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2014年07月29日~

魔法研究所シリーズ~竜座~

~ドラコとおてつだい~

ナツとルーちゃんのもとに舞い込んだ魔法研究所からの依頼。それは、星霊の鍵を作る実験をするのだというのだ。

研究所で作り上げた鍵を媒体にナツの魔力とそれをルーシィが繋ぐ。

ドラコと共に、出店のおてつだい。。。きっと無事に終わるはずがないんだ。。。

   

 

ルーシィは朝食兼昼食のサンドイッチを手に、ギルドの酒場のカウンターで静かに食事を進めていた。早々に食事を終えて騒ぎ出しているナツとドラコを視界に映し、優しく微笑んだ。

 

「たくもう。。。さっきはびっくりしたなっ・・・・フフッ。」

「クソ炎が2人って・・・この世の終わりだなっ。。。大丈夫か?姫さんは。」

 

ルーシィの独り言に反応を返すように、その隣の席からひんやりとした手が伸びてきて、金髪をクシャっと撫でた。

先程豪快に水をかけてくれた水の魔導士ジュビアと共に、同行していた依頼から帰ってきたばかりの氷の造形魔導士で、ルーシィやナツたちのチームメイトでもあるグレイだ。ルーシィが兄のように慕っている存在でもある。

 

水をかけてくれた張本人のジュビアは、少し離れた柱の陰からこっそりとこちらを伺っている。まぁ、十分目立っているのだが。グレイの隣にくるタイミングを計っているのだろう。鋭い勘違いな視線を受けながらルーシィは、グレイに振り返り少々ひきつった笑顔を見せた。

 

「はっははっ。・・・ホント。すでに疲れたわよ。」

「姫さんは、モテモテで結構じゃねえか!!・・・あの馬鹿どもじゃ暑っ苦しいけどなっ!!」

「まったくねぇ。たぁくあの火竜共め!!・・・・・・まぁ、ジュビアのおかげで助かったけど?」

 

そう言ってルーシィが柱の影に視線と流すと、話題に上がったジュビアの肩がビクンと飛び跳ねた。そんなジュビアを視界の端に留め、グレイは小さく息を吐いた。だが、目の奥が優しく笑っている。

 

この男もいい加減素直になればいいのに。。。そう思いながらも、自分とナツの一歩踏み出せない関係を思えばどっちもどっちかもしれないなと思い直した。

ルーシィは、クスリと笑みをもらし柱の影に振り返った。

 

「ジュービア!!ねぇっ!!こっち来たら??」

「じゅびっ!?」

 

鶴のごとくのルーシィの一声にジュビビビビ~ンと、青い影がルーシィの前を横切ってグレイの傍らにくっついた。

くっつくなよっ!!などと言いながらも、ジュビアのそんな様子を優しい目で受け入れているグレイに、ルーシィはまたくすくすと笑ってしまった。

 

 

 

食事を終えるとルーシィは、魔法研究所に提出するレポートを書き始めた。

 

どれくらいたっただろうか??さほど時間は立っていないはずだが。

ルーシィに忍び寄る影が、大中小1つづつ。

 

「ルーシィ!!遊びいくぞー!!!」

「いくぞー!!!」

「るーしぃ。ドラコねっ!!ハッピーに釣り教えてもらうんだぁ!!」

 

まだレポートがのこっているのだが、、、この3つの笑顔には、勝てそうにない。

ルーシィは、書いていたレポートの最後に、つづく。と書き足し、それをファイルに挟んだ。

さて、これをどうしようか?行きがけに届けるかと思案しているところへ、すかさず声がかかる。

 

「ルーシィ?よかったら、それ。。。ジュビアが届けておきましょうか??」

「え??」

 

ルーシィが声のする方向に振り返った。そこにはジュビアがいる。

ジュビアがモジモジと体を揺らし「グッグレイ様と一緒なら///」と、付け足した。

名前の上がったグレイは既に、ナツとドラコと額をあわせ睨みあっている。

 

傍らに舞い降りてきたハッピーと、クスリと笑い合いルーシィは口を動かした。

 

「グレーイ!!お願いなんだけど!?」

「グレイ!グレイ!!可愛い妹分からのお願いだよ!!どおするの??」

 

ルーシィが、顔の前で手を合わせてその隙間からグレイを見上げている。加えてその膝の上から、体は小さいが何かと頼りになる青猫までもが、同じように手を合わせコテンと、首をかしげてきた。

睨み合っていたはずのグレイの視線を追って、ドラコも思いついたようにルーシィの膝によじ登った。

脇によけたハッピーの真似をして、手を合わせコテンを首と傾げてグレイを見つめている。

 

「ぐっ///なっなんだ?・・・姫さん。。。」

「グレイは、魔法研究所の場所わかるでしょ??」

「ああ?まあ。。。しってるな。」

「ジュビアが、この封筒届けてくれるって言うんだけど、場所がわからないいみたいなのっ。」

「・・・・・・・。」

 

ルーシィが少し困った顔をすると、それに合わせてドラコも眉毛を下げ、大きな目を潤ませる。

 

「オイラ、グレイは優しいからきっと案内してくれるって、言ったんだ!!」

「グレイ!お願い!!折角ジュビアが頼まれてくれたのよ~。」

「「「おねが~い!!」」」

 

今一度、ルーシィが顔の前に手を合わせぺこりと頭を下げた。そのままの体制で上目づかいでグレイを見つめる。ドラコも一緒になって、頭をぺこんと下げ、目を潤ませてグレイを見た。ハッピーに至っては大きなお目々を三日月の形に歪ませ、いやらしく笑っている。

グレイは、目を隠すように手を顔に当て自分に集まる視線を阻んでから、わざとらしく、大きなため息をつきルーシィから先程のファイルが入った封筒を受け取った。

 

「・・・・・・たくっ。姫さんにはかなわねぇかんなっ!!」

 

そういうとグレイは、一人で扉に向かって歩き出してしまった。

置いて行かれてしまったんだと、がっくりと肩を落としているジュビアの背をルーシィが優しく押した。グレイは扉の前で足を止めている。

ジュビアがグレイ様ー!!と、ハートを飛ばしながら走り出した。

 

