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2014年07月22日~

魔法研究所シリーズ~竜座~

~竜座のドラコ~

ナツとルーちゃんのもとに舞い込んだ魔法研究所からの依頼。それは、星霊の鍵を作る実験をするのだというのだ。

研究所で作り上げた鍵を媒体にナツの魔力とそれをルーシィが繋ぐ。

   

 

ルーシィの元に、竜座の鍵がやってきた。

竜座は、やはり普通の星霊の鍵とは違う。

呼び出すときに多くの魔力を消耗するが、呼び出してしまえば魔力を常時消費し続けるということはなかった。

 

その姿こそ、半竜であるがその辺にいる子供とさして変わりのないようにも感じる。

ナツの顔をした赤い髪の半竜は、素直な性格でルーシィのいう事をどんどん吸収してくれる。

 

・・・・期間限定かもしれないが、、、ナツの魔力で作られた子だ。

可愛がって、情が移ってしまうのが怖かった。だが、もうそれも後の祭りだ。

既にルーシィの中で、竜座の鍵・・・・ドラコという存在は、確たるものになっている。

ナツとハッピーと3人でじゃれあう姿を見ると、あったかい気持ちがあふれてくる。

 

きっと、きっとどうにかなる!!どうにかする!!あたしだけじゃダメでも、、、ナツがいる。

だってナツだもん!!何とかしてくれんじゃないかって、、、そんな気がしてしまう。

 

 

ルーシィは、ギルドのカウンターで早々に食事を終えて騒ぎ出しているナツとドラコを視界に映し、優しく微笑んだ。

 

 

昨晩初めてドラコを呼び出した。

鍵がなした形にそれぞれ驚いた。可愛い存在だ。きっとエルザが見たら・・・しばらく戻ってこないだろう。。。そう思うと、またもクスリとルーシィから笑みがもれる。

昨晩寝ないで、ナツとハッピーとあたしと・・・ドラコで夜を過ごした。

1つ分かった事がある。

 

ドラコは魔力を回復するとき鍵に戻るのだ。

ずーっと遊んで、笑って、食べて、釜戸に火を吐いたりしていた時、ハッピーが大きなあくびをしてその顔に、窓から光がさした。

ああ。いつの間にか夜が明けてる!!そう思って窓を見ていた視線を部屋に戻すと、ナツとハッピーが折り重なるように寝転がり、吐息を立てていた。

その傍らに、ドラコ。ナツの腕を枕に気持ちよさそうに寝息を立てていた。

 

その前までは、確かにナツの足の間に座っていた。

ツノが当たるだ羽が刺さるだと、文句を口にしながらもナツは胡坐をかいた自分の足の間にドラコが座ってきても、どかそうとはしなかった。

文句を言いながらも、結局ヨシヨシと頭をなでていた。

 

その光景に、あぁ。ナツっていいお父さんになるんじゃない??

ふとそんな思いが胸を温かくした。

考えてみれば、ハッピーを育てたのも・・・ナツなんだけどねっ!!

 

クスリとほほ笑みながら床で寝てしまった奴らにタオルケットを掛け、カーテンをしっかり閉めなおして、自分も夢の中に沈んでいった。

 

 

 

「ルーシィ!!オイラお腹すいたよ~!!」

「んんっ!?」

 

ボスンと胸に乗っかる重みにルーシィは眉を寄せながら、重たい瞼を持ち上げた。

 

「ふはぁあぁぁ。。。はっぴー?」

「あい!!ルーシィおはよう!!」

「・・・・おはよう。。。」

 

ボーっとする思考の中、胸の上からハッピーをどけるように、布団に引きずり込もうと手を伸ばしたがそれが空を切る。

 

「・・・はっぴぃ??」

「ルーシィ寝ぼけてるの?じゃぁ・・・オイラ先にギルド行ってるね~!!ナツをよろしくね~」

 

ハッピーの声が、ぼやける脳に響いてきた。

ルーシィは手を持ち上げ、ヒラヒラとそれを振った。

そしてその手で、ハッピーにはがされた布団をかぶりなおし寝返りを打った。

暖かい温度に包まれ、安心して目を閉じ・・・・・れるわけがない。。。

 

ルーシィの目の前には鍛え上げられた男の胸板。あたたかいと思ったそれは、たくましいナツの腕。。。

カーッと熱が顔に集まり、爆発する。ルーシィは大きく息を吸い込んだ。

 

「っ!!!!!きゃっーーーーーーーー!!!!!!」

 

“どこぉぉぉぉぉぉ!!!!!”

