。。。レイラは、魔法を失っていたのか。。。。」

 

男を包む、風の刃が収まっていく。

 

「レイラ様からのお言葉です。

『お元気になられた様でとてもうれしいです。良かったですね!!おめでとう!!私は体調を崩して、魔導士を引退することになりました。

 残念ですが、健康になったあなたと一緒に冒険に行くことは、叶いそうにありません。ごめんなさい。

 とても、残念です。でもあなたは、自由にどこにでも行けるのでしょう?これからは私の代わりに、沢山の冒険を楽しんでください。

 約束したように、私の身体は一緒に足を運ぶことは叶わないけれど、その代り沢山の冒険のお話を聞かせてください。そうしたら、私も一緒に冒険に出ているみたいでしょ?』

 そうおっしゃっておいででした。レイラ様は、あなたの事を、本当の弟の様に思っておいででした。

 あなたとの約束を忘れてはいませんでした。最後まで。

 会う事は叶わなくても、せめて元気になったあなたへ祝いの言葉を残して逝かれました。」

 

「、、、、、ママ!!」

 

ナツの腕の中で、ルーシィの肩が震えている。

 

男はその場に崩れ落ちている。

 

「なぜだ!!なぜ、、、先に逝ってしまったんだ。。。レイラ」

 

 

 

 

その場で動かなくなった男を残し、ナツ達は、屋敷を出た。

黒幕の男の戦意喪失により、屋敷を出る間危害を加えられることはなかった。

最後の門を出ると、評議院の面々が待ち構えていた。

 

「ルーシィ・ハートフィリアの冤罪が証明された。」

 

そう言って、無理やりとられた調書が燃やされた。

 

「・・・・すまなかった。」

 

ラハールが、深々と頭を下げている。

 

その横をルーシィの手を引いたナツが「気にすんな!!」と言って通り過ぎる。

ナツに手を引かれたルーシィが、笑顔で「過ぎた事です!」と言って通り抜けた。

まってよ~!!ナツ~!!ルーシィ~!!と叫びながら、ハッピーが羽ばたいていった。

 

それを見送り、ラハール達評議員は 門をくぐり 屋敷に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ。いっしょに帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

オレ達の家(ギルド)へ

 

 

 

 

 

 

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

あとがき+補足 

 

ルーシィの母レイラは、商業ギルドに来る前は 魔導士ギルドの魔導士だったという設定です。

そこで、体の弱い少年を元気づける依頼を受ける。

その少年が、今回の黒幕の男です。

少年を元気づけるために、魔導士としての仕事であったことなどを話してやると、その少年はとても喜んだ。

喜んで、自分も行ってみたいと言う。一緒に行きたいと言う。

レイラは、元気になって魔導士になったら、一緒に冒険しようと約束した。

 

少年は、海を渡り遠方の国で、病気の治療を受け、療養しながら魔導を学んだ。

帰国し、レイラが所属していたギルドを尋ねるが、やめた後で見つけることができなかった。

その時レイラは、体調を崩し、魔導士ギルドをやめ、失意の中、生活の為 商業ギルドに所属する。

そこで、やりたい事を見出し、馴染んでいく。そして、ジュードと出会う。

 

男は、最近になって、レイラが亡くなっている事、そっくりな娘がいる事を知った。

 

という設定ですΣ(゜Д゜)解りずらくて、ごめんなさいm(__)m

 

因みに、ギルドや評議員に、人を苛立たせるような魔水晶を設置したり、それを先導する為に入り込んでいた人物は、黒幕の男が依頼したギルドの仕業です。

 

最後、やっつけですね。。。。。(/ω\)いろいろ設定あるんだけど、書ききれるスキルがなかった(/_;)

お目汚し失礼しました。後日、ルーシィside UPします。

ご指摘、ご感想などありましたら、、、、、よろしくお願いしますm(__)m

bottom of page