 

 

 

グレイとジュビアの背を見送りルーシィは、ドラコとハッピーの頭を撫でた。

 

ジュビアの気持ちはもちろん、グレイの傾いているジュビアに向かう矢印もギルドの皆はお見通しだ。ヘタレなグレイも、大魔闘演武の後から徐々に態度が変わってきているのだ。もうあと一押し!!皆がジュビアに協力的であった。

 

「あたし達いい仕事したんじゃない?」

「ドラコいい子~??」

「オイラも~!!」

 

フフフッと青と赤の頭を優しくなでまわし、ルーシィは2人まとめてぎゅっと抱きしめた。苦し~!!と叫ぶハッピーの声を聞こえないふりをして、ルーシィは頬擦りした。

そこまで黙っていたナツが、わずかに唇を尖らせ「ほら行こうぜ!!!」と強引にルーシィの腕を掴んだのは言うまでもない。

ナツの手に引かれ立ち上がったルーシィにカウンターの中から声がかかった。

 

「ルーシィ。申し訳ないんだけど。」

 

振り返った先に、言葉とは裏腹に笑顔の銀髪の女性。

その笑顔に、ルーシィより先にナツは怪訝な声を返した。

 

「んだよっ!!ミラ!!」

「あら?ナツ。何か、忘れていないかしら??」

 

首をかしげるナツの脇で、ハッピーの顔の色が無くなっていく。

ハッピーが、ぱくぱくと口を動かした。ルーシィには何を言ったのか解らなかったが、ナツはちゃんと聞き取っている。そしてドラコも。。。

 

「るーしぃ。でみせってなーにぃ??」

「ん?出店?来るとき広場で見たでしょ?お祭りとか特別な日に特別にその場所にお店を出すってこと。。。って?え??」

 

ドラコの言葉に、首をかしげながらもルーシィは説明してやった。その説明を聞きながら、ナツの顔色も、ハッピーのように薄くなくなっていく。ミラは、にっこりとほほ笑んだままだ。そういえば先日、妖精の尻尾も出店をやると言っていた気がする。

 

「とうちゃん。出店のおてつだい頼まれてるって!!」

「へ?」

「あのね、ルーシィ。この間ナツとハッピーだけで仕事に言ったでしょ?」

「あぁ!はいっ。」

「そこでね?またやっちゃったのよ。ナツったら。元気がありあまっちゃってナツらしいといえば、、ナツらしいんだけど。ただねぁ。。。損害賠償がギルドに回ってきちゃってねっ。。。ほらっ今日お祭りでしょ?フフフフッ。」

 

ここまで聞けば、それ以上聞かなくても大体は解ってしまうだろう。

笑顔を崩さないミラに、これは逃れるすべはないとルーシィは既に諦めモードだ。

 

確かに今日は商店街のお祭りだ。せっかくだから日が暮れたらドラコを連れて行ってあげようと思っていた。目新しいものばかりで、目を輝かせて飛び回る可愛いドラコが脳裏に浮かんでいたんだ。ここに来るときに後で来ようとナツと約束もしていたのに。・・・・これは、、、予定が狂ってしまった。

 

「はぁ。。」

 

ルーシィがおもわず溜息をもらすと、ドラコが心配そうに顔を覗き込んできた。

ハッピーの耳も下がっている。ナツはバツが悪そうに、頬を掻いた。逃げられはしないのだ。今逃げ切ったとしても、、、そのあと何が待ち受けているか。。。

 

「…もう。ほんとしょぼい脳みそね?・・・大事なこと、忘れてるなんて。。。」

 

「仕方ないわね」とルーシィはナツの肩をこつき、ワザと頬を膨らませてから笑って見せた。ルーシィの表情につられて、ドラコも頬を膨らませたままナツを見た。

 

その様子にクスクスとミラが笑っている。

そして、きれいに畳まれた布をルーシィの手にのせた。

 

「大丈夫よ!!ルーシィ。うちの出店はできたものを売るだけだから、売り切れたら自由よ!!だから頑張ってね?ルーシィも!!」

「・・・へ!?」

「ドラコはぁ??ドラコるーしぃと一緒がいいぃぃ!!!!ドラコも~!!」

「あらあら。ドラコはいい子ねぇ!ドラコはとうちゃんよりもいい子だから、手伝ってあげたら早くとうちゃんと遊べるわよ!!よろしくね?」

 

ミラはドラコの頭を撫でると、早めにリサーナとエルフマンと交代してね~!!はやくから頑張った方が売り切れるのも早いわよ~!!と言い残しカウンターの奥に戻ってしまった。

 

「え??あたしやるって言ってないし。。。」

「・・・あい。一緒に頑張ろうね!!ルーシィ!!」

「カッカッカッカッカッ!!どうせ祭りにはいくんだからいいじゃねえかっ!!」

「あんたねぇぇぇえ!!!!」

「かっかっかっか~!!」

 

ナツの頬をぎゅっとルーシィが引っ張ると、ドラコが自分で自分の頬も引っ張っている。ビヨ~ンと頬を伸ばしドラコはナツの笑い方を真似して楽しそうに笑っている。まぁ実際ルーシィも嫌なわけではないのだ。出店なんて以外と楽しそうでもある。ミラが作るものはきっとあっという間に売り切れてしまうだろう。

 

背中に大きく妖精の尻尾のギルドマークの入ったハッピを身に着け、ナツとルーシィとハッピー、そしてドラコは妖精の尻尾を後にした。

 

 

「らっしゃい!らっしゃい!!妖精の尻尾新名物のグレパンとジュビパンだよ~!!」

 

青猫が屋台の上に仁王立ちして声を張り上げている。

ルーシィのもくろみ通り、ミラが作ったものはこの季節にピッタリのものばかりで、呼び込みなどしなくてもあっという間に完売したのだ。

だったが、、、まだ売れないものがあるのだ。。。

 

「ナツパンもあるよ~!!!」

「ホッカホカおいし~よ~!!」

 