 

叫び声とともに、ナツが壁に頭を打ち付けながら目を覚ました。

そのままの形で、「はよっ。ルーシィ!」と歯を見せて笑った。

何のことなくその場から立ち上がり、真っ赤に染まったままのルーシィの元へと歩み寄る。

 

「えっ//なっなに!?///」

 

焦るルーシィをよそに、ナツは枕元に置いてある赤い鍵を手に取った。

それを手に、顔を綻ばせた。

 

「ルーシィ。」

「ふっ!?へっ??」

 

ルーシィは呼ばれた方に、まだ赤みのひかない顔を向けた。

そこには、目を細めて笑う大好きな人。

 

「ありがとなっ!!」

「え?」

「ドラコを呼んでくれて!!あいつ可愛いやつだよなっ!」

 

満面の笑みのナツに、つられるようにルーシィの顔にも笑顔があふれる。

一回起きたら、鍵に戻ってやがった。と付け加えるように言った。

 

「フフフッ。ナツってば父ちゃんなんて呼ばせるんだもん!」

「あー?あれはアイツが勝手に、、、、まぁ、悪い気はしねぇけどなっ!!」

 

ポリポリと頬を掻く姿に、ルーシィは目が離せなかった。

が、見とれてしまっている事に自分で気づき慌てて、ナツの手から赤い鍵を取り上げた。

 

「意外な一面・・かな?」

「あ?」

「ん~ん!!ってか、ドラコはあたしのよ!!」

 

そういってルーシィはニット歯を見せて笑った。

ナツはうっ!!と声にならない息を呑みこみ、ルーシィにジト目を送る。

クスクスと笑いながら、竜座の鍵を大事そうに掌で包み込むルーシィの姿を目に、ナツはマフラーを引き上げ、弛んでしまったであろう口元を隠した。

 

『ぐきゅるるるるる。』

 

そのまま視線を泳がせていたナツが腹減ったなと、腹を擦った。

 

 

「そういえばハッピーは?」

「あぁ!!ギルドでご飯食べるって飛び出して行ったわよ!フフフッ。お兄さんって言っていたけど、相変わらずね?」

 

優しく笑うルーシィ。

ナツはその場にすくっと立ち上がった。

 

「じゃあ、俺らも行くか!!」

「あっ先行ってっていいわよ?あたしお風呂入るし。」

「・・・へ?」

「昨日、シャワーも浴びないで寝ちゃったじゃない?なんか気持ち悪くって!」

 

何食わぬ顔で、ベッドの乱れを直し風呂に入る支度を始めるルーシィ。

 

 

「ナツもお腹すいちゃったでしょ?先行ってれば?」

「・・・・いや。待ってる。」

「へ?どうしたのよ??・・・べっべつにドラコ独り占めしようとか思ってないわよ?」

 

昨夜の彼の言い分を思い出し、また何かやるのではないかとルーシィは焦ったように額から汗を流した。そんな様子のルーシィをよそに、ナツはドカッとソファに座りなおした。

 

「おっお腹すいたんじゃないの?」

「おう。腹は・・・減ってるぞ?」

「じゃぁ、、、まってなくっても?」

「いんや。待ってる!!」

「・・・・なんかそんな風に待たれると、、、支度しづらいんだけど。。。」

 

ルーシィがタオルと着替えを抱え、ナツを見た。

ナツは彼の定位置ともいえるソファに身を沈め、目をぎゅっとつむっている。

 

「いい!!いいって言ってんだろ!!はやく入って来いよっ。」

 

何を意地になっているのだろうと、ルーシィは頭を傾げながらもささっとシャワーを浴びた。

塗れた髪をタオルで纏め、それ以外の身なりを整え、脱衣所から出てくると、そこにナツが立っていた。

入れ替わるように浴室に入っていく。

 

