2015年11月18日
幼 馴 染
結構前に書いてて、PCのフォルダに眠ってたものです。リサーナ視点。短い!!そして意味はないw
って訳で進まなかったんでここで供養w
ここは、魔導士ギルド『妖精の尻尾』
リクエストボードとかもあって、魔導士達の事務所の様な所なの。
ココは――職場よ?
――ねぇ……?
――だが、あれは何でしょう?
酒場の中心で、人だかりができている。集まった人たちが囲んでいるのは――ナツだ。
ナツが――変!! ってか、キモイ!!
まぁ少し譲って、変なのはいつもの事なんだけど――あれって、ナツよね?
わたしの幼馴染ナツ・ドラグニルは最近、いつもに増して――
ナツ達と囲む集団が、『おおおぉぉぉ!!』と歓声を上げた。
――はぁ
――気持ちはわからないでもないけど――あれじゃぁ、ルーシィが可哀想だよ
――いたたまれないだろうなぁ――馬鹿なナツ
――同じ女の子として、好かれるのはうれしいだろうけど、あんなあからさまに迫られたら、恥ずかしくなっちゃうよ。
――下手したら――避けられちゃうよぉ――ナツ
「すごいわね。今日も」
カウンターの中で、揃ってグラスを磨いていたミラ姉が呟いた。
「ねっ。……あれじゃぁ、ルーシィも流石にひいちゃうんじゃない? 大丈夫かなぁ」
「ふふっ。まぁ、ルーシィだしねっ」
ミラ姉が、パチンとウインクしてニッコリとほほ笑んだ。
――ルーシィだし?
「ルーシィだしって――あんな羞恥プレイみたいのが、ルーシィの趣味ってこと?」
次のグラスと手に取って、ミラ姉に振り返ると、カウンター席から声がかかった。
「ちょっとリサーナ! 人を変な子みたいに言わないでくれる?」
綺麗な金色の髪をハーフアップにし、サイドで結んだところには 大きなリボンが触れている。
端正な顔立ちで、大きな目がこちらを見上げてくる。――私の傍らではミラ姉がくすくすと、笑っている。
「だってねぇ……ナツが、すごいなぁってっ」
「……はぁ。あいつ、何があったんですかね…」
何でこんな事に……とため息交じりに言うと、ルーシィはカウンターにおでこをコツンとあてて、後ろのテーブル席で伸びているナツをちらっと見た。
「ルーシィは、どうしたい? ルーシィだって、ナツが好きなんでしょ?」
「うっ/// そりゃぁ……うぅ///」
――赤面して潤んできた目を揺らすルーシィは、おんなの私でも可愛いと思って、手を差し伸べたくなる。
テーブル席で復活したナツが、何かを察してこっちにずんずん近づいてくる。
「ルーシィ!! いてぇじゃねぇかっ!!」
件の幼馴染が“ドカッ”と、当たり前の様にルーシィの隣を陣取った。
「あっあんたが悪いんでしょ!! いきなりだっ抱きっ着いてきて/// ほっほっほほ///」
「ほっぺに、チューしたからか?」
ルーシィの真っ赤な顔にある大きな瞳には、滲んできた涙が揺れている。
「ルーシィが話聞かねぇし、変な奴が声かけてきてたから守ってやったんだろ!! 街の人殴っちゃダメだってルーシィが言うからだぞ!!」
このギルドの酒場は魔導士以外にも開放しているので、一般のお客も利用できるのだ。そう。ここ数日、ルーシィに言い寄っていた少年がいたのだ。ナツは、その少年の事を言っているのだろう。
そういえば、先程の騒動で少年は酒場を後にしていた。
「だっだからって……あたしの許可なくそんな事しないでよ!」
「……だから、誤ったじゃねぇか! オレが、我慢なんなかったんだっ」
唇を尖らす桜頭の少年。
金髪のかわいいルーシィと、桜頭の問題児ナツ。互いのお気持ちはちょっと置いておくとして、その関係はただのチームメイトだ。
――そう、ただの仲のいいお友達なのだ。だが、このナツという少年は、その金髪の少女ルーシィに恋心を抱いている。
少し前まで、ナツは自分のルーシィにむける恋心に自覚がなかった。執拗にルーシィの近くから離れなかったが、自覚していなかったのだ。ルーシィはといえば、当初はナツの事を恋する乙女目線で見ていた気がする。
――そんな事もあった気がするのだが、ナツの無自覚に振り回され過ぎてどうやら恋心が迷子になってしまったいるようだった。
ナツが自分気持ちに気が付いて、しばらくギクシャクしていた2人だったが、どうにかそれも収まったと思ったら、ナツの暴走。
「ナツって、こんなに独占欲強いのね~まだ、付き合ってもいないのにね?」
呆れた様にそう言ってやれば、隣でミラ姉がにっこり笑っている。――目の前にいる2人は、揃って顔を真っ赤に染めた。
――もう、さっさと付き合っちゃえばいいのになぁ