そう・・・まさかこの暑い季節にこれを目にするとは。。。

透明の容器の上から蒸気が出ている。その中に、グレパンやらジュビパンやら、、、ギルドの人気メンバー、、、というか最強チームのメンバーを模した焼印が押してあるパンが並んでいた。ご丁寧に暖かい状態で食べられるように、、、保温の状態で。汗も滴る季節だというのに。。。

 

ハッピーとドラコの声が空しく、人の流れに消えていった。

ナツはあくびをしながら、出店の中に陣取り売れ残っている商品を口にしている。。。

 

「・・・なんでこれなのよ・・・??ってかナツ!!それ以上食べないでよぉ!!(バシッ!)」

「あい!!この間ジュビアがギルドにグレパンとジュビパン持ってきたでしょ?たくさん食べたエルフマンがおいしかったから売れるって。。。」

「ふがっ!?」

「ナツー!!誰の食べてるの?」

「うーひーの。」「ドラコも~!!」

 

ナツは、両手に持っていたパンの一つをドラコの口に入れてやった。

「ナツが食べ物あげるなんて!!」と驚くハッピーを横目に、ドラコは「るーしぃ。美味しー!!!あんま~い!!」と嬉しそうに膨らんだ頬を抑え、モグモグと口を一生懸命動かし、ごっくんと咀嚼した。その可愛らしい様子に、通行人が振り向くが、、、立ち上る湯気を目に映すと苦笑いを浮かべ遠退いて行く。

 

「そうね。。。美味しいわね。確かに美味しいわよっ!!・・・でもさぁ??」

「・・・あい。季節違いだよね。。。」

 

売り子を変わった当初、最強チーム+ジュビアのパンが売られていた。

リサーナ曰く「ミラ姉が手一杯でね?このメンバーしか開発が間に合わなかったのよ!!」ということらしいが、エルザ印のパンは早々に完売していた。

この街、マグノリアにはエルザのファンが沢山いるのだ。しかも金持ち層に。。。

 

1人が買っていく個数が尋常ではなかったのだ。それが要因の一つだろう。

 

そして次に完売したものは、ハッピー印もの。

ハッピーのものは中身が甘いジャムだったので、冷やして売ったのだ。

保温器に入りきらなかったものを、冷やしていたのが功をそうした。

 

今売れ残っているもには、プリン味のルーシィパンhot少々と、激辛カレー味のナツパン少々。暖かいプリンの味が絶妙だと、是非あたためて!!とミラが言っていたらしいが、これは考え直した方がよさそうだった。どちらにしろ、もうあと少しだが。。。

 

グレパン、ジュビパンに関してはジュビアの持ち込みだという。。。

そう。。。これが大量なのだ!

 

「ねぇ。。。ルーシィ。」

「何?ハッピー。」

「グレパンはさぁ。。。。。。コショコショ」

「!?ハッピーってばっ。。。」

 

ハッピーの耳打ちに、ルーシィの目の奥が妖しく光った。。。

確かに、ハッピーの言う通りだ。

ハッピーのかわいらしい目も、しっかりと三日月型に歪められいやらしい笑みを浮かべている。

 

「あっ。ドラコ!!」

 

大好きなマスターの声に、口一杯にパンを頬張っていたドラコがクルンと振り向いた。

 

「ふーひー!!」

「あっちゃ~。。。」

 

振り向いて、今にもルーシィに抱き着こうとしたドラコにハッピーはにが笑いを向けた。そのハッピーの様子に、ドラコは抱き着くのを止め、口の中の物を飲み込み首をかしげてから、にぱぁっと笑って見せた。どんなに可愛く微笑まれても、今飲み込んだものは商品だ。

 

抱き寄せて、頭をなで頬擦りしたい衝動をなんとかこらえルーシィはキュッと眉間にシワを寄せた。

 

「ナツー!!!あんたのせいでドラコがお行儀悪くなっちゃうでしょぉ!!!つまみ食いなんて止めなさい!!」

「グホッ!?(ゴンっ!!)」

 

ルーシィの投げた電卓が見事ナツの顔面に、直撃した。

自分が投げた電卓がナツの顔にめり込む姿に、ルーシィは笑いが込み上げてきたがその笑い噛みつぶし、眉間にしわを寄せ、ドラコに振り返った。

 

「ドラコ!!ナツはああいう奴だけど、、、ちゃんとお金は払わすんだけど。。。ん~~~~もう!!

 売り物は勝手に食べちゃダメなの。ちゃんとお金を払って自分のものにしてから、食べるのよ。」

「ぶー。とうちゃんくれた!!」

「そうだねっ。ナツも悪いよねっ!!でもドラコっ今ちゃんと教わったんだから、今度はドラコがナツに教えてあげるといいと思うよ。オイラは。」

 

ハッピーが頬を膨らませたドラコに説明しているすきに、ルーシィは既に復活しているナツににっこりと笑みを向けていた。少々黒い空気が流れたが2人は気が付かなかった。

 

「ドラコ。。。おいしかったのにぃ~。お金ってなぁに??」

「あい。ドラコは、まずそこからだね。」

「ったくもう!!ドラコ。とうちゃんにはきつくお灸をすえたから。今度はちゃんとあたしに聞いてねっ。」

「ぶー。るーしぃこわい。」

「うっ。。。」

 

ドラコに純粋な視線を向けられ、バツが悪そうにルーシィはナツに視線を送った。ルーシィにつられブータレているドラコがルーシィの視線を追ってナツを見た。

先程まで、電卓が顔にめり込んでいただけのはずが、今は頭が地面にめり込んでいる。

 

「とうちゃん!!」

「ドッドラコ。。。ルーシィには・・・気を・・・付けろっ。。。。」

 

ドラコに向かって手を伸ばし、そう言って伸ばした手の力を抜き、ガクッと倒されたふりをするナツ。ドラコは慌てて、ナツのもとに駆け寄った。

目に涙をため「るーしぃ。ひどいよう」と囁くと同時に、ルーシィの苛立った声が降ってきた。

 