「ちょっ!!あんたも入るわけ??着替えは??」

 

ザーとシャワーの水の流れ落ちる音がしてくる。

扉の向こうから、くぐもった声が響いてきた。

 

「あー?こんなんすぐ乾っから。気にしなくていいぞ?」

「!?ちょっとぉ?!お風呂場で火出さないでよ!!外でやってね外で!!」

 

はぁ?めんどくせぇと言いながらナツが浴室からずぶぬれで出てきた。

黒衣を脱いで、余分な水分を絞りまたそれを羽織った。

 

「ぅしっ!!ルーシィ準備できたか~??」

「え?あ~うん。もうちょっと!!」

「じゃ、オレ先外出てんなっ!!服、乾かしてぇし。」

 

そういった傍から、外へ駆け出した。

 

「・・・んもう!!そんなんなら先行けばいいのに。。。」

 

ふぅと小さく息を吐きルーシィは、パチンとヒールの留金を止め鞄を肩にかける。

左手に赤い鍵を握りしめ、右手で玄関のドアを閉めた。

 

「なつー!!お待たせっ。」

「おう。」

 

運河沿いの塀に腰を掛けていたナツは、ルーシィの姿を目にとめ腰を浮かした。

カツカツカツとヒールを鳴らしながらルーシィはナツの傍らに、当然のごとく寄り添った。

 

「よしっ!!ドラコ呼ぼうぜ!!」

「え?今??」

 

ルーシィがナツの顔を除く。楽しそうに笑った顔が目の前でこくんと頷いた。

ルーシィも、呼び出そうとは思っていた。・・・・ギルドに着いたら、呼び出そうと思っていたのだ。今呼び出すのに意味があるのだろうか?

 

ルーシィは頭を傾げながらも、ナツの笑顔に押し切られるように、握りしめていた赤い鍵を空に掲げた。ナツはその様子をきらきらした眼差しで見つめている。

 

「開け!竜座の扉。。。ドラコ!!!」

 

“チリーン!!”

 

可愛い鈴の音ともに、ドラコが煙の中から現れた。

 

「マスターるーしぃ!!」

 

満面の笑みで、ルーシィに抱き着くと、顔だけナツに向けてニパッと笑いかける。

 

「父ちゃん!!」

「おう。ドラコはよっ。」

 

ハッピーよりも2周り位大きいドラコは、ルーシィに抱き上げられると嬉しそうに目を細めた。だが、ルーシィには少し重そうだった。それを横からナツがかっさらい、自分の肩に担いだ。肩車だ。

 

「ぅしっ!いくぞぉ!!」

「クスクス。なに?ドラコと歩きたかったの??」

「あぁ!!いろんなもん見してやりてぇだろ?ルーシィに任せると本ばっかりになりそうだからなっ!!」

 

カッカッカッカッカ~と豪快に笑うナツの脇で、ルーシィは顔を朱に染めた。

これでは教育ママに文句を言う休日の父親のようだ。。。

つまり、、、ママとはこの場合自分で想像してしまったのだ。

自分の傍らで、自身にそっくりの容姿のドラコを肩車するナツの笑顔が、ルーシィにはいたくまぶしかった。

 

ドラコもナツも知ってか知らずか、なんにつけてもルーシィに声を掛け その返答を待っている。

 

「なぁルーシィ。あの辺からいい匂いすんなっ!!」

「…ダメよ。ナツ!!もう少しでギルドでしょ?」

「ちえっ。」

 

「るーしぃ!!あれっ!あれっ!!あれ何??」

「ん~??あれね。綿あめっていうのよ。お砂糖で出来たお菓子で、あっまくてふわふわしてるの。」

「おれ。食べたい!!」

「もうっ!!あれはおやつ!!ギルドでまずはご飯食べましょ??」

「ぶー!!」

 

「ルーシィ!!あれあれ!!あれ喰おうぜ!!」

「るーしぃあれは??」

 

「ルーシィ!!腹減った~!!」

「るーしぃお腹減った~!!」

 

「クスクス。もう!!あんた達いい加減にしなさ~い!!