「何小芝居してんのよ!!ナツっ!!ちゃんとしないと、、、、もうナツの分はご飯作らないからね!!」

「あっちゃ~。余計怒らせちゃったんじゃない?ナツ。ドラコを味方につけようとしてもダメだよー。ナツ。完全ナツが悪いもん。」

「ドラコ!!ナツの小芝居に引っかかってないで、こっちおいでっ。」

 

地面にしゃがみ込んだルーシィがドラコに優しい笑顔を向けると、その笑顔に安心したドラコは、すぐにルーシィに飛びついた。咄嗟にドラコを行かせまいとナツは手を伸ばしたがそれは空をきった。

既にドラコは、大好きな胸に抱き着き「おれ。とうちゃんにだまされない!!」とルーシィに宣言している。

 

「ドラコ。お小遣いあげるから、ハッピーとわたあめ買っておいでっ!!」

「わたあめっ!?とうちゃんと見たやつ!!」

「そうよっ。あのわたあめ!!ちゃんとお金払えば、その分はドラコのものになるのよっ。」

「うんっ!!」

 

にぱぁと笑うドラコの頭を撫でその場に立たせると、ルーシィは小銭を巾着に入れドラコの首にかけてやった。ドラコが巾着を握りしめ、目を輝かせた。おつかいのお供を頼まれたハッピーも目を輝かせている。

 

「ハッピー。お願いねっ!」

「あい!!ドラコいこっ!!」

「ドラコ行く~!!!」

 

ハッピーがドラコの頭に乗って、仲良く二人は出店を飛び出していった。あれなら逸れることもなさそうだ。その2つの小さな背に向かって、ルーシィが大きな声を出す。

 

「ドラコっ!!ハッピーのいう事よく聞くのよ!!」

「は~い。」

 

「いってらっしゃ~い。」と手を振り終わると、そのルーシィの手を引く暖かい手。

ルーシィが降り合えると、バツが悪そうな表情で、倒れこんでいた場所に座っているナツがいた。

 

「・・・・なによっ。」

「いあ?・・・・よっ。」

「??もう、ナツはとうちゃんとか呼ばせてるんだから、ちょっとはいいとこ見せなさいよっ。」

「うっ。。・・・へいへい。」

 

ルーシィの手を借りるそぶりで地面から起き上がったナツは軽く砂を払うと、その脇の椅子を少し後ろに下げてそこに腰を掛けた。そして、ジーっとルーシィの横顔を見つめいる。本人には気づかれないように。いつものように眺めている。

 

確かに、いつものルーシィがいる。

以前、ギルドの仲間の娘を預かった時も思ったが、ルーシィは子供に何かと細かい。躾というやつなのかもしれないが、それが・・・・かあちゃんみてぇで、なんだかあったかい気持ちになるのだ。そこに小さなファミリーが出来たようで。

・・・・なのに、さっきまでは母性あふれる表情をしていたルーシィは、すでに完全いつも通りの横顔だ。。。長いまつげが、瞬きのたびに静かに舞っているようにナツには見えた。

 

元来きれいな顔立ちのルーシィの横顔は、見惚れるものがある。それはナツにもわかっている。決して口には出さないのだが。ついつい手が伸び、ルーシィの頬にナツの指が触れようとした時、声がかかった。

 

『ルーシィ・ハートフィリアだ!!!』

「え?」

『あっ!!!ナツ・ドラゴニルもいる!!パンだってよお父ちゃん!!』

 

「あっいらしゃいませ~。」

 

ルーシィがにこやかに対応する。その正面には目を輝かせた男の子2人と、お父ちゃんと呼ばれた男。父親はルーシィの笑顔の接客に、ほんのり頬を赤くしている。

 

・・・・・イラッ。

 

ナツはルーシィの背後に立ち、その華奢な体を包み込むように片手を腰にまわし、空いた手でカウンターにダン!!!と音を立てながら手をつき、男を睨み付けた。

ナツの鋭い視線に男が後ずさるが、その息子たちはどのパンにしようか並べられたパンに見入っている。

 

『オレ!!ナツのパンがいい!!』

『え~!!じゃオレ、グレイ!!』

『戦いごっこしながら食おうぜ!!』

『おおっ!!そうだなっ!!』

 

子供たちがそう会話を進める後ろで、ナツに睨み付けられた父親は、つーっと汗を垂らしながら、ナツから視線を逸らした。

 

「んもう!ナツ暑い!!」

 

ナツに抱えられて一瞬頬を赤くしたルーシィも、その後微動だにしないナツ、、、意味が解らないその行動とその暑さから逃れようと、ルーシィはナツを押しのけた。ルーシィに押され、少しその距離をとるがその視線は目の前の父親の男を睨み付けたままだ。

 

『お父ちゃん誰にする~??』

『お父さんは、ルーシィのファンだろ?ルーシィだよね!!』

 

「ええっ///」

 

父親は何も言葉を発していなかった。というかナツの視線に、言葉を発することができなかったのだが。息子たちが勝手に注文を終えていた。

 

ルーシィは、ファンだと名指しされ、まんざらでもなさそうにほんのり頬を染めている。

 

ルーシィから手渡されたパンを手に持ち、子供たちはナツとルーシィに笑みを向け手を大きく振って父親と道の先を目指していってしまった。どことなく挙動不審な父親の姿に、ルーシィは、首をかしげながらも、その背に手を振って返していた。

 

 - 『お父ちゃん。生ルーシィ可愛かったな!!』

 - 『あっああ///』

 - 『おっぱい大きかったな!!』

 - 『なっ!でかかった!!』

 - 『生ナツもカッコよかったよなぁ!!』

 - 『パン一口ずつ分けっこしようぜ!!』

 - 『『妖精の尻尾の魔導士かっけ~な~!!』』

 

そう離れたところからさっきの子供たちの声がナツの耳には届いていた。

唇と尖らせた後、かすかに口角を上げ、ナツがルーシィに振り返った。

少し不貞腐れた顔で、ルーシィを見た。その視線にルーシィは、何だろう

?と首をかしげた。

 

「?どうしたのよ??」

「いあ。」

「まあ売れてよかったわねっ!!もっとどばって買ってくれる人通らないかなぁ~」

 

ルーシィは出店のカウンターに腕を胸を乗せダランと突っ伏した。

 

 

 

「ドラコー!!はっしれ~!!」

「おー!!」

 

行きかう人達の間を縫うようにハッピーを頭に乗せたドラコは走った。

翼を広げればすぐなのだが、ドラコの竜の翼は大きく硬く強い。 (´・ω・`)

その為、街中など特に人の多いところでは翼を広げてはいけないとマスターのルーシィに言われているからだ。

 

その注意を受けるとき「今度、広いところで練習しようねっ!!」そう言ったマスターの笑顔に、ドラコの胸は期待に膨らび、約束を交わしたのだ。

仕事がなくて、天気のいい日にお弁当というものをもっていこうと、ピクニックみたいだとハッピーも喜んでいた。

 

そこでならたくさん飛んでもいいって、ハッピーと競争しようって言われたんだ。

マスターを抱えて飛んだら、きっと楽しいぞっ!!

 

「ハッピー!!ドラコ楽しいこと大好き~!!!!」

「あい!!オイラだって大好きだよ~!!沢山楽しいことしようねっ!!」

「うんっ!!わたあめ~!!!」

「あい!!」

 

すぐにわたあめが売っている出店が見えた。

透明な袋に、色とりどりのわたあめが入っている。店の横にぶら下げられている説明を見ると、色によって味も違うようだった。

店の前に立って、ドラコとハッピーはいろいろな色のわたあめを眺めた。

 

青いのは、冷たいブルーハワイ味。

黄色いのは、レモン味。

オレンジは、オレンジ味。

赤は、イチゴ味。

緑は、ミント味。

クリーム色が、バニラ味。

 

「あれ!!父ちゃんの色!!」

 

ドラコが、ピンク色のわたあめを指さした。

 

ピンク色は、桜味。

 

「あいっ!!みんなの髪の色があるね!!」

「うんっ!!ドラコの赤もある~!!!」

「ドラコは、赤にする??オイラはどうしようかな~。。。」

 

わたあめの色を眺めながら、青い猫がほんのりと頬を染めたことにドラコは気がつかず、目をキラキラさせたまままだわたあめを眺めている。

 

「ドラコ先に頼んでいいよ。お店のおじさんに何色が欲しいか言えばいいんだよっ。」

 

ドラコは目を輝かせた。ハッピーに注文の仕方を聞いて、きらきらと輝くひとみを出店の親父に向ける。

 

「おじさん。ドラコのは赤!!!ルーシィのは黄色!!父ちゃんのはピンク!!ハッピーのはハッピーに聞いて~!!」

「はいよ~。」

 

ドラコの声に応え、出店の親父が作業に取り掛かった。

色の着いた砂糖の結晶を機械の中心に入れると、機械が回転を始めた。

まずは赤い綿のようなものが機械の中でフワフワと舞うと、それを素早く出店の親父が棒に纏わせた。終始キラキラした眼差しで、ドラコはそれを眺めている。

 

・・・・が、ハッピーには一つ気がかりが。。。

 

「・・・ドラコ。巾着見せて!!」

「はいっ!!」

 

笑顔のままドラコが巾着の口を開いて、ハッピーに向けた。

 

・・・思った通りだ。

ルーシィが小銭を巾着に入れるところを、チラッと見ていたんだ。

ハッピーは大きくため息とついて出店の親父を慌てて止めた。

 

「おじさん!!ちょっと待って!!お金少ししかないんだ!!」

「あんだってぇ?」

「??」

 

出店の親父は、赤いわたあめを袋に入れたところだった。

その動きが止まった。親父も困ったように、眉をゆがませ息を吐いた。

ドラコは不安そうにハッピーを見た。

 

「ハッピー!!るーしぃお金くれたよ!!」

「うん。でもねドラコ。ルーシィのくれたお金だと、わたあめ2つしか買えないんだよ。」

「・・・??」

「ドラコの赤いのと、もう一つだけ。わかる?黄色か、ピンクか、あともう一つしか買えないんだ。。。」

「ぶーーー!!どっちもほしいもん!!」

「だ~め!!どっちかなんだ!!オイラのいう事聞くように、ルーシィにも言われたでしょ?」

「・・うううう~・・やー!!やーだぁー!!」

 

「・・・どうすんだい?」

 

見かねた店主が、声を掛けてきたが、一向にドラコの膨らん頬は引っ込まない。赤色のわたあめが入った袋は紐で縛られ、ドラコとハッピーの目の前をぷかぷかと宙に浮いている。

 

「ドラコ。お店の人に迷惑かけちゃうから、一回これだけ買って帰ろうか?」

「ぶー。。。」

 

ハッピーもここで引くわけにはいかないのだ。

ルーシィに頼まれてもいるという事もあるが、自分はドラコのお兄さんなのだ!!ハッピーは奥歯をかみしめながら、厳しい目をドラコに向けた。

ちゃんと教えてあげないといけないんだ!!

 

「ほらっ!お金払って!!」

「・・・ん~。。。」

 

ドラコは、そっとお金の入った巾着に手を突っ込み1枚のコインを出店の親父に渡した。するとお金と交換で赤色のわたあめと、渡したよりも一回り小さいコインがドラコの小さな手渡された。

 

「わたあめ!!」

 

赤色のわたあめが入った袋をもって、飛び跳ねるドラコ。

何とか理解してくれたのだと、ハッピーは胸をなでおろしていた。

 

「さっ。ドラコ。そのおつりでね。他の物を買ってもいいし、もう一つだけわたあめを買ってもいいんだよ~。どうする?」

「黄色とピンク!!」

 

即答だった。頭を抱えたハッピーのとなりでドラコは笑顔のまま、おつりのコインを出店の親父の目の前差し出した。極上の笑顔つきだ。

その行動に、出店の親父は困ったようにハッピーの動向に目を向けた。

 

「ドラコ。ほかのもの買わなくていいの?」

「うん。とうちゃんもわたあめ食べたいって言ってた!!るーしぃも後でみんなで食べようって言ってたもん!」

「そっか。ドラコは優しいね。・・・・でもね。買えるのはもう1つだけなんだ。」

「ぶー。」

 

ドラコの目に、涙がにじんだ。困ってしまった。。。ドラコは純粋にルーシィとナツの為にわたあめを買って帰りたいだけなのだ。ハッピーは眉間にしわを寄せ、どうしようかと途方に暮れてしまう。

 

オイラが買ってあげてもいいんだけど。あぁ。。でも、、だめだよなぁ。

こういう場合ってどおするのがいいんだろう。。。

ドラコ。。。はじめての買い物なんだよなぁ。

ちゃんと買わせてあげたい!!