 

3人の会話は、街に響き渡り優し風が吹き抜ける。

そこかしこから、クスリクスリと笑みがあふれている。

妖精の尻尾のあの2人が、羽の生えた子供を育てていると、噂に乗るのはすぐだろう。

 

「ほらっ!!あそこが妖精の尻尾だぞ!!」

 

ナツが嬉しそうに、肩に乗るドラコに声をかけた。

その声に反応して、ドラコが翼を広げる。肩が軽くなると、ナツが地面を蹴った。

 

「ドラコ競争なっ!!」

「あっ!!父ちゃんずるい!!」

 

走り出したナツの背中を追う様に、ドラコが翼をはためかせる。ぶわっ!!と空気と塵を舞い上げ、ドラコが飛んでいく。

ルーシィの視界の先で、ナツに追いついたドラコがナツの頭に飛びつき、ギャイギャイとじゃれあっているのが目に映った。

 

「フフフフッ・・・・・・あっ。。。」

 

視界の先で、何かの拍子にドラコが火を噴きナツの頭を焦がした。ナツは口から煙をブホッと吐き出した。途端2人して笑い転げている。

 

「・・・ったくもう。ハッピーがやきもちやいちゃうじゃない。」

 

ポツリと呟くと、ルーシィも地面を蹴った。

 

「こらー!!あんた達、街を破壊しないでよぉ!!!」

 

ルーシィがナツとドラコに近づくと、ナツがドラコに何か耳打ちしてドラコを抱えて走り出した。

ムキになったルーシィが息も絶え絶えギルドに到着し、入口の扉を押し開けた。

 

 

「はぁはぁ。あたし・・・なにムキになってんだろ。・・・はぁはぁ。。っ!!」

ルーシィは立ったまま膝に手をつき乱れた息を整えていた。すると、突如死角から胸に衝撃を受けた。
ルーシィはいつものように驚きの声を上げた。
そう。ルーシィがギルドで叫び声をあげるのは、常なのだ。ルーシィをからかうのが趣味のようなチームメイトが、毎日のようにルーシィをおどかし、その反応を楽しんでいるのだから。

   「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

叫び声をあげたルーシィの視界いっぱいに、にぱぁっと笑みを浮かべるドラコ。
しっかりと、ルーシィの胸に抱きついている。

 「マスターるーしぃ!!驚いた??カッカッカッ~」
 「もうドラコ!!脅かさな・・・・きゃ~!!あはっあははははははあh」

ドラコが、ルーシィの胸に顔をうずめながらすりすりと頭をこすりつける。 羽はしっかりたたまれてはいるが、尾が遊んでいるのだ。
フワフワと揺れルーシィの胴に巻き付くと、脇の下を刺激していた。

 「ひぃぃ!!!あははははははっやめっ!!やめっ!!」
 「・・・るーしぃ?どうしたの??」

ルーシィの叫ぶような笑い声が、酒場に響いた。
あははははははっと笑いながら転げるルーシィのスカートは当然のごとく際どく捲れ上がっている。
ドラコの後ろに構えていたナツは、ドラコの無邪気な笑みとルーシィの反応のよさにその様子を楽しそうに見つめていた。

すると、おお~っと酒場から歓声が上がった。
ルーシィの服の乱れっぷりに合わせて、男共の歓声があがる。
ナツの眉間には深く皺が入り、胸の内にはフツフツと苛立ちが滲んできた。
今振り替えって騒いでいる奴等の目潰しをしてやろうかと思考していたナツの目の前を、青い塊が通り過ぎた。

 「ドラコ!!めっ!!!めっだよ!!ルーシィを放して!!」
 「やぁー!!ドラコ、るーしぃに抱き着くと気持ちいい!!もっとくっつく!!」
 「ダメだってば~!!ルーシィ笑いすぎて泣いてるよっ!!これ以上醜態を晒させたら、絶対後で怒られるんだからっ!!」
 「やーの!!るーしぃは、ドラコのマスターだもん!!」
 「ドラコ!!オイラにまでとばっちりがくるんだからっ!!」

通常ならば、ハッピーはこの行為を放っておくだろう。放って置きそうなのに、今日に限ってドラコを止めにかかったのだ。
ドラコの背を引っ張ると、細い尾がハッピーをのけようとふわっと浮いた。