 

「ドラコ!!じゃあオイラがナツの分を買うよ。だからドラコはルーシィの分を買ってあげて!!」

「ふう??・・・ヤ!!ドラコが買うの!!るーしぃがお小遣いくれたからっ!!」

「でも~!!」

 

ハッピーの頭はこんがらがってしまった。この際ひとっ飛びしてルーシィをここに連れてきたい。

でも、、、オイラお兄さんなのに。。。だんだんと、ハッピーの目にも涙がにじんでくる。

 

「・・・ドラコ。。。」

「はっぴー。。。」

 

ドラコの大きな目にも、涙がにじんでいる。なんでだかわからないが、ハッピーがダメだというのだ。るーしぃはハッピーのいう事を聞けといったけど、ドラコはどっちも選べないのだ。。。

 

ハッピーとドラコ。

目を合わせて、今にも泣きだしそうになったところで、その後ろから声がかかった。

 

「ハッピー??何やってんだこんなとこで。」

「えっと。。。ドラコでしたっけ?どうしたんですか??」

 

 

ハッピーとドラコはそろって、声のする方に振り向いた。二人とも目には涙を浮かべている。潤んだ4つの瞳に、グレイはングッと息を飲んだ。

ハッピーが何とか事情を説明すると、困りましたねと、ジュビアまでも眉を下げてしまった。グレイは、大きなため息をつきボリボリと頭を掻いた。

 

「・・・お前ら二人とも、1つ分づつ金払ってけっ!!」

 

そう言って、グレイは店の前で繰り広げられる光景にほとほと困っていた出店の親父にこそこそと耳打ちした。グレイの提案に出店の親父は、今回だけですよっといいながら、機械を動かし始めた。

 

出来上がったのは、他の物の半分の大きさの黄色のわたあめ2つとピンクのわたあめ2つ。

 

そしてグレイは、ドラコとハッピーにそれぞれ1つ分のわたあめのお代を払わせた。受け取ったものを手に、ドラコが飛び跳ねて喜んでいる。

 

羨望の眼差しをグレイに向け「グレイすごい!!」とにぱぁっとわらっている。その視線に、たらりと汗を流しながら、グレイがドラコに視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。

 

「手伝うのは、今回だけだぞ。次は自分でしっかり考えやがれ!!」

 

そういって、普段ルーシィにそうするように、ツノの生える赤い髪をクシャりとなでた。頭を撫でられたドラコは嬉しそうに目を細め、グレイに抱き着いた。

 

ったくしゃあねえなぁ。というグレイにすっかりなついてしまったドラコは、その手を引いてナツとルーシィの待つ出店に向かって走り出してしまった。捕まえられてしまったグレイは、ぐったりとした表情を浮かべながらも抗うことなくその手に引かれて足を進める。

その後ろを「待ってください~!!グレイ様~!!」とジュビアもついて行ってしまった。

 

その隙にハッピーは自分のわたあめも頼み、もう一つわたあめができあがった。出来上がったばかりのわたあめを手にハッピーは翼を広げる。

 

「ドラコ~!!ダメだよ~オイラを置いて行っちゃ~!!!」

 

 

「んん~。」

「どした?」

 

 

眉間にしわを寄せ通りを渋い顔で見つめるルーシィに、ナツは同じように眉間にしわを寄せてその隣に立った。ルーシィは、、、ナツも、まだ戻ってこないドラコとハッピーを目で探していた。

 

ルーシィが目を細め、人の流れの先を見つめていると、隣に立つナツの耳がトタトタと走ってくる音を拾った。それは、確かにドラゴなのだが、、、、、、ドラゴ以外にも知った足音がしている。眉間にしわを寄せてナツは、不機嫌そうにドカリと出店内の簡易椅子に座りなおした。

 

先程からちらほらとパンが売れてはいるが、まだまだそこに積み重ねられた量に、溜息をつきながら、ルーシィは「あ~あ」とため息と「ドラコ達遅いわね~。」とぼやきを落としていた。

 

 

「なんかトラブルになってなきゃいいんだけど。」

「・・・もう戻ってくんぞっ!!」

「え?」

「ここに向かってくる、足音が聞こえんだよ。」

「そっかぁ。へえ。。。ナツって、、、便利よねぇ。」

 

 

感心したように目を丸め、そして少し安心した様にほほ笑むと、ルーシィはナツの隣に座った。その視線は未だドラコたちが消えていった通りに向いている。

 

ナツは座っているパイプ椅子を斜めに揺らしながら、ルーシィの横顔を眺めていた。眉を寄せたかと思うと、目を細めて遠くとみて、目をみ開いたかを思うと眉毛を上げて。一つ一つの動作に感情がのっているようで、ルーシィはいつだって表情豊かだ。その横顔がうれしそうな笑顔に変わった。椅子から立ち上がるルーシィ。

 

 

匂いが届いていたので、ドラコとハッピーが返ってきたんだとナツは解っていた。・・・・だが、気に食わないおまけもいる。ナツがルーシィに合わせて椅子から立ち上がると、案の定視界に映る人物に対して大きく息を落とした。

 

なんで、、、変態と一緒にいんだぁ!?

 

 

「グレイ!!ジュビア!!」

 

 

ルーシィの弾んだ声が耳に着く。いつも以上に嬉しそうに感じるのは気のせいだろうか?一番遅れて飛んでくる相棒の目も、なんだか楽しそうに歪んで見える。

・・・・何をたくらんでいる!?

 

「るーしぃ!!!とうちゃんただいまぁ~!!」「ただ~!!」

「うっす!!」「こんばんは。」

 

ドラコがわたあめの入った袋を大小合わせて3つ、振り回しながらナツに飛びついた。もうすでにルーシィには頭をポンと撫でられた後だ。

そのドラコのにぱっとはじけるような満面の笑みに、つられてナツの口角も持ち上がった。

しかし、、、よく見るとハッピーまでも、ドラコと同じものを持っている。なぜわたあめばかり・・・??

 

まあいいかと、飛びついてきたドラコを片腕で抱き上げ、「よくやったなっ!!」とこぶしをこつんを合わせた。

 

ルーシィは何やらグレイと笑顔で話し込んでいる。若干グレイが引き腰になっているのは気になるが、、、まあいい。相手はグレイだ。少々イラつくが気にしないように努めた。

声は届いているのだが、興奮してテンションの上がっているドラコの相手でその話の内容まで頭に入ってこない。まぁ、こちらを構う方が優先だとナツはドラコを地面に立たせ、その前にしゃがみ込んだ。

 

ルーシィのグレイに向けるルーシィの笑顔が視界の端に入っているが、、、なるべくそちらを見ないようにしていると、目の前にピンクのわたあめが入った袋が差し出された。

 

 

「これが父ちゃんので、黄色がるーしぃの!!それでぇ~、赤いのが、ドラコの~!!あとねぇ~ハッピーのはハッピーがもってるぅ!!!」

 

わたあめ楽しいねぇ~と、きらきらした眼差しを向けてくるドラコにすっかり毒気を抜かれてしまったナツは、ドラコの持っている黄色いわたあめが気になった。

その薄い黄色は、ルーシィの金髪に近い色をしていた。

 

「・・・・オレ。。黄色がいいな。」

「え~!!!!!父ちゃん桜味きらい??レモンの味がよかったの??うぅ~。」

 

口に出す気がなかった言葉がポロリと漏れ出ていて、ナツは内心焦った。目の前からドラコの沈んが声がする。、慌てながらナツは、ドラコの頭を撫でピンクのわたあめに手を伸ばしながら、ルーシィの方に振り向いた。

 

 

「なんでだよっ!!!」

 

グレイの声が響いた。

慌てるグレイ。目を輝かせるジュビア。視界に入るルーシィの白い手。

その手はしっかりと、、、、グレイの服の裾を掴んでいる。結構必死な様子で。。。・・・・多分逃がさないために。ハッピーに至っては、グレイの頭に乗っかっている。

・・・・・・。

 

ナツはルーシィの手から視線を外せないでいた。すると、ルーシィの白い手に、ポンポンとグレイの手が触れた。

 

「あ~もう今日は散々だなっ。。姫さんには負けるわ。。。」

 

 

眉をひそめたナツの視線を追っていたドラコが「あーーーーーーーー!!!!!」っと叫んだ。

弾かれたように、ルーシィの後ろから飛びついた。

 

「るーしぃ!!ドラコの!!いいこいいこ!!!」

「へっ!?」

 

突然のことに慌てて振り返るルーシィ。が、ドラコの行動に目を細めぽんとその頭を撫でた。そして思いついたように、ドラコを抱きかかえた。

 

「ほらっ。ドラコもお願いして!!グレイが買ってくれれば、完売よ!!」

「!?かんばい??」

「完売したら、ドラコと遊びに行けるのにねぇ。。。。ねっ!!グレイ!!ジュビパン!!買っていってよ!!ジュビアはグレイに食べてほしくって作ったのよっ!ねっ!!!」

「はいっ!!」

「グレイ~!!ジュビパンおいし~よ~!!買ってぇ!!」

 

いつの間にか袋詰めされているジュビパン。

いつの間にか袋詰めをされたグレパンを抱えるジュビア。

ルーシィとハッピーの顔に広がる満面の笑み。ついでに、ドラコも上目づかいでグレイを見ている。

 

日常では喧嘩ばかりとはいえ、特別気の合わないやつとはいえ、、、気心は知れた古い付き合いであるグレイ。。。そのグレイが、ルーシィとハッピーのあの目から逃れることはかなわないだろう。

 

焦る様子のグレイを鼻で笑いたいところだが、ここで喧嘩になってパンの完売を妨げるわけにはいかない。ナツはにやける笑みを呑み込み表面上平静を装っている。

 

「・・・しょうがねぇなぁ。」

 

 

グレイが大きくため息をついた。一瞬視線がかち合ったが、ナツは知らない顔を決め込んだ。下手に口を出して、グレイとけんかになれば、、、きっとルーシィに怒られるのだ。腹黒くハッピーはクフフフっ作戦成功だね!!と笑っている。

 

「・・姫さんのとそこの役立たずのパンも残ってんじゃねぇか!!」

「あぁ。まぁね。・・・自分のは自分で引き取るわよ。」

「ほぉ。」

「グレイ様!?まさか!!ルーシィのパンを!!!きぃぃぃぃぃl~!!!恋敵~!!!」

 

メラメラと沸騰していくジュビアに冷や汗を流しながら、グレイは首を横に振り、ルーシィも額から汗を流した。

 

「いあっ!!姫さんのはナツが喰っちまうんだろうなと思ったんだよ!!そすっとクソ炎のが残るんじゃ。。。」

「いあっ!!ジュビア!!あたしのは、いいのよ!!なんかグレイに食べられるのやだし。。。」

「そうだよなぁ~俺に食べら・・・おいっ!!」

「だって。。。知ってる人に食べられるの・・・やじゃない?」

「・・・自分を食べるよりは。。。いんじゃ。」

 

ルーシィとグレイのやり取りに、ドラコが目を輝かせた。満面の笑みで、2人の間に割って入る。

 

「るーしぃのパンは美味しいよ!!プリン味~!!父ちゃんも好きだって!!」

「・・・へっ///」

「ほ~ぉ。俺に食わせるのはヤでも、、、ナツには食わすんだな。。ほぉ~。。。。」

 

途端ニヤニヤと顔をゆがませるグレイ。弾かれた様にルーシィは頬を染めて、袋に入ったジュビパンをグレイに押し付けた!!