尾が離れたことに事によってくすぐったさから開放され、声が枯れるほど笑い転げていたルーシィは、ふぅふぅと荒い呼吸をしている。まだ動けない様で、その場に転がったままだ。

 「大体、そこはオイラの定位置なんだから!!ちゃんとオイラに許可とって貰わないと!!!」
 「ぶー!!!」
 「こらこらっ!?」
 「るーしぃは、ドラコのマスターだもん!!ドラコのだもん!!」

ハッピーがその尾っぽを必死に引っ張ると、ドラコは離されまいと、ルーシィにしがみついた。 ギュっと体に巻き付き、その豊満な胸に顔をうずめて「やー!!」と叫んでいる。

そこでやっと、それまで傍観していたナツが動いた。
ギルドの端々からの、それぞれのつぶやきやヒソヒソ話がナツの耳には届いていた。


  ― 「あの子顔だけじゃなくってナツにそっくりなのね!」
  ― 「ルーシィちゃん顔真っ赤!!息できてっか??」
  ― 「なんかナツが襲ってるみたいだな!!」
  ― 「ちげーねぇ!!普段から近いもんはあるけどな~!!」

  ― 「あらあら~。」
  ― 「おいルーシィちゃんのポロリが拝めそうだぞ!!」

などと、好き勝手なことを言っている。皆、傍観を決め込んでいるのだ。
ナツのようなドラゴンのような姿の少年。これは、ルーシィや夏が説明しなくても・・・・・・ナツが絡んでいるに違いなかった。

それは即ち、下手に手を出しては自分がけがをしかねない。

それにも加えて、ルーシィにじゃれつくナツのミニチュアの姿は、可愛いものだったし、いつもの光景に近いような気もしたのだ。

皆、、、子供は限度を知らないことを忘れていたのだ。

ナツは無言でルーシィの後ろに回り込むと、グイッとその華奢な体を引き寄せ後ろから抱きしめた。

 「ドラコいい加減にしろ!!ルーシィは、ドラコだけのモンじゃねえ!!!」

 

 

そう叫ぶと、そのたくましい腕に力を入れた。

ナツの突然の行動に、酒場が騒めきたつ。ニヤニヤとした表情を隠すこともなく、皆が、ナツ達に視線を向けていた。

 

 ―「おい!ナツのやつとうとう!!」

 ―「そいつんじゃなかったら、オレんだとでも言うんか~!!」

 ―「あららぁ。ルーシィ大丈夫かしら~??」

 

それぞれの声が、ナツの耳には届いてはいるはずだったが、ナツはルーシィを抱きしめたまま動かない。ギュウっと抱きしめ、ジトーッとドラコと睨めっこをしているのだ。

 

後ろから抱きしめられたルーシィは一瞬にして沸騰していた。

 ―ナツはなぜ自分を抱きしめているのだろう??

常人よりも熱い体温が、背中に伝わってきている。

 ―・・・まさか、ドラコにやきもち??・・・・でも??

腹と、肩に回されたたくましい腕が、ルーシィの視界に入っている。

ルーシィは後ろを振り向くことができなかった。 

 ―さっきまで、助けてもくれなかったのに。。。

困ったように、眉をげて小さく息と落とした。

 

 ―・・・!!ハッピーの為??でも・・・もしかして?

 ―いつもいつも、意識してるのはあたしだけ?って思ってたけど・・・もしかして?

 

ルーシィは自分の思考だけで、頭から湯気がでそうになっていた。

それになんか、、、腹に回っているナツの腕が心なしか上にあたっている気がする。。。

 

だがしかし・・・・・それにしても熱すぎる。。。

ルーシィは遠退いていきそうな意識を、何とか繋ぎ止めようと頭を振った。

 

ナツに抱き寄せられているという事もある・・・・・が、今の季節は夏だ。

何もしていなくても、汗が流れ落ちる気温だ。

後ろからはナツ。前からはドラコ。どちらも常人の体温ではない。

 

ルーシィの様子を近くで見ていたハッピーが慌てた様に声を荒げた。

 