 

 

「もう!!何でもいいでしょ!!グレイはジュビパン食べて!!ねっ!ジュビア!!」

「!?はい!!!グレイ様~!!ギルドに戻って紅茶でも入れますねっ!!!」

 

幸せそうにグレイの腕に手を絡めてくねくねと体を揺らすジュビア。

ルーシィは、にやりとした笑みをグレイに返すと、手を振った。

 

「じゃぁ。ありがとうございました~!!!・・・・・かんば~いww」

「やったね~ルーシィ!!」

「わー!!!遊ぼっ!!遊ぼっ!!るーしぃ!!!!」

 

 

ルーシィに巻き付いているドラコが、そのまま頬擦りをして、ナツに笑いかけた。

 

 

「とうちゃん!!!あそぼー!!」

 

 

「っし!!遊ぶぞー!!!」

 

 

ナツとドラコ、ハッピーは妖精の尻尾の出店から飛び出していく!!

 

 

「ちょっ!!!まってよ~!!か~た~ず~け~~~~~~!!!!もうっ!!」

 

 

 

 

Fin

おまけ→

0812

 

~おまけ~

 

さんざん出店を巡り射的や輪投げ、買い食いを繰り返した後、ルーシィ達は公園のベンチで休むことにした。

 

「あれ?ハッピーが食べてるのは青じゃないのね?」

 

ルーシィの言葉に、青猫はポッと頬を染めた。

どうやらこの青猫は、相棒よろしく。同じことを考えたらしい。

 

「だって、真っ白じゃないけど、、、シャルルみたいでしょ?」

 

青猫は、フワフワと揺れるクリーム色のわたあめを一掴みして、ぱくっと口に放り込んだ。

 

「ん~甘いっ!!」

 

口に広がる甘さと共に、いとしい白猫の笑顔が脳裏に浮かんでくる。ハッピーの鼓動は自然と早くなっていた。

ルーシィもそういえばと軽く頬を赤くし、ピンク色のわたあめを一つまみ口にほおりこんだ。

 

結局のところ、ナツはドラコからピンクを、ハッピーから黄色のわたあめを受け取っていた。ルーシィはその残り。必然的に黄色とピンクが渡されたのだ。

 

わたあめの出店での出来事はグレイに聞いていた。

何とも微笑ましいドラコの心情と、そんなドラコを一生懸命指導しようとしていたハッピーが可愛くて仕方なかった。

甘やかしてはいけないのだろうが、、、思いっきりこの2人を胸に抱きしめたい気持ちでいっぱいだ。

 

ピンク色のわたあめを食べ終え、ルーシィは口にお茶を含むと黄色のわたあめの袋に手を伸ばした。

・・・・。

が、その手が空を切る。

視線をやると、そこにわたあめがない。。。はぁ。

 

「キャー!!レモン味もおいしいねぇ~!!」

「あいっ。オイラのもおいしいよぉ!!」

「おいっドラコ!!ルーパン全部食べんじゃねぇ!!」

「ガオ~~!!!父ちゃんのパン辛~い!!るーしぃのわたあめ~あんま~い!!」

 

そこでワイワイとじゃれ合う男共に視線を送ると、ドラコがいち早く気づき、赤いわたあめをもってルーシィに飛びついた。

 

「るーしぃ!!ドラコのわたあめあげるねぇ~!!はいあ~ん。」

 

ドラコの竜の手に一口大にちぎられた赤いわたあめがつままれている。

ルーシィはしょうがないなぁと目を瞑って、あ~んと口を開いた。

横切る風。

 

”ぱくん”

 

「あ~!!父ちゃんのパン!!」

 

ドラコの驚いた声が響く。

 

「!?かっか辛い~!!!!!!こらー!!!ナツ―!!!」


汗が吹き出し、ルーシィの顔が真っ赤に染まる。手に持っていたお茶を口に含み、いたずらをした本人に涙目を向けた。

 

「るーしぃ。父ちゃんのパン美味しくないの??」

「っ!!そっそういうわけじゃっ!!!」

「あい!!じゃぁ。ナツパンおいしかった??ナツだけどぉ!!」

「//////////うん。おっおいしいわよ!!辛いけどねっ!!!」

 

ボフンと何かが噴火した。ルーシィの後ろの方から蒸気が上がった。

ルーシィは振り向こうとしたが、「じゃぁ今度は甘いの~!!」とドラコがわたあめを口に運んでくれているので、そちらに顔を向けることはできなかった。


おまけのおまけ~ナツとハッピー帰り道。~


「ナ~ツ~!!そんなに自分を食べさせたかったの?」

「っ///はぁ!?!?」

「だってナツってば、結構 機会伺ってたじゃん!!」

「えっ・・・・いあ。。ただの悪戯だぞ!!」

「・・・・ふ~ん。オイラさぁ。ルーパン食べてないな~。ナツとドラコが全部食べちゃったしねぇ!!食べたかったなぁ~」

「うっいあ。」

「ルーシィ他の人に食べられちゃうのやだったんでしょ・・・??」

「//////うっせっ!!」

 

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ハッピーはいっつもかわいいしっ!!

ドラコにお手伝いをさせようと思って書き始めたのに。。。。

チラッと、はじめてのおつかいを思い出してしまったww

gdgdすみませぬm(__)m

この後、魔法研究所に行くお話があるんだけど。。。需要ある?もう飽きたかな。。。?←

 

取り合えず。違うのを挟もうかと思ってます(*'ω'*)

未来ルーちゃんとかが、今の時間軸に戻っていくお話。短いけどガジレビを意識してる。。。だってさぁ!!未来レビィちゃんが気になって気になって( ;∀;)

毎晩、moの頭の中でガジル君がレビィちゃんを探して走ってるんだよ~!!!

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