「うわぁぁぁぁ!!ルーシィ!!!」

『バッチャ~ン!!!』

 

叫び声と共に、熱を出しているその塊に大量の水が放たれた。

ハッピーの焦った声に、素早く反応したのは今ギルドの扉をくぐった水の魔導士ジュビアであった。

 

 

 

 

「ルーシィが燃えてしまいますよ?ナツさんと・・・・・えっ・・・ナツさん?」

 

 

ジュビアの水を頭からかけられ、ボー然とするナツとドラコ。。。そしてルーシィ。

ナツとドラコの手から力が抜けた。

だらんとその場二人の腕が下がった。

 

 

「あっ。」

 

 

ハッピーの発した声に、ボー然としながらもルーシィはその視線をたどった。

それは、自分の胸に行き当る。

 

 

「きゃぁっ!!」

 

とっさに胸を隠すルーシィ。

赤みが収まりそうだった顔に、また熱が集まる。

そして、キィィィっと自分の後ろにいまだ呆然と座るナツを睨み付けた。

 

「・・・・ふっふく!」

「は?」

「ふっ服くらい貸しなさいよぉぉ!!!!!」

 

 

fin

 

おまけ→

 

0729

 

 

 

おまけ

 

ギルドに到着して早々からひと騒動おこしたナツとドラコ。

びちょぬれになったルーシィは、ナツから黒衣を奪うとそれを羽織り片袖を通した。

 

普段からヒールを履いているルーシィは、ギルドに集まるメンバーからするとナツと大して背が変わらない。

かろうじて、ナツの方が少し大きいくらいだ。

ナツの服を借りようが、、、ルーシィであれば、何のことなくそれなりに似合ってしまうのでは?と思っていたものが多かっただろう。

確かに、、、似合わなくも・・・ない。概ね、似合っているとも言える。

だが、ナツの黒衣をブカブカに纏ったルーシィが、ずいぶん華奢に見えたのだ。

 

男女の体格差であるそれが、酒場内にやんわりとぬるい風を吹かせた。

酒場のあちこちから、茶化すような声もかかるが、ルーシィは既にいっぱいいっぱいであった。

ドラコから「とうちゃんの服~!!」と言われて抱き着かれていても、呆然としたままだった。

 

ナツの黒衣は肩がずれ、袖をまくらなければ手が出ないサイズだ。自分とのサイズ違いに、目の前の半裸の男に、内心鼓動を早くしていた。普段からギルドには裸になる男もいる。

脱ぐとき本人は無自覚だというがまぁ、その変態のおかげで残念なことに男性の上半身など、見慣れたはずなのに。

それに、ナツだって黒衣の下はいつだって肌が見えていた。筋肉質の引き締まった上半身は見慣れているはずだと思っていた。

が、服をはぎ取ったのが自分であるという事実も重なり、ルーシィはさらに頬をピンクに染めギュっと黒衣の合わせ目を握りしめた。

 

「ハッハハハハッピ―!!ドッドッドラコの紹介よろしくね?あたっあたし着替えてくるっ!!」

 

自分にぶら下がっていたドラコをハッピーに押し付けルーシィは、酒場の奥の医務室に駆け込んで行ってしまった。

残されたナツは・・・・・「なんだあいつ。。。」とぼやき、何もなかったように、ハッピーを押し潰しているドラコと潰されていたハッピーを小脇に抱え、当初の目的の為にカウンターに向かった。

 

抱えられたドラコは「とうちゃんたのしぃぃ!!」と嬉しそうに笑い転げている。

注文とすますと、興味津々によってきたメンバーに、ドラコを紹介した。

もちろんハッピーがだ。

 

「・・・・・という訳で、ルーシィの新しい友達だよっ!!」

「おれ。るーしぃのともだちなの??るーしぃは、ドラコのますたーだぞ!!」

「あぁ。そうだねドラコ。えっとね。ルーシィは鍵の仲間のことを友達だって言ってるから。。。」

・まぁ、何でもいいじゃねぇか!!ドラコはルーシィが好きなんだろっ!!」

 

明るくナツが言ってのけると、ドラコが満面の笑みで、「うんっ!!」とうなずいた。

 

運ばれて来た料理をおいしそうに頬張る姿は、、、本当の親子のようにそっくりだ。

というか、、、クローン??

ドラコを囲んで、話に花を咲かせているところから少し離れて、グレイも食事をしていた。

 

「あれ。。わかってんのか?あの馬鹿。見てるこっちが恥ずかしいつうのっ。」

「フフフフッ。ナツってばルーシィ大好きだものねぇ。」

「・・・・・。」

 

独り言ちたはずが、返事が返ってきた。

カウンターの内側に立つ酒場の看板娘、ミラジェーンだ。

 

「ミラちゃん。。。」

「ルーシィとナツの魔力から生まれた子なんでしょ??まるで2人の子供みたいよねぇ。」

「いあ。。。。2人のってぇか、、、ありゃぁ、ナツだろう?」

「フフフ。そうね。実際ナツよりは甘ったれでいて、躾されていて、よくものを知っているようだけど、見た目も、行動も、ルーシィを大好きなところも、み~んなナツから貰っちゃったのねっ。」

「はぁ。。。あの馬鹿が二人とか。。。」

 

何でもお見通しの看板娘と目を合わせた後、グレイは視界にドラコを映し大きくため息をつき、大事な大事な妹分の身を案じた。

ナツとちびナツで、ルーシィを取り合うのなんか目に見えているのだ。

 

「・・・大丈夫よ。グレイ。だって、あの子を育てるのは、ナツとルーシィよ。それにハッピーもいるわっ。」

「・・・・・。」

「たっぷり愛情をもらったら、ナツによく似たあの子はどんな子になるのかしらね?フフフッ楽しみじゃないッ!!」

 

 

にこにことほほ笑みながらカウンターの奥に戻って行ったミラを、目だけで見送った。

ナツとドラコは既に食事を終え、酒場の中心で火を吐いて遊んでいる。

その内、誰かのものを壊したりして、乱闘になるのだろう。。。

 

背後でテーブルのひっくり返る音がする。

被害を受ける前に、さっさと食事を終らせてしまおうと、グレイは箸を進めた。

先程奴らがいたカウンターには、青猫がまだ魚を頬ばっていた。

それももうすぐ呑みこまれて終わるだろう。

 

「あっ!グレイ!!お帰り~!!」

 

酒場の中心から聞こえる騒音に、医務室のドアが開いたことに気が付かなかった。

背後からグレイに声がかかる。明るい声色。可愛い妹分だ。

グレイは優しく微笑み、隣の席のスツールの埃を払ってやった。

 

ふんわりと嬉しそうに笑って、そこに腰を掛け既に頼んであったのであろう、すぐに運ばれてきたサンドウィッチをルーシィはと手に取った。

 

・・・仕方ない。

・・・可愛い妹分の為だ。

・・・・・馬鹿が二人でも我慢してやろう。

確かにうちの姫君が教育すれば、、、クソ炎よりはましに育つだろう。

 

「姫さんも大変だなっ」

「ん~そうでもないよ?///本当は、、、たっ楽しいけどね!?」

 

そういってルーシィは口の前に人差し指を立てウインクする。

そんなことしなくても、アイツらには言わねぇっつのっ!!喜ばしてどおすんだ。。。。ったく。

 

「言わねぇよっ」と、グレイは手を伸ばしルーシィの金髪をクシャりとなでた。

くすぐったそうに首をかしげて「もう!ボサボサになるじゃないっ!!」とルーシィに笑い返えされた。

 

食事を再開させながらルーシィは、視線を酒場の中心に投げ、フフフフッと楽しそうにほほ笑んでいた。

 

 

Fin

 

 

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

なんだか長くなってしまったんで、2つに分けましたww

2つに分けたんで、おまけを追加。

 

本誌に影響されて、グレイ様登場!!!!

グレイ様、悲しいけどお父様に会えてよかったね!!ジュビアもつらい立場だったけど、頑張ったね!!偉かった!!!

グレイ様本人よりも先に、お父様にグレイ様の女認定を受けれてよかったねww←ぐはっww

氷の滅悪魔導士!!!!超カッコいいじゃんww

続きが楽しみだ(*'ω'*)♡

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